宅建試験・マトメ集 その他の分野

presented by 宅建倶楽部

2 所得税の税額

所得税の税額は,[課税標準×税率=税額]という式で求めることができる。
所得税の課税標準は,[総所得金額−所得控除=課税総所得金額]という式で求めるのが,原則だ。このような式で課税標準を求めることを,総合課税の原則という。
総合課税の原則による場合の税率は,課税標準(課税総所得金額)が,
・195万円以下の部分は………………… 5%
・195万円超330万円以下の部分は…… 10%
・330万円超695万円以下の部分は…… 20%
・695万円超900万円以下の部分は…… 23%
・900万円超1,800万円以下の部分は… 33%
・1,800万円超の部分は…………………40%
と決まっている(なお,この税率は平成19年分の納税から適用されている)。
したがって,あるお客さんの課税標準(課税総所得金額)が500万円だったとすると,そのお客さんの所得税の税額は,原則として,
195万円×5%+(330万円−195万円)×10%+(500万円−330万円)×20%
=9万7,500円+13万5,000円+34万円=57万2,500円
ということになる。

住宅ローン控除

(1)
住宅ローン控除とは,ローンでマイホームを購入した人に所得税の税額をおまけする制度だ。
お客さんの課税標準(課税総所得金額)が500万円だったとすると,そのお客さんの所得税の税額は57万2,500円になるが,その57万2,500円の税額について税額控除するのが住宅ローン控除だ。
ローンを組んでまで,国民大衆が健康で文化的な住宅を確保する行動をとったのだから,税金をおまけしてやろうというわけだ(住宅取得促進政策)。
なお,住宅ローン控除の正式名は,住宅借入金等を有する場合の所得税額の特別控除という。

(2)
住宅ローン控除が適用されるには,次の事項を満たすことが必要だ。
@住宅ローンを利用して,住宅の新築,購入,増改築のどれかをすること。
Aその住宅に居住すること(@の行為をしてから,6ヵ月以内に入居し, 原則として引き続き居住していること)。
B控除を受ける年の12月31日に,その住宅に居住していること。
C控除を受ける年の所得金額(課税総所得金額)が3,000万円以下であること。
D確定申告すること
E対象となる住宅は,次の条件を満たすこと
a.床面積が50u以上であること。
b.床面積の2分の1以上が専ら居住の用に供されること。
c.中古住宅(既存住宅)でもよいが,木造は建築後20年以内であること,耐火建築物や準耐火建築物は建築後25年以内であること(なお,平成17年4月1日以降に,新耐震基準を満たすことを証明している中古住宅を取得したときは,建築後の年数は適用されない)。
また,配偶者や親族等から取得したものでないこと。
F対象となる住宅ローンは,次の条件を満たすこと。
a.住宅の新築,購入,増改築のどれかのために借り入れた資金であること。
b.民間の金融機関,勤務先の融資などで,返済期間(償還期間)が10年以上のものであること。
返済期間が10年以上であっても,親族,友人などからの借入れでは,住宅ローン控除を受けられない。
ローンを繰上げ返済し返済期間が10年未満になったときは,繰上げ返済以降は,住宅ローン控除を受けられない。
G居住した年を含んで前後2年間に,他の特例を受けていないこと。
ただし,公共事業のための収用・交換等により譲渡した場合の5,000万円の特別控除,居住用財産を買換えた場合の譲渡損失の損益通算及び繰越控除との重複適用は認められる。

(3)
住宅ローン控除が適用されると,次の取扱いがされる。
@建物部分だけでなく土地部分のローンについても税額控除の対象になる。
A税額控除される期間は,居住した年から10年間だ。
B税額控除される金額は,平成20年中に居住した場合は,住宅ローンの年末残高2,000万円までの部分について,1年目から6年目は1%,7年目から10年目は0.5%だ(平成21年1月1日以降に居住した場合は取扱いが異なる)。
前の例で言えば,お客さんの課税標準(課税総所得金額)が500万円だったので,所得税の税額が本来57万2,500円になる場合でも,そのお客さんの住宅ローンの年末残高が2,000万円だったと仮定すると,税額は2,000万円×1%=20万円控除されるから,ローン控除が適用される最初の年の税額は57万2,500円−20万円=37万2,500円で済む計算だ。
なお,平成20年中に居住した場合でも,住宅ローンの年末残高が2,000万円を超える部分については住宅ローン控除が適用されない。したがって,例えば年末残高が5,000万円あったとすると,2,000万円までに控除が適用され,残りの3,000万円については適用がない。

(4)
住宅ローン控除については,平成19年度の税制改正において,税額控除される期間が15年間とされる特例(平成20年中に居住した場合は,住宅ローンの年末残高2,000万円までの部分について,1年目から10年目は0.6%,11年目から15年目は0.4%)が創設された。
また,一定のバリアフリー改修工事を含む増改築を行った場合にも,税額控除される特例(控除される期間5年間,住宅ローンの年末残高1,000万円まで)が創設された。

不動産の譲渡所得の税額

(1)
不動産の譲渡所得とは,個人が不動産を売却したときに,その個人が得た売却代金のこと。

(2)
不動産の譲渡所得には,その不動産の所有期間に応じて,長期譲渡所得と短期譲渡所得がある。
@長期譲渡所得とは,譲渡した年の1月1日現在の所有期間が5年を超えている不動産の譲渡による所得だ。
A短期譲渡所得とは,譲渡した年の1月1日現在の所有期間が5年以下の不動産の譲渡による所得だ。

(3)
短期譲渡所得は所有期間が短い(5年以下)不動産を譲渡した場合なので,土地ころがし・建物ころがしにつながるから,これを防ぐために税額を相当高くする必要がある。
それに対して,長期譲渡所得は所有期間が長い(5年を超えている)不動産を譲渡した場合だ。
譲渡して住み替えれば,国民大衆が健康で文化的な住宅を確保したことになるので,税金をおまけする必要がある(住宅取得促進政策)。
そこで,長期譲渡所得の税金は「どのようにおまけされるか」を知っておくことが重要なので,次の(4)では長期譲渡所得の税額の計算式を抑えて行くことにする(短期譲渡所得の税額の計算式は,宅建では出ない!)。

(4)
長期譲渡所得の税額の計算式は…
{収入金額−(取得費+譲渡費用)−特別控除}×税率=税額

@収入金額とは売却代金のこと。
自宅を3,000万円で売ったのなら3,000万円が収入金額だ。
A取得費とは,その不動産を取得するためにかかった費用のこと。
今度3,000万円で売った自宅が,25年前に1,000万円で買ったものなら,買った値段(仕入れ値)の1,000万円が取得費だ。
a.建物の場合は,その後の増改築費用も取得費に含まれる。また建物の場合は,減価償却費を取得費から差し引く必要がある。
b.取得費を出すには次の2つの方法を選ぶことができる(取得時期を問わない)。
・実際にかかった費用を合計する方法
・収入金額(売却代金)の5%を取得費とする方法(これを概算取得費という)
概算取得費を選んだ場合は,その後の建物の増改築費用などをその5%に上乗せすることはできない。
c.贈与により取得した不動産を譲渡した場合にも取得費を控除できる。この場合の取得費は,贈与を受けた時の時価ではなく,贈与をした者が取得した時の時価になる。
B譲渡費用とは,売却するためにかかった必要経費のこと。
宅建業者に支払った媒介手数料,印紙代,測量費,借家人への立退料などが,譲渡費用になる。
C特別控除とは,国民大衆が健康で文化的な住宅を確保する行為に関与した場合に,課税標準(税率を掛ける前の数字)を低くするための控除の総称。

長期譲渡所得の税額を計算する場合の特別控除

長期譲渡所得の税額を計算する場合の特別控除には,次のものがある。

(1)
公共事業のための収用・交換等により譲渡した場合の5,000万円の特別控除
@不動産を売却した理由が,土地収用法の収用事業の認定を受けた公共事業(例:都市計画道路の建設)のためであったとき等に,取得費と譲渡費用の他に,さらに5,000万円を控除することだ。
Aこの特別控除を受けるには,次の要件を満たしていることが必要だ。
a.収用等をする者から,最初の買い取りの申出があった後6ヶ月以内に譲渡すること(なお,土地収用法上の仲裁の申出が6ヶ月以内に行われている場合は,その仲裁による譲渡が6ヶ月経過後でもよい)。
b.他の特例を受けていないこと。
ただし,住宅ローン控除,所有期間10年超の居住用財産の軽減税率との重複適用は認められる。
Bこの特別控除は,短期譲渡所得の税額を計算する場合にも適用される。

(2)
居住用財産を譲渡した場合の3,000万円の特別控除
@その所有者が居住している居住用財産(いわゆる自宅となっている家屋,または,自宅となっている家屋と敷地の両方)を売却したときに,取得費と譲渡費用の他に,さらに3,000万円を控除することだ。
Aこの特別控除を受けるには,次の要件を満たしていることが必要だ。
a.譲渡した年の前年又は前々年に,この特別控除の適用を受けたことがないこと。
b.特別な関係(例:オーナーとなっている会社,配偶者,直系(ちょっけい)血族(けつぞく)など)にない者への譲渡であること。
c.譲渡した家屋は現在居住していること,または,居住しなくなった日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに譲渡すること。
d.他の特例を受けていないこと。
ただし,所有期間10年超の居住用財産の軽減税率との重複適用は認められる。
Bこの特別控除は,短期譲渡所得の税額を計算する場合にも適用される。

(3)
(1)〜(2)の特別控除は,重複しても1つの特別控除しか受けることができないのが原則だ。

長期譲渡所得の税額を計算する場合の税率

長期譲渡所得の税額の計算式は,
{収入金額−(取得費+譲渡費用)−特別控除}×税率=税額
だが,ここでの税率は次のようになっている。

(1)
特別控除後の譲渡益に対して,一律15%になるのが原則だ。

(2)
優良住宅地の造成等のための軽減税率
@優良住宅地の造成等のために,長期譲渡所得に該当する土地を譲渡した場合の税率は,譲渡益に対して,2,000万円までの部分が10%,2,000万円を超える部分が15%になる(10%と15%の2段階税率になる)ことだ。
Aこの軽減税率の特例を受けるには,次の要件を満たすことが必要だ。
a.長期譲渡所得に該当する土地を譲渡すること。
b.他の特例を受けていないこと。

(3)
所有期間10年超の居住用財産の軽減税率
@譲渡した年の1月1日における所有期間が10年を超える居住用財産を譲渡した場合の税率は,特別控除後の譲渡益に対して,6,000万円までの部分が10%,6,000万円を超える部分が15%になる(10%と15%の2段階税率)ことだ。
Aこの軽減税率の特例を受けるには,次の要件を満たすことが必要だ。
a.所有期間が10年を超えている居住用財産を譲渡すること。
b.特別な関係(例:オーナーとなっている会社,配偶者,直系(ちょっけい)血族(けつぞく)など)にない者への譲渡であること。
c.譲渡した年の前年又は前々年に,この軽減税率の特例を受けたことがないこと。
d.譲渡した家屋は現在居住していること,または,居住しなくなった日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに譲渡すること。
e.他の特例を受けていないこと。
ただし,公共事業のための収用・交換等により譲渡した場合の5,000万円の特別控除,居住用財産を譲渡した場合の3,000万円の特別控除との重複適用は認められる。

買換えの特例

(1)
長期譲渡所得の税金は,特別控除や税率がおまけされるとは言ってもその税額は安いものではなく,すぐに払えない場合もある。
そこで,一定の条件を備えた不動産を売却して,新しい不動産に買換えた場合には,新しい不動産の代金分まで,売却した不動産の譲渡所得は無かったものとして,課税を繰り延べる制度が用意されている。これが,買換えの特例だ。

買換えの特例はいろいろあるが,試験対策上は,
・居住用財産の買換えの特例
を勉強しておこう。

(2)
居住用財産の買換えの特例
@これは,居住用財産を譲渡して,新しい不動産に買換えた場合に適用される,買換えの特例だ。
新しい不動産の代金分まで,売却した不動産の譲渡所得は無かったものとして,課税が繰り延べられる。
Aこの買換えの特例を受けるには,次の要件を満たすことが必要だ。
[譲渡資産の要件]
a.居住用財産(いわゆる自宅となっている家屋,または,自宅となっている家屋と敷地の両方)であること。
b.譲渡した年の1月1日現在の所有期間が10年を超えていること。
c.譲渡した日の居住期間(家屋の存する場所に居住していた期間)が10年以上であること。
d.買主が特別な関係(例:オーナーとなっている会社,配偶者,直系血族など)にない者であること。
e.現在居住していること,または,居住しなくなった日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに譲渡すること。
[買換資産の要件]
a.譲渡した年の前年または譲渡した年の翌年の年末までに取得すること
b.譲渡した年の翌年の年末までに(譲渡した年の翌年に取得したものは譲渡した年の翌々年の年末までに)居住すること。
c.建物の床面積が50u以上であり,かつ,土地部分の面積が500u以下であること。
Bこの買換えの特例を受けるには,Aの要件を満たす他に,他の特例の適用を受けていないことが必要だ。なお,譲渡資産・買換資産ともに日本国内にあることが,この買換えの特例を受けるための要件だ。

居住用財産を買換えた場合の譲渡損失の損益通算及び繰越控除

(1)
居住用財産の買換えの特例で課税の繰り延べが認められるとしても,バブルの最中に買った不動産は,なかなか買換える気になれない。
3,000万円で不動産を売却して5,000万円の不動産に買換えようとしても,売却予定の不動産はバブルの最中に倍の6,000万円で買った,というような例が結構あるからだ。6,000万円で買った不動産が3,000万円で売れても,損失が残っているのだ。ローンだって残っているだろう。
そこで,バブルの最中に買った不動産の買換えを促進するために,一定の条件のもとに,他の所得(例:給与所得や事業所得)との損益通算を行い(利益から損失を引き),損失については,初年度だけでなく,3年間にわたって控除(繰越控除)を認める制度が用意されている。これが,居住用財産を買換えた場合の譲渡損失の損益通算及び繰越控除だ。

(2)
この制度を受けるには,次の要件を満たすことが必要だ。
@譲渡した居住用財産の,譲渡した年の1月1日現在の所有期間が5年を超えていること。
A譲渡した家屋に現在居住していること,または,居住しなくなった日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに譲渡すること。
B譲渡した年の1月1日から翌年12月31日までの間に,買換え資産を取得して,その取得した日から翌年12月31日までの間に居住の用に供すること。
C買換えた建物の床面積が50u以上であること。
D損益通算及び繰越控除の適用を受ける年の年末において,買換え資産に住宅借入等の残高があること。
Eその年の所得金額(課税総所得金額)が3,000万円以下であること。
F確定申告すること。
G他の特例を受けないこと。
ただし,住宅ローン控除制度との重複適用は認められる。
つまり,この制度を使い切って税金を払えるようになったら,今度はローン控除を使っても良い,ということだ。


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