宅建試験・過去問解説集 民法(権利関係)・平成13年

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※省略されている問題(解説)があります。

平成13年[問 1] 共有

A・B・Cが,持分を6・2・2の割合とする建物の共有をしている場合に関する次の記述のうち,民法の規定及び判例によれば,正しいものはどれか。

(1)Aが,B・Cに無断で,この建物を自己の所有としてDに売却した場合は,その売買契約は有効であるが,B・Cの持分については,他人の権利の売買となる。
(2)Bが,その持分に基づいて単独でこの建物全部を使用している場合は,A・Cは,Bに対して,理由を明らかにすることなく当然に,その明渡しを求めることができる。
(3)この建物をEが不法占有している場合には,B・Cは単独でEに明渡しを求めることはできないが,Aなら明渡しを求めることができる。
(4)裁判による共有物の分割では,Aに建物を取得させ,AからB・Cに対して適正価格で賠償させる方法によることは許されない。


平成13年[問 1] 解説


(1)正しい。共有者には,その共有物をどのくらい支配しているか,という割合がある。この割合を持分という。本問では,A・B・Cが,6:2:2の割合で持分を持っているが,各人の持分は,権利の性質で言えば所有権だ。ところで,民法は当事者の自由意思を尊重する法律なので,他人の物(所有権)を売ることは自由だ。したがって,Aが,B・Cに無断で,この建物全部を自分の所有としてDに売っても,その売買契約は有効だ。つまり,Aが,B・Cに無断で,B・Cの持分についてまでDに売ってしまったとしても,その売買契約は有効だ。この場合の取り扱いは「他人(B・C)の権利(所有権)の売買」となる。なお,B及びCが「イヤだ!」と言った場合,建物全体はDの物にはならない。この場合は「一部が他人の物を売ったのでその一部を買主(D)に移転できないとき」に当たり,売主の担保責任の問題(善意の買主は代金減額と契約解除を請求できる。悪意の買主は代金減額だけを請求できる)に発展して行く。
(2)誤り。共有者は,共有物の「全部について」,その持分に応じた利用(使用・収益)ができる。だから本問のBは,その建物の「全部について」,20%の割合で利用できる。分かりやすく言えば,1年の20%の日,Bは,その建物の「全部について」利用できるということだ。Bにこのような権利がある以上,他の共有者(A・C)は,理由も明らかにしないでBに明渡しを求めることなど出来ない。「1年の20%の日を超えてBが利用している」というように,理由を示して明渡し請求するのなら別だが…。
(3)誤り。共有物の「保存」は,各共有者が「単独」で出来る。持分の割合が過半数に達していない共有者(B・C)でも単独でできる。他の共有者にとっても利益になるからだ。なお,ここで共有物の保存とは,共有物の現状を維持する行為を指し,この建物をEが不法に占有(支配)している場合のEに対する明渡しは,まさに共有物の保存に当たる。したがって,A・B・Cともに,Eに対する明渡し請求(実際にはEを被告として裁判を起こすこと)を単独で出来る。
(4)誤り。共有物の分割とは,共有関係を解消させることだが,建物の場合は,現物を物理的に分割することは困難であり,分割できたとしても著しく価格が低下するおそれがある。そこで建物の分割に際して,各共有者の協議が調わないときは,裁判所は,その共有物の競売(オークション)を命じ,誰か一人(A)に建物全部を取得させ,他の者(B・C)に適正価格を賠償させる,という方法による分割も出来ることになっている。

正解(1)


平成13年[問 2] 意思表示に欠陥がある場合

Aが,Bに住宅用地を売却した場合の錯誤に関する次の記述のうち,民法の規定及び判例によれば,誤っているものはどれか。

(1)Bが,Aや媒介業者の説明をよく聞き,自分でもよく調べて,これなら住宅が建てられると信じて買ったが,地下に予見できない空洞(古い防空壕(ごう))があり,建築するためには著しく巨額の費用が必要であることが判明した場合,Bは,売買契約は錯誤によって無効であると主張できる。
(2)売買契約に要素の錯誤があった場合は,Bに代金を貸し付けたCは,Bがその錯誤を認めず,無効を主張する意思がないときでも,Aに対し,Bに代位して,無効を主張することができる。
(3)Aが,今なら課税されないと信じていたが,これをBに話さないで売却した場合,後に課税されたとしても,Aは,この売買契約が錯誤によって無効であるとはいえない。
(4)Bは,代金をローンで支払うと定めて契約したが,Bの重大な過失によりローン融資を受けることができない場合,Bは,錯誤による売買契約の無効を主張することはできない。


平成13年[問 2] 解説

 
(1)正しい。要素に錯誤があった場合(意思表示の重要な部分に思い違いがあった場合),その意思表示は無効だ。しかし,表意者(錯誤した者)に重過失があったときは,無効を主張できない。他人の犠牲のもとに「すごいあわて者(重過失ある者)まで保護するのは妥当でないからだ。ここでいう重過失とは,重大な不注意をさすが,Bは,宅建業者の説明をよく聞き自分でもよく調べたというのだから,重大な不注意はないと言うべきだ。したがって,重過失はなく,Bは,要素に錯誤があったとして,この売買契約の無効を主張できる。
(2)誤り。要素に錯誤がある意思表示を無効にする制度は,表意者の不注意を救済するものなので,表意者(B)以外の者は無効を主張できないのが原則だ。もっとも,表意者以外の者でも,次の@Aの要件を両方満たしているときは,無効を主張できる。
@「債権者代位権」の行使として無効を主張すること
…表意者以外の者(Bに代金を貸したC)が,その代金債権を確保(保全)するために,表意者(B)の権利(錯誤無効を主張する権利)を,表意者に代わって行使すること(これを「表意者以外の者が債権者代位権の行使として無効を主張する」という)。
A表意者が錯誤を認めていること
(2)では,上の@の要件を満たしているが,「Bがその錯誤を認めていない」のだから,Aの要件を満たしていない。したがって,表意者以外の者(C)は,Bに代位しても(債権者代位権を行使しても),無効を主張できない。
(3)正しい。要素に錯誤があった場合の典型は,意思表示の中味についての思い違いだ。例えば,3番地の住宅用地を買うつもりで,4番地を買ってしまったような場合だ。しかし(3)の事例は意思表示の中味についての思い違いではない。土地の売主(A)が,「今なら課税されないと信じて売ったら,課税された」という思い違いは,意思表示する前提についての思い違いに過ぎない。こういう思い違いを動機(どうき)の錯誤という。動機の錯誤の場合は,その動機(今なら課税されないから売るんだ!)を相手方(B)に表示したときに限って,要素の錯誤として取り扱うことになっている。でないと相手方に不測の損害を与えてしまうからだ。売主Aは,動機を相手方に表示していないから,そもそも要素の錯誤に当たらず,したがってAは,この売買契約が錯誤によって無効であるとはいえない。
(4)正しい。「ローン融資が受けられると思って買ったが,受けられなかった」という思い違いは,(3)と同じく,動機の錯誤だ。(4)では動機を相手方に表示しているから,要素の錯誤になる。しかし,(1)で述べたように,表意者(ひょういしゃ)に重過失があったときは,無効を主張できないから,Bは,錯誤による売買契約の無効を主張することができないことになる。

  正解(2)


平成13年[問 3] 相隣関係

A所有の甲地は他の土地に囲まれて公道に通じない土地で,Aが所有していない回りの土地(囲繞(にょう)地)を通る通路を開設しなければ公道に出ることができない。この場合,民法の規定及び判例によれば,次の記述のうち正しいものはどれか。

(1)Aは,回りの土地 の所有者に代償を支払えば,自己の意思のみによって通行の場所及び方法を定め,回りの土地に通路を開設することができる。
(2)Bが,Aから甲地を譲り受けた場合には,Bは,所有権移転の登記を完了しないと,回りの土地に通路を開設することができない。
(3)甲地が,A及びCの共有地の分割によって公道に通じない土地となったときには,Aは,Cが所有する分割後の残余地にしか通路を開設することができない。
(4)甲地が,D所有の土地を分筆してAに売却した結果,公道に通じない土地になった場合で,Dが,甲地の譲渡後,その残余地である乙地をEに売却したときには,Aは乙地に通路を開設することができない。


平成13年[問 3] 解説

本問は,民法が定める相隣関係(隣接する不動産の利用を調節するために,双方の所有者や利用者が,各自の権利を一定の範囲で制限して協力する関係)の中の,「公道に至るための他の土地の通行権」についての出題だ。
(1)誤り。「公道に至るための他の土地の通行権」とは,他の土地に囲まれて公道に出られない土地の所有者が,公道に出るため,その土地を囲んでいる回りの土地を,その所有者の承諾なく,通行できる権利だ。
 
他の土地に囲まれて公道に出られない土地の所有者(A)が回りの土地を通行する場合,回りの土地の所有者が損害を受けたときは,償金(賠償金)を支払う必要がある。たとえ償金を支払ったとしても,公道に出られない土地の所有者は,自分の意思だけで通行の場所や方法を定めることはできず,回りの土地のため損害が最も少ない場所・方法によらなければならない。
(2)誤り。公道に出られない土地の所有者は,その土地について所有権移転登記を完了していなくても,回りの土地に通路を開設できる。この通行権は契約によらないで民法が当然に認めた権利だからだ。したがって,Bが,Aから甲地を買って所有者になった場合,Bは,所有権移転登記を完了しないでも,回りの土地に通路を作れる。
(3)正しい。上の図で,甲地が,元々囲繞地X(所有者C)との共有の土地だった場合が(3)で言っていることだ。この場合は,AとCが変な分け方をしたので甲地が袋のネズミ状態になったのだから,囲繞地(Y)には責任がない。そこでAは,「昔一緒だった土地」(囲繞地X)にしか通路を作れないことになっている。
(4)誤り。上の図で,甲地が,元々囲繞地X及び囲繞地Y(共に所有者D)と一緒の土地だった場合が,(4)で言っていることだ。この場合も,AとDが変な分け方をしたので甲地が袋のネズミ状態になったのだから,Aは,「昔一緒だった土地」(囲繞地XとY)に通路を作れることになっている。囲繞地Y(乙地)が後に第三者(E)に譲渡されても,同じだ。

  正解(3)


平成13年[問 4] 人的担保(保証・連帯債務)

AとBとが共同で,Cから,C所有の土地を2,000万円で購入し,代金を連帯して負担する(連帯債務)と定め,CはA・Bに登記,引渡しをしたのに,A・Bが支払をしない場合の次の記述のうち,民法の規定によれば,正しいものはどれか。

(1)Cは,Aに対して2,000万円の請求をすると,それと同時には,Bに対しては,全く請求をすることができない。
(2)AとBとが,代金の負担部分を1,000万円ずつと定めていた場合,AはCから2,000万円請求されても,1,000万円を支払えばよい。
(3)BがCに2,000万円支払った場合,Bは,Aの負担部分と定めていた1,000万円及びその支払った日以後の法定利息をAに求償することができる。
(4)Cから請求を受けたBは,Aが,Cに対して有する1,000万円の債権をもって相殺しない以上,Aの負担部分についても,Bからこれをもって相殺することはできない。


平成13年[問 4] 解説

 
(1)誤り。AとBは連帯債務を負担している連帯債務者だ。連帯債務の債権者(C)は,連帯債務者の誰に対しても債権全額(2,000万円)を請求できる。また,連帯債務の債権者は,各連帯債務者に対して,同時に,債権全額を請求できる。連帯債務は,それぞれ独立した債務だからだ。
(2)誤り。連帯債務者相互間には,それぞれ負担部分がある。(2)では,負担部分をAが1,000万円,Bも1,000万円と定めている。しかし,負担部分は連帯債務者の間の内部関係(負担割合)を定めた約束に過ぎず,債権者の請求に限界線を引くものではない。本問ではAとBが共に2,000万円の連帯債務を負っているから,Aが債権者Cから2,000万円請求されれば,Aは2,000万円払わなければならない。
(3)正しい。本問ではAとBが共に2,000万円の連帯債務を負っているが,BがCに2,000万円払えば,債権者が満足することになり,AとBの2,000万円の連帯債務は共に消滅する。ところで(3)では,Aの負担部分(負担割合)は1,000万円なのだから,全額を支払ったBは,Aの負担割合(1,000万円)の償還(弁償)を請求できる。この場合,Aがなかなか払わないときは,法律が定めた利息(法定利息=年5分と決まっている)もAに請求できることになっている。
(4)誤り。(4)では,連帯債務者Aが,債権者Cに1,000万円の反対債権を持っている。連帯債務者側としては,AのCに対する1,000万円の反対債権と2,000万円の連帯債務とを相殺できたら(チャラにできたら)便利だ。そこで,連帯債務者の一人(A)が債権者(C)に対して反対債権を有しているときは,その反対債権を有している連帯債務者(A)の負担部分の限度で,他の連帯債務者(B)も,相殺できることになっている。したがって(4)では,Aの負担部分である1,000万円を限度として,Bから,相殺できる。

  正解(3)


平成13年[問 5] どうすれば不動産の物権を第三者に対抗できるか

AからB,BからCに,甲地が順次売却され,AからBに対する所有権移転登記がなされた。この場合,民法の規定及び判例によれば,次の記述のうち誤っているものはどれか。

(1)Aが甲地につき全く無権利の登記名義人であった場合,真の所有者Dが所有権登記をBから遅滞なく回復する前に,Aが無権利であることにつき善意のCがBから所有権移転登記を受けたとき,Cは甲地の所有権をDに対抗できる。
(2)BからCへの売却後,AがAB間の契約を適法に解除して所有権を取り戻した場合,Aが解除を理由にして所有権登記をBから回復する前に,その解除につき善意のCがBから所有権移転登記を受けたときは,Cは甲地の所有権をAに対抗できる。
(3)BからCへの売却前に,AがAB間の契約を適法に解除して所有権を取り戻した場合,Aが解除を理由にして所有権登記をBから回復する前に,その解除につき善意のCがBから甲地を購入し,かつ,所有権移転登記を受けたときは,Cは甲地の所有権をAに対抗できる。
(4)BからCへの売却前に,取得時効の完成により甲地の所有権を取得したEがいる場合,Eがそれを理由にして所有権登記をBから取得する前に,Eの取得時効につき善意のCがBから甲地を購入し,かつ,所有権移転登記を受けたときは,Cは甲地の所有権をEに対抗できる。


平成13年[問 5] 解説

(1)誤り。

(1)では,登記名義人であるAが全くの無権利者だったので,Aから買ったBは無権利者であり,Bから買ったCも無権利者だ。無権利者であるCは,「登記に関係なく」,真の権利者(D)に,甲地の所有権を対抗(主張)できない。登記で決着を付けるのは,「権利者どうしの争い」である,という基本を忘れないように…。
(2)正しい。          

(2)では,AがAB間の契約を「解除する前に」,Bが同じ不動産をCに売却している。
こういう場合は,「契約を解除しても第三者の権利を害することができない」という民法の定めにより,「第三者が登記を得ていれば」第三者の勝ちとなる。(2)では第三者Cが登記を得ているので,Cが甲地の所有権をAに対抗できる。
(3)正しい。

(3)では,AがAB間の契約を「解除した後で」,Bが同じ不動産をCに売却している。
こういう場合は,「先に登記した方が勝つ」という民法の定めによる。つまり,AとCの優劣は,いわゆる対抗関係に立つことになる。(3)では第三者Cが登記を得ているので,Cが甲地の所有権をAに対抗できる。
(4)正しい。

(4)では,Eが甲地を「時効取得した後で」,Bが同じ不動産をCに売却している。
こういう場合も,「先に登記した方が勝つ」という民法の定めによる。つまり,EとCの優劣は,いわゆる対抗関係に立つことになる。(4)では第三者Cが登記を得ているので,Cが甲地の所有権をEに対抗できる。

  正解(1)


平成13年[問 6] 省略


平成13年[問 7] 省略


平成13年[問 8] 代理

Aが,B所有の建物の売却(それに伴う保存行為を含む。)についてBから代理権を授与されている場合に関する次の記述のうち,民法の規定及び判例によれば,正しいものはどれか。

(1)Aが,Bの名を示さずCと売買契約を締結した場合には,Cが,売主はBであることを知っていても,売買契約はAC間で成立する。
(2)Aが,買主Dから虚偽の事実を告げられて売買契約をした場合でも,Bがその事情を知りつつAに対してDとの契約を指図したものであるときには,BからDに対する詐欺による取消はできない。
(3)Aが,買主を探索中,台風によって破損した建物の一部を,Bに無断で第三者に修繕させた場合,Bには,修繕代金を負担する義務はない。
(4)Aは,急病のためやむを得ない事情があっても,Bの承諾がなければ,さらにEを代理人として選任しBの代理をさせることはできない。


平成13年[問 8] 解説

(1)誤り。
 
代理人がする代理行為は,代理人(A)が,「本人(B)のためにすることを相手方(C)に示して」することが必要だ。Aが,本人Bの名前を示して,Cと売買契約を締結しろ,ということだ。Aが,本人の名前を示さないと,相手方Cが,代理人に過ぎないAを本人と誤解してしまうからだ。でもCが,売主はBであることを知っているなら,このような誤解は生じない。だから(1)では,Aが,本人Bの名前を示さないでも,売買契約はBとCの間で成立し,AとCの間では成立しない。つまり正常な代理行為がされたとみなされる。
(2)正しい。
         
代理が成立すると,代理人が相手方とした代理行為の効果は,代理人を経由しないで,本人がストレートに受けるので,代理人がだまされた場合は,本人がだまされたことになる。だから,詐欺による意思表示として代理行為(AD間の行為)を取り消せるのは,実際にだまされた代理人ではなく,本人だ。だだし,本人が詐欺の事実(代理人がだまされたこと)を知っていた場合は,本人も取り消せない。このような本人を保護する必要はないからだ。
(3)誤り。本問の代理人Aは,建物の売却に伴う保存行為についても,本人Bから代理権を与えられている。保存行為とは現状を維持することであり,壊れた建物を修繕することが典型だ。問題となるのは,Aが自分で修繕しないで,本人に無断で,第三者に修繕させた点だ。この点は解釈に委ねられるが,建物を修繕する行為は,その性質上,特別の事情がない限り(代理人Aの職業が建築士でない限り),建物の修繕を目的として第三者と請負契約を締結することまでを委ねた,と解釈できる。したがって,Aが本人に無断で第三者に修繕させた行為は,代理人の権限内の行為として本人に直接効果が生じ,本人は修繕代金を負担しなければならない。
(4)誤り。AがさらにEを代理人として選任しBの代理をさせることを,復代理という。Aは任意代理人であるが,任意代理人は,次の「どちらかの場合」に復代理人(E)を選任できる。
@本人の許諾がある場合
Aやむを得ない事情がある場合
Aは急病だというのだから,Aにあたる。したがって,Aは,Bの承諾がなくても,さらにEを代理人として選び,EにB所有の建物の売却をさせることができる。

  正解(2)


平成13年[問 9] 賃貸借契約(借地借家法)

Aは,BからB所有の建物を賃借し,特段の定めをすることなく,敷金として50万円をBに交付した。この場合のAのBに対する敷金返還請求権に関する次の記述のうち,民法の規定及び判例によれば,正しいものはどれか。

(1)賃貸借契約期間中でも,Bの返済能力に客観的な不安が生じた場合は,Aは,賃料支払債務と敷金返還請求権とを対当額にて相殺することができる。
(2)敷金返還請求権は,賃貸借契約と不可分であり,Aは,Bの承諾があったとしても,これをAの債権者に対して担保提供することができない。
(3)賃貸借契約が終了した場合,建物明渡債務と敷金返還債務とは常に同時履行の関係にあり,Aは,敷金の支払と引換えにのみ建物を明け渡すと主張できる。
(4)Bは,Aの,賃貸借契約終了時までの未払賃料については,敷金から控除できるが,契約終了後明渡しまでの期間の賃料相当損害額についても,敷金から控除できる。

  正解(4)


平成13年[問 10] 不法行為

甲建物の占有者である(所有者ではない。)Aは,甲建物の壁が今にも剥離(はくり)しそうであると分かっていたのに,甲建物の所有者に通知せず,そのまま放置するなど,損害発生の防止のため法律上要求される注意を行わなかった。そのために,壁が剥離して通行人Bが死亡した。この場合,Bの相続人からの不法行為に基づく損害賠償請求に関する次の記述のうち,民法の規定及び判例によれば,誤っているものはどれか。

(1)Bが即死した場合,B本人の損害賠償請求権は観念できず,その請求権の相続による相続人への承継はない。
(2)Bに配偶者と子がいた場合は,その配偶者と子は,Bの死亡による自己の精神上の苦痛に関し,自己の権利として損害賠償請求権を有する。
(3)Bの相続人は,Aに対しては損害賠償請求ができるが,甲建物の所有者に対しては,損害賠償請求ができない。
(4)壁の剥離につき,壁の施工業者にも−部責任がある場合には,Aは,その施工業者に対して求償権を行使することができる。


平成13年[問 10] 解説

本問は不法行為に関する出題だ。不法行為とは,故意(わざと)または過失(不注意)で,他人の権利又は法律上保護される利益を侵害することだ。不法行為を行った者(加害者)は,被害者に生じた損害を賠償する義務を負う。この損害賠償義務を不法行為責任という。なお,不法行為を行った者は,被害者に生じた財産的損害だけでなく,精神的上の苦痛に関する損害を賠償する義務(慰謝料を支払う義務)も負う。
(1)誤り。即死というのは事故の瞬間に死ぬことだ。死ねば人間でなくなるから,Bが即死した場合は,B本人の損害賠償請求権を考えることができないとも言え,そう考えると,B本人の損害賠償請求権が相続人に受け継がれることもない。しかし,そもそも不法行為制度は被害者側を厚く保護する点に主眼がある。とすれば,即死とはいえ死ぬまでに何秒かのタイムラグがあるのだから,被害者は「死んだことを理由として」加害者に損害賠償を請求でき,その損害賠償請求権が相続人に相続されると考えるべきだ。
(2)正しい。民法は,不法行為を行った者に,被害者に生じた財産的損害だけでなく,精神上の苦痛に関する損害を賠償する義務(慰謝料を支払う義務)を負わせている。そこで,被害者(B)には自己固有の権利として,精神上の苦痛に関する損害賠償を請求する権利がある。ところで,そもそも不法行為制度は被害者側を厚く保護する点に主眼があるので,民法は,被害者の「父母,配偶者,子」に対しても,自分達の権利として損害賠償(慰謝料)を請求する権利を認めている。
(3)正しい。本問のように,建物の壁が剥がれて下を通行中の通行人が死んだような場合を「土地工作物の占有者・所有者が負う不法行為責任」という。この場合,
@占有者(賃借人のこと)が,損害の発生を防止するために必要な注意をして「いない」ときは,占有者自身が不法行為責任を負う
A占有者が,損害の発生を防止するために必要な注意をして「いた」ときは,所有者がいつも不法行為責任を負う
ことになっている。
(3)では,占有者(A)が,損害の発生を防止するために必要な注意をして「いない」のだから,上の@によって,占有者自身が不法行為責任を負う。したがって,Bの相続人は,Aに対しては損害賠償を請求できるが,甲建物の所有者に対しては,請求できない。
(4)正しい。占有者が,損害の発生を防止するために必要な注意をして「いない」ため,占有者自身が不法行為責任を負った場合でも,他に損害が発生した原因を作った者(壁の施工業者)がいたときは,占有者(A)は,その者に対して,被害者側(Bの相続人)に損害賠償した分の弁償(求償)を求めることができる。

  正解(1)


平成13年[問 11] 相続

被相続人Aの相続人の法定相続分に関する次の記述のうち,民法の規定によれば,正しいものはどれか。

(1)AとBが婚姻中に生まれたAの子Cは,AとBの離婚の際,親権者をBと定められたが,Aがその後再婚して,再婚にかかる配偶者がいる状態で死亡したときは,Cには法定相続分はない。
(2)Aに実子がなく,3人の養子がいる場合,法定相続分を有する養子は2人に限られる。
(3)Aが死亡し,配偶者D及びその2人の子供E,Fで遺産分割及びそれに伴う処分を終えた後,認知の訴えの確定により,さらに嫡出でない子Gが1人いることが判明した。Gの法定相続分は6分の1である。
(4)Aに子が3人あり,Aの死亡の際,2人は存命であったが,1人は既に死亡していた。その死亡した子には2人の嫡出子H,Iがいた。A死亡の際,配偶者もいなかった場合,Hの法定相続分は6分の1である。


平成13年[問 11] 解説

(1)誤り。被相続人(A)の子(C)は相続人になるが,「子である以上」,その後両親が離婚しても,相続人でなくなることは無い。(1)の事例は,お父さんAとお母さんBが離婚して,その後,お母さんに育てられた(親の権利を行使する者をBと定められ)Cという設定だ。お父さんは再婚して,今は別の奥さんがいるというものだが,その状態でAが死んでも,CがAの「子である以上」,Cには法定相続分がある,ということだ。
(2)誤り。被相続人の子は相続人になるが,「子」は血のつながった実子でなくてもよい。血のつながりの無い養子でも,立派な子だ。養子しかいない場合でも,人数に制限なく,養子は被相続人(A)の遺産を受け継げる(法定相続分がある)。
(3)誤り。 

いわゆる「Aが他に作った子で認知されたG」のことを非嫡出子という。おメカケさんとの間に生まれた子だ。非嫡出子でもAの子に変わりないので,Gは相続人だ。ところで,子が相続人の場合の法定相続分は,配偶者が1/2,子が全員で残りの1/2だ。もっとも,非嫡出子の法定相続分は嫡出子(婚姻関係にある両親の間に生まれたE,F)の半分しかない。したがって(3)では,EとFの相続分は,それぞれ1/2×2/5=2/10だ。それに対して非嫡出子Gの法定相続分は,1/2×1/5=1/10だ。小学校で算数が不得意だった人に申し上げる。なぜ2/5とか1/5という分数にするかと言えば,非嫡出子の法定相続分は嫡出子の半分なので,E:F:Gは2:2:1の割合で分ける。そこで,分母を5と置いて,E,Fを2/5,Gを1/5とすると計算が速いのだ。
(4)正しい。   

                               
配偶者がいないので,(4)では子供関係だけが相続人だ。子は頭数で相続分を分けるので,一人当たり1/3が法定相続分だ。被相続人(A)が死んだ時に,すでに死んでいた子は相続人になれないが,被相続人の孫(H,I)が,すでに死んでいた子の代わりに相続する。これを代襲相続という。この場合,孫は,すでに死んでいた子の法定相続分を頭数で相続する。したがって,HとIは,それぞれ1/3×1/2=1/6の法定相続分がある。

  正解(4)


平成13年[問 12] 省略


平成13年[問 13] 賃貸借契約(借地借家法)

賃貸人A(個人)と賃借人B(個人)との間の居住用建物の賃貸借契約に関する次の記述のうち,借地借家法の規定及び判例によれば,誤っているものはどれか。

(1)Bが家賃減額の請求をしたが,家賃の減額幅についてAB間に協議が調わず裁判になったときは,Aは,その裁判が確定するまでの期間は,Aが相当と認める金額の家賃を支払うようにBに請求できる。
(2)Bが家賃減額の請求をしたが,家賃の減額幅についてAB間に協議が調わず裁判になったときは,その請求にかかる一定額の減額を正当とする裁判が確定した時点以降分の家賃が減額される。
(3)家賃が,近傍同種の建物の家賃に比較して不相当に高額になったときは,契約の条件にかかわらず,Bは,将来に向かって家賃の減額を請求することができる。
(4)AB間で,3年間は家賃を減額しない旨特に書面で合意した場合,その特約は効力を有しない。


平成13年[問 13] 解説


(1)正しい。家賃の減額を求められた家主(A)が、当事者間(AB間)で協議が調(ととの)わないときは,減額を正当とする裁判が確定するまでは、自分が相当と認める額の家賃の支払いを求めることができる。
(2)誤り。借地借家法には「裁判が確定し(Bの請求による減額がモットモだとする裁判が確定し),支払われた家賃に超過があるときは、家主は、「減額請求後」の超過額に,年1割の割合による受領時からの利息を付けて、返還する必要がある」という定めがある。この定めは,「減額請求後」の超過額の返還を命ずるものだ。したがって(2)では,「減額請求後」の家賃が減額されることになる。でも,「裁判が確定した時点以降分」の家賃が減額される,と書いてあるから誤りだ。
(3)正しい。借家契約の家賃の額が、存続期間の途中で、不相当になった場合、当事者は,契約の条件にかかわらず,借賃の増減(増額や減額)を、将来に向かってのみ、請求できる。したがって,家賃が,近傍同種の建物の家賃に比較して不相当に高額になったときは,契約の条件にかかわらず,Bは,将来に向かって家賃の減額を請求することができる,言える。
(4)正しい。一定の期間,賃貸人が借賃の「増額」を行わない旨の特約は有効だが,一定の期間,賃貸人が借賃の「減額」を行わない旨の特約は,賃借人に不利なので,特約自体が無効だ。書面でするかどうかを問わない。

  正解(2)


平成13年 [問 14] 不動産登記法

1棟の建物を区分した建物(以下この問において「区分建物」という。)についての登記に関する次の記述のうち,誤っているものはどれか。

(1)表題登記がされていない区分建物を建築者から取得した者は,当該区分建物の表題登記を申請する義務はない。
(2)区分建物の登記における床面積は,壁その他の区画の内側線で囲まれた部分の水平投影面積により算出される。
(3)区分建物が規約による共用部分である旨の登記は,当該区分建物の登記記録の表題部に記録される。
(4)登記官は,区分建物に関する敷地権について表題部に最初に登記をするときは,当該敷地権の目的である建物の登記記録について,職権で,当該登記記録中の所有権,地上権その他の権利が敷地権である旨の登記をしなければならない。


平成13年 [問 14] 解説

(1)正しい。区分建物の表題登記の申請は,その一棟の建物に属する他の区分建物の表題登記の申請と併せてしなければならない。分譲マンションの表示に関する登記は,全戸分を一括して申請しろ,ということだ。したがって,マンションの分譲業者が一括申請する義務があるから,分譲業者から各戸を取得した購入者には,表題登記を申請する義務はない。
(2)正しい。建物の床面積は,壁その他の区画の「中心線」で囲まれた部分の水平投影面積(真上から見た図面の面積)で算出され登記されるのが原則だが,区分建物の床面積は,壁その他の区画の「内側線」で囲まれた部分の水平投影面積で算出され登記される。実際に使える面積で測る(内側線で算出する)わけだ。中心線で算出すると,壁の厚さの誤差が出て,実際に使える面積より広くなってしまうので,妥当でないと考えられた。
(3)正しい。規約共用部分の登記(区分建物が規約による共用部分である旨の登記)は,その建物の登記記録の表題部(区分建物の表題部)に記録される。
(4)誤り。登記官は,区分建物に関する敷地権について表題部に最初に登記をするときは,その敷地権の目的である「土地」の登記記録について,職権で,その登記記録中の所有権,地上権その他の権利が敷地権である旨の登記をしなければならない。これによって,その土地がマンションの敷地になっていることが,土地の登記記録で世の中に公示されるわけだ。

  正解(4)


平成13年[問 15] 区分所有法

建物の区分所有等に関する法律に関する次の記述のうち,正しいものはどれか。

(1)最初に建物の専有部分の全部を所有する者は,公正証書により,共用部分の全部について持分割合を定める規約を設定することができる。
(2)一部共用部分に関する事項で区分所有者全員の利害に関係しないものについての区分所有者全員の規約の設定,変更,又は廃止は,当該一部共用部分を共用すべき区分所有者全員の承諾を得なければならない。
(3)管理者は,規約の定め又は集会の決議があっても,その職務に関し区分所有者のために,原告又は被告となることができない。
(4)管理者は,少なくとも毎年1回集会を招集しなければならないが,集会は,区分所有者全員の同意があるときは,招集の手続を経ないで開くことができる。


平成13年[問 15] 解説

(1)誤り。規約とは,その分譲マンションの決まり,いわばマンションの憲法のことだ。ところで,規約の設定・変更・廃止は,集会の決議によるのが原則だ(具体的には,区分所有者及び議決権の各4分の3以上の多数による集会の決議でする)。ただし,最初に専有部分の全部を所有する者(例えば分譲業者)は,次の4つ規約に限って,単独で定めることができる(証拠を明確にするために,公正証書によることが必要だが)。
@規約共用部分に関する規約
A規約敷地に関する規約
B専有部分と敷地利用権の分離処分を可能にする規約
C各専有部分に対応する敷地利用権の割合を定める規約
これらの4つの規約は,区分所有者に分譲される前に確定していた方が後で入居する住民にとって望ましいから,最初に専有部分の全部を所有する者が単独で定めることができるのだ。ところが,(1)の「共用部分の全部について持分割合を定める規約」は,分譲される前に確定していた方が後で入居する住民にとって望ましいとは言えない。例えば「駐車上の持分はどうしよう?」という規約だが,このようなことは生活し始めてから決めた方がよいので(誰が車を持っているかさえ,生活し始めるまで不明だろう!),上の@〜Cに入っていない。
(2)誤り。「一部共用部分に関する事項で区分所有者全員の利害に関係しないもの」とは,例えば,1階の店舗部分にだけ利用される通路のことだ。このような通路の管理についても,「区分所有者全員の規約」で定めることができる。同じマンションの通路である以上,全員の規約で定めた方が便利かつ適切な管理になる場合があるからだ。この場合,「区分所有者全員の規約」の設定・変更・廃止が,「一部の区分所有者(例:1階の店舗部分の所有者)に「特別の影響を及ぼすとき(例:通路を廃止する)は」,一部の区分所有者全員の承諾を得なければならない。でも,特別の影響を及ぼさないなら,このような承諾は不要だ(原則通り,区分所有者及び議決権の各4分の3以上の多数による集会の決議でOK)。(2)は「特別の影響を及ぼすときは」という言葉が抜けているから,誤り。
(3)誤り。例えば,マンション全体の事柄でトラブルが生じた場合(例:共用部分の補修を頼んだ業者がいい加減な工事をして損害が生じた,マンションの外壁が崩れて通行人が死傷した),区分所有者全員の名前で裁判の原告(訴える人)・被告(訴えられる人)になることも可能だ。しかし,それでは面倒くさい。管理者に委ねた方が便利だ。そこで管理者は,「規約の定め又は集会の決議があれば」,その職務に関して分譲マンションの所有者のために,原告や被告になれることになっている。
(4)正しい。管理者は,少なくとも毎年1回集会を招集しなければならない。集会は,いわばマンションの国会であり,国の国会が毎年1回招集される(通常国会)のを,区分所有法がマネしたのだ。また,集会は,「区分所有者全員の同意」があるときは,招集の手続を経ないで開くことができる。これは小規模マンションのための規定だ。集会は招集手続(少なくとも1週間前に会議の目的を通知する)を経てから開くのが原則だが,小規模マンションでは却って面倒だ。そこで,全員に電話連絡すればスグにでも集会が開けるよう,全員の同意があれば招集手続を省けるようになっている。

  正解(4)


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