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宅建試験・テーマ別過去問解説集 民法(権利関係)

  共有

昭和63年[問 7] 共有

共有に関する次の記述のうち、民法の規定によれば、正しいものはどれか。

(1)各共有者は、他の共有者の同意を得なければ、自己の持分を処分することができない。
(2)各共有者は、他の共有者の同意を得ないで、共有物に関する保存行為をすることができる。
(3)共有物の分割の請求は、原則としていつでもすることができるが、3年を超えない範囲内に限り、その分割をしない契約をすることができる。
(4)共有者の一人が持分を放棄したときは、その持分は、放棄した人の相続人のものとなる。

 

昭和63年[問 7] 解説

(1)誤り。各共有者は、他の共有者の同意を得なくても、自己の持分を自由に処分できる。自己の持分は、単独所有権に他ならないからだ。
(2)正しい。各共有者は、他の共有者の同意を得なくても、単独で、共有物に関する保存行為(例:共有物の不法占拠者に対する明渡請求)ができる。
(3)誤り。共有物の分割(共有関係の解消)請求は、いつでも、できるのが原則だ。ただし、『5年を超えない』範囲内に限り、分割をしない契約(特約)ができる。
(4)誤り。共有者の一人が持分を放棄したときは、その持分は、『他の共有者』に帰属する。放棄した人の「相続人」に帰属するのではない。

 正解(2)


平成6年[問 3] 共有

A・B・Cが別荘を持分均一で共有し、特約がない場合に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、誤っているものはどれか。

(1)管理費は、A・B・Cがその利用の程度に応じて負担しなければならない。
(2)別荘の改築は、A・B・C全員の合意で行うことを要し、Aが単独で行うことはできない。
(3)Aは、不法占拠者Dに対して単独で明渡請求を行うことができるが、損害賠償の請求については、持分の割合を超えて請求することはできない。
(4)分割の請求については、Aは、いつでもすることができ、B・Cとの協議がととのわないときは、裁判所に請求することができる。

 

平成6年[問 3] 解説

(1)誤り。共有者は、共有物の管理費を分担(負担)しなければならない。分担の割合は『持分に応じる』。持分(株式会社の株のようなもの)というのは、その共有物を支配している(つまり出資している)割合である。管理費は、たくさん支配(出資)している者がうんと分担しろ、という趣旨である。こういう考えを資本主義的民主主義という。わが民法は資本主義を前提にしているからである。各共有者の利用の程度に応じて負担するわけではない。なお、本問は持分が均一なので、管理費はA・B・Cが均一に負担することになる。
(2)正しい。共有物の『性質の変更には全員の合意』が必要である。別荘の改築は、共有物の性質を変更する行為に当たる。したがって、A・B・C全員の合意で行うことを要し、Aが単独で行うことはできない。
(3)正しい。共有物の『保存は単独』でできる。不法占拠者に対する明渡請求は、共有物を保存する行為に当たる。しかし、明渡請求に基づいて実際に損害賠償を請求するには、持分に従ってしなければならない。だから、持分の割合を超えて請求することはできない。
(4)正しい。共有者はいつでも共有物の分割(共有関係の解消)を請求できる。でも、分割について協議が調わない以上、裁判所に請求できる。

 正解(1)


平成9年[問 2] 共有

A及びBは、共有名義で宅地を購入し、共有持分の割合を、Aが 1/3、Bが 2/3と定めたが、持分割合以外には特約をしなかった。この場合、民法の規定によれば、次の記述のうち誤っているものはどれか。

(1)Bは、Aの同意を得なければ、自己の持分を他に譲渡することはできない。
(2)Bが自己の持分を放棄したときは、Aが単独所有者となる。
(3)Bは、その宅地の全部について、 2/3の割合で使用する権利を有する。
(4)Bだけでなく、Aもその宅地の分割請求ができる。

 

平成9年[問 2] 解説

(1)誤り。共有者は、他の共有者の同意がなくても、自己の持分を処分(譲渡)できる。
(2)正しい。共有者の1人(B)が持分を放棄した場合は、その持分( 2/3)は他の共有者(A)に帰属する。従って、本肢の場合、Aが 100%の持分を取得することになるから、Aが単独所有者となる。 
(3)正しい。共有者は、共有物の全部について、その持分に応じた使用・収益ができる。従って、Bは、その宅地の全部について、 2/3の割合で使用する権利を有する。
(4)正しい。共有者は、いつでも共有物の分割を請求できる。従って、Bはもちろん、持分が 1/3しかないAも、その宅地の分割請求ができる。

 正解(1)


平成13年[問 1] 共有

A・B・Cが,持分を6・2・2の割合とする建物の共有をしている場合に関する次の記述のうち,民法の規定及び判例によれば,正しいものはどれか。

(1)Aが,B・Cに無断で,この建物を自己の所有としてDに売却した場合は,その売買契約は有効であるが,B・Cの持分については,他人の権利の売買となる。
(2)Bが,その持分に基づいて単独でこの建物全部を使用している場合は,A・Cは,Bに対して,理由を明らかにすることなく当然に,その明渡しを求めることができる。
(3)この建物をEが不法占有している場合には,B・Cは単独でEに明渡しを求めることはできないが,Aなら明渡しを求めることができる。
(4)裁判による共有物の分割では,Aに建物を取得させ,AからB・Cに対して適正価格で賠償させる方法によることは許されない。

 

平成13年[問 1] 解説

(1)正しい。共有者には,その共有物をどのくらい支配しているか,という割合がある。この割合を持分(もちぶん)という。本問では,A・B・Cが,6:2:2の割合で持分を持っているが,各人の持分は,権利の性質で言えば所有権だ。
ところで,民法は当事者の自由意思を尊重する法律なので,他人の物(所有権)を売ることは自由だ。したがって,Aが,B・Cに無断で,この建物全部を自分の所有としてDに売っても,その売買契約は有効だ。つまり,Aが,B・Cに無断で,B・Cの持分についてまでDに売ってしまったとしても,その売買契約は有効だ。この場合の取り扱いは「他人(B・C)の権利(所有権)の売買」となる。なお,B及びCが「イヤだ!」と言った場合,建物全体はDの物にはならない。この場合は「一部が他人の物を売ったのでその一部を買主(D)に移転できないとき」に当たり,売主の担保責任の問題(善意の買主は代金減額と契約解除を請求できる。悪意の買主は代金減額だけを請求できる)に発展して行く。
(2)誤り。共有者は,共有物の「全部について」,その持分に応じた利用(使用・収益)ができる。だから本問のBは,その建物の「全部について」,20%の割合で利用できる。分かりやすく言えば,1年の20%の日,Bは,その建物の「全部について」利用できるということだ。Bにこのような権利がある以上,他の共有者(A・C)は,理由も明らかにしないでBに明渡しを求めることなど出来ない。「1年の20%の日を超えてBが利用している」というように,理由を示して明渡し請求するのなら別だが…。
(3)誤り。共有物の「保存」は,各共有者が「単独」で出来る。持分の割合が過半数に達していない共有者(B・C)でも単独でできる。他の共有者にとっても利益になるからだ。なお,ここで共有物の保存とは,共有物の現状を維持する行為を指し,この建物をEが不法に占有(支配)している場合のEに対する明渡しは,まさに共有物の保存に当たる。したがって,A・B・Cともに,Eに対する明渡し請求(実際にはEを被告として裁判を起こすこと)を単独で出来る。
(4)誤り。共有物の分割とは,共有関係を解消させることだが,建物の場合は,現物を物理的に分割することは困難であり,分割できたとしても著しく価格が低下するおそれがある。そこで建物の分割に際して,各共有者の協議が調わないときは,裁判所は,その共有物の競売を命じ,誰か一人(A)に建物全部を取得させ,他の者(B・C)に適正価格を賠償させる,という方法による分割も出来ることになっている。

 正解(1)


平成15年[問 4] 共有

A,B及びCが,建物を共有している場合(持分を各3分の1とする。)に関する次の記述のうち,民法の規定によれば,誤っているものはどれか。

(1)Aは,BとCの同意を得なければ,この建物に関するAの共有持分権を売却することはできない。
(2)Aは,BとCの同意を得なければ,この建物に物理的損傷及び改変などの変更を加えることはできない。
(3)Aが,その共有持分を放棄した場合,この建物は,BとCの共有となり,共有持分は各2分の1となる。
(4)各共有者はいつでも共有物の分割を請求できるのが原則であるが,5年を超えない期間内であれば分割をしない旨の契約をすることができる。

 

平成15年[問 4] 解説

(1)誤り。共有者は,他の共有物の同意がなくても,自己の持分を処分(譲渡)できる。したがって,Aは,BとCの同意を得なくても,この建物に関するAの共有持分権を売却できる。
(2)正しい。共有物の「処分」は,共有者の全員で合意する必要がある。処分とは,共有物の現状や性質を変える行為だ。共有建物に物理的損傷及び改変などの変更を加えることは,まさに処分に当たる。したがって(2)は正しい。
(3)正しい。共有者の一人が持分を放棄した場合,その持分は「他の共有者に帰属する」。したがって,Aが共有持分を放棄した場合,Aの持分はBとCに帰属し,結果,この建物はBとCの共有となる。そして,BとCが持分を定める等の特別の事情のない限り,BとCの持分は「相等しいもの」と推定される。だから,Aが共有持分を放棄した後の共有持分は,BとCで2分の1ずつとなる。
(4)正しい。各共有者は,いつでも共有物の分割を請求できるのが原則だ。民法上の共有は,「一時的な」関係を規律する狙いがあり,共有関係はいつでも解消するのが望ましいからだ。ただし,各共有者は,共有物の分割を禁止する特約ができる。もっとも,分割禁止の特約は,5年を超えない期間内でしかできない。長すぎる分割禁止特約は,「一時的な」関係を規律する民法の狙いに反するからだ。

 正解(1)

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