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宅建試験・テーマ別過去問解説集 宅建業法

  自ら売主となり買主が非業者のときだけの規制

昭和56年[問 43] 自ら売主となり買主が非業者のときだけの規制

宅地建物取引業者Aは、B所有の宅地を宅地建物取引業者でないCに転売しようとしている。次の記述で、宅地建物取引業法上正しいものはどれか。

(1)Aは、Bにこの宅地の買取りについてまったく話を持ち掛けていない場合であっても、Bから承諾を受ける見込みで、その宅地をCに売り渡す契約を締結しても、差し支えない。
(2)Aは、Bとの間でこの宅地の買取りに関する停止条件付きの契約を締結している場合であっても、この宅地をCに売り渡す契約をしてはならない。
(3)Aは、Bとの間でこの宅地の買取りに関する契約を締結したうえ、Bに代金の全額を支払った後でなければ、この宅地をCに売り渡す契約をしてはならない。
(4)Aは、Bとの間でこの宅地の買取りに関する契約を締結したうえ、所有権の移転登記を完了した後でなければ、この宅地をCに売り渡す契約を締結してはならない。

 

昭和56年[問 43] 解説

本問は、自己の所有に属しない物件の売買禁止についての出題だ。
つまり、宅建業者(A)が自ら売主となり、買主(C)が非業者であるときは、他人(B)の所有する物件について売買契約を締結できないのが原則だ。例外として、宅建業者が他人との間で物件の買取り契約(予約を含む。停止条件付契約を除く。)を結んでいれば、他人の所有する物件についても売買契約を締結できる。
(1)誤り。宅建業者が他人(B)との間で物件の買取り契約を結んでいないのだから、原則通り、Aはこの宅地をCに売り渡す売買契約を締結できない。
(2)正しい。宅建業者が他人との間で物件の買取り契約を結んでいれば、他人の所有する物件についても売買契約を締結できる。しかし、この買取り契約(BA間の契約)は停止条件付契約を除くので、Aは、この宅地をCに売り渡す売買契約を締結できない。
(3)誤り。宅建業者が他人との間で物件の買取り契約を結んでいるのだから、Aはこの宅地をCに売り渡す売買契約を締結できる。Bに代金の全額を支払った後でなくても、同じだ。
(4)誤り。宅建業者が他人との間で物件の買取り契約を結んでいるのだから、Aはこの宅地をCに売り渡す売買契約を締結できる。所有権の移転登記を完了した後でなくても、同じだ。

 正解(2)


昭和61年[問 40] 自ら売主となり買主が非業者のときだけの規制

宅地建物取引業者が自ら売主となる宅地又は建物の売買契約に関する次の記述のうち、宅地建物取引業法の規定によれば、誤っているものはどれか。

(1)宅地建物取引業者は、原則として自己の所有に属しない宅地又は建物について売買契約を締結してはならないが、買主が宅地建物取引業者である場合はこの限りではない。
(2)宅地建物取引業者は、建物の建築に関する工事の完了前においては当該工事に必要となる建築基準法第6条第1項の確認があった後でなければ、当該工事に係る建物について売買契約を締結してはならないが、買主が宅地建物取引業者である場合はこの限りではない。
(3)宅地建物取引業者は、建物の建築に関する工事の完了前においては、宅地建物取引業法第41条の規定に基づく手付金等の保全措置を講じた後でなければ、原則として買主から手付金等を受領してはならないが、買主が宅地建物取引業者である場合はこの限りでない。
(4)宅地建物取引業者は、売買契約の締結に際して、代金の額の2/10を超える額の手付を受領することはできないが、買主が宅地建物取引業者である場合はこの限りでない。

 

昭和61年[問 40] 解説

(1)正しい。自己の所有に属しない物件の売買禁止は、8種規制なので、買主が業者である場合には適用されない。したがって、買主が業者である場合には、自己の所有に属しない宅地又は建物についても売買契約を締結できる。
(2)誤り。契約締結時期の制限(工事完了前で、かつ、許可等の処分がない場合は売買・交換契約にたずさわることが禁止される)は、8種規制ではないので、買主が業者である場合にも適用される。したがって、買主が業者である場合でも、工事の完了前においてはその工事に必要となる建築基準法第6条第1項の確認(建築確認)があった後でなければ、その工事に係る建物について売買契約を締結してはならない。
(3)正しい。手付金等の保全措置をとる義務は、8種規制なので、買主が業者である場合には適用されない。したがって、買主が業者である場合には、手付金等の保全措置を講じなくても買主から手付金等を受領できる。
(4)正しい。手付金の額の制限(代金額の2/10を超える額の手付を受領することができない)は、8種規制なので、買主が業者である場合には適用されない。したがって、買主が業者である場合には、代金額の2/10を超える額の手付でも受領できる。

 正解(2)


平成3年[問 46] 自ら売主となり買主が非業者のときだけの規制

宅地建物取引業法第37条の2に規定する事務所等以外の場所においてした買受けの申込みの撤回等に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

(1)売買契約が、売主である宅地建物取引業者の事務所以外の場所で継続的に業務を行うことができる施設を有するものにおいて締結された場合、専任の取引主任者がそのとき不在であっても、買主は、当該売買契約を解除することができない。
(2)売買契約が、売主である宅地建物取引業者が行う一団の建物の分譲のためのモデルルームで締結された場合、当該モデルルームについて宅地建物取引業法第50条第2項の届出がされていないときでも、買主は、当該売買契約を解除することができない。
(3)買受けの申込みが、売主である宅地建物取引業者が行う一団の宅地の分譲のためのテント張りの案内所で行われ、売買契約が、その2日後に当該宅地建物取引業者の事務所で締結された場合、買主は、当該申込みの撤回等をすることができない。
(4)買受けの申込みが、売主である宅地建物取引業者から媒介の依頼を受けた他の宅地建物取引業者の事務所で行われた場合、買主は、当該申込みの撤回をすることができない。

 

平成3年[問 46] 解説

(1)正しい。業者が自ら売主となり、買主が非業者であるときは、事務所等以外の場所で買い受けの申込等をした買主は、クーリングオフできる。逆に言うと、事務所等で買い受けの申込等をした買主は、クーリングオフできない。継続的に業務を行うことができる施設を有する所は『事務所等』である。したがって、解除(クーリングオフ)できない。専任の取引主任者がいたか否かは問わない。
(2)正しい。一団の建物の分譲のためのモデルルームは『事務所等』である。したがって、解除(クーリングオフ)できない。案内所等の届出(50条第2項の届出)がなされたか否かは問わない。
(3)誤り。買い受けの申込みが『事務所等以外の場所』(テント張りの案内所)で行われた場合は、その後、契約の締結が『事務所等』(事務所)で行われても、解除(クーリングオフ)できる。
(4)正しい。媒介の依頼を受けた別の業者の事務所も、『事務所等』である。したがって、解除(クーリングオフ)できない。

 正解(3)


平成4年[問 41] 自ら売主となり買主が非業者のときだけの規制

宅地建物取引業者Aが自ら売主となって宅地建物取引業者でないBとマンション(工事完了済)の売買契約(価格 4,500万円)を締結した場合に関する次の記述のうち、宅地建物取引業法の規定に違反しないものは、どれか。

(1)Aは、Bから手付金 400万円及び中間金 2,000万円を受領し、中間金については、銀行と保証委託契約を締結して、その契約を証する書面をBに交付したが、手付金については、何ら保全措置を講じていない。
(2)Aは、Bから手付金 600万円を受領するに当たって、半額については銀行と保証委託契約を締結し、また、残りの半額については友人を連帯保証人として、それぞれの契約を証する書面をBに交付した。
(3)Aは、Bから手付金 900万円を受領するに当たって、銀行と保証委託契約を締結し、その契約を証する書面をBに交付したが、その後Bへの所有権移転登記を行ったので、当該保証委託契約を解約した。
(4)Aは、Bから手付金 1,000万円を受領するに当たって、銀行と保証委託契約を締結し、その契約を証する書面をBに交付したが、その後当該マンションを 6,000万円で買いたいというCが現れたので、 2,000万円をBに支払って、Bとの売買契約を解除した。

 

平成4年[問 41] 解説

(1)違反する。工事完了後は代金額の10%超または1,000 万円超を受領しようとする前に、手付金等の保全措置が必要となる。本肢では手付金と中間金で 2,400万円を受領したのであるから、その前に保全措置が必要となる。保全措置が必要である以上、手付金等の全額(2,400 万円)について保全しなければならない。したがって、手付金 400万円について保全措置を講じていないAは、業法に違反する。
(2)違反する。600 万円は代金額の10%超であるから、保全措置が必要となる。ここに保全措置とは、銀行・保険会社・指定保管機関に万一の場合の後始末を頼むことであり、友人に頼んだのではダメである。
(3)違反しない。900 万円は代金額の10%超であるから、保全措置が必要となるのが原則だが、買主がその物件の登記を得た場合は、保全措置が不要となる。したがって、その後保証委託契約を解約しても、業法に違反しない。
(4)違反する。業者が自ら売主となり買主が非業者の場合だから、AがBから手付金1,000 万円を受領する行為自体が、手付金の額の制限(代金額の20%まで、本問では 900万円まで)に違反する。

 正解(3)


平成5年[問 43] 自ら売主となり買主が非業者のときだけの規制

宅地建物取引業者Aは、自ら売主となって、建築工事完了前の建物を、宅地建物取引業者でない買主Bに代金 6,000万円で譲渡する契約を締結し、手付金として 500万円を受け取った。この場合、次の記述のうち、宅地建物取引業法の規定に違反するものはどれか。

(1)契約締結の際、ABの合意で、「当事者の一方が契約の履行に着手するまでは、Bは手付を放棄して、また、Aは手付の3倍の額を償還して、契約を解除することができる」との特約を結んだ。
(2)契約締結の際、ABの合意で、「当事者の一方が契約の履行に着手した後契約を解除するには、 1,200万円の違約金を支払わなければならない」との特約を結んだ。
(3)契約締結の1週間後に中間金 1,000万円を支払うこととされていたので、Aは、手付金 500万円について、中間金受領の際に、まとめて手付金等の保全措置を講じた。
(4)Aは、手付金等の保全措置について、C信用金庫と保証委託契約を締結し、その連帯保証書をBに交付した。

 

平成5年[問 43] 解説

(1)違反しない。業者が自ら売主となり買主が非業者であるときは、授受された手付は解約手付となる。解約手付が授受された場合、売主(業者)は買主が履行に着手するまでは、手付の倍額を返還して契約を解除できる。これに反する特約で買主に不利なものは無効である(業法違反でもある)。本肢の特約は「A(業者)は手付の3倍の額を償還して契約を解除することができる」というものであり、買主に有利な特約である。したがって、有効であり、業法に違反しない。
(2)違反しない。業者が自ら売主となり買主が非業者であるときは、代金額の20%(1,200万円)を超える違約金を定めることはできないが、本肢の違約金の定めは20%ちょうどなので、業法に違反しない。また、本肢の特約は「履行に着手した後」に関するものなので、(1)で述べた解約手付の性質にも違反しない。
(3)違反する。業者が自ら売主となり買主が非業者であるときは、工事完了前の物件については、代金額の5%を超える手付金等を受領しようとする前に手付金等の保全措置を講じる必要がある。本肢の手付金は代金額の5%を超えているので、手付金を受領しようとする前に、保全措置を講じなければならない。
(4)違反しない。手付金等の保全措置は保証委託契約でもよい。ここでいう保証委託契約は、銀行等(信用金庫を含む)に連帯保証を委託し、その連帯保証書を買主(B)に交付することである。

 正解(3)


平成6年[問 42] 自ら売主となり買主が非業者のときだけの規制

宅地建物取引業者でない買主Aが宅地建物取引業者である売主Bと宅地の売買契約を締結した場合における、宅地建物取引業法第37条の2の規定による売買契約の解除に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

(1)Aは、Aの申出により、Aの取引銀行の店舗内で売買契約を締結したときは、その契約を解除することができない。
(2)Aは、Bの営業マンの申出により、Aの勤務先で売買契約を締結したときは、その契約を解除することができない。
(3)Aは、Bから媒介の依頼を受けた宅地建物取引業者Cの申出により、Cの事務所で売買契約を締結したときは、その契約を解除することができない。
(4)Aは、Bの現地案内所(テント張り)で買受けの申込みをし、その翌日Bの申出によりAの自宅で売買契約を締結したときは、その契約を解除することができない。

 

平成6年[問 42] 解説

(1)誤り。業者(B)が自ら売主となり、買主(A)が非業者であるときは、『事務所等以外の場所』で買い受けの申込等をした買主は、クーリングオフできる。取引銀行の店舗は、事務所等以外の場所に該当する。したがって、Aは解除(クーリングオフ)できる。Aの申出の有無を問わない。
(2)誤り。事務所等以外の場所で買い受けの申込等をした買主は、クーリングオフできるが、「業者(B)が申出た場合の勤務先」は事務所等以外の場所に該当する(「買主(A)が申出た場合の勤務先」は事務所等以外の場所に該当しないが……)。したがって、Aは解除(クーリングオフ)できる。
(3)正しい。媒介の依頼を受けた別の業者(C)の事務所は、「事務所等以外の場所」に該当しない。したがって、Aは解除(クーリングオフ)できない。Cの申出の有無を問わない。
(4)誤り。テント張りの案内所は『事務所等以外の場所』に該当する。従って、Aは解除(クーリングオフ)できる。なお、買受けの申込みが「事務所等以外の場所」(テント張りの案内所)で行われた以上、Aの申出によるAの自宅(事務所等以外の場所に該当しない場所)で契約の締結が行われたとしても、Aは解除(クーリングオフ)できる。もっとも、本肢では、Bの申出によるAの自宅なので、このようなことは考えないでよい。

 正解(3)


平成7年[問 43] 自ら売主となり買主が非業者のときだけの規制

宅地建物取引業者Aが、自ら売主として、宅地建物取引業者でないBに対し宅地(造成工事完了済み)を分譲しようとする場合に関する次の記述のうち、宅地建物取引業法の規定によれば、正しいものはどれか。なお、当該宅地の分譲価格は5,000万円とする。

(1)「Aが瑕疵担保責任を負うべき期間を当該宅地の引渡しの日から2年間とする」旨の特約をしたときでも、Aは、Bが瑕疵を発見した時から1年間は瑕疵担保責任を負わなければならない。
(2)Aは、「債務の不履行による契約の解除に伴う損害賠償の予定額を 1,000万円とし、別に違約金を 500万円とする」旨の特約をすることはできない。
(3)「Bは、Aが契約の履行に着手するまでは、手付金の半額を放棄すれば契約を解除できる」旨の特約をしても、Bは全額を放棄しなければ解除できない。
(4)「宅地建物取引業法第41条の2 に規定する手付金等の保全措置を講ずるので手付金を 1,500万円とする」旨の特約があれば、Aは、その額の手付金を受領できる。

 

平成7年[問 43] 解説

(1)誤り。業者が自ら売主となり買主が非業者である場合、瑕疵担保責任に関し民法の規定より買主に不利となる特約をしてはならず、これに反する特約は無効となる。しかし唯一、瑕疵担保責任を負うべき期間を『引渡しの日から2年以上』とする特約は、民法の規定より買主に不利となっても許されている。したがって、本肢の特約は有効であり、Aは、引渡しの日から2年間、瑕疵担保責任を負う必要がある。
(2)正しい。業者が自ら売主となり買主が非業者である場合には、債務の不履行による契約の解除に伴う損害賠償の予定額または違約金を定めるときは、これらを合算した額が代金額の20%を超える定めをしてはならず、これに反する特約は、代金額の20%を超える部分について無効になる。代金額の20%は 1,000万円だから、損害賠償の予定額と違約金の合計額を 1,500万円とできない。
(3)誤り。業者が自ら売主となり買主が非業者である場合には、手付は解約手付となるので、買主は、売主が契約の履行に着手するまでは、手付金を放棄すれば契約を解除できる。このような解約手付の性質に反する特約で、買主に不利なものは無効である。しかし、「手付金の半額を放棄すれば契約を解除できる」旨の本肢の特約は、買主に有利なので有効だから、Bは半額を放棄すれば解除できる。
(4)誤り。業者が自ら売主となり買主が非業者である場合には、代金額の20%(1,000 万円)を超える手付を受領できない。手付金等の保全措置を講ずるかどうかは無関係である。

 正解(2)


平成8年[問 48] 自ら売主となり買主が非業者のときだけの規制

宅地建物取引業者でないAが、A所有のマンションをBの媒介によりCに売却し、その後CがDに転売した場合の特約に関する次の記述のうち、宅地建物取引業法の規定によれば、正しいものはどれか。なお、B、C及びDは、宅地建物取引業者であるものとする。

(1)AB間において専任媒介契約を締結した場合において、「有効期間は1年とする」旨の特約は無効であり、有効期間の定めのない契約とみなされる。
(2)AC間及びCD間のそれぞれの売買契約において、「瑕疵担保責任の期間をマンション引渡しの日から1年とする」旨の特約をしても、その特約は、CD間では有効であるが、AC間では無効である。
(3)AC間及びCD間のそれぞれの売買契約において、「違約金の額を代金の額の3割とする」旨の特約をしても、その特約は、それぞれ代金の額の2割を超える部分については無効である。
(4)AC間及びCD間のそれぞれの売買契約において、「契約締結日から5日間に限り損害賠償又は違約金の支払いをすることなく契約を解除することができる」旨の特約をしても、宅地建物取引業法に違反しない。

 

平成8年[問 48] 解説

(1)誤り。専任媒介契約の有効期間は3ヵ月を超えることができず、3ヵ月を超える特約をした場合、その有効期間は3ヵ月に短縮される。したがって、本肢の専任媒介契約は、有効期間3ヵ月の契約とみなされる。
(2)誤り。業者が自ら売主となり、買主が非業者である場合、瑕疵担保責任に関し民法の規定より買主に不利になる特約は、無効になる。本肢の特約は民法の規定より買主に不利になるが、この規定は、あくまで『業者が自ら売主となり、買主が非業者である場合』にだけ適用される。AC間の売買契約、CD間の売買契約は、共に買主が業者なので、この規定は適用されない。したがって、本肢のような特約をしても、その特約は、AC間でもCD間でも、有効である。  
(3)誤り。業者が自ら売主となり、買主が非業者である場合には、債務の不履行による契約解除に伴う損害賠償の予定額または違約金を定めるときは、これらを合算した額が代金額の20%を超える定めをしてはならず、これに反する特約は代金額の20%を超える部分について無効になる。本肢の特約は代金額の20%を超えているが、この規定も、あくまで『業者が自ら売主となり、買主が非業者である場合』にだけ適用されるので、本問では適用されない。したがって、本肢のような特約をしても、その特約は、AC間でもCD間でも、有効である。  
(4)正しい。業者が自ら売主となり、買主が非業者である場合には、いわゆるクーリングオフの規定が適用されるので、本肢のような特約は無効になる(クーリングオフは8日まで可能なので)。しかし、この規定も、あくまで『業者が自ら売主となり、買主が非業者である場合』にだけ適用されるので、本問では適用されない。したがって、本肢の特約は、AC間でもCD間でも、有効である。宅建取引業法にも違反しない。

 正解(4)


平成9年[問 39] 自ら売主となり買主が非業者のときだけの規制

宅地建物取引業者Aは、自ら売主として、宅地建物取引業者でないBと建築工事完了前の分譲住宅の売買契約(代金 5,000万円、手付金 200万円、中間金 200万円)を締結した。この場合に、宅地建物取引業法の規定によれば、次の記述のうち誤っているものはどれか。

(1)Aは、手付金を受け取る時点では、宅地建物取引業法第41条に規定する手付金等の保全措置 (以下この問において「保全措置」という。)を講じる必要はない。
(2)売買契約で手付金が解約手付であることを定めておかなかった場合でも、Aが契約の履行に着手していなければ、Bは、手付を放棄して契約の解除をすることができる。
(3)売買契約で「手付放棄による契約の解除は、契約締結後30日以内に限る」旨の特約をしていた場合でも、契約締結から45日経過後にAが契約の履行に着手していなければ、Bは、手付を放棄して契約の解除をすることができる。
(4)契約締結時の2月後で分譲住宅の引渡し及び登記前に、Aが中間金を受け取る場合で、中間金を受け取る時点では当該分譲住宅の建築工事が完了していたとき、Aは、手付金及び中間金について保全措置を講じる必要はない。

 

平成9年[問 39] 解説

(1)正しい。工事完了前の物件の場合、代金額( 5,000万円)の5%を超え、または、 1,000万円を超える手付金等を受領しようとする前に、保全措置を講じる必要がある。本肢の手付金は 200万円だから、代金額の5%も 1,000万円も超えていない。したがって、保全措置を講じる必要はない。
(2)正しい。宅建取引業者が自ら売主となり、かつ、買主が宅建取引業者でない場合には、受領した手付はいかなる性質のものであっても、解約手付としての性質を有するので、本問の手付は解約手付だ。解約手付が授受された場合、買主は、売主Aが契約の履行に着手するまでは、手付を放棄して契約を解除できる。
(3)正しい。宅建取引業者が自ら売主となり、かつ、買主が宅建取引業者でない場合には、受領した手付はいかなる性質のものであっても、解約手付としての性質を有するが、この解約手付としての性質に反する特約で買主に不利なものは無効である。解約手付が授受された場合、買主は、売主が契約の履行に着手するまでは(いつまででも)、手付を放棄して契約を解除できるのだから、本肢の特約は、買主に不利なものとして無効になる。したがって、契約締結から45日経過していても、Aが契約の履行に着手していない間は、Bは、手付を放棄して契約を解除ができる。
(4)誤り。契約締結時に工事完了前の物件であった以上、中間金を受け取る時点で工事が完了していても、手付金等の保全措置の要否の基準は、工事完了前の物件として考えることになる。中間金を受け取る時点での手付金等の額は、手付金 200万円と中間金 200万円の合計 400万円だ。この 400万円は代金額の5%を超えている。したがって、Aは、手付金及び中間金について保全措置を講じる必要がある。

 正解(4)


平成10年[問 36] 自ら売主となり買主が非業者のときだけの規制

宅地建物取引業者Aが、自ら売主として、宅地建物取引業者でないBと宅地の売買契約を締結しようとし、又は締結した場合に関する次の記述のうち、宅地建物取引業法の規定によれば、正しいものはどれか。

(1)売買契約の締結に際し、AがBから預り金の名義をもって50万円を受領しようとする場合で、当該預り金が売買代金に充当されないものであるとき、Aは、国土交通省令で定める保全措置を講じなければならない。
(2)売買契約において、当事者の債務の不履行を理由とする契約の解除に伴う損害賠償の額を売買代金の額の2割と予定した場合には、違約金を定めることはできない。
(3)BがAの事務所で買受けの申込みをし、1週間後にBの自宅の近所の喫茶店で売買契約を締結した場合、Bは、当該契約を締結した日から8日以内であれば、宅地建物取引業法第37条の2の規定により契約を解除することができる。
(4)売買契約でAの債務の不履行を理由とする契約の解除に伴う損害賠償の額を予定した場合は、Aの宅地の瑕疵を担保すべき責任に関し、その宅地の引渡しの日から1年となる特約をすることができる。

 

平成10年[問 36] 解説

(1)誤り。預り金(50万円以上で、売買代金に充当されないもの)を受領しようとする場合、国土交通省令で定める保全措置(例:預り金について銀行等と一般保証委託契約を締結すること)を『講ずるかどうか』、及び、その措置を講ずる場合の概要は、重要事項として説明する義務がある。しかし、ここでいう国土交通省令で定める保全措置をとるかどうかは、手付金等の保全措置と違って、業者の任意であり義務ではない。
(2)正しい。業者が自ら売主となり買主が非業者の場合、損害賠償額の予定または違約金の定めは、これらを『合算した額が代金額の2/10を超えることとなる定めをしてはならない』。従って、損害賠償の額を売買代金の額の2割と予定した場合には、それで代金額の2/10が一杯になってしまうから、違約金を定めることはできない。
(3)誤り。業者が自ら売主となり、買主が非業者であるときは、『事務所等以外の場所』(本肢の喫茶店)で、買い受けの申込等をした買主は、クーリングオフできるが、契約の『申込み』が事務所等以外の場所でない所(本肢の事務所)で行われた場合は、その後、契約の『締結』が事務所等以外の場所(本肢の喫茶店)で行われても、解除(クーリングオフ)できない。
(4)誤り。業者が自ら売主となり、買主が非業者であるとき、瑕疵担保責任に関し、民法の規定より買主に不利となる特約ができないが、唯一、瑕疵担保責任の行使期間について、『目的物を引渡した時から2年以上』とする特約だけが許される。したがって、損害賠償の額を予定したとしても、宅地の引渡しの日から1年となる特約をすることはできない。

 正解(2)


平成11年[問 33] 自ら売主となり買主が非業者のときだけの規制

宅地建物取引業者Aが,自ら売主として,宅地建物取引業者でない買主Bと締結した宅地の売買契約(代金4,000万円,手付金400万円)に関する次の記述のうち,宅地建物取引業法及び民法の規定によれば,正しいものはどれか。

(1)契約に「当事者の一方が契約の履行に着手するまでは,Bは手付金400万円を放棄して,Aは1,000万円を償還して,契約を解除することができる」旨定めた場合,その定めは無効である。
(2)契約に「Aが瑕疵(かし)担保責任を負う場合,Bは,損害賠償の請求をすることができるが,契約の解除ができるのは瑕疵により契約をした目的を達成できないときに限る」旨定めた場合,その定めは無効である。
(3)契約に「Aは,宅地の引渡しの日から2年間瑕疵担保責任を負うが,Bが知っていた瑕疵(かし)についてはその責任を負わない」旨定めた場合,その定めは無効である。
(4)契約に「債務不履行による契約の解除に伴う損害賠償額の予定及び違約金の合計額を代金の額の3割とする」旨定めた場合,その定めは,当該合計額につき800万円を超える部分については,無効である。

 

平成11年[問 33] 解説

(1)誤り。宅建業者が自ら売主となり買主が宅建業者でないときは,手付は解約手付となる。解約手付というのは,相手が契約を実際に行う準備をするまで(契約の履行に着手するまで)は,「買主は手付金(400万)を放棄し,売主は手付金の倍額(800万円)を返して」契約を解除できるという性質を持った手付だ。そして,この解約手付の性質に反する定めは,「買主に不利なものは無効」になる。逆に言えば「買主に有利なものは有効」だ。(1)の定めは買主に有利なので有効だ。売主は手付金の倍額以上の1,000万円を返還しなければ解除できないと定めていることになるからだ。
(2)誤り。宅建業者が自ら売主となり買主が宅建業者でないときは,瑕疵担保責任(売主が欠陥商品を売った場合の責任)に関して,「民法の決まりより,買主に不利になる定めは無効」になる。瑕疵担保責任の民法の決まりでは,欠陥商品を買った買主が契約を解除できるのは,欠陥により契約をした意味がないとき(瑕疵により契約をした目的を達成できないとき)に限ることになっている。だから(2)の定めは民法の決まりと同じなので,民法の決まりより買主に不利になる定めとは言えない。有効だ。
(3)誤り。瑕疵担保責任に関して,「民法の決まりより,買主に不利になる定めは無効」になるが,瑕疵担保責任の民法の決まりでは,買主が知っていた欠陥(瑕疵)については売主は責任を負わないで良いことになっている。だから(3)の定めも民法の決まりと同じなので,民法の決まりより買主に不利になる定めとは言えない。有効だ。
(4)正しい。宅建業者が自ら売主となり買主が宅建業者でないときは,損害賠償の予定や違約金の定め(買主がいい加減な事をした場合に前もって定める損害賠償額や違約金の定め)の合計額が,「代金額の2割を超える定めをした場合は,2割を超える部分が無効」になる。(4)では合計額を代金額の3割にすると定めているので,代金額の2割である800万円を超える部分が無効になる。

 正解(4)


平成12年[問 40] 自ら売主となり買主が非業者のときだけの規制

宅地建物取引業者Aが,自ら売主として,宅地建物取引業者でないBと中古の土地付建物の売買契約(代金5,000万円,手付金1,000万円)を締結する場合に関する次の記述のうち,宅地建物取引業法及び民法の規定によれば,正しいものはどれか。

(1)Aが,瑕疵(かし)担保責任を負うべき期間について,その土地付建物の引渡しの時から1年間とする旨の特約をした場合は,その期間は,Bが瑕疵の事実を知った時から1年間となる。
(2)Aは,手付金のうち代金の10分の1を超える部分について宅地建物取引業法第41条の2に規定する手付金等の保全措置を講じた場合は,手付金全額を受領することができる。
(3)Aは,Bの要求があった場合は,契約の締結を誘引するためBの手付金の支払いについて分割払とすることができる。
(4)AB間で,手付金を違約手付とする旨の特約を定めた場合においても,別途Bの債務不履行による契約解除に伴う損害賠償の予定額を定めることができる。

 

平成12年[問 40] 解説

(1)正しい。宅建業者が,自分で売主となって,宅建業者でない者と売買契約を結ぶ場合は,瑕疵担保責任について「民法の定めより買主に不利な特約」をしてはならず,やってしまえば,その特約は無効になる。Aは,その土地付建物をBに引渡した時から1年間瑕疵担保責任を負うと約束しているが,これは,民法の定めより買主に不利な特約だ。民法は,買主が欠陥を「発見した時から1年間」責任を負えと定めているからだ。だから,Aがした特約は無効になる。ということは,宅建業法上は特約しなかったことになるから,民法が適用される。民法では,買主が欠陥を「発見した時から1年間」責任を負えと定めているので,Aが,瑕疵担保責任を負う期間は,Bが欠陥を発見した時から1年間となる。
(2)誤り。工事完了後の物件(中古の土地付建物)について,宅建業者が,自分で売主となって,宅建業者でない者と売買契約を結ぼうとしている。この場合は,受領しようとする手付金の額が代金額の10分の1(本問では500万円)を超えるときは,「手付金全部」(本問では1,000万円)について保全措置(宅建業者が倒産してもお客さんに迷惑をかけない措置)を行わないと,手付金を1円も受け取れない。手付金を受け取るための保全措置を,代金の10分の1を超える部分(500万)についてだけ行えばよいとしたのでは,本問の場合,Aが倒産するとBは500万円も損しちゃうからだ。
(3)誤り。宅建業者はお客さんに手付金を貸すことができない。お客さんが「宅建業者に」借金すると,後で気が変わっても手付放棄による解除の道を閉ざされてしまうからだ。Bの要求があったとしても,Aが手付金の支払いについて分割払を認めることは,お客さんが「宅建業者に」借金したことになってしまう。したがって,Aは手付の分割払いをOKしちゃダメだ。
(4)誤り。宅建業者が,自分で売主となって,宅建業者でない者と売買契約を結ぶ場合は,違約金と損害賠償の予定額の「合計が」,代金の10分の2(本問では1,000万円)を超える定めをすることができない。これは,お客さん(B)が悪いとしても余り多額の迷惑料を約束するな,という趣旨だが,違約金も損害賠償の予定額も,要するにBがAに迷惑をかけた場合の迷惑料であり実質上同じ意味なので,「合計が」10分の2を超えちゃダメ,と決めたのだ。したがって,違約金と損害賠償の予定額を別々に定めたとしても,両者の「合計額が」10分の2を超えることはできないから,(4)の表現は不正確だ。

 正解(1)


平成12年[問 41] 自ら売主となり買主が非業者のときだけの規制

売主を宅地建物取引業者であるA,買主を宅地建物取引業者でないBとする宅地の売買契約について,Bが,宅地建物取引業法第37条の2(事務所等以外の場所においてした買受けの申込みの撤回等)の規定に基づき売買契約の解除を行う場合に関する次の記述のうち,誤っているものはどれか。

(1)Aが,売買契約を締結した際に,売買契約の解除ができる旨及びその方法について口頭のみで告知した場合は,その告知した日から起算して10日後で,かつ,代金の一部を支払った後であっても,Bは,当該売買契約を解除することができる。
(2)Aが,電話によりBの勤務先で売買契約に関する説明をする旨を申し出て,Bの勤務先を訪問し,そこで売買契約を締結した場合は,Bは,当該売買契約を解除することができない。
(3)Aが,一団の宅地の分譲について宣伝のみを行う現地案内所でBに契約に関する説明を行い,翌日Aの事務所等の近くのホテルのロビーで売買契約を締結した場合は,Bは,当該売買契約を解除することができる。
(4)Bが,売買契約を締結した後,Aから宅地の引渡しを受け,かつ,その代金の全部を支払った場合は,売買契約の解除ができる旨及びその方法について告知を受けていないときでも,Bは,当該売買契約を解除することができない。

 

平成12年[問 41] 解説

宅建業者が,自分で売主となって,宅建業者でない者と売買契約を結んだ場合,事務所なんかじゃない場所で買ってきたお客さんは,クーリングオフできる。衝動買いしたお客さんを救済する趣旨だ。
(1)正しい。お客さんが,宅建業者よりクーリングオフのことについて「書面で」告げられた場合は,その日から数えて8日経過すると,クーリングオフできなくなる。8日間は書面で告げられた日から数えるので,(1)のように口でだけ告げられたときは,何日たっても8日が経過したことにならない。したがって,Bはクーリングオフできる。
(2)誤り。お客さんが勤務先で契約するとクーリングオフできなくなる場合がある。それは,「お客さんの方から申し出て」,勤務先で契約した場合だ。お客さんの方から業者を勤務先に呼び付けたときは,衝動買いとは言えない。だから,クーリングオフできないのだ。でも(2)では,宅建業者の方から申し出て,お客さんの勤務先に押し掛けている。こういうときは,お客さんの方から申し出た場合と違って衝動買いしやすい。だから,Bはクーリングオフできる。
(3)正しい。お客さんがクーリングオフするには,「事務所なんかじゃない場所(法律用語では「事務所等以外の場所」)で買ってきたことが必要だ。クーリングオフは衝動買いしたお客さんを救済する制度だから,事務所なんかじゃない場所とは,要するに衝動買いしやすい場所を指す。Bはホテルロビーで契約を結んでいるが,ホテルのロビーは衝動買いしやすい場所の代表と言える。したがって,Bはクーリングオフできる。
(4)正しい。お客さんが不動産の引渡しを受け,しかも,代金の全部を払ったときは,その時点でクーリングオフできなくなる。クーリングオフのことについて,宅建業者から全然告げられていないときでも同じだ。引渡しを受け,しかも,お金まで全額払ったということは,よくよく考えてのことだから,もはや衝動買いしたとは言えないからだ。

 正解(2)


平成13年[問 41] 自ら売主となり買主が非業者のときだけの規制

宅地建物取引業者Aは,自ら売主となって,宅地建物取引業者でない買主Bに,建築工事完了前のマンションを価格4,000万円で譲渡する契約を締結し,手付金300万円を受け取った。この場合,宅地建物取引業法の規定によれば,次の記述のうち誤っているものはどれか。なお,この問において「保全措置」とは,同法第41条第1項の規定による手付金等の保全措置をいう。

(1)Bが契約前に申込証拠金10万円を支払っている場合で,契約締結後,当該申込証拠金を代金に充当するときは,Aは,その申込証拠金についても保全措置を講ずる必要がある。
(2)Aが手付金について銀行との間に保全措置を講じている場合で,Aが資金繰りに困り工事の請負代金を支払うことができず,マンションの譲渡が不可能となったときには,Bは,手付金の全額の返還を当該銀行に請求できる。
(3)AB間の契約においては,「Aがマンションの引渡しができない場合には,当該手付金の全額を返還するので,Bの履行着手前にAが契約を解除してもBは損害賠償その他の金銭を請求しない」旨の特約をすることができる。
(4)Aは,手付金300万円を受け取ったのち,工事中にさらに中間金として100万円をBから受け取る場合は,当該中間金についても保全措置を講ずる必要がある。

 

平成13年[問 41] 解説

(1)正しい。工事完了「前」の物件について,宅建業者が,自分で売主となって,宅建業者でない者に売る場合は,受領しようとする「手付金等」の額が,代金額の5%(本問の場合は200万円)を超えるときは,「手付金等の全部」について(申込証拠金10万円+手付金300万円=310万円),保全措置(宅建業者が倒産してもお客さんに迷惑をかけない措置)を講じる必要がある。
なお,手付金等とは,売買契約の締結から物件の引渡しまでの間に,買主が売主に払うお金を指し,手付金の他に,本問の申込証拠金も含まれる。
(2)正しい。手付金等の保全措置は銀行との間で講じられることが多い。この場合,保全措置を依頼した宅建業者がお客さんに迷惑をかければ,銀行は,宅建業者が受領した手付金等の「全額」について,連帯保証人として弁償する義務を負うことになっている。したがって,Bは手付金の全額の返還をその銀行に請求できる。
(3)誤り。宅建業者が,自分で売主となって,宅建業者でない者に売る場合は,宅建業者が受領した手付金は「解約手付」になる。解約手付になった場合,Bが代金を準備する前に,売主である宅建業者Aの方から,契約を解除するには,受領した手付金の倍額(本問では600万円)を返還しなければならない,という決まりになっている。この決まりに反する特別の約束で,「買主に不利」なものは無効であり,することが出来ない。(3)の約束は,買主のBに不利だ。手付金全額の返還だけで我慢させるものだからだ。したがって,このような特別の約束は出来ない。
(4)正しい。(1)で述べたように,工事完了「前」の物件について,宅建業者が,自分で売主となって,宅建業者でない者に売る場合は,受領しようとする「手付金等」の額が,代金額の5%を超えるときは,「手付金等の全部」について,保全措置を講じる必要がある。ところで手付金等とは,売買契約の締結から物件の引渡しまでの間に,買主が売主に払うお金を指すから,(4)では手付金の他に,中間金(買主が手付金を支払った後で,物件の引渡しを受けるまでに支払う金銭)も含まれる。したがってAは,手付金300万円+中間金100万円=400万円の,「手付金等の全部」について,保全措置を講ずる必要がある。

 正解(3)


平成13年[問 44] 自ら売主となり買主が非業者のときだけの規制

宅地建物取引業者でないAは,宅地建物取引業者Bに対し,Bが売主である宅地建物について,Aの自宅付近の喫茶店で,その買受けの申込みをした。この場合,宅地建物取引業法の規定によれば,次の記述のうち正しいものはどれか。

(1)Bは,申込みの撤回ができる旨及び撤回の方法の告知は書面で行う必要があるが,口頭で告知した2日後に書面を交付した場合,申込みの撤回が可能な期間の起算日は,口頭での告知のあった日である。
(2)Aは,申込みの撤回を書面により行う必要があり,その効力は,Aが申込みの撤回を行う旨の書面を発した時に生ずる。
(3)買受けの申込みに際して申込証拠金がAから支払われている場合で,Aが申込みの撤回を行ったとき,Bは,遅滞なくその全額をAに返還しなければならないが,申込みの撤回に伴う損害があった場合は,別途これをAに請求できる。
(4)申込みの撤回を行う前にAが売買代金の一部を支払い,かつ,引渡し日を決定した場合は,Aは申込みの撤回はできない。

 

平成13年[問 44] 解説

宅建業者(B)が,自分で売主となって,宅建業者でない者(A)と売買契約を結んだ場合,事務所なんかじゃない場所で買ってきたお客さんは,クーリングオフできる。衝動買いしたお客さんを救済する趣旨だ。
(1)誤り。お客さんがクーリングオフできるのは,クーリングオフできること,および,クーリングの方法を「宅建業者から書面で告げられた日」から数えて8日以内だ。したがって,「口頭で告げた2日後に書面を交付した場合」,クーリングオフが可能な期間(8日)を数えるのは,書面を交付した日からだ。口頭で告げた日からではない。
(2)正しい。お客さん(A)は,クーリングオフを書面により行う必要がある。そして,クーリングオフの効力が生じる時期は,Aがクーリングオフすることの書面を郵便局に出した時(書面を発信した時)だ。このように早めにクーリングオフの効力を認めることで,お客さんをより保護できる。なぜなら,宅建業者が夜逃げなどして書面が到達(到着)しなくても,クーリングオフしたことになるからだ。
(3)誤り。お客さんがクーリングオフした場合,宅建業者は,お客さんに損害賠償や違約金を請求できない。契約は解除できる(クーリングオフできる)が,金銭的な損害がお客さんに及ぶのでは,衝動買いしたお客さんを救済したことにならないからだ。
(4)誤り。お客さんが不動産の引渡しを受け,しかも,代金の全部を払ったときは,その時点でクーリングオフできなくなる。引渡しを受け,しかも,お金まで全額払ったということは,「よくよく考えてのこと」だから,もはや衝動買いしたとは言えないからだ。しかし,代金の一部を支払い,引渡し日を決定したくらいでは,まだ「よくよく考えてのこと」とは言えず衝動買いは治癒されない。したがって,Aはまだクーリングオフできる。

 正解(2)


平成15年[問 39] 自ら売主となり買主が非業者のときだけの規制

宅地建物取引業者Aが,自ら売主となり,宅地建物取引業者でない買主との間で締結した宅地の売買契約について,買主が宅地建物取引業法第37条の2の規定に基づき売買契約の解除(以下この問において「クーリング・オフ」という。)をする場合に関する次の記述のうち,正しいものはどれか。

(1)買主Bは,20区画の宅地を販売するテント張りの案内所において,買受けを申し込み,契約を締結して,手付金を支払った。Bは,Aからクーリング・オフについて書面で告げられていなくても,その翌日に契約の解除をすることができる。
(2)買主Cは,喫茶店で買受けの申込みをした際に,Aからクーリング・オフについて書面で告げられ,その4日後にAの事務所で契約を締結した場合,契約締結日から起算して8日が経過するまでは契約の解除をすることができる。
(3)買主Dは,ホテルのロビーで買受けの申込みをし,翌日,Aの事務所で契約を締結した際に手付金を支払った。その3日後,Dから,クーリング・オフの書面が送付されてきた場合,Aは,契約の解除に伴う損害額と手付金を相殺することができる。
(4)買主Eは,自ら指定したレストランで買受けの申込みをし,翌日,Aの事務所で契約を締結した際に代金の全部を支払った。その6日後,Eは,宅地の引渡しを受ける前にクーリング・オフの書面を送付したが,Aは,代金の全部が支払われていることを理由に契約の解除を拒むことができる。

 

平成15年[問 39] 解説

宅建業者(A)が,自分で売主となって,宅建業者でない買主と売買契約を結んだ場合,事務所なんかじゃない場所で買ってきたお客さんは,クーリングオフできる。衝動買いしたお客さんを救済する趣旨だ。
(1)正しい。「事務所等以外の場所(事務所なんかじゃない場所)」で買ってきたお客さんは,クーリングオフできるが,テント張りの案内所は「事務所等以外の場所」に当たる。クーリングオフについて書面で告げられた日から起算して8日を経過した場合は,クーリングオフできなくなるという例外はあるが,(1)は例外を適用する事情がない。
(2)誤り。クーリングオフできなくなる例外が適用されるのは,クーリングオフについて「書面で告げられた日から起算して8日」を経過した場合だ。契約締結日から起算するのではない。だから買主Cは,喫茶店で買受けの申込みをした日(その日にクーリングオフについて書面で告げられている)から起算して8日が経過するまで,契約の解除ができる。
(3)誤り。クーリングオフは,衝動買いした買主でも「無条件」にキャンセルを認める制度なので,お客さんがクーリングオフしても,宅建業者は「契約の解除に伴う損害額と手付金を相殺すること」などできない。
(4)誤り。「買主が物件の引渡しを受け,かつ,代金全額を支払った場合」は,クーリングオフできなくなるという例外がある。しかし(4)では,この例外の適用はない。買主Eは,まだ物件の引き渡しを受けていないからだ。

 正解(1)


平成16年 [問 40] 自ら売主となり買主が非業者のときだけの規制

宅地建物取引業法(以下この問において「法」という。)に関する次の規定のうち,宅地建物取引業者Aが自ら完成前の物件の売主となり,宅地建物取引業者Bに売却する場合に適用されるものはどれか。

(1)法第35条に基づく重要事項の説明
(2)法第38条に基づく損害賠償額の予定等の制限
(3)法第39条に基づく手付の額の制限等
(4)法第41条に基づく手付金等の保全措置

 

平成16年 [問 40] 解説

業者が自ら売主となり,買主が非業者である場合は,いわゆる8種規制が適用される。しかし本問は,買主Bが業者なので8種規制は適用されない。そこで本問は,「8種規制に当たらないものはどれか」という問題と同じだ。
(2)の「損害賠償額の予定等の制限」,(3)の「手付の額の制限等」,(4)の「手付金等の保全措置」は8種規制だ。
しかし(1)の「重要事項の説明」だけは8種規制ではなく,買主が業者の場合にも適用される。
したがって,(1)が正解。

 正解(1)


平成17年 [問 42] 自ら売主となり買主が非業者のときだけの規制

宅地建物取引業者Aが自ら売主として,宅地建物取引業者ではないBに宅地(造成工事完了済み)を分譲する場合に関する次の記述のうち,宅地建物取引業法の規定に違反しないものはどれか。なお,当該宅地の分譲価額は4,000万円とする。

(1)Aは,手付金として400万円をBから受領したが,保全措置を講じなかった。
(2)Aは,手付金100万円をBから受領した後,中間金として600万円を受領したが,中間金600万円についてのみ保全措置を講じた。
(3)AとBは,「瑕疵(かし)担保責任を負うべき期間は,当該物件の売買契約を締結してから2年間とする」旨の特約を定めた。
(4)AとBは,「宅地に隠れた瑕疵(かし)があった場合でも,その瑕疵(かし)がAの責めに帰すものでないときは,Aは担保責任は負わない」旨の特約を定めた。

 

平成17年 [問 42] 解説
(1)違反しない。宅建業者が自ら売主となり,かつ,買主が宅建業者でない場合,手付金等の保全措置を講じる前には,
・工事完了前の物件の場合は代金額の5%を超え又は1,000万円を超える手付金等を受領してはならず,
・工事完了後の物件の場合は代金額の10%を超え又は1,000万円を超える手付金等を受領してはならない。
したがって,工事完了後の物件の場合は,代金額の10%(400万円)を超えて受領できないが,本肢の受領額は400万円「ちょうど」だから,業法に違反しない。
(2)違反する。保全措置を講じる前には受領できない手付金等とは,売買契約の締結から物件の引渡しまでの間に,買主が売主に支払うお金を指し,具体的には,申込証拠金・手付金・中間金などが手付金等に当たる。だから,工事完了後の物件の場合は,代金額の10%(400万円)を超える手付金や中間金を「受領しようとする前に」,手付金等の保全措置が必要になる。ところで,工事完了後の物件で代金額の10%を超え又は1,000万円を超える手付金等を受領しようとする場合は,受領しようとする金額の全額について保全措置を講じる必要がある。したがって,中間金600万円についてのみ保全措置を講じたのでは足りない。
(3)違反する。宅建業者が自ら売主となり,かつ,買主が宅建業者でない場合には,次の制限がされる。
・目的物の瑕疵担保責任に関し,民法の定めより,買主に不利となる特約をしてはならない
・民法の定めより,買主に不利となる特約は無効(したがって,民法の瑕疵担保責任に関する定めが適用される)
これを瑕疵担保責任の特約の制限という。
ところで,目的物の瑕疵担保責任に関し,民法の定めより,買主に不利となる特約をしても,目的物を引渡した時から2年以上瑕疵担保責任を負うという特約だけは,有効になる(したがって,その特約通り取り扱う)。しかし,本肢のように「売買契約を締結してから」2年間瑕疵担保責任を負う特約が有効になる,というような定めはない。だから,こんな特約をしたら業法に違反する。
(4)違反する。売主は,自分に責任がない場合でも,買主の請求(契約の解除や損害賠償の請求)に応じる必要がある,というのが目的物の瑕疵担保責任に関する民法の定めだ。したがって,「宅地に隠れた瑕疵があった場合でも,その欠陥がA(売主)の責任によらないときは,Aは担保責任を負わない」というような特約を定めることは,「民法の定めより,買主に不利となる特約」なので,業法に違反する。

 正解(1)

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