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宅建試験・テーマ別過去問解説集 民法(権利関係)
抵当権
昭和49年[問 7] 抵当権
抵当権に関する一般原則のうち、誤っているものはどれか。
(1)抵当権者は、その被担保債権について債権全額の弁済が行われるまで、当該物権の全体について、その権利を行使することができる。
(2)抵当権は、抵当不動産の他に、その不動産に附加して、これと一体となったものに及ぶ。
(3)抵当権者は、抵当不動産の占有を取得し、その不動産の用法に従った使用をし、収益を得ることができる。
(4)被担保債権の範囲には、債権の元本全額が含まれるが、利息については、満期となった最後の2年分のみに限られるのが原則である。
昭和49年[問 7] 解説
(1)正しい。抵当権者は、その被担保債権について債権全額の弁済が行われるまで、その物権(抵当の目的になった物)の全体について、その権利(抵当権)を行使できる。不可分性だ。
(2)正しい。抵当権は、抵当不動産の他に、その不動産に附加して、これと一体となったもの(附加一体物)に及ぶ。
(3)誤り。抵当権者(例:お金を貸した人)は、抵当不動産の占有を取得しない。抵当不動産を占有しているのは抵当権設定者(例:お金を借りた人)だ。
(4)正しい。抵当権の被担保債権の範囲に、債権の元本全額が含まれるのは当然であるが、利息については、『満期となった最後の2年分のみに限られる』のが原則だ。なお、後順位抵当権者その他の利害関係者がいない場合は、例外的に、満期となった最後の2年分を超える利息も、被担保債権の範囲に含まれる。そもそも、利息について満期となった最後の2年分のみに限られるのは、後順位抵当権者その他の利害関係者を保護するためだからだ。
正解(3)
昭和57年[問 6] 抵当権
抵当権に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
(1)更地に抵当権を設定すると、当該更地の上に建物を建築することはできない。
(2)同一の債権の担保のため、数個の不動産の上に抵当権を設定することができる。
(3)抵当権者の同意がなければ、抵当権の目的物を譲渡することはできない。
(4)更地に抵当権を設定した後で、抵当権設定者が当該更地の上に建物を建てた場合には、抵当権者は土地についてのみ競売することができる。
昭和57年[問 6] 解説
(1)誤り。抵当権を設定しても、抵当目的物を利用するのは自由だ。従って、更地に抵当権を設定した場合、設定者は、その更地の上に建物を建築できる。
(2)正しい。同一の債権の担保のため、数個の不動産の上に抵当権を設定することができる。一個の不動産に抵当権を設定しただけでは担保が足りない場合に行われる。これを共同抵当という。
(3)誤り。抵当権を設定しても抵当目的物を利用するのが自由であるのと同様、抵当権を設定しても抵当目的物を譲渡するのも自由だ。従って、抵当権者の同意がなくても、抵当権の目的物を譲渡できる。
(4)誤り。更地に抵当権を設定した後で、その抵当地の上に建物が建てられたときは、抵当権者は、土地と建物を一括して競売できる。一括競売制度だ。
正解(2)
昭和62年[問 5] 抵当権
抵当権に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、正しいものはどれか。
(1)AがBのためにA所有の更地に抵当権を設定した後、Aが当該更地の上に建物を新築した。この場合、抵当権者Bは土地について競売することができるが、建物については競売できない。
(2)AがBのためにA所有の更地に抵当権を設定した後、Aが当該更地の上に建物を新築した。この場合、土地について競売が実施されると、建物について法定地上権が成立する。
(3)地上権に基づき建物を所有しているときは、建物のほか、地上権に対しても抵当権を設定することができる。
(4)抵当権者の同意がなければ、抵当権の目的物を譲渡できない。
昭和62年[問 5] 解説
(1)誤り。更地に抵当権を設定した後、その更地の上に建物が築造された場合、抵当権者は、抵当に入れられていない土地についても競売できる。いわゆる一括競売である。
(2)誤り。法定地上権が成立するには、抵当権設定当時に、『土地と建物が同一人の所有』に属していることが必要だ。本肢では、抵当権設定当時には更地であり、建物はこの世に存在しなかったのだから、土地と建物が同一人の所有に属している、という要件を満たさない(建物はこの世に存在しなかったのだから、誰の所有にも属していない)。従って、法定地上権は成立しない。
(3)正しい。民法上、不動産の所有権の他、地上権や永小作権も、抵当権の目的になる。従って、地上権に対しても抵当権を設定できる。
(4)誤り。抵当権設定者は、抵当権者の同意がなくても、自由に、抵当権の目的物を譲渡できる。
正解(3)
平成1年[問 7] 抵当権
抵当権に関する次の記述のうち,民法の規定及び判例によれば,誤っているものはどれか。
(1)抵当権は,不動産だけでなく,地上権及び永小作権にも設定することができる。
(2)抵当権の効力は,債務不履行後に生じた抵当不動産の天然果実に及ぶ。
(3)抵当権の効力は,抵当権設定行為に別段の定めがあるとき等を除き,不動産に附合した物だけでなく,抵当権設定当時の抵当不動産の従物にも及ぶ。
(4)土地に抵当権を設定した後,抵当権設定者がその抵当地に建物を築造した場合,抵当権者は,建物を土地とともに競売して,建物の競売代金からも優先弁済を受けることができる。
平成1年[問 7] 解説
(1)正しい。抵当権は、(不動産の)所有権の他、地上権や永小作権にも設定することができる。
(2)正しい。抵当権の効力は、債務不履行後に生じた抵当不動産の果実に及ぶ。天然果実(例:抵当不動産であるみかん山から収穫されたみかん)も法定果実(例:抵当不動産を貸して得た賃料)も、同じ取り扱いだ。
(3)正しい。抵当権の効力は、不動産に附合した物(例:宅地を抵当に入れた場合の庭石)にも及ぶ。また、抵当権の効力は、抵当権設定当時の抵当不動産の従物(例:建物を抵当に入れた場合の畳)にも及ぶ。
(4)誤り。『土地(更地)』に抵当権を設定した後、その抵当地に建物が築造された場合、抵当権者は、建物を土地とともに競売することができる。これを一括競売という。この場合、建物は本来抵当に入っていなかったのだから、抵当権者は、建物の競売代金からは優先弁済を受けることができない。優先弁済を受けることができるのは『土地の競売代金』に限られる。
正解(4)
平成5年[問 9] 抵当権
Aがその所有する建物を担保としてBから金銭を借り入れ、Bの抵当権設定の登記をした後、Cにその建物を期間3年で賃貸する契約をCと締結した。この場合、民法及び借地借家法の規定並びに判例によれば、次の記述のうち正しいものはどれか。
(1)Aは、Cへの賃貸について、あらかじめBの同意を得なければならない。
(2)Cは、賃借権の登記をしているときは、Bに対抗することができるが、その登記をしていないときは、建物の引渡しを受けていれば、Bに対抗することができる。
(3)Bは、その賃貸借により損害を受けるときでも、裁判所に対し、その賃貸借契約の解除を求める訴えを提起することができない。
(4)Cは、Bが抵当権を実行した後でも、AC間の賃貸借を更新することができる。
平成5年[問 9] 解説
(1)誤り。抵当権を設定した物でも自由に(抵当権者の同意なく)賃貸できる。
(2)誤り。以前は、「短期賃貸借の保護」という制度があり、Cは、賃借権の登記または建物の引渡しを受けていれば、期間3年以内の建物賃貸借を抵当権者(B)に対抗できた。
しかし、この制度は平成16年4月1日から廃止された。
したがってCは、Bに対抗できない。
(3)正しい。「短期賃貸借の保護」という制度があった時は、抵当権者(B)を保護するために、損害を受ける抵当権者がAC間の賃貸借契約の解除を求める訴えを裁判所に求めることができた。しかし「短期賃貸借の保護」の廃止に伴い、このような訴えを求める制度も廃止された。
(4)誤り。借家関係の一般論としては、賃借人は賃貸借契約を更新できる(場合によっては法定更新になる)。しかし(2)で述べたように、「短期賃貸借の保護」が廃止されCが建物賃貸借をBに対抗できなくなったのだから、Bが抵当権を実行した後は、その建物はAの物ではなくなる。したがって、「CがAC間の賃貸借を更新する」ということなどできない。
正解(3)
平成10年[問 5] 抵当権
Aは、Bから借金をし、Bの債権を担保するためにA所有の土地及びその上の建物に抵当権を設定した。この場合、民法の規定及び判例によれば、次の記述のうち誤っているものはどれか。
(1)Bの抵当権の実行により、Cが建物、Dが土地を競落した場合、Dは、Cに対して土地の明渡しを請求することはできない。
(2)Aは、抵当権設定の登記をした後も建物をEに賃貸することができるが、Bに損害を及ぼすことなく期間3年以内の賃貸借でその登記があるときでも、Eは、建物の競落人に対して賃借権を対抗しえない。
(3)Bは、第三者Fから借金をした場合、Aに対する抵当権をもって、さらにFの債権のための担保とすることができる。
(4)Aから抵当権付きの土地及び建物を買い取ったGは、Bの抵当権の実行に対しては、自ら競落する以外にそれらの所有権を保持する方法はない。
平成10年[問 5] 解説
(1)正しい。抵当権設定時に土地と建物が同一人(A)の所有であり、抵当権実行時に土地と建物が別人(CとD)の所有になった場合は、建物のために法定地上権が成立するが、本肢はこの要件を満たすので、Cは、建物について法定地上権を有している。Cが建物について法定地上権を有している以上、Dは、Cに対して土地の明渡しを請求することなどできない。
(2)正しい。抵当権設定者(A)は、抵当権設定の登記をしても建物を第三者(E)に賃貸できる。この場合、以前は、「短期賃貸借の保護」という制度があり、Eは期間3年以内の建物賃貸借を競落人に対抗できた。しかし、この制度は平成16年4月1日から廃止されたので,Eは競落人に対抗できない。
(3)正しい。抵当権者は、その抵当権をもって、自己の債務の担保とすることができる。これを転抵当という。従って、Bは第三者Fから借金をした場合、Aに対する抵当権をもって、さらにFの債権のための担保とすることができる。
(4)誤り。Aから抵当権付きの土地及び建物を買い取ったGは、利害関係のある第三者である。利害関係のある第三者は、債務者Aの意思に反しても債権者Bに弁済し、債権者の抵当権を消滅させることができる。従って、Gは、Bの抵当権の実行に対して、自ら競落する以外にも、抵当権消滅請求や代価弁済をすれば、土地及び建物の所有権を保持することができる。
正解(4)
平成11年[問 4] 抵当権
Aは,Bからの借入金で建物を建築し,その借入金の担保として当該建物に第一順位の抵当権を設定し,その登記を行った。この登記の後,Aが,Cとの間で本件建物の賃貸借契約を締結した場合,民法の規定及び判例によれば,次の記述のうち,正しいものはどれか。
(1)AがCに対して賃貸借契約に基づき賃料債権を有している場合,Bは,建物に対する抵当権に基づく差押えの前であっても,当該賃料債権を抵当権に基づき差し押えることができる。
(2)AC間の賃貸借契約の契約期間が2年であった場合,Bが抵当権を実行しても,契約締結時から3年を経過した時点で,その賃貸借契約は終了する。
(3)AC間の賃貸借契約の契約期間が4年であった場合でも,契約締結時から3年間は,Cは,Bに対して賃借権を対抗することができる。
(4)AC間で契約期間を3年とする賃貸借契約を締結したため,建物の担保価値が下落し,Bの被担保債権全額の弁済を受けられなくなった場合でも,Bは,契約締結時から3年間は,Cの賃借権を認めるほかはない。
平成11年[問 4] 解説

(1)正しい。抵当権には物上代位性がある。つまり、抵当に入れられた物(建物)から生まれた物(家賃)にも、抵当権の力が及ぶ。だから、抵当権者Bは、建物自体の抵当権を実行する前でも,抵当権を理由に,家賃を差し押えることができる。
(2)誤り。以前は、「短期賃貸借の保護」という制度があり、Cは、期間3年以内の建物賃貸借を抵当権者(B)に対抗できた。しかし、この制度は平成16年4月1日から廃止された。したがって、Bが抵当権を実行すれば、3年経過するまでもなくAC間の賃貸借契約は終了する。
(3)誤り。「短期賃貸借の保護」が廃止されたので、建物賃貸借の期間が何年であっても、CはBに賃借権を対抗できない。
(4)誤り。「短期賃貸借の保護」が廃止され、CはBに賃借権を対抗できないので、BはCの賃借権を認める必要はない。建物の担保価値が下落しようがしまいが、同じだ。
正解(1)
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