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宅建試験・テーマ別過去問解説集 民法(権利関係)
委任契約
昭和63年[問 4] 委任契約
委任に関する次の記述のうち、民法の規定によれば、正しいものはどれか。
(1)受任者は、原則として委任者に対し定期的に委任事務処理の状況を報告しなければならない。
(2)受任者は、報酬を受ける特約のないときは、自己の事務処理におけると同程度の注意義務で足り、善良な管理者としての注意義務までは負わない。
(3)委任は、原則として各当事者がいつでもこれを解除することができる。
(4)委任は、当事者の死亡又は破産による場合に限り当然に終了する。
昭和63年[問 4] 解説
(1)誤り。受任者には、委任者に対し定期的に委任事務の処理状況を報告する義務はない。委任者の請求があったときにだけ報告すればよい。
(2)誤り。委任契約は無償が原則だから、報酬を受ける特約のないときは、その委任契約は無償契約となる。委任契約が締結された場合は、有償・無償を問わず、受任者は『善良な管理者としての注意義務』をもって、委任事務を処理しなければならない。自己の事務処理におけると同程度の注意義務では足りない。
(3)正しい。委任契約は、各当事者(つまり、委任者または受任者)が『いつでも』解除できるのが原則である。
(4)誤り。委任契約は……
・ 委任者の死亡・破産手続開始の決定
・ 受任者の死亡・破産手続開始の決定・後見開始の審判
の、どれかがあった場合に、終了する。つまり、任意代理の終了事由と同じだ。
正解(3)
平成7年[問 9] 委任契約
Aは、Bにマンションの一室を賃貸するに当たり、管理を業としないCとの間で管理委託契約を締結して、Cに賃料取立て等の代理権を与えた。この場合、民法の規定によれば、次の記述のうち誤っているものはどれか。
(1)Cは、Aとの間で特約がなくても、Aに対して報酬の請求をすることができる。
(2)Aは、CがBから取り立てた賃料を自己の生活費に消費したときは、Cに対して、その賃料額に、消費した日以後の利息を付した金額を支払うよう請求することができる。
(3)Aが死亡したとき、委託契約は終了するが、急迫の事情がある場合においては、Cは、その管理業務を行う必要がある。
(4)Cは、地震のため重傷を負った場合、Aの承諾を得ることなく、Dに委託して賃料の取立てをさせることができる。
平成7年[問 9] 解説
本問は、問題文を事例化しているが、『委任契約について誤っているものはどれか』という問題とみてよい。それさえ見破れれば容易である。
(1)誤り。委任契約は『無償』が原則なので、特約がなければ、受任者(C)は委任者(A)に報酬を請求できない。
(2)正しい。受任者が委任者に引き渡すべき金銭を自己のために消費した場合は、消費した日以後の利息を付けて払わなければならない。
(3)正しい。委任者が死亡した場合、委任契約(委託契約)は終了する。そして、委任契約が終了した場合でも、急迫の事情があるときは、受任者は、委任者側(委任者の相続人等)が委任事務を処理できるようになるまで、必要な処分(つまり、後始末として管理業務を継続すること)をする必要がある。
(4)正しい。委任による代理人(任意代理人)は、本人(A)の許諾を受けたとき、『または』やむを得ない事情があるときは、復代理人(D)を選任できる。Cが、阪神大震災等の地震によって重傷を負ったことは、やむを得ない事情に当たる。したがって、Cは、Aの承諾を得ることなく、Dに委託して賃料の取立てをさせることができる。
正解(1)
平成9年[問 9] 委任契約
Aは、その所有する土地について、第三者の立入り防止等の土地の管理を、当該管理を業としていないBに対して委託した。この場合、民法の規定によれば、次の記述のうち誤っているものはどれか。
(1)Bが無償で本件管理を受託している場合は、「善良な管理者の注意」ではなく、「自己の財産に対するのと同一の注意」をもって事務を処理すれば足りる。
(2)Bが無償で本件管理を受託している場合は、Bだけでなく、Aも、いつでも本件管理委託契約を解除することができる。
(3)Bが有償で本件管理を受託している場合で、Bの責めに帰することができない事由により本件管理委託契約が履行の半途で終了したときは、Bは、既にした履行の割合に応じて報酬を請求することができる。
(4)Bが有償で本件管理を受託している場合で、Bが死亡したときは、本件管理委託契約は終了し、Bの相続人は、当該契約の受託者たる地位を承継しない。
平成9年[問 9] 解説
本問は問題文を事例化しているが、『委任契約について誤っているものはどれか』という問題とみてよい。
(1)誤り。委任契約の受任者(B)は、有償・無償を問わず、『善良な管理者の注意』で、委任事務を処理しなければならない。
(2)正しい。委任契約は、委任者(A)・受任者(B)のいずれからでも、いつでも、解除できる。委任契約が有償であるか無償であるかを問わない。
(3)正しい。委任契約が有償である場合、受任者の責任なく(責めに帰することができない事由により)、履行の半途で終了したときは、受任者は、既にした履行の割合に応じて報酬を請求できる。
(4)正しい。委任契約は受任者が死亡した場合は、当然に終了する。従って、Bの相続人は受任者(受託者)である地位を承継しない。
正解(1)
平成14年[問 10] 委任契約
Aが,A所有の不動産の売買をBに対して委任する場合に関する次の記述のうち,民法の規定によれば,正しいものはどれか。なお,A及びBは宅地建物取引業者ではないものとする。
(1)不動産のような高価な財産の売買を委任する場合には,AはBに対して委任状を交付しないと,委任契約は成立しない。
(2)Bは,委任契約をする際,有償の合意をしない限り,報酬の請求をすることができないが,委任事務のために使った費用とその利息は,Aに請求することができる。
(3)Bが当該物件の価格の調査など善良な管理者の注意義務を怠ったため,不動産売買についてAに損害が生じたとしても,報酬の合意をしていない以上,AはBに対して賠償の請求をすることができない。
(4)委任はいつでも解除することができるから,有償の合意があり,売買契約成立寸前にAが理由なく解除してBに不利益を与えたときでも,BはAに対して損害賠償を請求することはできない。
平成14年[問 10] 解説
(1)誤り。委任契約は書面によらなくても(委任状を交付しなくても)成立する。価格は関係ない。委任契約に限らず,民法上の契約は,原則として,書面によらなくても(口約束でも)成立する。
(2)正しい。委任は,原則として無償契約だ。したがって,受任者(B)は,有償の合意をしない限り,報酬を請求できない。とは言っても,受任者は,委任事務のために使った費用とその利息は,有償の合意をしなくてもAに請求できる。
(3)誤り。受任者は,有償・無償を問わず,『善良な管理者の注意』(細心の注意)で,委任事務を処理しなければならない。したがって,報酬の合意をしていない無償委任でも,Aに損害が生じれば,AはBに対して債務不履行に基づく損害賠償の請求ができる。
(4)誤り。委任契約は,有償・無償を問わず,委任者・受任者のいずれからでも,いつでも,解除できる。AもBも理由なく解除できるということだ。委任契約は,委任者と受任者が高度な信頼関係で結ばれているが,その信頼関係が崩れた以上,契約を継続させることはできないからだ。もっとも,「相手方のために不利な時期」に解除したときは,解除された者(B)は解除した者(A)に対して損害賠償を請求できる。不利な時期に解除された者を保護するためだ。
正解(2)
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