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宅建試験・テーマ別過去問解説集 宅建業法

  自ら売主となり買主が非業者のときだけの規制

平成12年[問 41] 自ら売主となり買主が非業者のときだけの規制

売主を宅地建物取引業者であるA,買主を宅地建物取引業者でないBとする宅地の売買契約について,Bが,宅地建物取引業法第37条の2(事務所等以外の場所においてした買受けの申込みの撤回等)の規定に基づき売買契約の解除を行う場合に関する次の記述のうち,誤っているものはどれか。

(1)Aが,売買契約を締結した際に,売買契約の解除ができる旨及びその方法について口頭のみで告知した場合は,その告知した日から起算して10日後で,かつ,代金の一部を支払った後であっても,Bは,当該売買契約を解除することができる。
(2)Aが,電話によりBの勤務先で売買契約に関する説明をする旨を申し出て,Bの勤務先を訪問し,そこで売買契約を締結した場合は,Bは,当該売買契約を解除することができない。
(3)Aが,一団の宅地の分譲について宣伝のみを行う現地案内所でBに契約に関する説明を行い,翌日Aの事務所等の近くのホテルのロビーで売買契約を締結した場合は,Bは,当該売買契約を解除することができる。
(4)Bが,売買契約を締結した後,Aから宅地の引渡しを受け,かつ,その代金の全部を支払った場合は,売買契約の解除ができる旨及びその方法について告知を受けていないときでも,Bは,当該売買契約を解除することができない。

平成12年[問 41] 解説

宅建業者が,自分で売主となって,宅建業者でない者と売買契約を結んだ場合,事務所なんかじゃない場所で買ってきたお客さんは,クーリングオフできる。衝動買いしたお客さんを救済する趣旨だ。
(1)正しい。お客さんが,宅建業者よりクーリングオフのことについて「書面で」告げられた場合は,その日から数えて8日経過すると,クーリングオフできなくなる。8日間は書面で告げられた日から数えるので,(1)のように口でだけ告げられたときは,何日たっても8日が経過したことにならない。したがって,Bはクーリングオフできる。
(2)誤り。お客さんが勤務先で契約するとクーリングオフできなくなる場合がある。それは,「お客さんの方から申し出て」,勤務先で契約した場合だ。お客さんの方から業者を勤務先に呼び付けたときは,衝動買いとは言えない。だから,クーリングオフできないのだ。でも(2)では,宅建業者の方から申し出て,お客さんの勤務先に押し掛けている。こういうときは,お客さんの方から申し出た場合と違って衝動買いしやすい。だから,Bはクーリングオフできる。
(3)正しい。お客さんがクーリングオフするには,「事務所なんかじゃない場所(法律用語では「事務所等以外の場所」)で買ってきたことが必要だ。クーリングオフは衝動買いしたお客さんを救済する制度だから,事務所なんかじゃない場所とは,要するに衝動買いしやすい場所を指す。Bはホテルロビーで契約を結んでいるが,ホテルのロビーは衝動買いしやすい場所の代表と言える。したがって,Bはクーリングオフできる。
(4)正しい。お客さんが不動産の引渡しを受け,しかも,代金の全部を払ったときは,その時点でクーリングオフできなくなる。クーリングオフのことについて,宅建業者から全然告げられていないときでも同じだ。引渡しを受け,しかも,お金まで全額払ったということは,よくよく考えてのことだから,もはや衝動買いしたとは言えないからだ。

 正解(2)


平成19年 [問 41] 自ら売主となり買主が非業者のときだけの規制

宅地建物取引業者Aが、自ら売主として、宅地建物取引業者でないBと建物の売買契約を締結しようとし、又は締結した場合に関する次の記述のうち、宅地建物取引業法(以下この問において「法」という。)の規定によれば、正しいものはどれか。

(1)Aは、自己の所有に属しない建物を売買する場合、Aが当該建物を取得する契約を締結している場合であっても、その契約が停止条件付きであるときは、当該建物の売買契約を締結してはならない。
(2)売買契約の締結に際し、当事者の債務の不履行を理由とする契約の解除に伴う損害賠償の額を予定し、又は違約金を定める場合において、これらを合算した額が売買代金の2割を超える特約をしたときは、その特約はすべて無効となる。
(3)「建物に隠れた瑕疵があった場合、その瑕疵がAの責に帰すことのできるものでないときは、Aは瑕疵担保責任を負わない」とする特約は有効である。
(4)Bがホテルのロビーで買受けの申込みをし、3日後にBの自宅で売買契約を締結した場合、Bは、当該建物の引渡しを受け、かつ、その代金の全部を支払っているときでも、当該売買契約の解除をすることができる。

 

平成19年[問 41] 解説

(1)正しい。宅建業者が自ら売主となり,買主が宅建業者でないときは,他人の所有する物件(自己の所有に属しない物件)について売買契約を締結できないが,他人との間で「物件の買取り契約(売買の予約を含む)」を結んでいれば,売買契約を締結できる。ただし,他人との間の契約が停止条件付きであるときは,ここでいう「物件の買取り契約」に該当しない。したがって,物件の買取り契約は結んでいないことになり,Aは,本問の建物についてBと売買契約を締結してはならない。
(2)誤り。宅建業者が自ら売主となり,買主が宅建業者でないときは,損害賠償の予定や違約金の定め(買主がいい加減な事をした場合に前もって定める損害賠償額や違約金の定め)の合計額が,代金額の2割を超える定めをした場合は,「2割を超える部分が無効」になる。その定め(特約)が全部無効になるのではない。
(3)誤り。宅建業者が自ら売主となり,買主が宅建業者でないときは,民法の規定より買主に不利な瑕疵担保責任の特約をした場合,その特約は無効だ。民法は,その瑕疵が売主の責めに帰すことができないものであるときでも,買主が瑕疵担保責任を追及できることを認めているので,本肢のような特約は,民法の規定より買主に不利な特約となり,無効だ。
(4)誤り。宅建業者が自ら売主となり,買主が宅建業者でないときは,事務所なんかじゃない場所(ホテルのロビー)で買ってきた買主は,クーリングオフできる。衝動買いした買主を救済する趣旨だ。しかし,買主が物件の引渡しを受け,かつ,代金の全部を払ったときは,その時点でクーリングオフできなくなる。買受けの申込みから3日後に売買契約を締結した場合も,同じだ。引渡しを受け,しかも,お金まで全額払ったということは,よくよく考えてのことであり,もはや衝動買いしたとは言えないからだ。

 正解(1)


平成21年 [問 39] 自ら売主となり買主が非業者のときだけの規制

宅地建物取引業者Aは、自ら売主として、宅地建物取引業者でないBとの間で、建築工事完了前の建物に係る売買契約(代金5,000万円)を締結した。当該建物についてBが所有権の登記をしていない場合における次の記述のうち、宅地建物取引業法(以下この問において「法」という。)の規定に違反しないものはどれか。

(1)Aは、法第41条に定める手付金等の保全措置を講じた上で、Bから500万円を手付金として受領した。後日、両者が契約の履行に着手していない段階で、Bから手付放棄による契約解除の申出を受けたが、Aは理由なくこれを拒んだ。
(2)Aは、法第41条に定める手付金等の保全措置を講じずに、Bから500万円を手付金として受領したが、当該措置を講じないことについては、あらかじめBからの書面による承諾を得ていた。
(3)Aは、法第41条に定める手付金等の保全措置を講じた上で、Bから500万円を手付金として受領し、その後中間金として250万円を受領した。
(4)Aは、法第41条に定める手付金等の保全措置を講じた上で、Bから2,000万円を手付金として受領した。

 

平成21年[問 39] 解説

(1)違反する。本問は工事完了前の売買だ。工事完了前の物件について、宅建業者が自ら売主となり買主が宅建業者でないときは、受領しようとする手付金等の額が代金額の5%(250万円)を超えるときは、手付金等の保全措置を講じる必要がある(手付金等の保全措置をとる義務)。本肢はこの点での違反はない。また本問の場合、宅建業者は代金額の20%(1,000万円)を超える手付金を受領できない(手付の額の制限)。本肢はこの点でも違反はない。ところで、本問の手付は解約手付となる(手付の性質の制限)。解約手付というのは、相手が契約の履行に着手するまで(契約を実際に行う準備をするまで)は、「買主は手付金を放棄し、売主は手付金の倍額を返して」契約を解除できるという性質を持った手付だ。したがって買主Bは、相手方である売主Aが契約の履行に着手するまでは、手付金を放棄して契約を解除できる。それなのに、両者が契約の履行に着手していない段階で、AがBからの手付放棄による契約解除の申出を理由なく拒むことはできない。具体的には、「宅地建物取引業者の相手方等が手付を放棄して契約の解除を行うに際し、正当な理由なく、当該契約の解除を拒み、又は妨げること」を禁止する、宅建業法施行規則16条の12(宅建業法の詳細を定めた国土交通省令)に違反する。
(2)違反する。工事完了前の物件について、宅建業者が自ら売主となり買主が宅建業者でないときは、受領しようとする手付金等の額が代金額の5%(250万円)を超えるときは,手付金等の保全措置を講じる必要がある。この点について、買主Bからあらかじめ「保全措置を講じなくても良い」という書面による承諾を得ていたとしても、保全措置を講じなければ宅建業法違反になる。
(3)違反しない。手付金等の保全措置における「手付金等」とは、物件の引渡しまでの間に、買主が売主に支払うお金だ。そこで、中間金(買主が手付を支払った後で、物件の引渡しまでにさらに支払うお金)も「手付金等」に含まれる。そうすると、本肢の手付金等の額は500万円+250万円=750万円になる。(1)で述べたように、工事完了前の物件について、宅建業者が自ら売主となり買主が宅建業者でないときは、受領しようとする手付金等の額が代金額の5%(250万円)を超えるときは、手付金等の保全措置を講じる必要がある。本肢では保全措置を講じてから750万円の手付金等を受領したのだから、宅建業法違反はない。
(4)違反する。手付金等の保全措置を講じた点に違反はない。でも、宅建業者は代金額の20%(1,000万円)を超える手付金を受領できない(手付の額の制限)。本肢では、2,000万円を手付金として受領してしまったので、この点で宅建業法に違反する。

 正解(3)


平成23年 [問 37] 自ら売主となり買主が非業者のときだけの規制

宅地建物取引業者A社が、自ら売主として宅地建物取引業者でない買主Bとの間で締結する建築工事完了後の建物の売買契約に関する次の記述のうち、民法及び宅地建物取引業法の規定並びに判例によれば、誤っているものはどれか。

(1)当該契約の締結に際し、BがA社に手付金を支払い、さらに中間金を支払った場合、Bは、A社が契約の履行に着手しないときであっても、支払った手付金を放棄して契約の解除をすることができない。
(2)当該契約の締結に際し、A社がBから代金の額の10分の2の手付金を受領する場合には、当該手付金を受領するまでに、宅地建物取引業法第41条の2の規定に基づく保全措置を講じなければならない。
(3)当該契約において、当事者の債務の不履行を理由とする契約の解除に伴う損害賠償の額を予定し、違約金を定める場合、これらを合算した額について代金の額の10分の1とする旨の特約を定めることができる。
(4)当該契約において、Bが瑕疵担保責任に基づく請求をすることができる期間として、Bが瑕疵を発見した時から2年間とする旨の特約を定めることができる。

 

平成23年[問 37] 解説

(1)誤り。宅建業者が自ら売主となり、かつ、買主が宅建業者でない場合、手付は解約手付となる。解約手付というのは、相手が「契約の履行に着手するまで」(契約を実際に行う準備をするまで)は、「買主は手付金を放棄し、売主は手付金の倍額を返して」契約を解除できるという性質を持った手付だ。したがって買主Bは、売主Aが「契約の履行に着手するまで」は、手付金を放棄して契約を解除できる。本肢のAは契約の履行に着手していないのだから、Bは、手付金を放棄して契約を解除できる。
(2)正しい。本問の物件は、建築工事完了後の建物だ。工事完了後の物件について、宅建業者が自ら売主となり買主が宅建業者でないときは、受領しようとする手付金等の額が代金額の10%(10分の1)を超えるときは、手付金等の保全措置を講じる必要がある。したがって、A社がBから代金の額の10分の2の手付金を受領する場合には、保全措置を講じなければならない。なお、保全措置を講じなければならない時期は、その手付金を受領するまでだ。
(3)正しい。宅建業者が自ら売主となり、かつ、買主が宅建業者でない場合に、債務の不履行による契約の解除に伴う損害賠償の予定額または違約金を定めるときは、これらを「合算した額が代金額の20%(10分の2)を超える定め(特約)をしてはならない」。したがって、本肢のように合算額が代金の額の10分の1となる特約を定めることは可能だ。
(4)正しい。宅建業者が自ら売主となり、かつ、買主が宅建業者でない場合には、目的物の瑕疵担保責任に関し、民法の定め(例:買主が瑕疵を「発見した時から1年」まで責任を負う)より、買主に不利となる特約をしてはならない。本肢の特約は買主Bが瑕疵を「発見した時から2年間」とするものであり、民法の定めより、買主に有利となる特約だ。したがって、本肢のような特約を定めることは可能だ。

 正解(1)


平成23年 [問 39] 自ら売主となり買主が非業者のときだけの規制

宅地建物取引業者A社が、自ら売主として行う宅地(代金3,000万円)の売買に関する次の記述のうち、宅地建物取引業法の規定に違反するものはどれか。

(1)A社は、宅地建物取引業者である買主B社との間で売買契約を締結したが、B社は支払期日までに代金を支払うことができなかった。A社は、B社の債務不履行を理由とする契約解除を行い、契約書の違約金の定めに基づき、B社から1,000万円の違約金を受け取った。
(2)A社は、宅地建物取引業者でない買主Cとの間で、割賦販売の契約を締結したが、Cが賦払金の支払を遅延した。A社は20日の期間を定めて書面にて支払を催告したが、Cがその期間内に賦払金を支払わなかったため、契約を解除した。
(3)A社は、宅地建物取引業者でない買主Dとの間で、割賦販売の契約を締結し、引渡しを終えたが、Dは300万円しか支払わなかったため、宅地の所有権の登記をA社名義のままにしておいた。
(4)A社は、宅地建物取引業者である買主E社との間で、売買契約を締結したが、瑕疵担保責任について、「隠れたる瑕疵による契約の解除又は損害賠償の請求は、契約対象物件である宅地の引渡しの日から1年を経過したときはできない」とする旨の特約を定めていた。

 

平成23年[問 39] 解説

(1)違反しない。宅建業者が自ら売主となり、かつ、買主が宅建業者でない場合に、債務の不履行による契約の解除に伴う損害賠償の予定額または違約金を定めるときは、これらを「合算した額が代金額の20%(代金が3,000万円だったら600万円)を超える定め(特約)をしてはならない」。しかし、本肢の買主B社は宅建業者なので、このような制限は適用されない。したがって、契約書の違約金の定めに基づき、A社がB社から1,000万円の違約金を受け取っても、宅建業法の規定には違反しない。
(2)違反する。宅建業者が自ら売主となり、かつ、買主が宅建業者でない場合、割賦販売の契約について賦払金の支払いの義務が履行されないときは、「30日以上」の相当の期間を定めてその支払いを書面で催告し、その期間内にその義務が履行されないときでなければ、賦払金の支払いの遅滞を理由として、契約を解除できない。割賦販売契約の解除の制限の話だ。本肢では、20日の期間しか定めていないので、宅建業法の規定に違反する。
(3)違反しない。宅建業者が自ら売主となり、買主が宅建業者でないときに、割賦販売契約をした場合、買主の支払い額が代金額の30%(代金が3,000万円だったら900万円)を超えているときは、その宅地建物を買主に「引渡すまでに」、登記その他引渡し以外の売主の義務を履行しなければならない(つまり、登記をA社名義のままにしておいたのではダメで、買主のD名義にしろ、ということ)。割賦販売契約の所有権留保等の制限の話だ。したがって、本肢ではDが代金額の10%(300万円)しか支払わなかったのだから、売主Aはこのような制限に従う必要はなく、登記をA社名義のままにしておいても、宅建業法の規定に違反しない。
(4)違反しない。宅建業者が自ら売主となり、かつ、買主が宅建業者でない場合には、目的物の瑕疵担保責任に関し、民法の定め(例:買主が瑕疵を「発見した時から1年」まで責任を負う)より、買主に不利となる特約をしてはならない。本肢の特約は宅地の「引渡しの日から1年」を経過したときは瑕疵担保責任を追及できないとするもので、民法の定めより、買主に不利となる特約だ。しかし、本肢の買主E社は宅建業者なので、このような制限は適用されない。したがって、本肢のような特約をしても、宅建業法の規定には違反しない。

 正解(2)


平成25年 [問 38] 自ら売主となり買主が非業者のときだけの規制

宅地建物取引業者A社が、自ら売主として宅地建物取引業者でない買主Bとの間で締結した売買契約に関する次の記述のうち、宅地建物取引業法の規定によれば、誤っているものはいくつあるか。
ア A社は、Bとの間で締結した中古住宅の売買契約において、引渡後2年以内に発見された雨漏り、シロアリの害、建物の構造耐力上主要な部分の瑕疵についてのみ責任を負うとする特約を定めることができる。
イ A社は、Bとの間における新築分譲マンションの売買契約(代金3,500万円)の締結に際して、当事者の債務の不履行を理由とする契約の解除に伴う損害賠償の予定額と違約金の合計額を700万円とする特約を定めることができる。
ウ A社は、Bとの間における土地付建物の売買契約の締結に当たり、手付金100万円及び中間金200万円を受領する旨の約定を設けた際、当事者の一方が契約の履行に着手するまでは、売主は買主に受領済みの手付金及び中間金の倍額を支払い、また、買主は売主に支払済みの手付金及び中間金を放棄して、契約を解除できる旨の特約を定めた。この特約は有効である。

(1)一つ
(2)二つ
(3)三つ
(4)なし

 

平成25年[問 38] 解説

(事例ア)誤り。宅建業者が自ら売主となり、かつ、買主が宅建業者でない場合には、業者は、その目的物の瑕疵担保責任に関し、民法の規定より、買主に不利となる特約をしてはならず、これに反する特約は無効だ。これを、瑕疵担保責任の特約の制限という。本肢の特約は、売主A社が、「雨漏り、シロアリの害、建物の構造耐力上主要な部分の瑕疵についてのみ責任を負う」というものだが、民法の規定より、買主に不利となるので、このような特約を定めることはできない。民法の規定によれば、瑕疵担保責任を追及する買主は、「隠れたる瑕疵(欠陥)全般」についてできるからだ。なお、「隠れたる瑕疵全般」について追及できるなら、引渡後2年以内に発見された瑕疵に限定する特約は、宅建業法上許されるので、ついでに押えておくとよい。
(事例イ)正しい。宅建業者が自ら売主となり、かつ、買主が宅建業者でない場合には、業者は、債務不履行を理由とする契約の解除に伴う損害賠償額を予定しまたは違約金を定めるときは、これらを合算した額が代金額の20%を超えることとなる定めをしてはならず、これに反する特約は、代金額の20%を超える部分について無効だ。これを、損害賠償の予定等の制限という。本肢では、上の合算した額(合計額)が700万円だが、これは代金額(3,500万円)の20%を超えていない。20%ちょうどだ。したがって、このような特約を定めるができる。
(事例ウ)誤り。宅建業者が自ら売主となり、かつ、買主が宅建業者でない場合、手付は解約手付となる。これを手付の性質の制限という。解約手付とは、相手が「契約の履行に着手するまで」(契約を実際に行う準備をするまで)は、「買主は手付を放棄し、売主は手付の倍額を返して」契約を解除できるという性質を持った手付だ。そして、この解約手付の性質に反する定めは、「買主に不利なものは無効」だ。本肢の特約は、買主に不利なので無効だ。なぜならば、買主は「手付金を放棄」すれば契約を解除できるはずなのに、中間金も放棄しなければ解除できない定めになっているからだ。

したがって、誤っているものはアとウの2つなので、正解は(2)。

 正解(2)


平成25年 [問 40] 自ら売主となり買主が非業者のときだけの規制

宅地建物取引業者Aが、自ら売主として買主との間で締結する売買契約に関する次の記述のうち、宅地建物取引業法(以下この問において「法」という。)の規定によれば、正しいものはどれか。なお、この問において「保全措置」とは、法第41条に規定する手付金等の保全措置をいうものとする。

(1)Aは、宅地建物取引業者でない買主Bとの間で建築工事完了前の建物を4,000万円で売却する契約を締結し300万円の手付金を受領する場合、銀行等による連帯保証、保険事業者による保証保険又は指定保管機関による保管により保全措置を講じなければならない。
(2)Aは、宅地建物取引業者Cに販売代理の依頼をし、宅地建物取引業者でない買主Dと建築工事完了前のマンションを3,500万円で売却する契約を締結した。この場合、A又はCのいずれかが保全措置を講ずることにより、Aは、代金の額の5%を超える手付金を受領することができる。
(3)Aは、宅地建物取引業者である買主Eとの間で建築工事完了前の建物を5,000万円で売却する契約を締結した場合、保全措置を講じずに、当該建物の引渡前に500万円を手付金として受領することができる。
(4)Aは、宅地建物取引業者でない買主Fと建築工事完了前のマンションを4,000万円で売却する契約を締結する際、100万円の手付金を受領し、さらに200万円の中間金を受領する場合であっても、手付金が代金の5%以内であれば保全措置を講ずる必要はない。

 

平成25年[問 40] 解説

(1)誤り。本肢の物件は、建築工事完了前の建物だ。工事完了前の物件について、宅建業者が自ら売主となり買主が宅建業者でないときは、受領しようとする手付金等の額が代金の額5%を超えるときは、手付金等の保全措置を講じる必要がある。本肢では代金額(4,000万円)の5%(200万円)を超えているので、保全措置を講じなければならない。ところで宅建業法は、手付金等の保全措置として、@銀行等による連帯保証 A保険事業者による保証保険 B指定保管機関による保管の3つを用意しているが、工事完了前の物件についてBは利用できない(Bは工事完了後の物件に限って利用できる)。Bを担当する指定保管機関は、銀行や保険事業者より財産的基礎が弱いので、事故率の少ない物件(つまり工事完了後の物件)に限って利用させる趣旨だ。
(2)誤り。本肢の物件は建築工事完了前のマンションなので、保全措置を講じれば代金の額の5%を超える手付金を受領できるが、保全措置を講じるのは「自ら売主」となっているAだ。代理業者のCが講じるのではない。
(3)正しい。工事完了前の物件について、宅建業者が自ら売主となり「買主が宅建業者でないとき」は、受領しようとする手付金等の額が代金額(5,000万円)の5%(250万円)を超えるときは、手付金等の保全措置を講じなければ、手付金として受領できない。でも、本肢の買主E社は「宅建業者」なので、このような制限は適用されない。したがって、手付金として受領できる。
(4)誤り。工事完了前の物件について、宅建業者が自ら売主となり買主が宅建業者でないときは、受領しようとする手付金等の額が代金額(4,000万円)の5%(200万円)を超えるときは、手付金等の保全措置を講じなければならない。ここで言う「手付金等」には手付金の他に中間金も含まれる(本肢では合計300万円)。したがって本肢では、中間金を受領する前に、合計300万円についての保全措置を講じる必要がある。

 正解(3)


平成26年 [問 31] 自ら売主となり買主が非業者のときだけの規制

宅地建物取引業者Aが、自ら売主として宅地建物取引業者ではない買主Bとの間で宅地の売買契約を締結する場合における次の記述のうち、宅地建物取引業法の規定によれば、誤っているものはいくつあるか。
ア Aが瑕疵担保責任を負う期間を売買契約に係る宅地の引渡しの日から3年間とする特約は、無効である。
イ Aは、Bに売却予定の宅地の一部に甲市所有の旧道路敷が含まれていることが判明したため、甲市に払下げを申請中である。この場合、Aは、重要事項説明書に払下申請書の写しを添付し、その旨をBに説明すれば、売買契約を締結することができる。
ウ 「手付放棄による契約の解除は、契約締結後30日以内に限る」旨の特約を定めた場合、契約締結後30日を経過したときは、Aが契約の履行に着手していなかったとしても、Bは、手付を放棄して契約の解除をすることができない。

(1)一つ
(2)二つ
(3)三つ
(4)なし

 

平成26年[問 31] 解説

(事例ア)誤り。宅建業者が自ら売主となり、かつ、買主が宅建業者でない場合には、目的物の瑕疵担保責任に関し、民法の定め(例:買主が瑕疵を「発見した時から1年」まで責任を負う)より、買主に不利となる特約をしてはならない(瑕疵担保責任の特約の制限の話だ)。ただし、目的物の瑕疵担保責任に関し、民法の定めより、買主に不利となっても、目的物を「引渡した時から2年以上」瑕疵担保責任を負うという特約はできる。引渡時から2年以上売主に責任を負わせれば季節も2度ずつ巡ってくるので、最低限お客さんの保護を図れるからだ。したがって本肢のような特約は、有効だ。
(事例イ)誤り。宅建業者が自ら売主となり、かつ、買主が宅建業者でない場合には、他人(甲市)の所有する物件(旧道路敷)について売買契約を締結できない(自己の所有に属しない物件の売買禁止の話だ)。宅建業者が他人(甲市)とその部分(旧道路敷)の買取契約を結んでいれば別だが、払下げを申請中の段階では買取契約を結んでいるとは言えないので、まだ、AはBと、旧道路敷の部分の売買契約を締結できない。重要事項説明書に払下申請書の写しを添えるなどして、その事をBに説明してもダメだ。
(事例ウ)誤り。宅建業者が自ら売主となり、かつ、買主が宅建業者でない場合には、手付は解約手付となる(手付の性質の制限の話だ)。解約手付とは、相手が「契約の履行に着手するまで」は、「買主は手付を放棄し、売主は手付の倍額を返して」契約を解除できるという性質を持った手付だ。そして、この解約手付の性質に反する定めは、「買主に不利なものは無効」だが、本肢の特約は、まさに買主に不利なものとして無効になる。なぜならば、解約手付は「売主が契約の履行に着手するまで」は「買主は手付を放棄して契約を解除できる」手付であり、「売主が契約の履行に着手するまで」の買主は期間制限なく契約を解除できる性質を有するものだ。それなのに「契約締結後30日」という制限を課せられたのでは、買主に不利なことは明白だからだ。だから本肢では、売主Aが契約の履行に着手していなければ、買主Bは何日経過しても、手付を放棄して契約を解除できることになる。
したがって、誤っているものはア・イ・ウの三つなので、正解は(3)。

 正解(3)


平成26年 [問 38] 自ら売主となり買主が非業者のときだけの規制

宅地建物取引業者Aが、自ら売主として宅地建物取引業者でない買主Bとの間で締結した宅地の売買契約について、Bが宅地建物取引業法第37条の2の規定に基づき、いわゆるクーリング・オフによる契約の解除をする場合における次の記述のうち、正しいものはどれか。

(1)Aは、喫茶店でBから買受けの申込みを受け、その際にクーリング・オフについて書面で告げた上で契約を締結した。その7日後にBから契約の解除の書面を受けた場合、Aは、代金全部の支払を受け、当該宅地をBに引き渡していても契約の解除を拒むことができない。
(2)Aは、Bが指定した喫茶店でBから買受けの申込みを受け、Bにクーリング・オフについて何も告げずに契約を締結し、7日が経過した。この場合、Bが指定した場所で契約を締結しているので、Aは、契約の解除を拒むことができる。
(3)Bは、Aの仮設テント張りの案内所で買受けの申込みをし、その3日後にAの事務所でクーリング・オフについて書面で告げられた上で契約を締結した。この場合、Aの事務所で契約を締結しているので、Bは、契約の解除をすることができない。
(4)Bは、Aの仮設テント張りの案内所で買受けの申込みをし、Aの事務所でクーリング・オフについて書面で告げられた上で契約を締結した。この書面の中で、クーリング・オフによる契約の解除ができる期間を14日間としていた場合、Bは、契約の締結の日から10日後であっても契約の解除をすることができる。

 

平成26年[問 38] 解説

(1)誤り。喫茶店のような衝動買いしやすい場所で買ってきた買主は、宅建業者よりクーリング・オフができること、及び、クーリング・オフの方法について、書面を交付して告げられた日から起算して8日を経過しなければ、書面でクーリング・オフできる。本肢では8日経過していないのでクーリング・オフできそうだが、違う。宅建業者が、「代金全部の支払」を受け、物件を買主に「引き渡した」ときは、買主はクーリング・オフできなくなる(逆に言えば、売主はクーリング・オフ=契約の解除を拒める)。買主が引渡しを受け、しかもお金まで全額払った場合は、よくよく考えた上でのことだから、たとえ衝動買いしやすい場所で買ってきたとしても、もはや衝動買いは治癒されたと評価されるからだ。
(2)誤り。喫茶店のような衝動買いしやすい場所で買ってきた買主は、宅建業者よりクーリング・オフができること、及び、クーリング・オフの方法について、書面を交付して告げられた日から起算して8日を経過しなければ、書面でクーリング・オフできる。本肢では喫茶店を買主が指定しているが、そうであってもその喫茶店が衝動買いしやすい場所であることに変わりない。したがって本肢では、買主はクーリング・オフできる(逆に言えば、売主はクーリング・オフ=契約の解除を拒めない)。なお本肢では、カレンダーの上では7日経過しているが、まだ宅建業者から書面を交付されてクーリング・オフのことを告げられていないので、宅建業法上の経過日は「まだゼロ」なので、注意。
(3)誤り。仮設テント張りの案内所のような衝動買いしやすい場所で買ってきた買主は、宅建業者よりクーリング・オフができること、及び、クーリング・オフの方法について、書面を交付して告げられた日から起算して8日を経過しなければ、書面でクーリング・オフできる。この場合「買ってきた場所」は、決心した場所(申込みをした場所=仮設テント張りの案内所)を指す。後で事務所(衝動買いしにくい場所)で契約を締結しても、クーリング・オフできることに変わりない。したがって本肢の買主は、クーリング・オフ(契約を解除)できる。
(4)正しい。仮設テント張りの案内所のような衝動買いしやすい場所で買ってきた(申込みをした)買主は、宅建業者よりクーリング・オフができること、及び、クーリング・オフの方法について、書面を交付して告げられた日から起算して8日を経過しなければ、書面でクーリング・オフできる。この場合、宅建業者が買主に交付すべき書面に「8日経過より買主に有利な14日経過」の特約をしたら、その特約は有効になる。したがって、本肢の買主は、契約締結日から10日後であってもクーリング・オフ(契約を解除)できる。

 正解(4)


平成27年 [問 36] 自ら売主となり買主が非業者のときだけの規制

宅地建物取引業者Aが、自ら売主として、宅地建物取引業者でないBとの間で建物(代金2,400万円)の売買契約を締結する場合における次の記述のうち、宅地建物取引業法の規定によれば、正しいものはいくつあるか。
ア Aは、Bとの間における建物の売買契約において、当事者の債務の不履行を理由とする契約の解除に伴う損害賠償の予定額を480万円とし、かつ、違約金の額を240万円とする特約を定めた。この場合、当該特約は全体として無効となる。
イ Aは、Bとの間における建物の売買契約の締結の際、原則として480万円を超える手付金を受領することができない。ただし、あらかじめBの承諾を得た場合に限り、720万円を限度として、480万円を超える手付金を受領することができる。
ウ AがBとの間で締結する売買契約の目的物たる建物が未完成であり、AからBに所有権の移転登記がなされていない場合において、手付金の額が120万円以下であるときは、Aは手付金の保全措置を講じることなく手付金を受領することができる。

(1)一つ
(2)二つ
(3)三つ
(4)なし

 

平成27年[問 36] 解説

(事例ア)誤り。損害賠償の予定等の制限からの出題だ。「宅建業者が自ら売主となり、かつ、買主が宅建業者でない場合には、業者は、債務不履行を理由とする契約の解除に伴う損害賠償額を予定しまたは違約金を定めるときは、これらを合算した額が代金額の20%を超えることとなる定めをしてはならず、これに反する特約は、代金額の20%を超える部分について無効である」というのが、損害賠償の予定等の制限だ。本問の代金額は2,400万円なので、代金額の20%である480万円を超える部分について、無効になる。そうすると本肢では、(損害賠償の予定額480万円+違約金の額240万円)− 480万円=240万円について無効になる。「当該特約は全体として無効となる」のではなく、480万円を超える部分である240万円について無効(480万円までは有効)なのだ。
(事例イ)誤り。手付の額の制限からの出題だ。「宅建業者が自ら売主となり、かつ、買主が宅建業者でない場合には、業者は、代金額の20%を超える手付を受領できない」というのが、手付の額の制限だ。本問の代金額は2,400万円なので、代金額の20%である480万円を超える手付金を受領できない。あらかじめ買主(B)の承諾を得た場合でも同じだ。
(事例ウ)正しい。手付金等の保全措置からの出題だ。本肢の物件は建築工事完了前(未完成)の建物なので、受領しようとする手付金等の額が代金額の5%を超えるときに、手付金等の保全措置を講じる必要がある。そうすると本肢の表現では、代金額2,400万円の5%である120万円を「超える」ときに該当しない。5%である120万円「以下」だからだ。したがって、業者Aは保全措置を講じることなく手付金を受領できるので、本肢は正しい。なお、AからBに所有権の移転登記がされている場合は、上記の5%計算をするまでもなく保全措置を講ぜずに手付金を受領できてしまうので、「AからBに所有権の移転登記がなされていない場合において」という一文が問題文に入っているのだ。
したがって、正しいものはウ一つなので、正解は(1)。

 正解(1)

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