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宅建試験・テーマ別過去問解説集 民法(権利関係)
相続
昭和54年[問 6] 相続
相続に関する次の記述のうち誤りはどれか。
(1)胎児は、受遺者となることができる。
(2)被保佐人は、保佐人の同意を得ずに遺言することができる。
(3)遺贈の承認および放棄を自由に撤回することはできない。
(4)相続人は、自己のために相続の開始があったときから3ヶ月以内に、単純若しくは限定の承認又は放棄をしなければならない。
昭和54年[問 6] 解説
(1)正しい。胎児でも受遺者(遺贈の受取人)となることができる。
(2)正しい。被保佐人でも、遺言は、保佐人の同意を得ずにできる。
(3)正しい。一度、遺贈の承認および放棄をしたときは、それらを撤回することはできない。
(4)誤り。相続人は、自己のために相続の開始があったことを『知った時から』3ヶ月以内に、限定承認か放棄のどちらかをする義務がある。この3ヶ月は、『相続の開始があったとき』からではなく、相続の開始があったことを『知った時から』数える。なお、相続人には単純承認する義務はないが、相続の開始があったことを知った時から3ヶ月以内に、限定承認か放棄のどちらかをしないと、単純承認したものとみなされることになっている。
正解(4)
平成2年[問 11] 相続
Aが死亡し、相続人として、妻Bと嫡出子C・D・Eがいる。この場合、民法の規定によれば、次の記述のうち誤っているものはどれか。
(1)Cが相続を放棄した場合、DとEの相続分は増えるが、Bの相続分については変わらない。
(2)Aが遺産をCに遺贈していた場合、その遺贈は、B、D及びEの遺留分を侵害した部分について、効力を生じない。
(3)Eの遺留分は、被相続人Aの財産の12の1の額である。
(4)Aの生前Dが遺留分の放棄について家庭裁判所の許可を受けていた場合においても、Dは、相続人となることができる。
平成2年[問 11] 解説
(1)正しい。妻の法定相続分は 1/2なので、Bの法定相続分は 1/2である。また、子の法定相続分は 1/2なので、C・D・Eの法定相続分は C・D・E全員で 1/2である(一人1/6 である)。ところで、子の一人Cが相続を放棄した場合、Cの分は、他の子D・Eに振り分けられる。だから、DとEの相続分は一人1/6 から1/4 に増える。でも、子の一人が相続を放棄しても妻Bの相続分は 1/2のままであり変わらない。従って、本肢は正しい。
(2)誤り。遺留分を侵害した遺贈も『有効』である。効力を生じない(無効である)のではない。遺留分を侵害された相続人(B・D・E)は、遺留分減殺請求権を行使できるだけである(行使しなくてもよい)。
(3)正しい。子が相続人となっている場合、遺留分は法定相続分の半分である。Eの法定相続分は 1/6なので、Eの遺留分はその半分の1/12になる。
(4)正しい。遺留分を放棄しても、相続を放棄したのと違って、相続人でなくなるわけではない。
正解(2)
平成4年[問 13] 相続
遺言に関する次の記述のうち、民法の規定によれば、誤っているものはどれか。
(1)遺言は、15歳に達すればすることができ、法定代理人の同意は必要でない。
(2)遺産の全部を相続人の一人に贈与する旨の遺言があっても、被相続人の兄弟姉妹は、遺留分の保全に必要な限度で、遺贈の減殺を請求することができる。
(3)遺産の全部を相続人の一人に贈与する旨の遺言があっても、遺言者が死亡する前に受遺者が死亡したときは、その遺贈は効力を生じない。
(4)遺言者が遺贈をしても、受遺者が遺贈の放棄をしたときは、遺言に別段の意思表示がない限り、受遺者が受けるべきであったものは、相続人に帰属する。
平成4年[問 13] 解説
(1)正しい。『15歳』になれば、法定代理人の同意を得なくても、遺言できる。
(2)誤り。兄弟姉妹には、そもそも遺留分がない。従って、兄弟姉妹には遺留分の保全に必要な限度で遺贈の減殺を請求する権利(遺留分減殺請求権)もない。
(3)正しい。遺贈は、遺言者の死亡以前に受遺者が死亡したときは、その効力を生じない。相続が、被相続人の死亡以前に相続人が死亡したときは、その相続人について効力を生じない、のと同じである。
(4)正しい。遺贈を受ける者を受遺者という。そして、受遺者となることを放棄する(受遺者が遺贈の放棄をする)ことは、自由である。遺贈が放棄され、遺言に別段の意思表示がない場合、そのままでは遺産が宙に浮いてしまう。だから、受遺者が受けるべきであったものは、相続人に帰属することになっている。
正解(2)
平成8年[問 10] 相続
居住用建物を所有するAが死亡した場合の相続に関する次の記述のうち、民法の規定によれば、正しいものはどれか。
(1)Aに、配偶者B、Bとの婚姻前に縁組した養子C、Bとの間の実子D(Aの死亡より前に死亡)、Dの実子E及びFがいる場合、BとCとEとFが相続人となり、EとFの法定相続分はいずれも 1/8となる。
(2)Aに、配偶者B、母G、兄Hがいる場合、Hは相続人とならず、BとGが相続人となり、Gの法定相続分は 1/4となる。
(3)Aに法律上の相続人がない場合で、10年以上Aと同居して生計を同じくし、Aの療養看護に努めた内縁の妻Iがいるとき、Iは、承継の意思表示をすれば当該建物を取得する。
(4)Aに、その死亡前1年以内に離婚した元配偶者Jと、Jとの間の未成年の実子Kがいる場合、JとKが相続人となり、JとKの法定相続分はいずれも1/2 となる。
平成8年[問 10] 解説
(1)正しい。配偶者(B)は相続人である。子も相続人であるが、被相続人の死亡より前に死亡したDは孫(EとF)が代襲相続する。養子(C)も子に変わりない。だから、本肢ではBとCとEとFが相続人となる。法定相続分は、配偶者が1/2 、子供関係が残りの1/2 である。子供関係が複数いるときは頭数で平等に分けるから、本肢では、Cが 1/2× 1/2=1/4 、Dも 1/2× 1/2=1/4 であったが、Dの分はEとFが代襲相続する。代襲相続するEとFは、被代襲者(D)の分を頭数で平等に分ける。従って、EとFの法定相続分は、 1/4× 1/2=1/8 となり、いずれも 1/8となる。
(2)誤り。直系尊属(母)と配偶者が残された場合、いわゆる第2順位の相続が開始し、兄弟姉妹(H)は相続人にならないから、BとGが相続人となる。この場合の法定相続分は、直系尊属が1/3 、配偶者が2/3 である。従って、Gの法定相続分は 1/3となる。
(3)誤り。内縁の妻は配偶者ではないので、その意思で遺産(当該建物)を取得できる場合はない。被相続人(A)に法律上の相続人がない場合、永い間同居して生計を同じくし、被相続人の療養看護に努めた内縁の妻がいるとき、その内縁の妻が請求すれば、『特別縁故者』ということで、『家庭裁判所が相続財産を分与』できる場合がある。しかし、内縁の妻の意思表示だけでもらえることはない。
(4)誤り。元配偶者は配偶者ではないので、Jは相続人にはなれず、Jの法定相続分もない。親が離婚しても子には変わりないので、本肢の法定相続分はKが100 %である。
正解(1)
平成9年[問 10] 相続
遺留分に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、誤っているものはどれか。
(1)被相続人Aの配偶者BとAの弟Cのみが相続人であり、Aが他人Dに遺産全部を遺贈したとき、Bの遺留分は遺産の 3/8、Cの遺留分は遺産の 1/8である。
(2)遺留分の減殺請求は、訴えを提起しなくても、内容証明郵便による意思表示だけでもすることができる。
(3)相続が開始して9年6箇月経過する日に、はじめて相続の開始と遺留分を害する遺贈のあったことを知った遺留分権利者は、6箇月以内であれば、遺留分の減殺請求をすることができる。
(4)被相続人Eの生前に、Eの子Fが家庭裁判所の許可を得て遺留分の放棄をした場合でも、Fは、Eが死亡したとき、その遺産を相続する権利を失わない。
平成9年[問 10] 解説
(1)誤り。被相続人の配偶者と弟が相続人の場合(第3順位の相続が開始した場合)は、配偶者の法定相続分は 3/4、弟の法定相続分は 1/4だ。そして、遺留分は法定相続分の半分が原則なので、本肢の場合、配偶者の遺留分は 3/8、弟の遺留分は 1/8になりそうだ。しかし、兄弟姉妹にはそもそも遺留分はないので、弟の遺留分はゼロということになる。
(2)正しい。遺留分の減殺請求は、遺留分を侵害した者(例:受遺者)に対する意思表示によってすれば足りる。従って、口頭でも遺留分の減殺請求ができる。訴えを提起する必要はない。普通は、証拠を残すため内容証明郵便によることが多い。
(3)正しい。遺留分の減殺請求は、遺留分の侵害を知ってから1年以内、かつ、相続開始後10年以内にする必要がある。従って、本肢の場合は、『遺留分の侵害を知ってから1年以内』という要件と『相続開始後10年以内』という要件を満たすので、遺留分の減殺請求ができる。
(4)正しい。遺留分を放棄しても相続人になれる。遺留分の放棄をしても相続自体を放棄したわけではないからだ。
正解(1)
平成11年[問 3] 相続
相続に関する次の記述のうち,民法の規定及び判例によれば,誤っているものはどれか。
(1)相続開始の時において相続人が数人あるとき,遺産としての不動産は、相続人全員の共有に属する。
(2)被相続人は,遺言で,遺産の分割の方法を定めることができ,また相続開始の時から5年を超えない期間内で遺産の分割を禁ずることもできる。
(3)遺産の分割について共同相続人間に協議が調わないとき,各共同相続人は,その分割を,相続開始地の地方裁判所に請求することができる。
(4)相続開始の時から3年以上経過した後に遺産の分割をしたときでも,その効力は,第三者の権利を害しない範囲で,相続開始の時にさかのぼって生ずる。
平成11年[問 3] 解説
(1)正しい。「相続開始の時」というのは、相続される人(被相続人)が死んだ時を指す。お父さんが死んだ時に相続人として2人の子供がいる、というのが(1)の舞台だ。お父さんが遺産としてA・B2つの不動産を残していた場合、2つの不動産とも、2人の子供が「共有」し,その後で、遺産分割ということをして、A・Bをどのように分けるかを決めていくのが、相続のやり方だ。
(2)正しい。相続される人は,遺言で,遺産分割のやり方を決定できる。また、相続開始の時から5年を超えない範囲で遺産の分割を禁ずる、という遺言もできる。(1)で述べたように遺産は相続人全員の「共有」だが、民法の共有の決まりでは,5年を超えない範囲で共有物の分割を禁止できるからだ。お父さんは死ぬ前に死後のことをいろいろ遺言できるのだ。
(3)誤り。遺産分割について相続人の意見がまとまらない以上,裁判所に決めてもらうしかないが、その場合,各相続人は,相続が開始した場所を管轄する「家庭裁判所」に、頼める。地方裁判所に頼むのではない。家庭内のことを扱う裁判所は家庭裁判所だ。
(4)正しい。(1)で述べたように遺産としての不動産は相続人全員の「共有」だが、民法の共有の決まりでは,共有物は、いつでも分割を請求できるので、相続開始から3年以上経過した後の遺産分割も法律的な効力を生ずる。そして効力が生ずる時期は,相続開始の時になる。遺産分割した時ではなく、お父さんが死んだ時にさかのぼるのだ。以上について、無関係な人(第三者)の権利を害せないのは当然だ。
正解(3)
平成13年[問 11] 相続
被相続人Aの相続人の法定相続分に関する次の記述のうち,民法の規定によれば,正しいものはどれか。
(1)AとBが婚姻中に生まれたAの子Cは,AとBの離婚の際,親権者をBと定められたが,Aがその後再婚して,再婚にかかる配偶者がいる状態で死亡したときは,Cには法定相続分はない。
(2)Aに実子がなく,3人の養子がいる場合,法定相続分を有する養子は2人に限られる。
(3)Aが死亡し,配偶者D及びその2人の子供E,Fで遺産分割及びそれに伴う処分を終えた後,認知の訴えの確定により,さらに嫡出でない子Gが1人いることが判明した。Gの法定相続分は6分の1である。
(4)Aに子が3人あり,Aの死亡の際,2人は存命であったが,1人は既に死亡していた。その死亡した子には2人の嫡出子H,Iがいた。A死亡の際,配偶者もいなかった場合,Hの法定相続分は6分の1である。
平成13年[問 11] 解説
(1)誤り。被相続人(A)の子(C)は相続人になるが,「子である以上」,その後両親が離婚しても,相続人でなくなることは無い。(1)の事例は,お父さんAとお母さんBが離婚して,その後,お母さんに育てられた(親の権利を行使する者をBと定められ)Cという設定だ。お父さんは再婚して,今は別の奥さんがいるというものだが,その状態でAが死んでも,CがAの「子である以上」,Cには法定相続分がある,ということだ。
(2)誤り。被相続人の子は相続人になるが,「子」は血のつながった実子でなくてもよい。血のつながりの無い養子でも,立派な子だ。養子しかいない場合でも,人数に制限なく,養子は被相続人(A)の遺産を受け継げる(法定相続分がある)。
(3)誤り。

いわゆる「Aが他に作った子で認知されたG」のことを非嫡出子という。おメカケさんとの間に生まれた子だ。非嫡出子でもAの子に変わりないので,Gは相続人だ。ところで,子が相続人の場合の法定相続分は,配偶者が1/2,子が全員で残りの1/2だ。もっとも,非嫡出子の法定相続分は嫡出子(婚姻関係にある両親の間に生まれたE,F)の半分しかない。したがって(3)では,EとFの相続分は,それぞれ1/2×2/5=2/10だ。それに対して非嫡出子Gの法定相続分は,1/2×1/5=1/10だ。小学校で算数が不得意だった人に申し上げる。なぜ2/5とか1/5という分数にするかと言えば,非嫡出子の法定相続分は嫡出子の半分なので,E:F:Gは2:2:1の割合で分ける。そこで,分母を5と置いて,E,Fを2/5,Gを1/5とすると計算が速いのだ。
(4)正しい。

配偶者がいないので,(4)では子供関係だけが相続人だ。子は頭数で相続分を分けるので,一人当たり1/3が法定相続分だ。被相続人(A)が死んだ時に,すでに死んでいた子は相続人になれないが,被相続人の孫(H,I)が,すでに死んでいた子の代わりに相続する。これを代襲相続という。この場合,孫は,すでに死んでいた子の法定相続分を頭数で相続する。したがって,HとIは,それぞれ1/3×1/2=1/6の法定相続分がある。
正解(4)
平成14年[問 12] 相続
相続の承認及び放棄に関する次の記述のうち,民法の規定によれば,誤っているものはどれか。
(1)相続の放棄をする場合,その旨を家庭裁判所に申述しなければならない。
(2)相続人が数人あるときは,限定承認は,共同相続人の全員が共同してのみこれをすることができる。
(3)相続人が,自己のために相続の開始があったことを知った時から3カ月(家庭裁判所が期間の伸長をした場合は当該期間)以内に,限定承認又は放棄をしなかったときは,単純承認をしたものとみなされる。
(4)被相続人の子が,相続の開始後に相続放棄をした場合,その者の子がこれを代襲して相続人となる。
平成14年[問 12] 解説
(1)正しい。相続の放棄をするには,家庭裁判所へ申述する(申し立てる)ことが必要だ。家庭裁判所を関与させることで後日の紛争を防ぐのだ。
(2)正しい。相続人が数人あるときの限定承認は,共同相続人の全員が共同してのみ行える。共同相続人の一部だけでは限定承認できないということだ。被相続人の債権者を保護する趣旨だ。
(3)正しい。相続人は,自己のために相続の開始があったことを「知った時から」3カ月以内に,限定承認または相続の放棄をする必要がある。これを怠ると,相続人は単純承認したものとみなされる。したがって(3)の表現は正しい。なお,上の期間(3カ月以内)は家庭裁判所が伸ばす(伸長する)ことができ,伸ばしたときは,3カ月以内を伸ばした期間に読み替えることになる。
(4)誤り。被相続人の子が相続放棄をした場合,その者の子(被相続人の孫)が代襲相続する(放棄した子の代わりに相続する)ことはない。
正解(4)
平成16年 [問 12] 相続
自己所有の建物に妻Bと同居していたAが,遺言を残さないまま死亡した。Aには先妻との間に子C及びDがいる。この場合に関する次の記述のうち,民法の規定及び判例によれば,正しいものはどれか。
(1)Aの死後,遺産分割前にBがAの遺産である建物に引き続き居住している場合,C及びDは,Bに対して建物の明渡しを請求することができる。
(2)Aの死後,遺産分割前にBがAの遺産である建物に引き続き居住している場合,C及びDは,それぞれBに対して建物の質料相当額の1/4ずつの支払いを請求することができる。
(3)A死亡の時点でBがAの子Eを懐妊していた場合,Eは相続人とみなされ,法定相続分は,Bが1/2,C・D・Eは各1/6ずつとなる。
(4)Cの子FがAの遺言書を偽造した場合には,CはAを相続することができない。
平成16年 [問 12] 解説
(1)誤り。遺産分割される前の遺産は,原則として相続人(本問ではB・C・D)全員の共有になる。そして,共有者は共有物(相続財産)全部について,持分に応じた使用・収益ができる。したがって,妻Bはこの建物に住む権利があるので,先妻の子であるCとDは,Bを追い出せない(建物の明渡しを請求できない)。
(2)誤り。妻Bはこの建物に住む権利があるが,賃料を払って住むのかタダで住むのか,民法の条文では明らかでない。そこで最高裁判所は,BがAの生前からAと同居していたときは,Aが死亡した後も,遺産分割で建物の所有関係が確定するまでは,CとDを貸主,Bを借主とする「使用貸借契約」が存続する,と判断した。使用貸借は無償だから,CとDはBに賃料を請求できない。先妻の子が,後妻から賃料を請求するなどして嫌がらせするのを防ぐ判断だ。
(3)正しい。胎児も,生きて生まれれば,「子」として第1順位の相続人になれる。そうすると(3)の相続人は,B・C・D・Eだ。配偶者Bの法定相続分は1/2だ。残りの1/2をC・D・E3人で分けるから,1/2×1/3で,C・D・Eは各1/6ずつの法定相続分になる。
(4)誤り。遺言書を偽造・変造・破棄・隠匿した者は,相続人になれない。被相続人を殺したのと同様に相続欠格事由になる。しかし,それは偽造等をした本人について言えることだ。Cの子FがAの遺言書を偽造しても,Cが巻き添えを食うわけではない。
正解(3)
平成17年 [問 12] 相続
遺言及び遺留分に関する次の記述のうち,民法の規定によれば正しいものはどれか。
(1)自筆証書による遺言をする場合,証人二人以上の立会いが必要である。
(2)自筆証書による遺言書を保管している者が,相続の開始後,これを家庭裁判所に提出してその検認を経ることを怠り,そのままその遺言が執行された場合,その遺言書の効力は失われる。
(3)適法な遺言をした者が,その後更に適法な遺言をした場合,前の遺言のうち後の遺言と抵触する部分は,後の遺言により撤回したものとみなされる。
(4)法定相続人が配偶者Aと子Bだけである場合,Aに全財産を相続させるとの適法な遺言がなされた場合,Bは遺留分権利者とならない。
平成17年 [問 12] 解説
(1)誤り。遺言とは,それをした者が死んだ後で効力を生じる意思表示だ。例えば,お父さんが遺言で「あの畑は長男にやる」という意思表示をすれば,お父さんが死んだ後で,長男がその畑をもらえることになる。ところで,遺言をするには,原則として自筆証書遺言・公正証書遺言・秘密証書遺言のどれかの方式で行う必要がある。
@自筆証書遺言
…遺言をした者が自分で遺言の全文・日付を書き,署名をし押印する方式。
A公正証書遺言
…証人2人以上の立ち会いのもとで,公証人が遺言をした者の口述を筆記して,公正証書を作成する方式。
B秘密証書遺言
…封印した遺言状を公証人に提出し,遺言をした者・公証人・証人2人以上が,その遺言状に封紙を貼り,署名をし押印する方式。
したがって,「証人2人以上の立ち会い」が必要なのは,公正証書遺言であり,自筆証書による遺言ではない。
(2)誤り。公正証書遺言以外の遺言書を保管していた者が,相続の開始(被相続人の死亡)を知ったときは,遅滞なく,その遺言書を家庭裁判所に提出して検認(けんにん)の手続き(遺言書の偽造・変造を防ぐために,家庭裁判所が遺言書の内容等を形式的に調査すること)を請求する必要がある。なお,家庭裁判所の検認の手続きは形式的なものなので,検認の手続きを経ていない遺言書でも,効力を生じる。
(3)正しい。遺言をし直したときは,前の遺言は撤回され,し直した遺言の通りになる。遺言者のこの世での「最後の意思」を尊重する趣旨だ。したがって,前の遺言のうち後の遺言と矛盾(抵触)する部分は,後の遺言で撤回したとみなされる。
(4)誤り。相続人のために遺産の一定部分を残しておかなければならない部分がある。これを遺留分(いりゅうぶん)という。遺留分の割合は,原則として法定相続分の2分の1だ。
相続人が配偶者と子だけの場合の遺留分は,原則通り,法定相続分の2分の1になる。Aに全財産を相続させるとの適法な遺言がなされた場合でも,この遺留分に変更はない。したがって,Bは依然として遺留分権利者であり,法定相続分の2分の1の遺留分がある。
正解(3)
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