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宅建試験・テーマ別過去問解説集 民法(権利関係)

代理

昭和50年[問 3] 代理

代理に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

(1)代理人が権限内において本人のためにすることを示してした意思表示は、直接本人に対してその効力を生ずる。
(2)未成年者でも、委任を受けて代理人になることができる。
(3)復代理人は、その権限内の行為につき、代理人を代表する。
(4)権限の定めのない代理人は、保存行為及び代理の目的たる物又は性質をかえない範囲において、その利用又は改良を目的とする行為のみをなすことができる。

 

昭和50年[問 3] 解説

(1)正しい。代理人が、権限内(代理権の範囲内)において、本人のためにすることを示してした意思表示は、直接、本人に対してその効力を生ずる。
(2)正しい。制限行為能力者(未成年者・成年被後見人・被保佐人・被補助人)でも代理人になれる。従って、未成年者でも、委任を受けて代理人になることができる(つまり、任意代理人になれる)。
(3)誤り。復代理人は、代理人の代理人ではなく、本人の代理人だ。従って、復代理人は、その権限内の行為につき、本人を代表(代理)する。
(4)正しい。権限の定めのない代理人は、『保存行為・利用行為・改良行為』のどれかをできる。従って、権限の定めのない代理人は、「保存行為及び代理の目的たる物又は性質をかえない範囲において、その利用又は改良を目的とする行為のみをなすことができる」という言い方は、正しい。

 正解(3)


昭和61年[問 3] 代理

次の記述のうち、民法の規定によれば、誤っているものはどれか。

(1)Aの代理人Bが、Cの強迫により、Cと不動産の売買契約を結んだ場合、Aはその契約を取り消すことができる。
(2)Aの代理人Bが、Cと不動産の売買契約を結んだ場合、Bが未成年者であれば、Aはその契約を取り消すことができる。
(3)Aの代理人Bが、Aの同意を得ずしてAを売主、Bを買主とする不動産の売買契約を結んだ場合、Aはその契約を追認することができる。
(4)被保佐人Aが、保佐人Bの同意を得ずして、Cと不動産の売買契約を結んだ場合、Aはその契約締結後にBの同意を得れば、その契約を追認することができる。

 

昭和61年[問 3] 解説

(1)正しい。代理行為の効果は直接本人に帰属するから、代理人(B)が強迫されたということは、本人(A)が強迫されたことになる。従って、Aはその契約を、強迫による意思表示を理由に、取り消すことができる。
(2)誤り。代理人は未成年者(制限行為能力者)でもなれる。このことは、未成年者が法定代理人の同意を得ないで代理行為をしても、本人(A)は取り消すことができないことをも意味する。
(3)正しい。Aの代理人Bが、Aの同意を得ずしてAを売主、Bを買主とする契約を結ぶ行為は、自己契約として禁止され、無権代理になる。無権代理は本人が追認できる(なお、本人が追認すれば無権代理は有効になり、本人に効果が帰属する)。
(4)正しい。被保佐人が保佐人同意を得ないで不動産の売買契約を結んだ場合、その契約を取り消すことができる。取り消すことができる契約でも追認できる。もっとも、被保佐人が追認するには保佐人の同意が必要だが、本肢では「保佐人の同意を得れば」と言っているので、正しい。

 正解(2)


昭和63年[問 2] 代理

代理に関する次の記述のうち、民法の規定によれば、正しいものはどれか。
(1)法定代理人は、本人の許可や特別の理由がなくても、自らの責任をもって、復代理人を選任することができる。
(2)権限の定めのない代理人は、保存行為に限り行うことができる。
(3)代理権は、本人又は代理人の死亡のときにのみ消滅する。
(4)代理権が消滅した後の代理人のした行為は、すべて無効である。

 

昭和63年[問 2] 解説

(1)正しい。法定代理人は、自らの責任で、復代理人を自由に選任できる。本人の許可等はいらない。なお、任意代理人には復代理人を自由に選任できる権限はなく、本人の許諾を得た場合またはやむを得ない事情がある場合でなければ、復代理人選任できないので注意。
(2)誤り。権限の定めのない代理人は、『保存行為・利用行為・改良行為』のどれかをできる。
(3)誤り。代理権は……
・法定代理の場合は、
本人の死亡
代理人の死亡・破産手続開始の決定・後見開始の審判
・任意代理の場合は、
本人の死亡・破産手続開始の決定
代理人の死亡・破産手続開始の決定・後見開始の審判
の、どれかがあった場合に、消滅する。
(4)誤り。代理権が消滅した後の代理人がした行為でも、すべて無効(無権代理)とは限らない。代理権消滅後の表見代理が成立すれば有効になる。つまり、代理権消滅後の表見代理が成立すれば、本人に対して効力を生ずる。

 正解(1)


平成5年[問 2] 代理

Aの子BがAの代理人と偽って、Aの所有地についてCと売買契約を締結した場合に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、正しいものはどれか。

(1)Aが売買契約を追認するまでの間は、Cは、Bの無権代理について悪意であっても、当該契約を取り消すことができる。
(2)Aが売買契約を追認しないときは、Cは、Bの無権代理について善意であれば、過失の有無に関係なく、Bに対し履行の請求をすることができる。
(3)Cは、Bの無権代理について善意無過失であれば、Aが売買契約を追認しても、当該契約を取り消すことができる。
(4)Aが死亡してBがAを単独で相続した場合、Bは、Aが売買契約を追認していなくても、Cに対して当該土地を引き渡さなければならない。

 

平成5年[問 2] 解説

(1)誤り。Bの行為は無権代理である。無権代理があった場合、相手方(C)は、本人(A)が追認するまでの間はその契約を取り消せるのが原則である。ただし、無権代理について『悪意』の場合は取り消すことができない。
(2)誤り。無権代理があった場合、相手方(C)は、無権代理人(B)に対して履行の請求をすることができるが、そのためには、無権代理について『善意無過失』でなければならない。善意でも過失があった場合は、ダメである。
(3)誤り。無権代理があった場合、相手方は、『本人が追認するまでの間』は、その契約を取り消せるのが原則である。したがって、無権代理について善意無過失であっても、本人が追認した後は、その契約を取り消すことができない。
(4)正しい。相続人は被相続人の権利義務の一切を受け継ぐから、BがAを単独で相続した場合、Bは、無権代理を追認するか否かを自由に選べるのが、一応の理屈である。しかし、この結論を取り、Bが自由に追認を拒絶できるとすることは、信義則に反する。Bは勝手なこと(無権代理)をしておきながら、その責任を負わなくて良いことになってしまうからである。そこで最高裁判所の判例は、「Aが売買契約を追認していなくても、Bは、Cに対してその土地を引き渡さなければならない」として、Bに責任を負わせている。

 正解(4)


平成8年[問 2] 代理

Aが、Bの代理人として、Cとの間でB所有の土地の売買契約を締結した場合に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、誤っているものはどれか。

(1)AがBから土地売買の代理権を与えられていた場合で、所有権移転登記の申請についてCの同意があったとき、Aは、B及びC双方の代理人として登記の申請をすることができる。
(2)AがBから抵当権設定の代理権を与えられ、土地の登記識別情報、実印、印鑑証明書の交付を受けていた場合で、CがBC間の売買契約についてAに代理権ありと過失なく信じたとき、Cは、Bに対して土地の引渡しを求めることができる。
(3)Aが、Bから土地売買の代理権を与えられ、CをだましてBC間の売買契約を締結した場合は、Bが詐欺の事実を知っていたと否とにかかわらず、Cは、Bに対して売買契約を取り消すことができる。
(4)Aが、Bから土地売買の委任状を受領した後、破産手続開始の決定を受けたのに、Cに当該委任状を示して売買契約を締結した場合、Cは、Aが破産手続開始の決定を受けたことを知っていたときでも、Bに対して土地の引渡しを求めることができる。

 

平成8年[問 2] 解説

(1)正しい。AがB及びC双方の代理人として登記の申請をすることは、双方代理であり、原則として禁止されるが、本人(本肢ではBだけでなくCも)の同意があれば禁止されない。本肢では、B及びCが同意しているので、Aは、B及びC双方の代理人として登記の申請をすることができる。
(2)正しい。代理人Aの行為は無権代理である。無権代理があった場合でも、本人に責任があり(本肢では、土地の登記識別情報、実印、印鑑証明書を交付した責任がある)、かつ、相手方(C)が善意無過失であれば(本肢では、「CがBC間の売買契約についてAに代理権ありと過失なく信じた」ので相手方が善意無過失である)、「権限外の行為の表見代理」が成立するので、代理人のした契約は有効になる。従って、Cは、Bに対して土地の引渡しを求めることができる。
(3)正しい。代理人が相手方とした意思表示の効果は、直接、本人に帰属するので、AがCをだましたということは、BがCをだましたことになる。従って、だまされたCは、Bに対して売買契約を取り消すことができる。なお、本肢では本人がだましたことになり、第三者の詐欺の問題は生じないから、Bが詐欺の事実を知っていたと否とにかかわらず、Cは、Bに対して売買契約を取り消せる。
(4)誤り。代理人が代理権を与えられた後売買契約前に破産手続開始の決定を受けると、その代理権は消滅する。代理人の代理権が消滅した場合、その後の代理人の行為(本問の売買契約)は無権代理である。無権代理があった場合でも、相手方が善意無過失であれば表見代理が成立し、代理人のした契約は有効になるので、Cは、Bに対して土地の引渡しを求めることができる。しかし、本肢のCは悪意なので表見代理は成立せず、代理人のした契約は無効である(無権代理のままである)。従って、Cは、Bに対して土地の引渡しを求めることができない。

 正解(4)


平成11年[問 7] 代理 解説

Aが,A所有の1棟の賃貸マンションについてBに賃科の徴収と小修繕の契約の代理をさせていたところ,Bが,そのマンションの1戸をAに無断で,Aの代理人として賃借人Cに売却した。この場合,民法の規定及び判例によれば、次の記述のうち誤っているものはどれか。

(1)Aは,意外に高価に売れたのでCから代金を貰いたいという場合,直接Cに対して追認することができる。
(2)Cは,直接Aに対して追認するかどうか相当の期間内に返事をくれるよう催告をすることができるが,Cがこの催告をするには,代金を用意しておく必要がある。
(3)Aが追認しない場合でも,CがBに代理権があると信じ,そう信じることについて正当な理由があるとき,Cは,直接Aに対して所有権移転登記の請求をすることができる。
(4)Cは,Bの行為が表見代理に該当する場合であっても,Aに対し所有権移転登記の請求をしないで,Bに対しCの受けた損害の賠償を請求できる場合がある。

 

平成11年[問 7] 解説

(1)正しい。Bは,家賃の徴収と小修繕しか代理できないのに,マンションを勝手にCに売っちゃったので,無権代理だ。無権代理された場合でも,本人は後でOK(追認)できる。代理制度は本人の利益のためにあり,本人がCから代金をもらいたいと思ってる以上,追認を認めるのが本人の利益だからだ。そして,このOK(追認)は,BとCのどちらに対してでもできる。
(2)誤り。無権代理された場合,本人は追認しないこともできる。相手の立場は,本人が追認するかどうかで大きく違ってくる(本人が追認すればCはそのマンションを買えるが,追認しなければ買えない)。そこで民法は,Cの立場を安定させるために,Aに対してOKするかどうか、ふさわしい期間内に返事をくれるよう要求できる権利を与えた。これを無権代理の相手方の催告権という。ところで,この催告権はCの立場を安定させるためにあるから,CがAに対して返事を要求するには,代金まで用意しておく必要はない。
(3)正しい。本人Aが追認しないとき,相手方Cは,Aに登記の移転を請求できないのが原則だ。でも,Bがマンションを売れたのは,Aにも責任がある(Aが印鑑証明などの重要書類を不用意にBに預けておいたから,Bが勝手なことをできたはず)。しかも,Cには全然責任がない(Cは,Bに代理する資格があると信じ,そう信じることについてもっともな理由があるのだから)。このように,無権代理について本人に責任があり相手方に責任がない場合は,相手方を保護するため,Cは,Aに登記の移転を請求できることになっている。以上の取扱いを,法律用語では表見代理という。
(4)正しい。表見代理は相手方Cを保護する制度なので,Cが希望すれば,Aに登記の移転を請求しないで,勝手なことをした(無権代理をした)Bに,損害賠償を請求することもできる。

 正解(2)


平成12年[問 1] 代理

Aが,Bに代理権を授与してA所有の土地を売却する場合に関する次の記述のうち,民法の規定及び判例によれば,正しいものはどれか。

(1)Bが未成年者であるとき,Bは,Aの代理人になることができない。
(2)Bは,自己の責任により,自由に復代理人を選任することができる。
(3)Bは,Aの同意がなければ,この土地の買主になることができない。
(4)Bは,Aが死亡した後でも,Aの代理人としてこの土地を売却できる。

 

平成12年[問 1] 解説

(1)誤り。未成年者でも代理人になれる。代理人の資格を成年者に限ると,大人の代理人が見つからない場合など,本人(A)に不便なこともあるからだ。
(2)誤り。AはBに頼んで代理人になってもらっている。Bを信頼しているからだ。このような場合,Bを任意代理人というが,任意代理人が自由に下請けの代理人(復代理人)を選べたのでは,本人(A)はたまらない。今述べたように,Bを信頼しているからこそ,Bを代理人にしたのだから。
(3)正しい。Bは売主Aの代理人だから,買主のために行動したらAを裏切ることになる。だから民法は,同じ人(B)が売主の代理人と買主を兼ねることは原則としてダメだと決めている。もっとも,AがOKするならAを裏切ったとは言えないので,Bが売主の代理人と買主を兼ねることも禁止されない。以上を総合すると,「Bは,AのOKがなければ,この土地の買主になれない」と言える。
(4)誤り。代理人は本人(A)のために行動するのが仕事だから,本人が骨になっちゃったら,代理人は当然引退することになっている。したがって,BはAが死んだ後は,Aの代理人としてこの土地を売れない。

 正解(3)


平成13年[問 8] 代理

Aが,B所有の建物の売却(それに伴う保存行為を含む。)についてBから代理権を授与されている場合に関する次の記述のうち,民法の規定及び判例によれば,正しいものはどれか。

(1)Aが,Bの名を示さずCと売買契約を締結した場合には,Cが,売主はBであることを知っていても,売買契約はAC間で成立する。
(2)Aが,買主Dから虚偽の事実を告げられて売買契約をした場合でも,Bがその事情を知りつつAに対してDとの契約を指図したものであるときには,BからDに対する詐欺による取消はできない。
(3)Aが,買主を探索中,台風によって破損した建物の一部を,Bに無断で第三者に修繕させた場合,Bには,修繕代金を負担する義務はない。
(4)Aは,急病のためやむを得ない事情があっても,Bの承諾がなければ,さらにEを代理人として選任しBの代理をさせることはできない。

 

平成13年[問 8] 解説

(1)誤り。

代理人がする代理行為は,代理人(A)が,「本人(B)のためにすることを相手方(C)に示して」することが必要だ。Aが,本人Bの名前を示して,Cと売買契約を締結しろ,ということだ。Aが,本人の名前を示さないと,相手方Cが,代理人に過ぎないAを本人と誤解してしまうからだ。でもCが,売主はBであることを知っているなら,このような誤解は生じない。だから(1)では,Aが,本人Bの名前を示さないでも,売買契約はBとCの間で成立し,AとCの間では成立しない。つまり正常な代理行為がされたとみなされる。
(2)正しい。

代理が成立すると,代理人が相手方とした代理行為の効果は,代理人を経由しないで,本人がストレートに受けるので,代理人がだまされた場合は,本人がだまされたことになる。だから,詐欺による意思表示として代理行為(AD間の行為)を取り消せるのは,実際にだまされた代理人ではなく,本人だ。だだし,本人が詐欺の事実(代理人がだまされたこと)を知っていた場合は,本人も取り消せない。このような本人を保護する必要はないからだ。
(3)誤り。本問の代理人Aは,建物の売却に伴う保存行為についても,本人Bから代理権を与えられている。保存行為とは現状を維持することであり,壊れた建物を修繕することが典型だ。問題となるのは,Aが自分で修繕しないで,本人に無断で,第三者に修繕させた点だ。この点は解釈に委ねられるが,建物を修繕する行為は,その性質上,特別の事情がない限り(代理人Aの職業が建築士でない限り),建物の修繕を目的として第三者と請負契約を締結することまでを委ねた,と解釈できる。したがって,Aが本人に無断で第三者に修繕させた行為は,代理人の権限内の行為として本人に直接効果が生じ,本人は修繕代金を負担しなければならない。
(4)誤り。AがさらにEを代理人として選任しBの代理をさせることを,復代理という。Aは任意代理人であるが,任意代理人は,次の「どちらかの場合」に復代理人(E)を選任できる。
@本人の許諾がある場合
Aやむを得ない事情がある場合
Aは急病だというのだから,Aにあたる。したがって,Aは,Bの承諾がなくても,さらにEを代理人として選び,EにB所有の建物の売却をさせることができる。

 正解(2)


平成17年[問 3] 代理

買主Aが,Bの代理人Cとの間でB所有の甲地の売買契約を締結する場合に関する次の記述のうち,民法の規定によれば,正しいものはいくつあるか。

 ア CがBの代理人であることをAに告げていなくても,Aがその旨を知っていれば,当該売買契約によりAは甲地を取得することができる。
  イ Bが従前Cに与えていた代理権が消滅した後であっても,Aが代理権の消滅について善意無過失であれば,当該売買契約によりAは甲地を取得することができる。
  ウ CがBから何らの代理権を与えられていない場合であっても,当該売買契約の締結後に,Bが当該売買契約をAに対して追認すれば,Aは甲地を取得することができる。
(1)一つ
(2)二つ
(3)三つ
(4)なし

 

平成17年[問 3] 解説

 ア 正しい。代理が成立するには代理行為が必要だが,代理行為とは,代理人が本人のためにすることを示して契約することを指す。ところで,代理人が本人のためにすることを示さないで(CがBの代理人であることをAに告げないで)代理行為した場合は,原則として自己(代理人)のためにしたものとみなされる。ただし,相手方が,本人のためにすることを知っていれば(Aがその旨を知っていれば),本人のためにすることを示さないでした代理行為でも,本人のためにしたものとみなされる。
ここで「本人のためにしたものとみなされる」とは,代理人Cの代理行為が有効であることを意味する。したがって,その売買契約によりAは甲地を取得できる。
  イ 正しい。代理権消滅後のCは無権代理人だが,表見代理が成立した場合は,無権代理人が行った契約でも有効になる。表見代理とは,無権代理させたことについて本人に責任があり,かつ,無権代理について相手方が善意・無過失の場合だ。事例イでは,無権代理させたことについて「本人に責任」がある。本人Bが,以前Cに与えていた代理権が消滅した後に,印鑑証明書などの重要書類をCから取戻すなどしておけば,Cが甲地を売るなんていうことはできなかったはずだからだ。しかも,相手方Aは「善意・無過失」だ。したがって事例イでは表見代理が成立するから,無権代理人が行った契約でも有効になり,その売買契約によりAは甲地を取得できる。
  ウ 正しい。CがBから全然代理権を与えられていない場合,Cは無権代理人だが,本人が追認した場合(これを無権代理行為の追認という)は,無権代理人が行った契約でも有効になる。そもそも代理制度は,本人の利益のためにあり,本人が「無権代理でもイイ」と思っている以上,追認(事後承諾)を認めるのが本人の利益だからだ。なお,無権代理行為の追認は,無権代理人と相手方のどちらに対してもできる。
結局ア〜ウの3つとも正しいので,正解は(3)になる。

 正解(3)

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