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宅建試験・テーマ別過去問解説集 民法(権利関係)

 不動産登記法

昭和52年 [問 12] 不動産登記法

不動産の仮登記に関する次の記述のうち,正しいものはどれか。

(1)土地所有者甲は,いったん乙への所有権移転の仮登記をなした場合には,丙に対して抵当権設定の登記はすることができるが,所有権移転の登記はすることができない。
(2)甲所有の建物について,請求権保全の仮登記をした後その所有権を取得した乙は,本登記をしなくても,仮登記後甲から建物を賃借し占有している丙に対してその建物の明渡しを求めることができる。
(3)甲所有の土地について,乙が請求権保全の仮登記をした後,その土地を買い受けて所有権移転の登記をなした丙は,乙から仮登記に基づく本登記をなすについて承諾を求められた場合は,これに応じなければならない。
(4)乙を権利者とする抵当権設定の仮登記後丙を権利者とする抵当権設定登記がなされた甲所有の土地について,乙が仮登記に基づく本登記をなす場合には,丙の承諾を得る必要はない。

 

昭和52年 [問 12] 解説

(1)誤り。甲が乙に所有権移転登記をした場合でも,それが仮登記にとどまっていれば,甲は,丙に,同じ土地の所有権移転登記ができる。つまり,仮登記にとどまっていれば,同じ土地を二重譲渡できるということだ。
(2)誤り。仮登記にとどまっていたのでは,第三者(丙)に対抗できない。したがって,乙は,本登記をしなければ,丙に対して,その建物の明渡請求ができない。
(3)誤り。「所有権に関する」仮登記に基づく本登記は,登記上の利害関係を有する第三者がいるときは,その第三者の承諾(または,第三者に対抗できる裁判があったことを証する情報)があるときに限り,申請できる。したがって乙は,仮登記に基づく本登記をなすについて,丙の承諾等を求めることができる。
しかし丙としては,乙の要求に無条件に応じる必要はない。乙は「請求権保全の仮登記」をしているが,請求権保全の仮登記を本登記にするには「実体法上の要件(物権変動を生じること)」を具備しなければならないが,乙がこの要件を具備しているか不明だからだ。したがって,「丙は…承諾を求められた場合は,これに応じなければならない」と言い切ったら,誤りになる。
(4)正しい。「所有権に関する」仮登記に基づく本登記は,登記上の利害関係を有する第三者がいるときは,その第三者の承諾(または,第三者に対抗できる裁判があったことを証する情報)があるときに限り,申請できる。しかし,「所有権以外の権利(例:抵当権)」に関する仮登記に基づく本登記は,このような制限なく,申請できる。所有権以外の権利は物を全面支配できないので,仮登記に遅れる第三者(丙)の権利と両立できる(第三者の権利を抹消しないで良い)からだ。したがって,乙が仮登記に基づく本登記をなす場合には,丙の承諾を得る必要はない。

 正解(4)


昭和57年 [問 16] 不動産登記法

不動産の権利に関する登記の申請についての次の記述のうち,誤っているものはどれか。

(1)登記の申請は,物権の変動が生じたときから1ヶ月以内にしなければならない。
(2)登記の申請は,必ずしも書面でしなくてもよい。
(3)登記の申請は,申請人が登記所に出頭してしなければならないとは限らない。
(4)登記の申請は,原則として登記権利者及び登記義務者が共同してしなければならない。

 

昭和57年 [問 16] 解説

(1)誤り。権利に関する登記は,そもそも申請義務がない。したがって,物権の変動が生じたときから1ヶ月以内にする必要などない。1ヶ月以内が関係するのは表示に関する登記だ。表示に関する登記だったら,表題部に記録すべき事項に変動があってから1ヶ月以内にしなければならない。
(2)正しい。旧法では,登記の申請は,表示に関する登記も権利に関する登記も,書面でしなければならなかった。しかし,平成17年3月7日に施行された新不動産登記法では,「電子申請または書面申請」ですることになった。電子申請とは,電子情報処理組織を使用する方法による申請だ。つまり,インターネットを利用したオンライン申請のこと。
(3)正しい。新不動産登記法では電子申請も可能なので,申請人が登記所に出頭しないで申請する場合もある。
(4)正しい。権利に関する登記の申請は,登記権利者(例:所有権移転登記の場合の買主)と登記義務者(例:所有権移転登記の場合の売主)が,共同で申請しなければならないのが原則だ。これを共同申請主義という。登記することで利益を受ける者(登記権利者)の他に,不利益を受ける者(登記義務者)も関与させたほうが,登記の真実性を確保できるからだ。

 正解(1)


昭和61年[問 15] 不動産登記法

不動産登記に関する次の記述のうち,正しいものはどれか。

(1)地上権又は賃借権に関する登記事項は,登記記録中甲区に記録される。
(2)建物の登記記録中,表題部には建物の評価額も記録される。
(3)登記事項証明書の交付を請求する場合の手数料の納付は,収入印紙をもってしなければならない。
(4)権利に関する登記の申請は,原則として登記権利者及び登記義務者が共同して行わなければならない。

 

昭和61年 [問 15] 解説

(1)誤り。
・甲区には「所有権」に関する登記の登記事項
・乙区には「所有権以外の権利」に関する登記の登記事項
が記録される。
したがって,地上権又は賃借権に関する登記事項は,「乙区」に記録される。
(2)誤り。表題部には,登記記録のうち「表示に関する登記」が記録される。
「表示」というのは,権利の客体(対象)である不動産の物理的状況(地番・大きさ等)などだ。
建物の登記で言えば…
・所在(主たる建物の所在)
・種類(主たる建物の種類)
・構造,床面積(主たる建物の構造,床面積)
等が,「表示」に当たる。
評価額は,不動産の物理的状況じゃないので「表示」とは言えず,表題部に登記される事柄ではない。
(3)誤り。登記事項証明書(旧法の登記簿の謄,抄本)の交付を請求する場合の手数料の納付は,「登記印紙」でするのが原則だ。
(4)正しい。権利に関する登記の申請は,登記権利者(例:所有権移転登記の場合の買主)と登記義務者(例:所有権移転登記の場合の売主)が,共同で申請しなければならないのが原則だ。これを共同申請主義という。登記することで利益を受ける者(登記権利者)の他に,不利益を受ける者(登記義務者)も関与させたほうが,登記の真実性を確保できるからだ。

 正解(4)


平成1年 [問 16] 不動産登記法

*区分建物に係る登記に関する次の記述のうち,誤っているものはどれか。

(1)敷地権である旨の登記ある土地の登記記録には,敷地権を目的とする一般の先取特権の保存の登記及び質権又は抵当権の設定の登記は,その土地が敷地権の目的となる前にその登記原因が生じたものであっても,することができない。
(2)登記官は,区分建物に関する敷地権について表題部に最初に登記をするときは,当該敷地権の目的である土地の登記記録について,職権で,当該登記記録中の所有権,地上権その他の権利が敷地権である旨の登記をしなければならない。
(3)区分建物にあっては,表題部所有者から所有権を取得した者も,所有権の保存の登記を申請することができる。
(4)数個の専有部分に通ずる廊下又は階段室その他構造上区分所有者の全員又はその一部の共用に供されるべき共用部分は,区分建物として登記をすることができない。
*区分建物
1棟の建物の構造上区分された部分で独立して住居,店舗,事務所又は倉庫その他建物としての用途に供することができるものであって,建物の区分所有等に関する法律第2条第3項に規定する専有部分であるもの(同法第4条第2項の規定により共用部分とされたものを含む)をいう。

 

平成1年 [問 16] 解説

(1)誤り。「敷地権である旨」の登記をした土地には,敷地権の所有権移転登記や敷地権の抵当権設定登記等が,原則としてできなくなる。建物と敷地の一体的な管理のために,土地だけの登記も禁止するのだ。
ただし,その土地が敷地権の目的となる前に登記原因が生じた,敷地権の仮登記や質権・抵当権の設定登記等は,できる。以前にした行為の後始末なら,建物と敷地の一体的な管理に反しないからだ。
(2)正しい。登記官は,区分建物に関する敷地権について表題部に最初に登記をするときは,その敷地権の目的である「土地」の登記記録について,職権で,その登記記録中の所有権,地上権その他の権利が敷地権である旨の登記をしなければならない。これによって,その土地がマンションの敷地になっていることが,土地の登記記録で世の中に公示されるわけだ。
(3)正しい。所有権の保存の登記は,表題部所有者(例:マンションの分譲業者)が申請するのが原則だが,区分建物では,表題部所有者から所有権を取得した者(例:分譲業者から購入した者)も,直接自己名義で,所有権の保存の登記を申請できる。
(4)正しい。「数個の専有部分に通ずる廊下又は階段室その他構造上区分所有者の全員又はその一部の共用に供されるべき共用部分」とは,法定共用部分のことだ。法定共用部分は,専有部分(区分建物)とできない。したがって,廊下や階段室などは専有部分(区分建物)として登記をすることもできない。

 正解(1)


平成3年 [問 15] 不動産登記法

不動産登記に関する次の記述のうち,誤っているものはどれか。

(1)所有権移転の登記の抹消は,権利部の甲区に記録される。
(2)抵当権の順位の変更の登記は,権利部の乙区に記録される。
(3)根抵当権の登記名義人の表示の変更の登記は,権利部の甲区に記録される。
(4)買戻しの特約の登記は,買主の権利取得の登記の付記登記として,権利部の甲区に記録される。

 

平成3年 [問 15] 解説

・甲区には「所有権」に関する登記の登記事項
・乙区には「所有権以外の権利」に関する登記の登記事項
が記録される。
(1)正しい。所有権移転の登記の抹消は,「所有権」に関する登記の登記事項なので,甲区に記録される。
(2)正しい。抵当権の順位の変更の登記は,「所有権以外の権利」に関する登記の登記事項なので,乙区に記録される。
(3)誤り。根抵当権の登記名義人の表示の変更の登記は,「所有権以外の権利」に関する登記の登記事項なので,乙区に記録される。
(4)正しい。買戻しの特約の登記は,所有権移転登記(買主の権利取得の登記)の付記登記として行う。したがって,「所有権」に関する登記の登記事項なので,甲区に記録される。

 正解(3)


平成5年 [問 15] 不動産登記法

不動産登記に関する次の記述のうち,正しいものはどれか。

(1)登記は,当事者の申請又は官公署の嘱託がある場合でなければ,することができない。
(2)氏名の変更による登記名義人の表示の変更の登記の申請は,登記名義人が単独ですることができる。
(3)仮登記義務者の承諾を得てする所有権移転請求権の仮登記の申請は,仮登記権利者及び仮登記義務者が共同してすることを要する。
(4)登記権利者は,その者の所有権を確認する確定判決に基づき,売買による所有権移転の登記の申請を単独ですることができる。

 

平成5年 [問 15] 解説

(1)誤り。表示に関する登記は,登記官の職権でできる。したがって,登記は当事者の申請又は官庁・公署の嘱託(委託)による手続きによらなくても,することができる場合がある。
(2)正しい。「登記名義人の表示の変更の登記」は,権利に関する登記だが,登記名義人が「単独で」できる。関係者は登記名義人しかいないからだ。
(3)誤り。仮登記も本登記と同様に共同申請が原則だが,
・仮登記義務者の承諾があるとき
・仮登記を命ずる裁判所の処分があるとき
は,仮登記権利者が単独で申請できる。
(4)誤り。登記権利者は,その者へ登記を移せという「給付判決」があれば,売買による所有権移転登記を単独で申請できる。しかし,本肢の判決は,その者(登記権利者)の所有権を確認する「確認判決」にすぎない。確認判決は,読んで字のごとく,登記権利者の所有権を確認するだけ(認めるだけ)だ。したがって,確認判決に基づいても,売買による所有権移転登記を単独申請できない。給付判決・確認判決という民事訴訟法の用語まで理解していないと,出来ない問題だ。

 正解(2)


平成8年 [問 16] 不動産登記法

一棟の建物を区分した建物 (以下この問において「区分建物」という。) についての登記に関する次の記述のうち,誤っているものはどれか。

(1)区分建物の表題登記は,その一棟の建物に属する他の区分建物の表題登記とともに申請しなければならない。
(2)区分建物の所有権の保存の登記は,表題部所有者から所有権を取得した者も,申請することができる。
(3)区分建物が規約による共用部分である旨の登記は,当該建物の登記記録の表題部にされる。
(4)登記官は,区分建物に関する敷地権について表題部に最初に登記をするときは,当該敷地権の目的である建物の登記記録について,職権で,当該登記記録中の所有権,地上権その他の権利が敷地権である旨の登記をしなければならない。

 

平成8年 [問 16] 解説

(1)正しい。区分建物の,表題登記(表示に関する登記)の申請は,その一棟の建物に属する他の区分建物の表題登記の申請と併せてしなければならない。分譲マンションの表示に関する登記は,全戸分を一括して申請しろ,ということだ。実際は,マンションの分譲業者が一括申請することになる。
(2)正しい。所有権の保存の登記(未登記だった不動産に初めてする所有権の登記)は,表題部所有者(例:マンションの分譲業者)が申請するのが原則だが,区分建物では,表題部所有者から所有権を取得した者(例:分譲業者から購入した者)も,申請できる。
(3)正しい。規約共用部分の登記(区分建物が規約による共用部分である旨の登記)は,その建物の登記記録の表題部(区分建物の表題部)に記録される。
(4)誤り。登記官は,区分建物に関する敷地権について表題部に最初に登記をするときは,その敷地権の目的である「土地」の登記記録について,職権で,その登記記録中の所有権,地上権その他の権利が敷地権である旨の登記をしなければならない。これによって,その土地がマンションの敷地になっていることが,土地の登記記録で世の中に公示されるわけだ。

 正解(4)


平成11年 [問 11] 不動産登記法

土地の合筆の登記に関する次の記述のうち,誤っているものはどれか。

(1)所有権の登記がある土地と所有権の登記がない土地を合併する合筆の登記をすることはできない。
(2)地目が田である土地と地目が宅地である土地を合併する合筆の登記をすることはできない。
(3)所有権の登記名義人が異なる土地を合併して共有地とする合筆の登記をすることはできない。
(4)承役地である地役権の登記がある土地と地役権の登記がない土地を合併する合筆の登記をすることはできない。

 

平成11年 [問 11] 解説

不動産登記法の本質は,登記簿を「分かりやすくする」ことにある。そこで,複数の土地を合併して登記を1つにすること(土地の合筆の登記をすること)は,それによって土地登記簿が「分かりにくくなる」場合は禁止される。これが本問のポイントだ。
(1)正しい。土地の所有権の登記は一筆の土地ごとにされるので,所有権の登記がある土地とない土地の合併を許すと,一筆の土地の「一部」に所有権が登記されることになり,土地登記簿が「分かりにくくなる」。だから禁止される。
(2)正しい。地目(その土地の主な用途)も,一筆の土地ごとに登記されるから,地目が違う土地の合併を許すと,一筆の土地に「複数」の地目が登記されることになり,土地登記簿が「分かりにくくなる」ので禁止される。
(3)正しい。所有権の登記名義人も,一筆の土地ごとに登記されるから,所有権の登記名義人が違う土地を合併して1つの土地にすることを許すと,一筆の土地の「一部」に別な所有者が登記されることになり,土地登記簿が「分かりにくくなる」ので禁止される。
(4)誤り。承役地である地役権(他人に利用されることを承諾した土地)の登記がある土地と,そのような登記がない土地を合併して1つの土地にする登記を許しても,それが原因で土地登記簿が「分かりにくくなる」わけではない。例えば,他人の通行を許す土地が「承役地である地役権がある土地」だが,地役権はもともと(合筆前から)一筆の土地の一部にも設定できる,言ってみれば分かりにくい権利だからだ。そこで(4)は禁止されない。

 正解(4)


平成13年 [問 14] 不動産登記法

1棟の建物を区分した建物(以下この問において「区分建物」という。)についての登記に関する次の記述のうち,誤っているものはどれか。

(1)表示に関する登記がされていない区分建物を建築者から取得した者は,当該区分建物の表示に関する登記を申請する義務はない。
(2)区分建物の登記における床面積は,壁その他の区画の内側線で囲まれた部分の水平投影面積により算出される。
(3)区分建物が規約による共用部分である旨の登記は,当該区分建物の登記記録の表題部に記録される。
(4)登記官は,区分建物に関する敷地権について表題部に最初に登記をするときは,当該敷地権の目的である建物の登記記録について,職権で,当該登記記録中の所有権,地上権その他の権利が敷地権である旨の登記をしなければならない。

 

平成13年 [問 14] 解説

(1)正しい。区分建物の表題登記(表示に関する登記)の申請は,その一棟の建物に属する他の区分建物の表題登記の申請と併せてしなければならない。分譲マンションの表示に関する登記は,全戸分を一括して申請しろ,ということだ。したがって,マンションの分譲業者が一括申請する義務があるから,分譲業者から各戸を取得した購入者には,表示に関する登記を申請する義務はない。
(2)正しい。建物の床面積は,壁その他の区画の「中心線」で囲まれた部分の水平投影面積(真上から見た図面の面積)で算出され登記されるのが原則だが,区分建物の床面積は,壁その他の区画の「内側線」で囲まれた部分の水平投影面積で算出され登記される。実際に使える面積で測る(内側線で算出する)わけだ。中心線で算出すると,壁の厚さの誤差が出て,実際に使える面積より広くなってしまうので,妥当でないと考えられた。
(3)正しい。規約共用部分の登記(区分建物が規約による共用部分である旨の登記)は,その建物の登記記録の表題部(区分建物の表題部)に記録される。
(4)誤り。登記官は,区分建物に関する敷地権について表題部に最初に登記をするときは,その敷地権の目的である「土地」の登記記録について,職権で,その登記記録中の所有権,地上権その他の権利が敷地権である旨の登記をしなければならない。これによって,その土地がマンションの敷地になっていることが,土地の登記記録で世の中に公示されるわけだ。

 正解(4)


平成14年 [問 15] 不動産登記法

不動産登記の申請に関する次の記述のうち,誤っているものはどれか。

(1)権利に関する登記の申請をするときは,申請人又はその代理人が必ずしも登記所に出頭する必要はなく,郵送により登記申請することもできる。
(2)委任による登記申請の代理権は,本人の死亡によって消滅する。
(3)権利に関する登記の申請は,登記権利者及び登記義務者が共同してするのが原則であるが,相続による登記は,登記権利者のみで申請することができる。
(4)登記権利者及び登記義務者が共同して申請することを要する登記について,登記義務者が申請に協力しない場合には,登記権利者が登記義務者に対し登記手続を求める旨の判決を得れば,その登記義務者の申請は要しない。

 

平成14年 [問 15] 解説

(1)正しい。平成17年3月7日に施行された新不動産登記法では,登記の申請は,表示に関する登記も権利に関する登記も,「電子申請または書面申請」ですることになった。そして,「書面申請」には申請書等を郵送することも含まれる。詳しく言うと,郵送するときは書留郵便など,信書便事業者が「引受け及び配達」の記録を行うものでなければならないが…。
(2)誤り。登記は当事者本人から委任された任意代理人(例:司法書士)に申請させることもできるが,その場合の任意代理人の代理権は,本人の死亡,法定代理人の死亡,法定代理人の代理権消滅などの事由が発生しても,消滅しない。民法の定めではこれらの事由が生じると任意代理権は当然に消滅するが,民法のように取り扱うと登記権利者(例:不動産の買主)の権利が著しく阻害される(登記手続きが大幅に遅れる)からだ。
(3)正しい。権利に関する登記は,共同申請が原則だが,相続による登記は,登記権利者のみで申請できる。登記義務者に当たる人は死んでいてこの世にいないからだ。
(4)正しい。登記義務者が申請に協力しない場合,登記権利者は,その者へ登記を移せという「給付判決」があれば(登記権利者が登記義務者に対し登記手続を求める旨の判決を得れば),単独で申請できる。つまり,その登記義務者の申請は要しない。

 正解(2)


平成16年 [問 15] 不動産登記法

不動産の仮登記に関する次の記述のうち,誤っているものはどれか。

(1)仮登記の申請は,仮登記義務者の承諾があるときは,仮登記権利者が単独ですることができる。
(2)仮登記の申請は,仮登記を命ずる裁判所の処分があるときは,仮登記権利者が単独ですることができる。
(3)仮登記の抹消の申請は,登記識別情報を登記所に提供して,登記上の利害関係人が単独ですることができる。
(4)仮登記の抹消の申請は,仮登記の登記名義人の承諾があれば,登記上の利害関係人が単独ですることができる。

 

平成16年 [問 15] 解説

(1)正しい。仮登記も本登記と同様に,登記権利者と登記義務者の共同申請が原則だが,
@仮登記義務者の承諾があるとき
A仮登記を命ずる裁判所の処分があるとき
のどちらかの場合は,仮登記権利者が単独で申請できる。
本肢は@に当たるので,仮登記権利者が単独で申請できる。
(2)正しい。(1)のAに当たるので,仮登記権利者が単独で申請できる。
(3)誤り。仮登記の抹消は,仮登記の「登記名義人」が単独で申請できる。
利害関係人(登記義務者等)も単独で仮登記の抹消を申請できる場合があるが,それは,仮登記の「登記名義人の承諾がある」場合だ。登記識別情報を登記所に提供しても,利害関係人は,単独で仮登記の抹消を申請できない。
(4)正しい。(3)参照。

 正解(3)


平成19年[問 16] 不動産登記法

不動産の登記に関する次の記述のうち、不動産登記法の規定によれば、誤っているものはどれか。

(1)表題部所有者であるAから土地を買い受けたBは、Aと共同してBを登記名義人とする所有権の保存の登記の申請をすることができる。
(2)共有物分割禁止の定めに係る権利の変更の登記の申請は、当該権利の共有者であるすべての登記名義人が共同してしなければならない。
(3)権利が法人の解散によって消滅する旨の登記がされている場合において、当該権利がその法人の解散によって消滅したときは、登記権利者は、単独で当該権利に係る権利に関する登記の抹消を申請することができる。
(4)遺贈を登記原因とする所有権の移転の登記は、遺言執行者が指定されているか否かにかかわらず、登記権利者及び登記義務者が共同してしなければならない。

 

平成19年[問 16] 解説

(1)誤り。所有権の保存の登記とは,その不動産についてはじめてする所有権の登記(権利に関する登記)だ。はじめてする登記なので,登記義務者に当たる者(例:売主)が存在しない。したがって本肢のような場合,所有権の保存の登記は,表題部所有者であるAが単独ですることになる。その後で,Aから土地を買い受けたBは,Aと共同してBを登記名義人とする所有権の「移転の登記」の申請をすることができる。
(2)正しい。共有者は,共有物の分割を禁止する特約ができるが,その特約を登記するのが「共有物分割禁止の定めに係る権利の変更の登記」だ。この登記の申請は,利害関係がある者全員を参加させるべきなので,共有者であるすべての登記名義人が共同してしなければならない。
(3)正しい。例えば,ある会社の本社ビルが地上権の上に建っている場合,地主は会社との間で,「会社が消滅したら地上権も消滅する」という特約ができ,このような特約も有効だ。その特約の登記もできる。そして現に会社が消滅すれば,登記権利者(地主)は,単独で,その地上権の登記の抹消を申請できる。これが本肢の場面だ。単独で申請できるのは,登記義務者に当たる会社がもう存在しないからだ。共同申請主義の例外だ。なお本肢とは直接関係しないが,登記権利者が単独でその地上権の登記の抹消を申請するには,その会社の法人登記に解散の登記がされていることを,法人登記簿の謄本等によって証明する必要がある。
(4)正しい。相続を登記原因とする所有権の移転の登記であれば,登記権利者(相続人)が単独で申請できる。登記義務者に当たる被相続人は,すでに現存せず,共同申請主義によることが不可能だからだ。しかし,遺贈を登記原因とする所有権の移転の登記は,遺言執行者が指定されているか否かにかかわらず,登記義務者が存在する。そこで共同申請主義の原則に立ち返り,登記権利者(受遺者=不動産をもらう人)及び登記義務者が共同して申請しなければならない。ちなみに,遺言執行者が指定されている場合の登記義務者には,その遺言執行者がなる。遺言執行者が指定されていない場合の登記義務者には,相続人がなる。

 正解(1)

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