宅建試験・参考書 宅建業法No.9

presented by 宅建倶楽部

媒介契約の規制

宅建業法上の8つの取引のうち,売買の代理・売買の媒介・交換の代理・交換の媒介の4つは,宅建業者が高額な物件を紹介する場合だ。
そこで,高額な物件の紹介が口約束で処理されないように,宅建業者が,売買の代理・売買の媒介・交換の代理・交換の媒介の4つにたずさわる場合は,遅滞なく,一定の事項を記載した媒介契約書を作成して,記名押印して,依頼者に交付しなければない,ことになっている。これが媒介契約の規制だ。

媒介契約のタイプ

(1)
4つのどれにたずさわるかを問わず,媒介契約には次のタイプがある。
@一般媒介契約
…依頼したお客さんが,他の宅建業者に重ねて媒介・代理を依頼することが許されるタイプ。
一般媒介契約のうち,依頼者がどこの宅建業者に依頼するかその業者の名前を明らかにしないでよいタイプを,明示義務のない一般媒介契約という。
それに対して,依頼者がどこの宅建業者に依頼するかその業者の名前を明らかにしなければならないタイプを,明示義務のある一般媒介契約という。

A専任媒介契約
…依頼したお客さんが,他の宅建業者に重ねて媒介・代理を依頼することが許されないタイプ。
専任媒介契約のうち,他の業者に依頼できないが,依頼者が自分で相手方を見つけてくることは許されるタイプを,普通の専任媒介契約という。
それに対して,他の業者に依頼できないばかりか,依頼者が自分で相手方を見つけてくること(自己発見取引)も許されないタイプを,専属専任媒介契約という。

(2)
貸借の代理,貸借の媒介にたずさわるときは,媒介契約の規制はない(口約束でもよい)。


媒介契約書   

(1)
宅建業者が媒介契約書に記載しなければならないのは,次の事項だ。

@依頼された宅地建物を特定するために必要な表示
A依頼された宅地建物を売買すべき価額又は評価額
・宅建業者は,その価額又は評価額について意見を述べるときは,同種の取引事例などを引き合いに出して,依頼者の要求がなくても,その根拠を明らかにする必要がある。
・依頼者の希望より高い価額又は評価額で媒介・代理できるときでも,意見を述べるときは,根拠を明らかにする必要がある。
・根拠は口頭で明らかにしてもよい。
・根拠を明らかにするのは取引主任者でなくても(一般の従業員でも)よい。
B依頼された宅地建物について,依頼者が重ねて売買・交換の媒介・代理を依頼することの許否,及び,これを許す場合の他の宅建業者を明示する義務の存否に関する事項
C媒介契約の有効期間及び解除に関する事項
D媒介契約を締結したときの指定流通機構への登録に関する事項
E報酬に関する事項
Fその他国土交通省令・内閣府令で定める事項
a.専任媒介契約では,依頼者が他の業者の媒介・代理によって売買・交換の契約を成立させたときの措置
b.専属専任媒介契約では,依頼者が,依頼した業者が探索した相手方以外の者と売買・交換の契約を成立させたときの措置
c.明示義務のある一般媒介契約では,依頼者が明示していない他の業者の媒介・代理によって売買・交換の契約を成立させたときの措置
d.その媒介契約が,国土交通大臣が定めた標準媒介契約約款に基づくものかどうかの別
※標準媒介契約約款
…お客さんの保護を考えて国土交通大臣が決めた,媒介契約のお手本となるもの。

(2)
媒介契約書の作成,記名押印,依頼者への交付は,取引主任者でなくてもできる。

(3)
依頼者が他の宅建業者である場合でも,媒介契約書の作成,記名押印,依頼者への交付は,省略できない。

(4)
媒介契約書を依頼者に交付しなければならない時期は,媒介契約を締結してから遅滞なく。媒介行為によって売買契約や交換契約が締結されてから遅滞なくではないので注意。


専任媒介契約  

(1)
専任媒介契約は,依頼したお客さんが他の宅建業者に重ねて媒介・代理を依頼することが許されないタイプなので,一般媒介契約よりお客さんを拘束する。そこで,お客さんの拘束を緩和するため,専任媒介契約についてだけ,次の制度が設けられている。

@専任媒介契約(専属専任媒介契約を含む)の有効期間は3ヶ月を超えることができない。
もし,専任媒介契約の有効期間について3ヶ月より長い期間を定めたときは,その専任媒介契約の有効期間は3ヶ月に短縮される。
A専任媒介契約を更新するには,有効期間の満了に際して依頼者の申出があり,かつ,宅建業者がその申出を承諾することが必要だ。
だから,有効期間満了時に専任媒介契約が自動更新されることはない。
専任媒介契約が適法に更新された場合,更新後の有効期間は,初回と同様に,3ヶ月を超えることができない。もし,3ヶ月より長い期間を定めたときは,その専任媒介契約の有効期間は3ヶ月に短縮される。
B普通の専任媒介契約を締結した宅建業者は,依頼者に対して,その専任媒介契約に関係する業務の処理状況を2週間に1回以上報告しなければならない。この報告は口頭でもかまわない。
専属専任媒介契約を締結した宅建業者は,依頼者に対して,その専属専任媒介契約に関係する業務の処理状況を1週間に1回以上報告しなければならない。この報告も口頭でよい。
C専任媒介契約を締結したときは,契約の相手方を探索(たんさく)するため,その媒介契約の目的物である宅地建物について,所在,規模,形質,売買すべき価額等を,国土交通大臣が指定する指定流通機構に登録しなければならない。
※指定流通機構
…宅地建物の物件情報を宅建業者に提供する所
・普通の専任媒介契約の場合は,専任媒介契約締結の日から7日以内(休業日数は算入しない)に,登録する必要がある。
・専属専任媒介契約の場合は,専任媒介契約締結の日から5日以内(休業日数は算入しない)に,登録する必要がある。
・契約の相手方の探索が簡単にできるような状況にある場合でも,専任媒介契約を締結したときは指定流通機構への登録を省略できない。
DCによって指定流通機構に登録をした宅建業者は,登録を証する書面を,遅滞なく,依頼者に交付する必要がある。
EDの宅建業者は,登録した宅地建物の売買・交換契約が成立したときは,遅滞なく,その旨をその登録をした指定流通機構に通知する必要がある。

(2)
専任媒介契約を締結したときは(1)の@〜Dに反する特約をすることはできない。@〜Dに反する特約をした場合,その特約は無効になる。



9 供託所等の説明義務

(1)
保証協会に加入していない業者は営業保証金を供託している。保証協会に加入している業者は弁済業務保証金分担金を保証協会に納付し,保証協会が弁済業務保証金を供託している。
そこで,お客さんを安心させるため,宅建業者は,取引が成立するまでの間に,宅建業を行うための担保に関する事項をお客さんに説明しなければならない,ことになっている。これが供託所等の説明義務だ。

(2)
具体的には,取引が成立するまでの間に,お客さんに次の事項を説明する必要がある。
@保証協会に加入していない業者(保証協会の社員でない業者)
…営業保証金を供託した主たる事務所のもよりの供託所及びその所在地
A保証協会に加入している業者(保証協会の社員である業者)
…社員である旨,その保証協会の名称・住所・事務所の所在地,その保証協会が弁済業務保証金を供託した供託所及びその所在地

(3)
供託所等の説明は,取引主任者でなくてもできる。

(4)
供託所等の説明は,口頭でもできる。

(5)
宅建業者は,相手方が宅建業者の場合も供託所等の説明を省略できない。

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