宅建試験・マトメ集 法令上の制限

presented by 宅建倶楽部

第4章 農地法

農地法は,耕作者の地位の安定と農業生産力の増進を図ることを目的とする。
それらの目的を達成するために,農地法は,次の4つの手段を用意している。
第1 耕作目的での権利移動の許可制(3条許可)
第2 転用の許可制(4条許可)
第3 転用目的での権利移動の許可制(5条許可)
第4 引渡しによる賃借権の対抗力(18条)
順番に説明して行く。


第1 耕作目的での権利移動の許可制(3条許可)

農地または採草放牧地を,耕作目的で権利移動するには,当事者が,農業委員会の許可を受ける必要がある。
これを耕作目的での権利移動の許可制という。農地法3条1項に書いてあるので,別名3条許可という。
3条許可という制度は,耕作者の地位の安定を図るためにある。

3条許可が必要な農地・採草放牧地の意味

(1)
農地とは,耕作の目的に供される土地だ。
農地かどうかは, 地目によらず現況で(現状が,耕作の目的に供される土地であるかどうかで)判断される。
なお,耕作の目的に供される土地でも,家庭菜園は農地ではない。

(2)
採草放牧地とは,農地以外の土地で,主として耕作または養畜(牧畜)の事業のため,採草または家畜の放牧の目的に供される土地だ。
採草放牧地かどうかも,地目によらず現況で(現状が,主として耕作または養畜の事業のため,採草または家畜の放牧の目的に供される土地であるかどうかで)判断される。


3条許可が必要な耕作目的での権利移動の種類

(1)
3条許可が必要な耕作目的での権利移動の典型は,売買契約だ。
農地や採草放牧地を,そのままで売買すれば,3条許可が必要になる。
ところで,売買の予約も売買契約の一種だが,売買の予約の段階では3条許可は不要だ。予約しても耕作者(売主)はまだ耕せるからだ。売買の本契約になった段階で3条許可を受ければよい。

(2)
売買契約の他に,次の契約も耕作目的での権利移動に当たり,3条許可が必要になる。
@交換契約
A代物弁済契約
B賃借権設定契約, 使用借権設定契約, 永小作権設定契約
…これらは,借りる側が一時使用する場合も含まれる。
C質権設定契約
D贈与契約

(3)
耕作目的で(1)(2)で書いた契約を行う以上,その農地や採草放牧地が市街化区域の内外にあるかを問わず,3条許可が必要になる。
これを「市街化区域内特例がない」という。

(4)
次の契約等は耕作目的での権利移動に当たらず,3条許可は不要だ。
@抵当権設定契約
A相続や遺産分割による所有権の取得

(5)
耕作目的で,売買契約,交換契約,代物弁済契約,賃借権設定契約,使用借権設定契約,永小作権設定契約,質権設定契約,贈与契約をしても,次の場合は,例外的に3条許可が不要になる。
@権利(所有権・賃借権などの耕作権)を取得する者が,国または都道府県の場合
…なお,ここでは市町村はお上に含まれない。農業政策は国と都道府県に担当させる趣旨だ。したがって,権利を取得する者が市町村だという理由だけで,3条許可が不要になることはない。
A土地収用法に基づいて収用,使用または交換分合される場合
B民事調停法に基づく農事調停によって権利が設定され,又は移転される場合


3条許可を受ける者と3条許可を受ける先

(1)
3条許可を受ける必要があるのは,契約の当事者だ。
売買契約であれば売主と買主の双方,賃借権設定契約であれば賃貸人と賃借人の双方が許可を受けなければならない。

(2)
3条許可を受ける先は,原則として農業委員会だ。
ただし,耕作権を取得する者がその住所のある市町村の区域の外にある農地または採草放牧地を取得する場合には,3条許可を受ける先は知事になる。


3条許可を受けなかった場合の取扱い

3条許可が必要とされる農地または採草放牧地の権利移動なのに,許可を受けなかった場合は,次のように取り扱われる。
(1)
その権利移動は,無効だ(効力を生じない)。
(2)
罰則の適用がある。



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