宅建試験・参考書 法令上の制限

presented by 宅建倶楽部

3 地域地区

1つの都市計画区域について地図の上で線を引き,「ここからそこまでが市街化区域で,むこうが市街化調整区域だ」というように,区域区分に関する都市計画を定めただけでは不十分だ。
無秩序な開発を防止するためには,例えば,人が大勢生活する市街化区域でのさらにキメ細かな「土地の利用に関する計画」が不可欠だろう。
そこで,都市計画区域については,都市計画に,次に掲げるような地域,地区または街区を定めることができることになっている。そして,これらの総称を「地域地区」に関する都市計画という。
この参考書では、主なものを例示する。

用途地域

(1)
「用途地域」とは,主として市街化区域の中で,建築物の用途を制限する場所だ。
例えば,ここにはパチンコ屋を建ててはいけない,あそこには自動車教習所を建ててはいけないというような地域だ。
これによって,建築物の使いみちという観点から,無秩序な開発が防止される。

(2)
用途地域には,そこにはどのような建築物を建てるのが望ましいか,という観点から,次の@〜Kの地域がある。
そのうち@〜Fを住居系の用途地域,G〜Hを商業系の用途地域,I〜Kを工業系の用途地域という。
[住居系の用途地域=住居ゾーンともいう]
@第一種低層住居専用地域
…低層住宅に係る良好な住居の環境を保護するため定める地域
A第二種低層住居専用地域
…主として,低層住宅に係る良好な住居の環境を保護するため定める地域
B第一種中高層住居専用地域
…中高層住宅に係る良好な住居の環境を保護するため定める地域
C第二種中高層住居専用地域
…主として,中高層住宅に係る良好な住居の環境を保護するため定める地域
D第一種住居地域
…住居の環境を保護するため定める地域
E第二種住居地域
…主として,住居の環境を保護するため定める地域
F準住居地域
…道路の沿道としての地域の特性にふさわしい業務の利便の増進を図りつつ,これと調和した住居の環境を保護するため定める地域
[商業系の用途地域=商業ゾーンともいう]
G近隣商業地域
…近隣の住宅地の住民に対する日用品の供給を行うことを主たる内容とする商業その他の業務の利便を増進するため定める地域
H商業地域
…主として商業その他の業務の利便を増進するため定める地域
[工業系の用途地域=工業ゾーンともいう]
I準工業地域
…主として環境の悪化をもたらすおそれのない工業の利便を増進するため定める地域
J工業地域
…主として工業の利便を増進するため定める地域
K工業専用地域
…工業の利便を増進するため定める地域

(3)
用途地域では,建築物の用途を制限する他に,次のような制限が定められる。
@第一種低層住居専用地域または第二種低層住居専用地域では,建築物の高さの最高限度が制限される。
この建築物の高さの最高限度は,12mまたは10mのどちらかで定めなければならない。
A(2)の@〜Kのすべての用途地域に関する都市計画では,容積率が制限される。
B商業地域を除く用途地域に関する都市計画では,建ぺい率が制限される。

(4)
(3)の@ABの制限は,都市計画法で定める他,建築基準法でも定めている。

特別用途地区

(1)
無秩序な開発を防止するには,用途地域を定めるだけでは不十分だ。
例えば,同じ商業地域に属していてもオフィスビルなどの集中化を図るのが妥当な地区もあれば,商店街の連続性を図るのが妥当な地区もあるだろう。
そこで,用途地域を定めただけではその地区の特殊性に対応できない場合に,用途地域の中で用途地域と重ねて,さらに建築物の用途を制限する場所が必要になる。このような場所を総称して特別用途地区という。

(2)
特別用途地区は,用途地域の中で用途地域と重ねて定める必要がある。したがって,特別用途地区は,用途地域の中でだけ定めることができる。用途地域が定められていない場所で,特別用途地区だけを定めることはできない。

特定用途制限地域

(1)
用途地域は,主として市街化区域の中で,建築物の用途を制限する場所なので,市街化区域と市街化調整区域の「区域区分がなされていない都市計画区域」では,用途地域が定められていない。
しかし,そういう所でも無秩序な開発は防止する必要がある。
そこで,用途地域が定められていない土地の区域内で,良好な環境の形成または保持のために,その地域の特性に応じた合理的な土地の利用が行われるよう,建築物の特定の用途を制限する場所を,特定用途制限地域という。

(2)
特定用途制限地域を定めることができる場所は,区域区分がなされていない都市計画区域と準都市計画区域に限られる。

(3)
特定用途制限地域での建築物等の用途制限の具体的な規制は,地方公共団体の条例で定められる。

特例容積率適用地区

特例容積率適用地区とは,建築物の容積率の限度からみて未利用となっている建築物の容積の活用を促進して,土地の高度利用を図るため定められる場所だ。

高層住居誘導地区

(1)
用途地域のうち,第一種住居地域,第二種住居地域,準住居地域,近隣商業地域,準工業地域では,住居と住居以外の建物が混在しやすく,利便性の高い高層住宅の建設がしにくい。
そこで,第一種住居地域,第二種住居地域,準住居地域,近隣商業地域,準工業地域のどれかの中にあり,しかも容積率が10分の40または10分の50と定められた地区で,住居と住居以外の用途とを適正に配分し,利便性の高い高層住宅の建設を誘導するために定められるのが,高層住居誘導地区だ。

(2)
高層住居誘導地区に関する都市計画では,次の制限が定められる。
@容積率の最高限度
A建ぺい率の最高限度(ただし,その地区における市街地の環境を確保するために必要な場合に限る)
B建築物の敷地面積の最低限度(ただし,その地区における市街地の環境を確保するために必要な場合に限る)

高度地区

(1)
同じ用途地域に属していても,高い建築物を建てるのが妥当な場所もあれば,低い建築物を建てるのが望ましい場所もあるだろう。
そこで,用途地域だけではその地区の特殊性に対応できない場合,市街地の環境の維持や土地利用の増進を図るために,用途地域の中で用途地域と重ねて,さらに建築物の高さや低さを制限することが必要になる。このような場所を高度地区という。

(2)
高度地区では,建築物の高さの最高限度または最低限度の制限が定められる。

(3)
高度地区は,用途地域の中で用途地域と重ねて定める必要がある。
したがって,高度地区は用途地域の中でだけ定めることができる。用途地域が定められていない所で高度地区だけ定めることはできない。

高度利用地区

(1)
同じ用途地域に属していても,建築物の容積率や建ぺい率などは,その場所の特殊性に応じて,さらにキメ細かく定めた方が乱開発の防止になる場合もあるだろう。
そこで,用途地域だけではその地区の特殊性に対応できない場合に,用途地域の中で用途地域と重ねて,さらに建築物の容積率や建ぺい率などを制限する場所が必要になる。このような場所を高度利用地区という。

(2)
高度利用地区では,次の制限が定められる。
@容積率の最高限度または最低限度
A建ぺい率の最高限度
B建築物の建築面積の最低限度
C建築物の壁面(へきめん)の位置の制限

(3)
(2)の@〜Cの制限は,都市計画法で定める他,建築基準法でも定めている。

特定街区

(1)
特定街区とは,市街地の整備改善を図るため,街区の整備または造成が行われる場所だ。
街区の整備または造成と言っても,これは主に超高層ビルの建築を意味する。例えば,同じ商業地域に属していても,そこは超高層ビルを建築するのが妥当な場合もあるからだ。試験対策上は,超高層ビルを建築するため場所が,特定街区だと思えばよい。超高層ビルを建築するため,すでに決められている用途地域や容積率等の規制を適用除外して,そこ独自の計画を定めるのだ。

(2)
特定街区では,次の制限が定められる。
@容積率の最高限度
A建築物の高さの最高限度
B建築物の壁面の位置の制限

都市再生特別地区

都市再生特別地区とは,すでに決められている用途地域や容積率等の規制を適用除外して,そこ独自の自由度の高い計画を定めることができる場所だ。
国際化,少子高齢化に対応できる都市に再生したい所で定められることになっている。

防火地域または準防火地域

(1)
同じ用途地域に属していても,駅前のような市街地では,火災が起きれば延焼の危険が大きくなる。
そこで,市街地における火災の危険を防除(防止)するために,建築物の種類・構造等を制限する場所が必要となる。これが,防火地域または準防火地域だ。

(2)
防火地域または準防火地域が定められると,建築基準法で,建築物の種類・構造等が制限される。

特定防災街区整備地区

特定防災街区整備地区とは,防火地域や準防火地域が定められている区域で,火事または地震が発生した場合の延焼防止・避難機能の確保のために,道路・公園等を整備する場所だ。

景観地区

(1)
景観地区とは,市街地の良好な景観の形成を図るため定める場所だ。
景観とは,人工的な建築美等をいう。
景観地区となっている例としては,東京の皇居周辺,大阪の御堂筋(みどうすじ)が有名だ。

(2)
景観地区では,建築物の形態意匠(デザイン)などの制限がされる。これらの制限は,景観法や市町村の条例でされる。

風致地区

(1)
風致地区とは,都市の風致を維持するため定める場所だ。
都市の風致とは,都市における良好な自然的景観をいう。
風致地区となっている例としては,東京の上野公園周辺が有名だ。

(2)
風致地区では,建築物の建築,宅地の造成, 木竹(ぼくちく)の伐採などの制限がされる。これらの制限は地方公共団体の条例でされる。

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