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宅建試験・テーマ別過去問解説集 民法(権利関係)
時効
昭和63年[問 3] 時効
時効に関する次の記述のうち、民法の規定によれば、正しいものはどれか。
(1)時効により取得することのできる権利は、所有権のみである。
(2)時効が完成したときは、その効力は、起算日にさかのぼる。
(3)時効は、当事者の請求によってのみ中断する。
(4)確定判決で確定した権利は、時効で消滅することはない。
昭和63年[問 3] 解説
(1)誤り。時効により取得することのできる権利は、所有権だけとは限らない。地上権や地役権等も時効で取得できる。
(2)正しい。時効が完成したときは、その効力は、起算日にさかのぼる。つまり、時効が完成したときの効力は、所有権の取得時効で言えば他人の物の占有を開始した日に遡り、消滅時効で言えば権利の行使を怠った最初の日にさかのぼる。
(3)誤り。時効は当事者の請求の他に、承認によっても中断する。
(4)誤り。確定判決で確定した権利でも、時効で消滅する。つまり、確定判決で確定した権利は、短期消滅時効にかかる権利でも(通常の10年で消滅時効にかかる権利はもちろん)、以後10年間権利の行使を怠ると時効が完成するので、時効で消滅する、と言える。
正解(2)
平成4年[問 4] 時効
AがBの所有地を長期間占有している場合の時効取得に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、誤っているものはどれか。
(1)Aが善意無過失で占有を開始し、所有の意思をもって、平穏かつ公然に7年間占有を続けた後、Cに3年間賃貸した場合、Aは、その土地の所有権を時効取得することはできない。
(2)Aが善意無過失で占有を開始し、所有の意思をもって、平穏かつ公然に7年間占有を続けた後、その土地がB所有のものであることを知った場合、Aは、その後3年間占有を続ければ、その土地の所有権を時効取得することができる。
(3)Aが善意無過失で占有を開始し、所有の意思をもって、平穏かつ公然に7年間占有を続けた後、BがDにその土地を売却し、所有権移転登記を完了しても、Aは、その後3年間占有を続ければ、その土地の所有権を時効取得し、Dに対抗することができる。
(4)Aが20年間平穏かつ公然に占有を続けた場合においても、その占有が賃借権に基づくもので所有の意思がないときは、Bが賃料を請求せず、Aが支払っていないとしても、Aは、その土地の所有権を時効取得することができない。
平成4年[問 4] 解説
(1)誤り。ポイントは、時効取得に必要な占有は、必ずしもAが自分で直接占有している必要はなく、『間接占有』(Cに賃貸していることによる占有)でもよい、という点にある。その点がわかれば、Aは占有の開始の時に善意無過失で、合計10年間占有しているから、その土地の所有権を時効取得できる可能性があることがわかる。
(2)正しい。占有の『開始の時に』さえ善意無過失であれば、後日悪意になった(その土地がB所有であることを知った)としても、10年の占有継続で取得時効が完成するから、Aは、その土地の所有権を時効取得できる可能性がある。
(3)正しい。Aは占有の開始の時に善意無過失で、合計10年間占有しているから、その土地の所有権を時効取得できる可能性がある。他方DもBからその土地を買っている。AとDを対抗問題(先に登記をした者が勝ちという問題)ととらえると、登記はDにあるから、Aは、Dに対抗できず、その土地の所有権を時効取得できないことになる。しかし判例は、AとDを対抗問題ととらえず、時効取得すべき者(A)には登記が不要とした。したがって、Aは、その土地の所有権を時効取得し、Dに対抗できる可能性がある。
(4)正しい。所有権の時効取得に必要な占有は、『所有の意思』がなければならないから、Aは、その土地の所有権を時効取得することができない。
正解(1)
平成9年[問 4] 時効
AがBに対して有する100万円の貸金債権の消滅時効に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、正しいものはどれか。
(1)Aが弁済期を定めないで貸し付けた場合、Aの債権は、いつまでも時効によって消滅することはない。
(2)AB間に裁判上の和解が成立し、Bが1年後に100万円を支払うことになった場合、Aの債権の消滅時効期間は、和解成立の時から10年となる。
(3)Cが自己所有の不動産にAの債権の担保として抵当権を設定(物上保証)している場合、Cは、Aの債権の消滅時効を援用してAに抵当権の抹消を求めることができる。
(4)AがBの不動産に抵当権を有している場合に、Dがこの不動産に対して強制執行の手続を行ったときは、Aがその手続に債権の届出をしただけで、Aの債権の時効は中断する。
平成9年[問 4] 解説
(1)誤り。金銭債権(貸金債権)の消滅時効期間は10年だ。そして、期限の定めがない場合(弁済期を定めないで貸し付けた場合)、その債権が成立した時(お金を貸した時)から、消滅時効が進行する。従って、本肢の場合、お金を貸した時から数えて10年で、時効にかかる。
(2)誤り。本肢では、和解のためにする呼出しの時点で、一度、消滅時効が中断している(『和解のためにする呼出し』は消滅時効の中断事由だ)。一度、消滅時効の中断があった場合、中断事由が終了した時から、さらに消滅時効が進行する。本肢で中断事由が終了するのは、Bが100万円を支払うこととなった『1年後』だ。従って、以後のAの債権の消滅時効期間は、「和解成立の時から10年」ではなく、Bが100万円を支払うこととなった『1年後』から10年だ。
(3)正しい。抵当権設定者等の物上保証人(C)は、債権者(A)の債権の消滅時効を援用できる(判例)。保証の所を勉強すると、『保証人は、主たる債務者の債権の消滅時効を援用できる』という有名な知識があるが、他人の借金を肩代わりする点で物上保証人は保証人と変わりないので、判例が上記のような結論を認めたのだ。
(4)誤り。消滅時効の中断事由の1ツに請求があるが、ここに請求とは、債権者であるAが、債務者であるBに、100万円の貸金の返還を請求することだ。第三者Dが強制執行の手続きを行ったときに、Aがその手続きに付随してその債権(貸金)を届け出ても、消滅時効の中断事由である請求には当たらない。従って、本肢ではAの債権の時効は中断しない。
正解(3)
平成10年[問 2] 時効
所有の意思をもって、平穏かつ公然にA所有の甲土地を占有しているBの取得時効に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、正しいものはどれか。
(1)Bの父が15年間所有の意思をもって平穏かつ公然に甲土地を占有し、Bが相続によりその占有を承継した場合でも、B自身がその後5年問占有しただけでは、Bは、時効によって甲土地の所有権を取得することができない。
(2)Bが2年間自己占有し、引き続き18年間Cに賃貸していた場合には、Bに所有の意思があっても、Bは、時効によって甲土地の所有権を取得することができない。
(3)DがBの取得時効完成前にAから甲土地を買い受けた場合には、Dの登記がBの取得時効完成の前であると後であるとを問わず、Bは、登記がなくても、時効による甲土地の所有権の取得をDに対抗することができる。
(4)取得時効による所有権の取得は、原始取得であるが、甲土地が農地である場合には、Bは、農地法に基づく許可を受けたときに限り、時効によって甲土地の所有権を取得することができる。
平成10年[問 2] 解説
(1)誤り。占有を承継した場合、前主(Bの父)の占有期間(15年間)を算入できる。従って、Bは20年間占有したことになる。所有の意思をもって平穏かつ公然に20年間占有すれば(悪意で占有したとしても)、時効によって土地の所有権を取得できる。
(2)誤り。ポイントは、時効取得に必要な占有は、必ずしもBが自分で直接占有している必要はなく、『間接占有』(Cに賃貸していることによる占有)でもよい、という点にある。その点がわかれば、Bは合計20年間占有しているから、時効によって土地の所有権を取得できることがわかる。
(3)正しい。BとDを対抗問題(先に登記をした者が勝ちという問題)ととらえると、登記はDにあるから、Bは、Dに対抗できず、その土地の所有権を時効取得できないことになる。しかし判例は、BとDを対抗問題ととらえず、時効取得すべき者(B)には登記が不要とした。従って、Bは、Dの登記の時期を問わず、その土地の所有権の時効取得をDに対抗できる。
(4)誤り。農地法の許可(3条許可)は、農地の権利移動(売買等の契約に基づく耕作権の移動)に際して必要となるものである。時効取得は権利移動ではない。時効取得は原始取得だ(その限りでは本肢は正しい)。従って、Bは農地法の許可を受けなくても、時効によって甲土地の所有権を取得することができる。
正解(3)
平成16年 [問 5] 時効
A所有の土地の占有者がAからB,BからCと移った場合のCの取得時効に関する次の記述のうち,民法の規定及び判例によれば,正しいものはどれか。
(1)Bが平穏・公然・善意・無過失に所有の意思をもって8年間占有し,CがBから土地の譲渡を受けて2年間占有した場合,当該土地の真の所有者はBではなかったとCが知っていたとしても,Cは10年の取得時効を主張できる。
(2)Bが所有の意思をもって5年間占有し,CがBから土地の譲渡を受けて平穏・公然に5年間占有した場合,Cが占有の開始時に善意・無過失であれば,Bの占有に瑕疵(かし)があるかどうかにかかわらず,Cは10年の取得時効を主張できる。
(3)Aから土地を借りていたBが死亡し,借地であることを知らない相続人Cがその土地を相続により取得したと考えて利用していたとしても,CはBの借地人の地位を相続するだけなので,土地の所有権を時効で取得することはない。
(4)Cが期間を定めずBから土地を借りて利用していた場合,Cの占有が20年を超えれば,Cは20年の取得時効を主張することができる。
平成16年 [問 5] 解説
(1)正しい。所有権の取得時効が成立するための占有期間は,「占有開始の時」に善意・無過失の場合は10年,それ以外は20年だ。ところで占有を承継したCは,前主(B)の占有期間(8年間)を算入できる。また,前主の善意・無過失も受け継げる。したがってCは,自分自身は悪意だが(土地の真の所有者はBではなかったと知っていた)が,善意・無過失で10年間占有したことに取扱われるので,10年の取得時効を主張できる。
(2)誤り。占有を承継したCは,前主(B)の占有期間(5年間)を算入できるので,Cの占有期間は10年だ。しかしCは,前主の悪意(瑕疵)も受け継ぐ。したがってCは,自分自身は善意・無過失だが,悪意で10年間占有したことに取扱われるので,10年の取得時効を主張できない。
(3)誤り。所有権の時効取得に必要な占有は,「所有の意思」がなければならない。所有の意思とは,自分のものにするつもりのことだ。だから,占有を承継したCが前主(B)の占有期間を算入するのであれば,Bが借りているに過ぎないこの土地について,Cが所有権を時効取得することもない。しかし,CはBの占有期間を算入せず,Cだけの占有を主張することもできる。その場合,Cには「所有の意思」があると判断されることが多いだろう。Cは借地であることを知らないで相続しており,自分のものにするつもりが推定されるからだ。「所有の意思」があると判断されれば,Cがこの土地を時効取得する可能性がある。
(4)誤り。(4)では,Cが借りていることを知っているので,「所有の意思」がないから,たとえ100年占有していたって取得時効を主張できない。
正解(1)
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