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宅建試験・テーマ別過去問解説集 民法(権利関係)

賃貸借契約(借地借家法)

昭和49年[問 3] 賃貸借契約(借地借家法)

宅地の賃貸借に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

(1)借賃の支払い方法について、特約がないときは、民法の一般原則により、借地人は、1ヵ月ごとに、かつ、月の終りに借賃を支払わなければならない。
(2)賃借人は、建物の所有を目的とする土地の賃借権については、地主の承諾がなくても、自由にその権利を他人に譲渡し、又はその土地を他人に転貸することができる。
(3)建物の所有を目的とする土地の賃借権については、借地借家法第3条によりその存続期間が定められているので、契約により、当事者間でこれより長い存続期間を定めることができない。
(4)契約によって定められた借賃の額が、土地に対する租税その他の公課の増減によって不相当となった場合には、当事者は、租税その他の公課の増減が行われた日にさかのぼって、借賃の増額を請求することができる。

 

昭和49年[問 3] 解説

(1)正しい。借賃は、特約がなければ、1ヵ月ごとに、かつ、月の終りに、支払わなければならない。これは民法の一般原則による。借地借家法に書いてあるわけではない。
(2)誤り。賃借人は、賃貸人(地主)の承諾がなければ、賃借権を第三者に譲渡し、又は賃借物を転貸できない。建物の所有を目的とする土地の賃借権を有する借地権者でも、賃借人には変わりない。
(3)誤り。建物の所有を目的とする土地の賃借権(借地権)については、借地借家法第3条により、その存続期間が30年と定められている。しかし、契約により、当事者間でこれより「長い」存続期間を定めることは自由である。30年以上の存続期間を定めたときは、定めた通りになる。例えば存続期間を35年と定めれば、35年となる。ちなみに、当事者間で、これより短い(30年未満の)存続期間を定めたときは、その定めは無効になる(その存続期間は30年となる)。
(4)誤り。借賃の額が、土地に対する租税その他の公課の増減によって不相当となった場合、当事者は、借賃の増減を請求できるが、請求できるのは、『将来に向かって』であり、租税その他の公課の増減が行われた日に「さかのぼって」請求できるのではない。

 正解(1)


昭和57年[問 13] 賃貸借契約(借地借家法)

Aは、B所有の建物を賃借している。この場合、借地借家法の規定によれば、次の記述のうち正しいものはどれか。

(1)借賃の増額について、AB間で協議が調わないときは、Aは増額を正当とする裁判が確定するまでは、相当と認める借賃を支払えばよい。
(2)Bが建物をCに譲渡した場合、Aは賃借権について登記をしていなければ、Cに対抗できない。
(3)AとBの賃貸借契約に期間の定めがある場合は、Bが契約期間満了時に遅滞なく異議を述べ、かつ、正当な事由を有するときは、賃借権は消滅する。
(4)AとBの賃貸借契約に期間の定めがない場合は、当該建物が木造であれば、賃借権の存続期間は30年となる。

 

昭和57年[問 13] 解説
(1)正しい。借賃の増額について、当事者間(AB間)で協議が調わないときは、借家人Aは、増額を正当とする裁判が確定するまでは、相当と認める借賃を支払えばよい。
(2)誤り。借家権について登記すれば第三者(C)に対抗できる。借家権について登記していなくても、『建物の引渡し』があれば、同じく第三者に対抗できる。
(3)誤り。賃貸借契約に期間の定めがある場合、家主Bが異議を述べ、かつ、正当事由を有するときは、賃借権が消滅する(更新が拒絶される)場合がある。しかしそうするには、家主は、期間満了の『1年前から6ヵ月前までの間』に異議(更新拒絶の通知等)を述べる必要がある。本肢のように「契約期間満了時」に異議を述べてもダメだ。
(4)誤り。「借家」契約で存続期間の定めがない場合は、その賃借権は、存続期間の定めのないものとなる。存続期間の定めがない場合に、存続期間が30年となるのは、「借地」契約が締結された場合の借地権だ。

 正解(1)


昭和60年[問 12] 賃貸借契約(借地借家法)

借地権に関する次の記述のうち、借地借家法の規定によれば、誤っているものはどれか。

(1)借地契約において借地権の存続期間又は建物の種類及び構造を定めなかったときは、借地権は堅固の建物以外の建物の所有を目的とするものとみなされ、従ってその存続期間は20年となる。
(2)借地契約に増改築を禁止する特約がある場合であっても、土地の通常の利用上相当とすべき増改築は、土地所有者の承諾が得られないときはこれに代わる裁判所の許可により、行うことができる。
(3)借地権者が土地の上に登記した建物を所有しているときは、地上権又は土地の賃借権の登記がなされていない場合でも、土地所有者から当該土地の所有権を取得した第三者に対して当該借地権を対抗することができる。
(4)地代または借賃の増額について当事者間に協議が調わないときは、その請求を受けた者は、増額を正当とする裁判が確定するまでは、相当と認める地代又は借賃を支払えばよい。

 

昭和60年[問 12] 解説

(1)誤り。借地契約において借地権の存続期間を定めなかったときは、その存続期間は、借地借家法で『30年』と決めている。なお、「建物の種類及び構造を定めなかったときは、借地権は堅固の建物以外の建物の所有を目的とするものとみなされる」という規定は、平成4年8月1日施行の新法で削除された。
(2)正しい。借地契約に増改築を禁止する特約がある場合には、増改築が禁止されるのが原則である。ただし、土地の通常の利用上相当とすべき増改築は、土地所有者の承諾が得られないときは、これに代わる裁判所の許可により行うことができる。
(3)正しい。借地権者が土地の上に登記した建物を所有しているときは、借地権の登記(地上権又は土地の賃借権の登記)がなされていない場合でも、土地所有者からその土地の所有権を取得した第三者(つまり新地主)に対して、その借地権を対抗できる。
(4)正しい。地代または借賃の増額について当事者間に協議が調わないときは、その請求を受けた者は、増額を正当とする裁判が確定するまでは、自分が相当と認める地代又は借賃を支払えばよい。

 正解(1)


昭和62年[問 12] 賃貸借契約(借地借家法)

借地借家法に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

(1)木造の建物を所有する目的で借地権を設定するにあたり、地主と借地人の合意により、存続期間を3年と定めた場合でも、その約定はなかったものとみなされ、借地権は契約のときから30年存続する。
(2)土地の賃借人が借地上の建物を第三者に譲渡する場合、地主が自己に不利となるおそれがないにもかかわらず、当該賃借権を譲渡することを承諾しないときは、裁判所はこれに代わる許可を与えることができる。
(3)借地契約満了時に更新がなされなかった場合には、借地人は、地主に対して 時価をもって建物を買取るべきことを請求することができる。
(4)借地契約において、借地権の存続期間、建物の種類及び構造を定めなかったときは、借地権は堅固な建物の所有を目的とするものとみなされ、従って、その存続期間は60年間となる。

 

昭和62年[問 12] 解説

(1)正しい。借地権の存続期間を30年未満(本肢では3年)と定めた場合、合意による約定はなかったものとみなされ、借地借家法は、その存続期間を30年に決めている。
(2)正しい。土地の賃借人が借地上の建物を第三者に譲渡する場合、地主が自己に不利となるおそれがないにもかかわらず、その賃借権の譲渡を承諾しないときは、裁判所は、これ(地主の承諾)に代わる許可を与えることができる。
(3)正しい。借地契約満了時に更新がなされなかった場合には、借地人は、地主に対して時価をもって建物を買取るべきことを請求できる。建物買取請求権だ。
(4)誤り。平成4年8月1日以降に施行された新借地借家法は、堅固な建物と非堅固な建物の区別を廃止した。建物の種類及び構造を定めたかどうかを問わず、借地権の存続期間を定めなかった場合の、その借地権の存続期間について、借地借家法は『30年』に決めている。

 正解(4)


平成2年[問 12] 賃貸借契約(借地借家法)

不動産の賃貸借に関する次の記述のうち、民法及び借地借家法の規定によれば、誤っているものはどれか。

(1)建物の賃貸借において、期間満了前に当該建物が第三者の放火により全部滅失したときは、当該賃貸借は終了する。
(2)建物の賃貸借においては、その存続期間は、20年を超えることができる。
(3)建物の所有を目的とする土地の賃貸借において、当該建物が借地人の失火により滅失したときは、賃貸人は、解約の申入れをすることができる。
(4)建物の所有を目的とする土地の賃貸借において、その存続期間の定めがなく、建物が朽廃したときでも、当該賃貸借は終了しない。

 

平成2年[問 12] 解説

(1)正しい。この世に存在しない物を貸し借りするのは不可能である。従って、建物が期間満了前に全部滅失したときは、その理由を問わず、滅失した時点で建物の賃貸借は終了する。なお、借地権は借地上の建物が滅失しても消滅しないが、これは借地上の建物が滅失しても貸し借りしている物(借地という土地)はまだこの世に存在しているからである。両者を混同しないように。
(2)正しい。民法の原則によれば,賃貸借の存続期間の上限は20年である。しかし,建物の賃貸借については民法の原則が適用されないよう,最近改正された。従って,建物の賃貸借の存続期間は、20年を超えることができる(極端な話し100年の存続期間を定めても有効ということ)。
(3)誤り。借地権は借地上の建物が滅失しても消滅しない。借地人に非がある(借地人の失火の場合)ときでも同じである。(1)参照。従って、賃貸人は解約の申入れなどできない。
(4)正しい。平成4年8月施行の新借地借家法は、存続期間の定めがない場合の、建物の途中朽廃による借地権消滅の制度を廃止した。従って、現行法に照らすと、本肢の言い方は正しい。

 正解(3)


平成4年[問 11] 賃貸借契約(借地借家法)

建物の賃貸借に関する次の記述のうち、民法及び借地借家法の規定並びに判例によれば、正しいものはどれか。

(1)賃借人が家賃を支払おうとしても、賃貸人がこれを受領せず、以後の家賃の受領を明確に拒んだ場合においても、賃借人は、家賃を供託しないと、履行遅滞になる。
(2)賃貸借契約の更新の際、家賃の増額について賃貸人の請求があったときは、賃借人は、これを拒むことはできない。
(3)賃貸借契約の期間が満了した場合において、賃貸人が自ら使用することを必要とする等正当の事由があるときは、賃貸人は、あらかじめ更新拒絶の通知をしなくても、賃貸借契約の更新を拒むことができる。
(4)賃貸人の承諾を得て、賃借人から建物を転借している場合、賃貸借契約が合意解除されても、転借人の権利は、特段の事由がある場合を除き、消滅しない。

 

平成4年[問 11] 解説

(1)誤り。賃貸人が家賃を受領しなくても、賃借人が家賃を払わないと履行遅滞になる。賃借人がこの履行遅滞を防ぐには、家賃を法務局に供託する方法がある。しかし、賃貸人が家賃の受領を明確に拒んだ場合にも、賃借人に家賃を供託させることは無意味だから、このような場合には、賃借人は、家賃を供託しなくても、履行遅滞にならない。判例である。
(2)誤り。借賃の増額について当事者間に協議が調わないときは、増額請求を受けた者(賃借人)は、増額を正当とする裁判が確定するまでは、自分が相当と認める借賃を支払えばよい。だから、賃借人は増額請求を拒めないわけではない。
(3)誤り。賃貸人が賃貸借契約の更新を拒むには、賃貸人が自ら使用する等正当の事由があることの他に、あらかじめ(期間満了前6ヵ月ないし1年内に)、更新拒絶の通知をすることが必要である。
(4)正しい。賃貸人・賃借人間の賃貸借契約が『合意解除』によって終了しても、転貸借契約は終了しないのが原則である。終了させると、賃貸人・賃借人間の意思(合意解除)だけで転借人の立場を危うくすることが可能になり、妥当でないからである(判例)。

 正解(4)


平成5年[問 11] 賃貸借契約(借地借家法)

今年10月AがBのために新たに借地権を設定した場合に関する次の記述のうち、借地借家法の規定及び判例によれば、正しいものはどれか。

(1)借地権の存続期間は、契約で25年と定めようと、35年と定めようと、いずれの場合も30年となる。
(2)「期間満了の際、AがBに対し相当の一定額の交付さえ行えば、Aは更新を拒絶できる」と特約しても、その特約は、無効である。
(3)「地代の増減は、A・Bの協議によって定める」と約定した場合、Aは、協議を尽くさなければ、地代の増減を請求することはできない。
(4)「借地権の設定から30年経過後に、AがBの建物を時価で買い取り、契約は更新しない」と特約しても、その特約は、無効である。

 

平成5年[問 11] 解説

(1)誤り。借地権の存続期間は、30年以上の範囲でなら自由に定めることができるが、30年未満を定めた場合は30年になる。したがって、契約で25年と定めた場合は30年になるが、35年と定めた場合は35年になる。
(2)正しい。借地人に不利な特約は無効なのが原則であるが、本肢はその典型である。お金さえ交付すれば、地主(A)が更新を拒絶できる、という特約は無効である。
(3)誤り。地主(A)は『地代を増減しない特約』をしない限り、後で、地代の増減を請求できる。ここで地代の増減を請求できるとは、地主が一方的に請求できるという意味である。従って、地代の増減は協議によって定めると約定(特約)しても、本肢の場合、地代を増減しない特約はしていないのだから、地主は、後で、一方的に地代の増減を請求できる。
(4)誤り。更新のない借地権を定期借地権といい、その1ツに、『建物譲渡特約付き借地権』がある。本肢のような特約をした場合が、正に建物譲渡特約付き借地権だから、このような特約は有効である。

 正解(2)


平成6年[問 10] 賃貸借契約(借地借家法)

Aは、A所有の建物を、Bから敷金を受領して、Bに賃貸したが、Bは賃料の支払いを遅滞している。この場合、民法の規定及び判例によれば、次の記述のうち正しいものはどれか。なお、Bの未払賃料の額は、敷金の額の範囲内である。

(1)Bは、Aに対し、未払賃料について敷金からの充当を主張することができる。 
(2)Bの債権者Cが敷金返還請求権を差し押えたときは、Aは、その範囲で、Bの未払賃料の弁済を敷金から受けることができなくなる。
(3)AがDに建物を譲渡し、Dが賃貸人となった場合、Aに差し入れていた敷金は、Bの未払賃料を控除した残額について、権利義務関係がDに承継される。 
(4)Bが未払賃料を支払って、Aの承諾を得て賃借権をEに譲渡した場合、Bが、Eに敷金返還請求権を譲渡する等しなくても、敷金に関する権利義務関係は、Eに承継される。

 

平成6年[問 10] 解説

(1)誤り。敷金は賃料を払えないときの担保であるが、未払賃料について敷金からの充当を主張できるのは『賃貸人(A)』である。賃借人(B)ではない。
(2)誤り。賃借人(B)は、賃貸借が終了した時点で、差し入れていた敷金の返還請求権を有する。つまり、賃借人の敷金返還請求権は『賃貸借の終了時』に初めて権利性を有する。だから、賃貸借が終了しないうちのCの差し押さえは効力を生じない。従って、途中でCが差し押さえたとしても、賃貸人(A)は、未払賃料の弁済をその敷金から受けることができる。
(3)正しい。AがDに建物を譲渡し、Dが新賃貸人となった場合、Dは、賃借人Bに対して敷金返還義務を負う。しかも、この敷金返還義務は、Dが旧賃貸人(A)から敷金を受領するなどの事務の引継ぎを受けなくても、未払賃料を控除した残額について、当然に負う義務である。つまり、敷金に関する権利義務関係は、賃貸人が変更した場合、「新賃貸人」(D)に承継される。  
(4)誤り。適法な賃借権の譲渡があった(BがAの承諾を得て賃借権をEに譲渡した)場合、賃貸人(A)が敷金返還義務を負う相手は、新賃借人(E)ではなく、実際に敷金を差し入れた旧賃借人(B)である。つまり、敷金に関する権利義務関係は、賃借権の譲渡があった場合(賃借人が変更した場合)でも、「新賃借人」(E)には承継されない。

 正解(3)


平成6年[問 12] 賃貸借契約(借地借家法)

AがBから賃借している建物をCに転貸した場合に関する次の記述のうち、民法及び借地借家法の規定並びに判例によれば、誤っているものはどれか。

(1)AC間の転貸借がBの承諾を得ていない場合でも、その転貸借がBに対する背信的行為と認めるに足りない特段の事情があるときは、Bの解除権は発生しない。
(2)AB間の賃貸借が合意解除によって終了すれば、CがBの承諾を得て転借していても、特段の事由のない限り、AC間の転貸借は終了し、Cの権利は、消滅する。
(3)AB間の賃貸借がBの解約の申入れによって終了した場合において、Bの承諾を得て転借しているCが建物の使用を継続するときは、Bが遅滞なく異議を述べないと、AB間の賃貸借が更新される。
(4)AB間の賃貸借の期間が満了する場合においても、Bは、Bの承諾を得て転借しているCに対しその旨の通知をしなければ、その終了をCに対抗することができない。

 

平成6年[問 12] 解説

(1)正しい。AC間の転貸借がBの承諾を得ていない場合でも、その転貸借がBに対する背信的行為と認めるに足りない特段の事情があるとき(例:CがAの経営する個人企業であり、CとAが実質的には同一人である場合)は、Bの解除権は発生しない(判例)。
(2)誤り。AB間の賃貸借が『合意解除』によって終了しても、AC間の転貸借は終了しない。終了させると、AB間の意思(合意解除)だけでCの立場を危うくすることが可能になり、妥当でないからである(判例)。
(3)正しい。AB間の賃貸借がBの『解約の申入れ』によって終了した場合には、AC間の転貸借も終了するのが原則である。しかし、Bの承諾を得て転借しているCが建物の使用を継続するときは、Bが遅滞なく異議を述べないと、Cの保護のために、AB間の賃貸借が更新される。その結果、AC間の転貸借も終了しないことになる。
(4)正しい。AB間の賃貸借が『期間の満了』によって終了した場合には、AC間の転貸借も終了するのが原則である。しかし、BがCを追い出す(BがCに対抗する)には、Cに対しその旨(AB間の賃貸借が期間の満了によって終了した旨)の通知をしなければならない。なお、AC間の転貸借は、その通知から6ヵ月を経過することによって終了する。

 正解(2)


平成8年[問 12] 賃貸借契約(借地借家法)

AがBに対してA所有の建物を期間を定めないで賃貸した場合に関する次の記述のうち、借地借家法の規定及び判例によれば、誤っているものはどれか。

(1)Aは、Bに対して、解約の申入れの日から6月を経過しないと建物の明渡しを請求することができない。
(2)AがBに対し解約の申入れをしても、6月経過後のBの建物使用についてAが遅滞なく異議を述べないときは、契約は更新されたものとみなされる。
(3)AがBに対し解約の申入れをするため必要な正当の事由は、解約の申入れ時に存在すれば足り、6月経過時には存在しなくてもよい。
(4)AがBに対し解約の申入れをするため必要な正当の事由は、Aの自己使用の必要性のほかに、AがBに対し建物の明渡しの条件として金銭を支払う旨のAの申出をも考慮して判断される。

 

平成8年[問 12] 解説

(1)正しい。期間を定めない建物賃貸借契約は、当事者はいつでも解約の申し入れができる。この場合、賃貸人は、賃貸借を終了させるつもりの『6月前』までに解約の申し入れをしなければならない。従って、解約の申入れの日から6月を経過しないと建物の明渡しを請求できない。
(2)正しい。期間を定めない建物賃貸借契約は、賃貸人が解約の申し入れをした場合は、それから6ヵ月で終了する。しかし、6月経過後の賃借人の建物使用について、賃貸人が遅滞なく異議を述べないときは、契約は更新されたものとみなされる。つまり法定更新になる。
(3)誤り。期間を定めない建物賃貸借契約について、賃貸人が解約の申し入れをするには正当事由が必要であるが、判例は、正当事由は『解約申し入れの時期から6ヵ月間継続して存在することを要する』という。従って、「正当の事由は……6月経過時には存在しなくてもよい」とする本肢は誤り。
(4)正しい。正当の事由があるかどうかは、賃貸人Aの自己使用の必要性のほかに、Aが賃借人Bに対し建物の明渡しの条件として金銭(いわゆる立退料)を支払う旨のAの申出をも考慮して判断される。なお、正当事由があるかどうかは、賃借人の側の事情も考慮される(例:建物を使用する必要性)が、本肢は文章から賃借人の側の事情は聞いていないので、正しい。

 正解(3)


平成9年[問 12] 賃貸借契約(借地借家法)

家屋の賃貸人Aと賃借人Bの間の家賃に関する次の記述のうち、借地借家法及び民法の規定によれば、誤っているものはどれか。

(1)家賃の増減について特約のない場合で、建物の価格の低下その他の経済事情の変動により家賃が不相当に高額となったとき、Bは、Aに対し将来に向かって家賃の減額を請求できる。
(2)一定期間家賃を増額しない旨の特約がある場合でも、その期間内に、建物の価格の上昇その他の経済事情の変動により家賃が不相当に低額となったときは、Aは、Bに対し将来に向かって家賃の増額を請求することができる。
(3)Aの家賃の増額請求について、増額を正当とする裁判が確定した場合で、Bが既に支払った額に不足があるとき、Bは、その不足額に年1割の割合による支払期後の利息を付してこれをAに支払わなければならない。
(4)Aの家賃の増額請求に対し、Bが相当と認める額の家賃を提供したが、Aがその受領を拒んでいる場合に、Bが相当と認める額の家賃を供託したとき、Aは、家賃不払いを理由に家屋の賃貸借契約を解除することはできない。

 

平成9年[問 12] 解説

(1)正しい。家賃の額が建物の価格の上昇または低下等によって不相当になった場合、当事者は、将来に向かって家賃の増減を請求できる。従って、Bは、Aに対し将来に向かって家賃の減額を請求できる。    
(2)誤り。家賃の額が建物の価格の上昇または低下等によって不相当になったときでも、一定期間家賃を増額しない旨の特約がある場合には、当事者は、家賃の増額を請求できない。従って、本肢の場合、Aは、家賃の増額を請求できない。
(3)正しい。家賃の増額を求められた借家人は、増額を正当とする裁判が確定するまでは、自分が相当と認める額の家賃を支払えばよい。そして、裁判が確定し支払った家賃に不足があるときは、借家人(B)は、その不足額に年1割の割合による支払期後の利息を付けて、支払う必要がある。   
(4)正しい。家賃の増額を求められた借家人が、増額を正当とする裁判が確定するまで、自分が相当と認める額の家賃を支払ったのに、家主がこれを受領しない場合には、借家人は、法務局に供託をすれば、家賃を支払ったのと同じ効果が生じる(従って、借家人は地代の支払いについて履行遅滞にならず、家主は借家人の履行遅滞を理由に賃貸借契約を解除できない)。

 正解(2)


平成10年[問 6] 賃貸借契約(借地借家法)

AはBから建物を賃借し、Bの承諾を得て、当該建物をCに転貸している。この場合、民法の規定及び判例によれば、次の記述のうち正しいものはどれか。なお、Aの支払うべき賃料の額は、Cの支払うべき転借料の額より小さいものとする。

(1)AとBとが賃貸借契約を合意解除した場合、AC間の転貸借契約は、その前提を失うため、特別の事情のある場合を除き、当然に終了する。
(2)Cは、Bから請求があれば、CがAに支払うべき転借料全額を直接Bに支払うべき義務を負う。
(3)Bは、Aの債務不履行によりAB間の賃貸借契約を解除しようとする場合、Cに対して、3ヵ月以前に通知し、Aに代わって賃料を支払う機会を与えなければならない。
(4)Bが、Aの債務不履行によりAB間の賃貸借契約を適法に解除した場合、Cは、AC間の転貸借契約に基づく転借権をBに対抗することができない。

 

平成10年[問 6] 解説

(1)誤り。AB間の賃貸借が『合意解除』によって終了しても、AC間の転貸借は終了しない。終了させると、AB間の意思(合意解除)だけでCの立場を危うくすることが可能になり、妥当でないからである(判例)。
(2)誤り。適法な(賃貸人の承諾による)転貸があった場合、転借人(C)は賃貸人(B)に対して直接義務を負うので、Bが請求した場合、CはBに家賃を支払わなければならない。この場合、Bが請求できるのは、Aの支払うべき賃料の額までである。Bは、Cの支払うべき転借料の額(Aの支払うべき賃料より大きい)までは、Cに請求できない。なぜなら、何人といえども自分が有する債権額以上のものを請求できないのが民法の大原則であり、Bが有している債権額はAの支払うべき賃料の額であり、Cの支払うべき転借料の額ではないからである。
(3)誤り。Aの債務不履行というのは、Aが賃料の支払いを履行遅滞したような場合である。このような場合、BはAの履行遅滞を理由に賃貸借契約を解除できるから、Bは、Aに対して、相当の期間を定めて催告し、その期間内に履行がなければ、賃貸借契約を解除できる。転借人(C)に対して、賃借人(A)に代わって賃料を支払う機会を与える必要などない。
(4)正しい。賃貸人(B)と賃借人(A)の間の賃貸借契約が『解除』によって終了した場合には、賃借人(A)と転借人(C)の間の転貸借契約も終了する。この場合、転借人を保護する道はない。従って、Cは、AC間の転貸借契約に基づく転借権をBに対抗することができない。

 正解(4)


平成11年[問 14] 賃貸借契約(借地借家法)

賃貸人Aと賃借人Bとの間の居住用建物の賃貸借契約に関する次の記述のうち,借地借家法の規定及び判例によれば,正しいものはどれか。

(1)「Aは,Bが建物に造作を付加することに同意するが,Bは,賃貸借の終了時に,Aに対してその造作の買取りを請求しない」旨の特約は有効である。
(2)Bが死亡した場合で,その当時Bの相続人でない事実上の配偶者Cがこの建物で同居していたとき,Cは,当該建物の賃借権に限っては,相続人に優先してBの賃借人としての地位を承継する。
(3)この建物が,その敷地の売却に伴い2年後に取り壊されることが明らかな場合に,「建物を取り壊すこととなる時に賃貸借が終了する」旨の特約をAB間の賃貸借契約に定めるときは,公正証書によってしなければならない。
(4)BがAに敷金を交付していた場合に,Aがこの建物をDに売却し,賃貸人としての地位をDに承継したときでも,Dの承諾がない限りAの敷金返還債務は承継されず,Bは,Aに対してのみ敷金の返還請求をすることができる。

 

平成11年[問 14] 解説

(1)正しい。賃貸人Aと賃借人Bは建物の賃貸借契約を結んでいるので,本問の契約は借家契約だ。借家契約では,借地借家法の定めに反する特別の約束(特約)で賃借人に不利なものは無効になる色々な場合がある。でも,(1)のような場合,つまり内装(造作)を賃貸人が買取る定めについては,賃借人に不利な約束をしても,無効にならない。有効だ。借地借家法は賃借人の居住権(やたらに追い出されない権利)を厚く保護する法律であり,居住の質までを厚く保護するものではないからだ。
(2)誤り。住むための建物(居住用建物)の賃貸借契約で,賃借人が「相続人なく」死んだ場合は,同居していた内縁の妻(内縁の夫でもよい!)は,賃借人の地位を受け継ぐ。でも,これは内縁の妻を相続人(正妻(せいさい)さん)に優先させる制度じゃない。賃借人が「相続人なく」死んだ場合にだけ,内縁の妻に賃借人の地位を受け継がせ,その居住権を保護するものだ。
(3)誤り。(3)のような特約をした建物賃貸借を「取壊(とりこわ)し予定建物の賃貸借」というが,これを定める場合に公正証書(公証人という公務員が作った書類)でする必要はない。口約束ではダメだが,書面ですれば便箋(びんせん)に書いても良い。なお,公正証書でしなければならない特約は,借地権を事業用(定期)借地権にする場合の特約だけだ。
(4)誤り。

敷金というのは,賃借人が家賃を払えないときの担保として賃貸人が預かっているものだ。家賃の不払いがなければ,賃貸借が終了する際に,その時の賃貸人が,賃借人に返さなければならない。途中で賃貸人がAからDに変わった場合,賃貸借が終了する際の賃貸人はAではないから,賃借人Bを保護するため,AD間で引継ぎがなくても(Dの承諾がなくても),敷金を返さなければならない義務はDが受け継ぐ。だから,Bは,将来Dに対して敷金の返還を請求できる。

 正解(1)


平成12年[問 11] 賃貸借契約(借地借家法)

Aを賃借人,Bを賃貸人としてB所有の土地に建物譲渡特約付借地権を設定する契約(その設定後30年を経過した日に借地上の建物の所有権がAからBに移転する旨の特約が付いているものとする。)を締結した場合に関する次の記述のうち,借地借家法の規定によれば,誤っているものはどれか。

(1)本件契約における建物譲渡の特約は,必ずしも公正証書によって締結する必要はない。
(2)Aの借地権は,その設定後30年を経過した日における建物譲渡とともに消滅し,本件契約がABの合意によらずに法定更新されることはない。
(3)建物譲渡によりAの借地権が消滅した場合で,Aがその建物に居住しているときは,Aは,直ちに,Bに対して建物を明け渡さなければならず,賃借の継続を請求することはできない。
(4)Cが,建物をAから賃借し,Aの借地権消滅後もそこに居住している場合で,Bに対して賃借の継続を請求したときは,一定の場合を除き,BC間に期間の定めのない建物賃貸借がされたものとみなされる。

 

平成12年[問 11] 解説

建物譲渡特約付借地権とは,
@契約が続く期間(存続期間)が30年以上であること
A契約終了後は借地の上の建物を地主(B)に時価で譲る約束(特約)をすること
という2つの条件を満たした上で結ばれる借地権だ。つまり,30年以上たっていれば,借地の上の建物を地主に譲ることを条件に借地権が自動消滅する(更新もない)のが,建物譲渡特約付借地権だ。なお,自動消滅する(更新もない)借地権を総称して定期借地権といい,建物譲渡特約付借地権の他に,一般定期借地権と事業用借地権がある。
(1)正しい。定期借地権(一般定期借地権や事業用借地権)は公正証書(公証人という公務員が作った文書)等の書面(書類)によって契約するのが原則だが,建物譲渡特約付借地権だけは口約束でもよいことになっている。建物譲渡特約付借地権の特約は,借地の上の建物を地主に譲ることを条件とするものなので,一般定期借地権や事業用借地権より定期借地権であることが明確だからだ。
(2)正しい。30年以上(本問では30年ちょうど)たっていれば,借地の上の建物を地主に譲ることを条件に借地権が自動消滅する(更新もない)のが,建物譲渡特約付借地権だ。したがって,(2)のように言える。
(3)誤り。(3)では土地を借りているAの建物譲渡特約付借地権は建物がBの物になることで終了している。でも,その建物に実際に住んで生活しているのは依然としてAだ。そこでAを保護するため,AはBの物になった建物を契約期間の定めなく,法律上当然に借りることができることになっている。これを法定借家権という(この建物の家賃は,ABの話し合いで決まらなければ裁判所が決める)。
(4)正しい。(4)でも(3)と同様,土地を借りているAの建物譲渡特約付借地権は終了している。終了しているから建物はBの物になっている。でも,その建物に実際に住んで生活しているのはAから建物を借りたCだ。そこでCを保護するため,(3)と同様の発想で,CはBの物になった建物を契約期間の定めなく,法律上当然に借りることができることになっている。これも法定借家権だ(この建物の家賃も,ACの話し合いで決まらなければ裁判所が決める)。

 正解(3)


平成12年[問 12] 賃貸借契約(借地借家法)

Aが,B所有の建物を賃借している場合に関する次の記述のうち,借地借家法の規定によれば,正しいものはどれか。

(1)Aが,建物に自ら居住せず,Bの承諾を得て第三者に転貸し,居住させているときは,Aは,Bからその建物を買い受けた者に対し,賃借権を対抗することができない。
(2)Aが建物を第三者に転貸しようとする場合に,その転貸によりBに不利となるおそれがないにもかかわらず,Bが承諾を与えないときは,裁判所は,Aの申立てにより,Bの承諾に代わる許可を与えることができる。
(3)建物の転貸借がされている場合(転借人C)において,AB間の賃貸借が正当の事由があり期間の満了によって終了するときは,Bは,Cにその旨通知しないと,Aに対しても,契約の終了を主張することができない。
(4)Bの建物がDからの借地上にあり,Bの借地権の存続期間の満了によりAが土地を明け渡すべきときは,Aが期間満了をその1年前までに知らなかった場合に限り,Aは,裁判所に対し土地の明渡しの猶予を請求することができる。

 

平成12年[問 12] 解説

(1)誤り。Aが,建物を第三者に又貸し(転貸し)しても,Aは,法律関係から離脱せず,依然として賃借権(借家権)を持っている。又貸ししたAにもその建物を監視させるなど,ある程度の支配権を与えるのがBのためでもあるからだ。ところで,借家権は借家の「引渡し」(その借家を支配している事実)があれば,第三者(Bからその建物を買った者)にも主張(対抗)できるが,(1)では,Aに借家の引渡しがあると言える。AにはBのためにある程度の支配権が与えられているからだ。したがって,AはBからその建物を買った者に対し,借りている権利(借家権)を主張できる。
(2)誤り。「建物」は使う人によって,いたみ方が大きく違ってくる。そこで,Aが建物を第三者に又貸ししようとする場合に,その又貸しによりBが不利とならないのに,Bが又貸しをOKしないとしても,BのOKに代わる許可を裁判所に請求できる制度などない。なお,これが「土地」の又貸しだったら(2)のような制度がある。土地は使う人によって,いたみ方がそんなに大きく違わないからだ。
(3)誤り。建物がCに又貸しされている場合に,AB間の貸し借り契約が正当に期間が来たことで終ったときは,Bは,CにAB間の契約が終わったことを通知しないと,「C」に対して,契約の終了を主張できない。その建物に実際に住んで生活している「C」を保護するためだ。でも,AB間の貸し借り契約は正当に期間が来たことで終ったので,BはCに通知しなくても,「A」に対しては契約の終了を主張できる。
(4)正しい。Bの建物がDから借りている土地の上にあり,Bの土地を借りる権利が終了したときは,根本の契約(土地の契約)が無くなるので,建物を借りているAもDに土地を明け渡す必要がある。しかし,いきなり明け渡せと言われてもAに気の毒だ。そこで,AがBの土地を借りる権利が終了したことを,その1年前までに知らなかった場合に限って,Aは,裁判所に土地の明渡しを待ってくれと(土地の明渡しの猶予(ゆうよ)を)請求できることになっている。

 正解(4)


平成13年[問 13] 賃貸借契約(借地借家法)

賃貸人A(個人)と賃借人B(個人)との間の居住用建物の賃貸借契約に関する次の記述のうち,借地借家法の規定及び判例によれば,誤っているものはどれか。

(1)Bが家賃減額の請求をしたが,家賃の減額幅についてAB間に協議が調わず裁判になったときは,Aは,その裁判が確定するまでの期間は,Aが相当と認める金額の家賃を支払うようにBに請求できる。
(2)Bが家賃減額の請求をしたが,家賃の減額幅についてAB間に協議が調わず裁判になったときは,その請求にかかる一定額の減額を正当とする裁判が確定した時点以降分の家賃が減額される。
(3)家賃が,近傍同種の建物の家賃に比較して不相当に高額になったときは,契約の条件にかかわらず,Bは,将来に向かって家賃の減額を請求することができる。
(4)AB間で,3年間は家賃を減額しない旨特に書面で合意した場合,その特約は効力を有しない。

 

平成13年[問 13] 解説

(1)正しい。家賃の減額を求められた家主(A)が、当事者間(AB間)で協議が調(ととの)わないときは,減額を正当とする裁判が確定するまでは、自分が相当と認める額の家賃の支払いを求めることができる。
(2)誤り。借地借家法には「裁判が確定し(Bの請求による減額がモットモだとする裁判が確定し),支払われた家賃に超過があるときは、家主は、「減額請求後」の超過額に,年1割の割合による受領時からの利息を付けて、返還する必要がある」という定めがある。この定めは,「減額請求後」の超過額の返還を命ずるものだ。したがって(2)では,「減額請求後」の家賃が減額されることになる。でも,「裁判が確定した時点以降分」の家賃が減額される,と書いてあるから誤りだ。
(3)正しい。借家契約の家賃の額が、存続期間の途中で、不相当になった場合、当事者は,契約の条件にかかわらず,借賃の増減(増額や減額)を、将来に向かってのみ、請求できる。したがって,家賃が,近傍同種の建物の家賃に比較して不相当に高額になったときは,契約の条件にかかわらず,Bは,将来に向かって家賃の減額を請求することができる,言える。
(4)正しい。一定の期間,賃貸人が借賃の「増額」を行わない旨の特約は有効だが,一定の期間,賃貸人が借賃の「減額」を行わない旨の特約は,賃借人に不利なので,特約自体が無効だ。書面でするかどうかを問わない。

 正解(2)


平成15年[問 14] 賃貸借契約(借地借家法)

今年10月に新規に締結しようとしている,契約期間が2年で,更新がないこととする旨を定める建物賃貸借契約(以下この問において「定期借家契約」という。)に関する次の記述のうち,借地借家法の規定によれば,正しいものはどれか。

(1)事業用ではなく居住の用に供する建物の賃貸借においては,定期借家契約とすることはできない。
(2)定期借家契約は.公正証書によってしなければ,効力を生じない。
(3)定期借家契約を締結しようとするときは,賃貸人は,あらかじめ賃借人に対し,契約の更新がなく,期間満了により賃貸借が終了することについて,その旨を記載した書面を交付して説明しなければならない。
(4)定期借家契約を適法に締結した場合,賃貸人は,期間満了日1カ月前までに期間満了により契約が終了する旨通知すれば,その終了を賃借人に対抗できる。

 

平成15年[問 14] 解説

定期借家契約とは,借家権の設定に際して,将来,更新しない旨を特約したものをいう。
(1)誤り。定期借家契約は,居住用建物(居住の用に供する建物)の賃貸借でも結べる。事業用建物の賃貸借でも,もちろん結べる。
(2)誤り。定期借家契約を結ぶには.公正証書(公証人という公務員が作った書類)でする必要はない。口約束ではダメだが「書面」ですれば,効力を生じる。
(3)正しい。定期借家契約を結ぼうとするときは,家主が事前に,「この賃貸借は契約の更新がなく,期間満了に伴い賃貸借が終了する」旨を,借家人に書面で説明しなければならない。したがって(3)の表現は正しい。
(4)誤り。本問の定期借家契約の契約期間は2年だが,「存続期間が1年以上」の定期借家権の場合は,家主は,「期間満了の1年前から6ヶ月前までの間」に,賃貸借契約が終了する旨を借家人に通知(口頭可)しなければならない。したがって,賃貸人が期間満了日「1カ月前まで」に通知しても,その終了を賃借人に対抗できない。

 正解(3)


平成16年 [問 13] 賃貸借契約(借地借家法)

AはBに対し甲建物を月20万円で賃貸し,Bは,Aの承諾を得たうえで,甲建物の一部をCに対し月10万円で転貸している。この場合,民法及び借地借家法の規定並びに判例によれば,誤っているものはどれか。

(1)転借人Cは,賃貸人Aに対しても,月10万円の範囲で,賃料支払債務を直接に負担する。
(2)賃貸人Aは,AB間の賃貸借契約が期間の満了によって終了するときは,転借人Cに対しその旨の通知をしなければ,賃貸借契約の終了をCに対し対抗することができない。
(3)AB間で賃貸借契約を合意解除しても,転借人Cに不信な行為があるなどの特段の事情がない限り,賃貸人Aは,転借人Cに対し明渡しを請求することはできない。
(4)賃貸人AがAB間の賃貸借契約を賃料不払いを理由に解除する場合は,転借人Cに通知等をして賃料をBに代わって支払う機会を与えなければならない。

 

平成16年 [問 13] 解説

  A  ---   B  ---   C 
(賃貸人)  (賃借人)    (転借人)
(1)正しい。賃借人が適法に賃借物を転貸したときは,転借人は,賃貸人に対して直接に義務を負う。これは,Cは,BのほかAに対しても,賃料支払債務を直接に負担する,という意味だ。この場合,CがAに対して負う賃料の額は,20万円と10万円を比較して「少ない方の金額」,つまり10万円でよい。
(2)正しい。賃貸人・賃借人間の賃貸借契約が「期間の満了」によって終了するときは,賃借人・転借人間の転貸借契約も終了する。「親亀こけたら子もこける」。この場合,建物の賃貸人が転貸借契約の終了を転借人に対抗する(転借人を追い出す)には,賃貸借契約が期間満了によって終了すべき旨を,転借人に通知しなければならない。転借人を保護するためだ。
(3)正しい。賃貸人・賃借人間の賃貸借契約が,「合意解除によって」終了するときは,特段(特別)の事由がある場合を除き,賃借人・転借人間の転貸借契約は終了しない。「親亀こけても子はこけない」。したがって,賃貸人は,転借人に明渡しを請求できない。
(4)誤り。賃貸人・賃借人間の賃貸借契約が,「解除(賃料不払いを理由にする解除)によって」終了した場合は,賃借人・転借人間の転貸借契約も終了する。「親亀こけたら子もこける」。この場合には(2)と違って,賃貸人の保護が優先され,転借人を保護する道はない。したがって賃貸人は,賃借人に代わって転借人に賃料を支払う機会を与える必要などない。

 正解(4)


平成19年[問 13] 賃貸借契約(借地借家法)

Aが所有者として登記されている甲土地上に、Bが所有者として登記されている乙建物があり、CがAから甲土地を購入した場合に関する次の記述のうち、民法及び借地借家法の規定並びに判例によれば、誤っているものはどれか。

(1)Bが甲土地を自分の土地であると判断して乙建物を建築していた場合であっても、Cは、Bに対して建物を収去して土地を明け渡すよう請求できない場合がある。
(2)BがAとの間で甲土地の使用貸借契約を締結していた場合には、Cは、Bに対して建物を収去して土地を明け渡すよう請求できる。
(3)BがAとの間で甲土地の借地契約を締結しており、甲土地購入後に借地権の存続期間が満了した場合であっても、Cは、Bに対して建物を収去して土地を明け渡すよう請求できない場合がある。
(4)BがAとの間で期間を定めずに甲土地の借地契約を締結している場合には、Cは、いつでも正当事由とともに解約を申し入れて、Bに対して建物を収去して土地を明け渡すよう請求できる。

 

平成19年[問 13] 解説

(1)正しい。「Bが甲土地を自分の土地であると判断して乙建物を建築していた場合」,Bに取得時効が成立している可能性がある。例えば,CがAから甲土地を購入し登記した後で,Bの取得時効が完成したときは,Bは登記なくしてCに所有権を主張できるので,Cは,Bに対して建物を収去して土地を明け渡すよう請求できないことになる。
(2)正しい。BがAとの間で甲土地の「賃貸借契約」を締結していた場合なら,これはBの借地権となるので,借地上の乙建物を登記しているBは,借地権をCに対抗できる,という借地借家法上の保護がある。しかし,BがAとの間で締結していたのは甲土地の「使用貸借契約」に過ぎないので,Bが土地上の乙建物を登記していても,土地の権利(使用借権)をCに対抗できる,という借地借家法上の保護はない。したがって,Cは,Bに対して建物を収去して土地を明け渡すよう請求できる,と言える。
(3)正しい。Bの借地権の存続期間が満了した場合であっても,Bが土地の使用を継続し,地主Aが遅滞なく正当事由を備えた異議を述べず,かつ,建物がある場合は,借地権は法定更新され,さらに存続する。そして,借地権は借地上の乙建物を登記していれば,第三者である甲土地購入者Cに対抗できる,という借地借家法上の保護がある。したがって,本肢のように言える。
(4)誤り。当事者が期間を定めなかったときの借地権の存続期間は,借地借家法が30年と定めている。したがって,30年経つまでは,誰にどんな正当事由があっても,Bを追い出すことなどできない。

 正解(4)

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