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宅建試験・テーマ別過去問解説集 民法(権利関係)
相隣関係
昭和62年[問 9] 相隣関係
次の記述のうち、民法の規定によれば、誤っているものはどれか。
(1)隣地の柿の木の枝が境界線を越えて自己の所有地に入ってきた場合は、その柿の木の所有者にその枝を切らせることができる。
(2)土地の分割により、新たに公道に通じない土地を生じた場合、当該土地の所有者は、公道に出るため、他の分割者の所有地を通行することができるが、この場合には償金を支払わなければならない。
(3)土地の所有者は、隣地との境界付近において建物を築造する場合には、必要な範囲内で当該隣地の使用を請求することができる。
(4)他の土地に囲まれて公道に通じない土地の所有者は、公道に至るためその土地を囲んでいる他の土地を通行する権利があるが、通行の場所及び方法は、他の土地のために損害が最も少ないものを選ばなければならない。
昭和62年[問 9] 解説
(1)正しい。隣地の竹木の『枝』が境界線を越えて自分の所有地に入ってきた場合は、その竹木の『所有者にその枝を切らせる』ことができる。なお、隣地の竹木の「根」が境界線を越えて自分の所有地に伸びてきた場合は、「自分でその根を切る」ことができる。
(2)誤り。土地の分割により、新たに公道に通じない土地を生じた場合、その土地の所有者は、公道に出るため、他の分割者の所有地を通行できる。しかしこの場合、償金(賠償金)を支払う必要はなく無償で通行できる。他の分割者にも責任がある(公道に通じない土地を生じるような分割をした)からだ。
(3)正しい。土地の所有者は、隣地との境界付近において建物を築造する場合には、必要な範囲内でその隣地の使用を請求できる。これを隣地使用権という。
(4)正しい。他の土地に囲まれて公道に通じない土地の所有者は、公道に至るためその土地を囲んでいる土地を通行する権利がある。この場合、通行の場所・方法は、他の土地のために損害が最も少ないものを選ばなければならない。
正解(2)
平成11年[問 2] 相隣関係
土地の相隣関係に関する次の記述のうち,民法の規定によれば,正しいものはどれか。ただし,民法の規定と異なる慣習については考慮しないものとする。
(1)土地の所有者は,隣地との境界近くで建物を築造し,又は修繕する場合でも,隣人自身の承諾を得たときを除き,隣地に立ち入ることはできない。
(2)土地の所有者は隣地の所有者と共同の費用で界標(境界を標示する物)を設置することができるが,その設置工事の費用は,両地の広さに応じて分担しなければならない。
(3)隣地の竹木の根が境界線を越えて侵入している場合は,これを竹木の所有者に切り取るように請求することができるが,自分で切り取ることはできない。
(4)他人の宅地を見通すことのできる窓又は縁側(ベランダを含む)を境界線から1m未満の距離に設ける場合は,目隠しを付けなければならない。
平成11年[問 2] 解説
相隣関係というのは、隣どうしの関係のことだが、要するに、よほど我慢できないことを除いて,隣どうしは譲り合いの精神で仲良くしろ、という民法の決まりだ。
(1)誤り。建物を建てたりするときは、隣りの土地を使う必要がある場合が多い。そんな場合に隣人がイヤだということを許すと、譲り合いの精神に反する。そこで、隣人の承諾がなくても隣りの土地を使えることになってる。
(2)誤り。プライバシーという点から、隣りとの境に塀を設置できるが、費用は、土地の広さに応じて分担するのではない。境界線、つまり塀の長さは土地の広さに関係なく同じだからだ。費用は、隣同士で平等に負担する。
(3)誤り。隣りの竹や木の根っこが境界線を越えて侵入している場合は,自分で切り取れる。民法は根っこの侵入は、よほど我慢できないことと考え,自分で切り取れると決めた。現代人の常識に反する結論だが、民法ができた明治時代の常識には合っていた。昔は農業社会だったから、隣りの根っこの侵入イコール自分の土地の肥料を奪い取る、と考えられた。自分がまいた肥料を吸いながら隣りの根っこが育つのでは農業が成り立たない。だから緊急性を要するので自分で切り取れるとなった。なお、隣りの竹や木の「枝」が境界線を越えて侵入している場合は,自分で切り取れないことと区別しておこう。「枝」が境界線を越えても、せいぜい日当たりが悪くなるくらいで、それは我慢できる範囲だから,隣人に切り取るよう請求できるだけとなる。
(4)正しい。プライバシーという点から、隣りをのぞけないようにするのが仲良くするコツというわけだ。目隠しの費用は、窓や縁側を設ける人が負担する。1m未満という数字が現在の社会に合うかどうかは学者の間でも議論があるところだが、法律が存在する以上、覚えるしかない。
正解(4)
平成13年[問 3] 相隣関係
A所有の甲地は他の土地に囲まれて公道に通じない土地で,Aが所有していない回りの土地(囲繞地)を通る通路を開設しなければ公道に出ることができない。この場合,民法の規定及び判例によれば,次の記述のうち正しいものはどれか。
(1)Aは,回りの土地の所有者に代償を支払えば,自己の意思のみによって通行の場所及び方法を定め,回りの土地に通路を開設することができる。
(2)Bが,Aから甲地を譲り受けた場合には,Bは,所有権移転の登記を完了しないと,回りの土地に通路を開設することができない。
(3)甲地が,A及びCの共有地の分割によって公道に通じない土地となったときには,Aは,Cが所有する分割後の残余地にしか通路を開設することができない。
(4)甲地が,D所有の土地を分筆してAに売却した結果,公道に通じない土地になった場合で,Dが,甲地の譲渡後,その残余地である乙地をEに売却したときには,Aは乙地に通路を開設することができない。
平成13年[問 3] 解説
本問は,民法が定める相隣関係(隣接する不動産の利用を調節するために,双方の所有者や利用者が,各自の権利を一定の範囲で制限して協力する関係)の中の,「公道に至るための他の土地の通行権」についての出題だ。
(1)誤り。「公道に至るための他の土地の通行権」とは,他の土地に囲まれて公道に出られない土地の所有者が,公道に出るため,その土地を囲んでいる回りの土地を,その所有者の承諾なく,通行できる権利だ。

他の土地に囲まれて公道に出られない土地の所有者(A)が回りの土地を通行する場合,回りの土地の所有者が損害を受けたときは,償金(賠償金)を支払う必要がある。たとえ償金を支払ったとしても,公道に出られない土地の所有者は,自分の意思だけで通行の場所や方法を定めることはできず,回りの土地のため損害が最も少ない場所・方法によらなければならない。
(2)誤り。公道に出られない土地の所有者は,その土地について所有権移転登記を完了していなくても,回りの土地に通路を開設できる。この通行権は契約によらないで民法が当然に認めた権利だからだ。したがって,Bが,Aから甲地を買って所有者になった場合,Bは,所有権移転登記を完了しないでも,回りの土地に通路を作れる。
(3)正しい。上の図で,甲地が,元々囲繞地X(所有者C)との共有の土地だった場合が(3)で言っていることだ。この場合は,AとCが変な分け方をしたので甲地が袋のネズミ状態になったのだから,囲繞地(Y)には責任がない。そこでAは,「昔一緒だった土地」(囲繞地X)にしか通路を作れないことになっている。
(4)誤り。上の図で,甲地が,元々囲繞地X及び囲繞地Y(共に所有者D)と一緒の土地だった場合が,(4)で言っていることだ。この場合も,AとDが変な分け方をしたので甲地が袋のネズミ状態になったのだから,Aは,「昔一緒だった土地」(囲繞地XとY)に通路を作れることになっている。囲繞地Y(乙地)が後に第三者(E)に譲渡されても,同じだ。
正解(3)
平成16年 [問 7] 相隣関係
次の記述のうち,民法の規定によれば,誤っているものはどれか。
(1)土地の所有者は,隣地から雨水が自然に流れてくることを阻止するような工作物を設置することはできない。
(2)土地の所有者は,隣地の所有者と共同の費用をもって,境界標を設置することができる。
(3)土地の所有者は,隣地から木の枝が境界線を越えて伸びてきたときは,自らこれを切除できる。
(4)土地の所有者は,隣地から木の根が境界線を越えて伸びてきたときは,自らこれを切除できる。
平成16年 [問 7] 解説
(1)正しい。土地の所有者は,雨水に限らず,また工作物を設置するかどうかに限らず,「隣地から水が自然に流れて来るのを妨げてはならない」。隣地が水びたしになっちゃうからだ。
(2)正しい。その通り。隣地との境に境界標(境界を表示すべき物)を設置できる,ということだ。なお,費用は隣同士で平等に負担する。
(3)誤り。隣りの竹や木の「枝」が境界線を越えて侵入している場合は,自分で切り取れない。「枝」が境界線を越えても、せいぜい日当たりが悪くなるくらいで、それは我慢できる範囲だから,隣人に切り取るよう請求できるだけとなる。
(4)正しい。隣りの竹や木の「根」が境界線を越えて侵入している場合は,自分で切り取れる。民法は根っこの侵入は、よほど我慢できないことと考え,自分で切り取れると決めた。現代人の常識に反する結論だが、民法ができた明治時代の常識には合っていた。昔は農業社会だったから、隣りの根っこの侵入イコール自分の土地の肥料を奪い取る、と考えられた。自分がまいた肥料を吸いながら隣りの根っこが育つのでは農業が成り立たない。だから緊急性を要するので自分で切り取れるとなった。
正解(3)
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