民法(総則)

最終改正:平成一八年六月二一日法律第七八号
(最終改正までの未施行法令)
平成十八年六月二日法律第五十号 (未施行)

第一編 総則
  第一章 通則(第一条・第二条)
  第二章 人
   第一節 権利能力(第三条)
   第二節 行為能力(第四条―第二十一条)
   第三節 住所(第二十二条―第二十四条)
   第四節 不在者の財産の管理及び失踪の宣告(第二十五条―第三十二条)
   第五節 同時死亡の推定(第三十二条の二)
  第三章 法人
   第一節 法人の設立(第三十三条―第五十一条)
   第二節 法人の管理(第五十二条―第六十七条)
   第三節 法人の解散(第六十八条―第八十三条)
   第四節 補則(第八十四条・第八十四条の二)
   第五節 罰則(第八十四条の三)
  第四章 物(第八十五条―第八十九条)
  第五章 法律行為
   第一節 総則(第九十条―第九十二条)
   第二節 意思表示(第九十三条―第九十八条の二)
   第三節 代理(第九十九条―第百十八条)
   第四節 無効及び取消し(第百十九条―第百二十六条)
   第五節 条件及び期限(第百二十七条―第百三十七条)
  第六章 期間の計算(第百三十八条―第百四十三条)
  第七章 時効
   第一節 総則(第百四十四条―第百六十一条)
   第二節 取得時効(第百六十二条―第百六十五条)
   第三節 消滅時効(第百六十六条―第百七十四条の二)
第二編 物権
  第一章 総則(第百七十五条―第百七十九条)
  第二章 占有権
   第一節 占有権の取得(第百八十条―第百八十七条)
   第二節 占有権の効力(第百八十八条―第二百二条)
   第三節 占有権の消滅(第二百三条・第二百四条)
   第四節 準占有(第二百五条)
  第三章 所有権
   第一節 所有権の限界
    第一款 所有権の内容及び範囲(第二百六条―第二百八条)
    第二款 相隣関係(第二百九条―第二百三十八条)
   第二節 所有権の取得(第二百三十九条―第二百四十八条)
   第三節 共有(第二百四十九条―第二百六十四条)
  第四章 地上権(第二百六十五条―第二百六十九条の二)
  第五章 永小作権(第二百七十条―第二百七十九条)
  第六章 地役権(第二百八十条―第二百九十四条)
  第七章 留置権(第二百九十五条―第三百二条)
  第八章 先取特権
   第一節 総則(第三百三条―第三百五条)
   第二節 先取特権の種類
    第一款 一般の先取特権(第三百六条―第三百十条)
    第二款 動産の先取特権(第三百十一条―第三百二十四条)
    第三款 不動産の先取特権(第三百二十五条―第三百二十八条)
   第三節 先取特権の順位(第三百二十九条―第三百三十二条)
   第四節 先取特権の効力(第三百三十三条―第三百四十一条)
  第九章 質権
   第一節 総則(第三百四十二条―第三百五十一条)
   第二節 動産質(第三百五十二条―第三百五十五条)
   第三節 不動産質(第三百五十六条―第三百六十一条)
   第四節 権利質(第三百六十二条―第三百六十八条)
  第十章 抵当権
   第一節 総則(第三百六十九条―第三百七十二条)
   第二節 抵当権の効力(第三百七十三条―第三百九十五条)
   第三節 抵当権の消滅(第三百九十六条―第三百九十八条)
   第四節 根抵当(第三百九十八条の二―第三百九十八条の二十二)
第三編 債権
  第一章 総則
   第一節 債権の目的(第三百九十九条―第四百十一条)
   第二節 債権の効力
    第一款 債務不履行の責任等(第四百十二条―第四百二十二条)
    第二款 債権者代位権及び詐害行為取消権(第四百二十三条―第四百二十六条)
   第三節 多数当事者の債権及び債務
    第一款 総則(第四百二十七条)
    第二款 不可分債権及び不可分債務(第四百二十八条―第四百三十一条)
    第三款 連帯債務(第四百三十二条―第四百四十五条)
    第四款 保証債務
     第一目 総則(第四百四十六条―第四百六十五条)
     第二目 貸金等根保証契約(第四百六十五条の二―第四百六十五条の五)
   第四節 債権の譲渡(第四百六十六条―第四百七十三条)
   第五節 債権の消滅
    第一款 弁済
     第一目 総則(第四百七十四条―第四百九十三条)
     第二目 弁済の目的物の供託(第四百九十四条―第四百九十八条)
     第三目 弁済による代位(第四百九十九条―第五百四条)
    第二款 相殺(第五百五条―第五百十二条)
    第三款 更改(第五百十三条―第五百十八条)
    第四款 免除(第五百十九条)
    第五款 混同(第五百二十条)
  第二章 契約
   第一節 総則
    第一款 契約の成立(第五百二十一条―第五百三十二条)
    第二款 契約の効力(第五百三十三条―第五百三十九条)
    第三款 契約の解除(第五百四十条―第五百四十八条)
   第二節 贈与(第五百四十九条―第五百五十四条)
   第三節 売買
    第一款 総則(第五百五十五条―第五百五十九条)
    第二款 売買の効力(第五百六十条―第五百七十八条)
    第三款 買戻し(第五百七十九条―第五百八十五条)
   第四節 交換(第五百八十六条)
   第五節 消費貸借(第五百八十七条―第五百九十二条)
   第六節 使用貸借(第五百九十三条―第六百条)
   第七節 賃貸借
    第一款 総則(第六百一条―第六百四条)
   第二款 賃貸借の効力(第六百五条―第六百十六条)
    第三款 賃貸借の終了(第六百十七条―第六百二十二条)
   第八節 雇用(第六百二十三条―第六百三十一条)
   第九節 請負(第六百三十二条―第六百四十二条)
   第十節 委任(第六百四十三条―第六百五十六条)
   第十一節 寄託(第六百五十七条―第六百六十六条)
   第十二節 組合(第六百六十七条―第六百八十八条)
   第十三節 終身定期金(第六百八十九条―第六百九十四条)
   第十四節 和解(第六百九十五条・第六百九十六条)
  第三章 事務管理(第六百九十七条―第七百二条)
  第四章 不当利得(第七百三条―第七百八条)
  第五章 不法行為(第七百九条―第七百二十四条)
第四編 親族
  第一章 総則(第七百二十五条―第七百三十条)
  第二章 婚姻
   第一節 婚姻の成立
    第一款 婚姻の要件(第七百三十一条―第七百四十一条)
    第二款 婚姻の無効及び取消し(第七百四十二条―第七百四十九条)
   第二節 婚姻の効力(第七百五十条―第七百五十四条)
   第三節 夫婦財産制
    第一款 総則(第七百五十五条―第七百五十九条)
    第二款 法定財産制(第七百六十条―第七百六十二条)
   第四節 離婚
    第一款 協議上の離婚(第七百六十三条―第七百六十九条)
    第二款 裁判上の離婚(第七百七十条・第七百七十一条)
  第三章 親子
   第一節 実子(第七百七十二条―第七百九十一条)
   第二節 養子
    第一款 縁組の要件(第七百九十二条―第八百一条)
    第二款 縁組の無効及び取消し(第八百二条―第八百八条)
    第三款 縁組の効力(第八百九条・第八百十条)
    第四款 離縁(第八百十一条―第八百十七条)
    第五款 特別養子(第八百十七条の二―第八百十七条の十一)
  第四章 親権
   第一節 総則(第八百十八条・第八百十九条)
   第二節 親権の効力(第八百二十条―第八百三十三条)
   第三節 親権の喪失(第八百三十四条―第八百三十七条)
  第五章 後見
   第一節 後見の開始(第八百三十八条)
   第二節 後見の機関
    第一款 後見人(第八百三十九条―第八百四十七条)
    第二款 後見監督人(第八百四十八条―第八百五十二条)
   第三節 後見の事務(第八百五十三条―第八百六十九条)
   第四節 後見の終了(第八百七十条―第八百七十五条)
  第六章 保佐及び補助
   第一節 保佐(第八百七十六条―第八百七十六条の五)
   第二節 補助(第八百七十六条の六―第八百七十六条の十)
  第七章 扶養(第八百七十七条―第八百八十一条)
第五編 相続
  第一章 総則(第八百八十二条―第八百八十五条)
  第二章 相続人(第八百八十六条―第八百九十五条)
  第三章 相続の効力
   第一節 総則(第八百九十六条―第八百九十九条)
   第二節 相続分(第九百条―第九百五条)
   第三節 遺産の分割(第九百六条―第九百十四条)
  第四章 相続の承認及び放棄
   第一節 総則(第九百十五条―第九百十九条)
   第二節 相続の承認
    第一款 単純承認(第九百二十条・第九百二十一条)
    第二款 限定承認(第九百二十二条―第九百三十七条)
   第三節 相続の放棄(第九百三十八条―第九百四十条)
  第五章 財産分離(第九百四十一条―第九百五十条)
  第六章 相続人の不存在(第九百五十一条―第九百五十九条)
  第七章 遺言
   第一節 総則(第九百六十条―第九百六十六条)
   第二節 遺言の方式
    第一款 普通の方式(第九百六十七条―第九百七十五条)
    第二款 特別の方式(第九百七十六条―第九百八十四条)
   第三節 遺言の効力(第九百八十五条―第千三条)
   第四節 遺言の執行(第千四条―第千二十一条)
   第五節 遺言の撤回及び取消し(第千二十二条―第千二十七条)
  第八章 遺留分(第千二十八条―第千四十四条)

 第一編 総則

  第一章 通則

(基本原則)
第一条  私権は、公共の福祉に適合しなければならない。
2  権利の行使及び義務の履行は、信義に従い誠実に行わなければならない。
3  権利の濫用は、これを許さない。

(解釈の基準)
第二条  この法律は、個人の尊厳と両性の本質的平等を旨として、解釈しなければならない。

   第二章 人

    第一節 権利能力

第三条  私権の享有は、出生に始まる。
2  外国人は、法令又は条約の規定により禁止される場合を除き、私権を享有する。

    第二節 行為能力

(成年)
第四条  年齢二十歳をもって、成年とする。

(未成年者の法律行為)
第五条  未成年者が法律行為をするには、その法定代理人の同意を得なければならない。ただし、単に権利を得、又は義務を免れる法律行為については、この限りでない。
2  前項の規定に反する法律行為は、取り消すことができる。
3  第一項の規定にかかわらず、法定代理人が目的を定めて処分を許した財産は、その目的の範囲内において、未成年者が自由に処分することができる。目的を定めないで処分を許した財産を処分するときも、同様とする。

(未成年者の営業の許可)
第六条  一種又は数種の営業を許された未成年者は、その営業に関しては、成年者と同一の行為能力を有する。
2  前項の場合において、未成年者がその営業に堪えることができない事由があるときは、その法定代理人は、第四編(親族)の規定に従い、その許可を取り消し、又はこれを制限することができる。

(後見開始の審判)
第七条  精神上の障害により事理を弁識する能力を欠く常況にある者については、家庭裁判所は、本人、配偶者、四親等内の親族、未成年後見人、未成年後見監督人、保佐人、保佐監督人、補助人、補助監督人又は検察官の請求により、後見開始の審判をすることができる。

(成年被後見人及び成年後見人)
第八条  後見開始の審判を受けた者は、成年被後見人とし、これに成年後見人を付する。

(成年被後見人の法律行為)
第九条  成年被後見人の法律行為は、取り消すことができる。ただし、日用品の購入その他日常生活に関する行為については、この限りでない。

(後見開始の審判の取消し)
第十条  第七条に規定する原因が消滅したときは、家庭裁判所は、本人、配偶者、四親等内の親族、後見人(未成年後見人及び成年後見人をいう。以下同じ。)、後見監督人(未成年後見監督人及び成年後見監督人をいう。以下同じ。)又は検察官の請求により、後見開始の審判を取り消さなければならない。

(保佐開始の審判)
第十一条  精神上の障害により事理を弁識する能力が著しく不十分である者については、家庭裁判所は、本人、配偶者、四親等内の親族、後見人、後見監督人、補助人、補助監督人又は検察官の請求により、保佐開始の審判をすることができる。ただし、第七条に規定する原因がある者については、この限りでない。

(被保佐人及び保佐人)
第十二条  保佐開始の審判を受けた者は、被保佐人とし、これに保佐人を付する。

(保佐人の同意を要する行為等)
第十三条  被保佐人が次に掲げる行為をするには、その保佐人の同意を得なければならない。ただし、第九条ただし書に規定する行為については、この限りでない。
一  元本を領収し、又は利用すること。
二  借財又は保証をすること。
三  不動産その他重要な財産に関する権利の得喪を目的とする行為をすること。
四  訴訟行為をすること。
五  贈与、和解又は仲裁合意(仲裁法 (平成十五年法律第百三十八号)第二条第一項 に規定する仲裁合意をいう。)をすること。
六  相続の承認若しくは放棄又は遺産の分割をすること。
七  贈与の申込みを拒絶し、遺贈を放棄し、負担付贈与の申込みを承諾し、又は負担付遺贈を承認すること。
八  新築、改築、増築又は大修繕をすること。
九  第六百二条に定める期間を超える賃貸借をすること。
2  家庭裁判所は、第十一条本文に規定する者又は保佐人若しくは保佐監督人の請求により、被保佐人が前項各号に掲げる行為以外の行為をする場合であってもその保佐人の同意を得なければならない旨の審判をすることができる。ただし、第九条ただし書に規定する行為については、この限りでない。
3  保佐人の同意を得なければならない行為について、保佐人が被保佐人の利益を害するおそれがないにもかかわらず同意をしないときは、家庭裁判所は、被保佐人の請求により、保佐人の同意に代わる許可を与えることができる。
4  保佐人の同意を得なければならない行為であって、その同意又はこれに代わる許可を得ないでしたものは、取り消すことができる。

(保佐開始の審判等の取消し)
第十四条  第十一条本文に規定する原因が消滅したときは、家庭裁判所は、本人、配偶者、四親等内の親族、未成年後見人、未成年後見監督人、保佐人、保佐監督人又は検察官の請求により、保佐開始の審判を取り消さなければならない。
2  家庭裁判所は、前項に規定する者の請求により、前条第二項の審判の全部又は一部を取り消すことができる。

(補助開始の審判)
第十五条  精神上の障害により事理を弁識する能力が不十分である者については、家庭裁判所は、本人、配偶者、四親等内の親族、後見人、後見監督人、保佐人、保佐監督人又は検察官の請求により、補助開始の審判をすることができる。ただし、第七条又は第十一条本文に規定する原因がある者については、この限りでない。
2  本人以外の者の請求により補助開始の審判をするには、本人の同意がなければならない。
3  補助開始の審判は、第十七条第一項の審判又は第八百七十六条の九第一項の審判とともにしなければならない。

(被補助人及び補助人)
第十六条  補助開始の審判を受けた者は、被補助人とし、これに補助人を付する。

(補助人の同意を要する旨の審判等)
第十七条  家庭裁判所は、第十五条第一項本文に規定する者又は補助人若しくは補助監督人の請求により、被補助人が特定の法律行為をするにはその補助人の同意を得なければならない旨の審判をすることができる。ただし、その審判によりその同意を得なければならないものとすることができる行為は、第十三条第一項に規定する行為の一部に限る。
2  本人以外の者の請求により前項の審判をするには、本人の同意がなければならない。
3  補助人の同意を得なければならない行為について、補助人が被補助人の利益を害するおそれがないにもかかわらず同意をしないときは、家庭裁判所は、被補助人の請求により、補助人の同意に代わる許可を与えることができる。
4  補助人の同意を得なければならない行為であって、その同意又はこれに代わる許可を得ないでしたものは、取り消すことができる。

(補助開始の審判等の取消し)
第十八条  第十五条第一項本文に規定する原因が消滅したときは、家庭裁判所は、本人、配偶者、四親等内の親族、未成年後見人、未成年後見監督人、補助人、補助監督人又は検察官の請求により、補助開始の審判を取り消さなければならない。
2  家庭裁判所は、前項に規定する者の請求により、前条第一項の審判の全部又は一部を取り消すことができる。
3  前条第一項の審判及び第八百七十六条の九第一項の審判をすべて取り消す場合には、家庭裁判所は、補助開始の審判を取り消さなければならない。

(審判相互の関係)
第十九条  後見開始の審判をする場合において、本人が被保佐人又は被補助人であるときは、家庭裁判所は、その本人に係る保佐開始又は補助開始の審判を取り消さなければならない。
2  前項の規定は、保佐開始の審判をする場合において本人が成年被後見人若しくは被補助人であるとき、又は補助開始の審判をする場合において本人が成年被後見人若しくは被保佐人であるときについて準用する。

(制限行為能力者の相手方の催告権)
第二十条  制限行為能力者(未成年者、成年被後見人、被保佐人及び第十七条第一項の審判を受けた被補助人をいう。以下同じ。)の相手方は、その制限行為能力者が行為能力者(行為能力の制限を受けない者をいう。以下同じ。)となった後、その者に対し、一箇月以上の期間を定めて、その期間内にその取り消すことができる行為を追認するかどうかを確答すべき旨の催告をすることができる。この場合において、その者がその期間内に確答を発しないときは、その行為を追認したものとみなす。
2  制限行為能力者の相手方が、制限行為能力者が行為能力者とならない間に、その法定代理人、保佐人又は補助人に対し、その権限内の行為について前項に規定する催告をした場合において、これらの者が同項の期間内に確答を発しないときも、同項後段と同様とする。
3  特別の方式を要する行為については、前二項の期間内にその方式を具備した旨の通知を発しないときは、その行為を取り消したものとみなす。
4  制限行為能力者の相手方は、被保佐人又は第十七条第一項の審判を受けた被補助人に対しては、第一項の期間内にその保佐人又は補助人の追認を得るべき旨の催告をすることができる。この場合において、その被保佐人又は被補助人がその期間内にその追認を得た旨の通知を発しないときは、その行為を取り消したものとみなす。

(制限行為能力者の詐術)
第二十一条  制限行為能力者が行為能力者であることを信じさせるため詐術を用いたときは、その行為を取り消すことができない。

    第三節 住所

(住所)
第二十二条  各人の生活の本拠をその者の住所とする。

(居所)
第二十三条  住所が知れない場合には、居所を住所とみなす。
2  日本に住所を有しない者は、その者が日本人又は外国人のいずれであるかを問わず、日本における居所をその者の住所とみなす。ただし、準拠法を定める法律に従いその者の住所地法によるべき場合は、この限りでない。

(仮住所)
第二十四条  ある行為について仮住所を選定したときは、その行為に関しては、その仮住所を住所とみなす。

    第四節 不在者の財産の管理及び失踪の宣告

(不在者の財産の管理)
第二十五条  従来の住所又は居所を去った者(以下「不在者」という。)がその財産の管理人(以下この節において単に「管理人」という。)を置かなかったときは、家庭裁判所は、利害関係人又は検察官の請求により、その財産の管理について必要な処分を命ずることができる。本人の不在中に管理人の権限が消滅したときも、同様とする。
2  前項の規定による命令後、本人が管理人を置いたときは、家庭裁判所は、その管理人、利害関係人又は検察官の請求により、その命令を取り消さなければならない。

(管理人の改任)
第二十六条  不在者が管理人を置いた場合において、その不在者の生死が明らかでないときは、家庭裁判所は、利害関係人又は検察官の請求により、管理人を改任することができる。

(管理人の職務)
第二十七条  前二条の規定により家庭裁判所が選任した管理人は、その管理すべき財産の目録を作成しなければならない。この場合において、その費用は、不在者の財産の中から支弁する。
2  不在者の生死が明らかでない場合において、利害関係人又は検察官の請求があるときは、家庭裁判所は、不在者が置いた管理人にも、前項の目録の作成を命ずることができる。
3  前二項に定めるもののほか、家庭裁判所は、管理人に対し、不在者の財産の保存に必要と認める処分を命ずることができる。

(管理人の権限)
第二十八条  管理人は、第百三条に規定する権限を超える行為を必要とするときは、家庭裁判所の許可を得て、その行為をすることができる。不在者の生死が明らかでない場合において、その管理人が不在者が定めた権限を超える行為を必要とするときも、同様とする。

(管理人の担保提供及び報酬)
第二十九条  家庭裁判所は、管理人に財産の管理及び返還について相当の担保を立てさせることができる。
2  家庭裁判所は、管理人と不在者との関係その他の事情により、不在者の財産の中から、相当な報酬を管理人に与えることができる。

(失踪の宣告)
第三十条  不在者の生死が七年間明らかでないときは、家庭裁判所は、利害関係人の請求により、失踪の宣告をすることができる。
2  戦地に臨んだ者、沈没した船舶の中に在った者その他死亡の原因となるべき危難に遭遇した者の生死が、それぞれ、戦争が止んだ後、船舶が沈没した後又はその他の危難が去った後一年間明らかでないときも、前項と同様とする。

(失踪の宣告の効力)
第三十一条  前条第一項の規定により失踪の宣告を受けた者は同項の期間が満了した時に、同条第二項の規定により失踪の宣告を受けた者はその危難が去った時に、死亡したものとみなす。

(失踪の宣告の取消し)
第三十二条  失踪者が生存すること又は前条に規定する時と異なる時に死亡したことの証明があったときは、家庭裁判所は、本人又は利害関係人の請求により、失踪の宣告を取り消さなければならない。この場合において、その取消しは、失踪の宣告後その取消し前に善意でした行為の効力に影響を及ぼさない。
2  失踪の宣告によって財産を得た者は、その取消しによって権利を失う。ただし、現に利益を受けている限度においてのみ、その財産を返還する義務を負う。

    第五節 同時死亡の推定

第三十二条の二  数人の者が死亡した場合において、そのうちの一人が他の者の死亡後になお生存していたことが明らかでないときは、これらの者は、同時に死亡したものと推定する。

   第三章 法人

    第一節 法人の設立

(法人の成立)
第三十三条  法人は、この法律その他の法律の規定によらなければ、成立しない。

(公益法人の設立)
第三十四条  学術、技芸、慈善、祭祀、宗教その他の公益に関する社団又は財団であって、営利を目的としないものは、主務官庁の許可を得て、法人とすることができる。

(名称の使用制限)
第三十五条  社団法人又は財団法人でない者は、その名称中に社団法人若しくは財団法人という文字又はこれらと誤認されるおそれのある文字を用いてはならない。

(外国法人)
第三十六条  外国法人は、国、国の行政区画及び商事会社を除き、その成立を認許しない。ただし、法律又は条約の規定により認許された外国法人は、この限りでない。
2  前項の規定により認許された外国法人は、日本において成立する同種の法人と同一の私権を有する。ただし、外国人が享有することのできない権利及び法律又は条約中に特別の規定がある権利については、この限りでない。

(定款)
第三十七条  社団法人を設立しようとする者は、定款を作成し、次に掲げる事項を記載しなければならない。
一  目的
二  名称
三  事務所の所在地
四  資産に関する規定
五  理事の任免に関する規定
六  社員の資格の得喪に関する規定

(定款の変更)
第三十八条  定款は、総社員の四分の三以上の同意があるときに限り、変更することができる。ただし、定款に別段の定めがあるときは、この限りでない。
2  定款の変更は、主務官庁の認可を受けなければ、その効力を生じない。

(寄附行為)
第三十九条  財団法人を設立しようとする者は、その設立を目的とする寄附行為で、第三十七条第一号から第五号までに掲げる事項を定めなければならない。

(裁判所による名称等の定め)
第四十条  財団法人を設立しようとする者が、その名称、事務所の所在地又は理事の任免の方法を定めないで死亡したときは、裁判所は、利害関係人又は検察官の請求により、これを定めなければならない。

(贈与又は遺贈に関する規定の準用)
第四十一条  生前の処分で寄附行為をするときは、その性質に反しない限り、贈与に関する規定を準用する。
2  遺言で寄附行為をするときは、その性質に反しない限り、遺贈に関する規定を準用する。

(寄附財産の帰属時期)
第四十二条  生前の処分で寄附行為をしたときは、寄附財産は、法人の設立の許可があった時から法人に帰属する。
2  遺言で寄附行為をしたときは、寄附財産は、遺言が効力を生じた時から法人に帰属したものとみなす。

(法人の能力)
第四十三条  法人は、法令の規定に従い、定款又は寄附行為で定められた目的の範囲内において、権利を有し、義務を負う。

(法人の不法行為能力等)
第四十四条  法人は、理事その他の代理人がその職務を行うについて他人に加えた損害を賠償する責任を負う。
2  法人の目的の範囲を超える行為によって他人に損害を加えたときは、その行為に係る事項の決議に賛成した社員及び理事並びにその決議を履行した理事その他の代理人は、連帯してその損害を賠償する責任を負う。

(法人の設立の登記等)
第四十五条  法人は、その設立の日から、主たる事務所の所在地においては二週間以内に、その他の事務所の所在地においては三週間以内に、登記をしなければならない。
2  法人の設立は、その主たる事務所の所在地において登記をしなければ、第三者に対抗することができない。
3  法人の設立後に新たに事務所を設けたときは、その事務所の所在地においては三週間以内に、登記をしなければならない。

(設立の登記の登記事項及び変更の登記等)
第四十六条  法人の設立の登記において登記すべき事項は、次のとおりとする。
一  目的
二  名称
三  事務所の所在場所
四  設立の許可の年月日
五  存立時期を定めたときは、その時期
六  資産の総額
七  出資の方法を定めたときは、その方法
八  理事の氏名及び住所
2  前項各号に掲げる事項に変更を生じたときは、主たる事務所の所在地においては二週間以内に、その他の事務所の所在地においては三週間以内に、変更の登記をしなければならない。この場合において、それぞれ登記前にあっては、その変更をもって第三者に対抗することができない。
3  理事の職務の執行を停止し、若しくはその職務を代行する者を選任する仮処分命令又はその仮処分命令を変更し、若しくは取り消す決定がされたときは、主たる事務所及びその他の事務所の所在地においてその登記をしなければならない。この場合においては、前項後段の規定を準用する。

(登記の期間)
第四十七条  第四十五条第一項及び前条の規定により登記すべき事項のうち官庁の許可を要するものの登記の期間については、その許可書が到達した日から起算する。

(事務所の移転の登記)
第四十八条  法人が主たる事務所を移転したときは、二週間以内に、旧所在地においては移転の登記をし、新所在地においては第四十六条第一項各号に掲げる事項を登記しなければならない。
2  法人が主たる事務所以外の事務所を移転したときは、旧所在地においては三週間以内に移転の登記をし、新所在地においては四週間以内に第四十六条第一項各号に掲げる事項を登記しなければならない。
3  同一の登記所の管轄区域内において事務所を移転したときは、その移転を登記すれば足りる。

(外国法人の登記)
第四十九条  第四十五条第三項、第四十六条及び前条の規定は、外国法人が日本に事務所を設ける場合について準用する。ただし、外国において生じた事項の登記の期間については、その通知が到達した日から起算する。
2  外国法人が初めて日本に事務所を設けたときは、その事務所の所在地において登記するまでは、第三者は、その法人の成立を否認することができる。

(法人の住所)
第五十条  法人の住所は、その主たる事務所の所在地にあるものとする。

(財産目録及び社員名簿)
第五十一条  法人は、設立の時及び毎年一月から三月までの間に財産目録を作成し、常にこれをその主たる事務所に備え置かなければならない。ただし、特に事業年度を設けるものは、設立の時及び毎事業年度の終了の時に財産目録を作成しなければならない。
2  社団法人は、社員名簿を備え置き、社員の変更があるごとに必要な変更を加えなければならない。

    第二節 法人の管理

(理事)
第五十二条  法人には、一人又は数人の理事を置かなければならない。
2  理事が数人ある場合において、定款又は寄附行為に別段の定めがないときは、法人の事務は、理事の過半数で決する。

(法人の代表)
第五十三条  理事は、法人のすべての事務について、法人を代表する。ただし、定款の規定又は寄附行為の趣旨に反することはできず、また、社団法人にあっては総会の決議に従わなければならない。

(理事の代理権の制限)
第五十四条  理事の代理権に加えた制限は、善意の第三者に対抗することができない。

(理事の代理行為の委任)
第五十五条  理事は、定款、寄附行為又は総会の決議によって禁止されていないときに限り、特定の行為の代理を他人に委任することができる。

(仮理事)
第五十六条  理事が欠けた場合において、事務が遅滞することにより損害を生ずるおそれがあるときは、裁判所は、利害関係人又は検察官の請求により、仮理事を選任しなければならない。

(利益相反行為)
第五十七条  法人と理事との利益が相反する事項については、理事は、代理権を有しない。この場合においては、裁判所は、利害関係人又は検察官の請求により、特別代理人を選任しなければならない。

(監事)
第五十八条  法人には、定款、寄附行為又は総会の決議で、一人又は数人の監事を置くことができる。

(監事の職務)
第五十九条  監事の職務は、次のとおりとする。
一  法人の財産の状況を監査すること。
二  理事の業務の執行の状況を監査すること。
三  財産の状況又は業務の執行について、法令、定款若しくは寄附行為に違反し、又は著しく不当な事項があると認めるときは、総会又は主務官庁に報告をすること。
四  前号の報告をするため必要があるときは、総会を招集すること。

(通常総会)
第六十条  社団法人の理事は、少なくとも毎年一回、社員の通常総会を開かなければならない。

(臨時総会)
第六十一条  社団法人の理事は、必要があると認めるときは、いつでも臨時総会を招集することができる。
2  総社員の五分の一以上から会議の目的である事項を示して請求があったときは、理事は、臨時総会を招集しなければならない。ただし、総社員の五分の一の割合については、定款でこれと異なる割合を定めることができる。

(総会の招集)
第六十二条  総会の招集の通知は、会日より少なくとも五日前に、その会議の目的である事項を示し、定款で定めた方法に従ってしなければならない。

(社団法人の事務の執行)
第六十三条  社団法人の事務は、定款で理事その他の役員に委任したものを除き、すべて総会の決議によって行う。

(総会の決議事項)
第六十四条  総会においては、第六十二条の規定によりあらかじめ通知をした事項についてのみ、決議をすることができる。ただし、定款に別段の定めがあるときは、この限りでない。

(社員の表決権)
第六十五条  各社員の表決権は、平等とする。
2  総会に出席しない社員は、書面で、又は代理人によって表決をすることができる。
3  前二項の規定は、定款に別段の定めがある場合には、適用しない。

(表決権のない場合)
第六十六条  社団法人と特定の社員との関係について議決をする場合には、その社員は、表決権を有しない。

(法人の業務の監督)
第六十七条  法人の業務は、主務官庁の監督に属する。
2  主務官庁は、法人に対し、監督上必要な命令をすることができる。
3  主務官庁は、職権で、いつでも法人の業務及び財産の状況を検査することができる。

    第三節 法人の解散

(法人の解散事由)
第六十八条  法人は、次に掲げる事由によって解散する。
一  定款又は寄附行為で定めた解散事由の発生
二  法人の目的である事業の成功又はその成功の不能
三  破産手続開始の決定
四  設立の許可の取消し
2  社団法人は、前項各号に掲げる事由のほか、次に掲げる事由によって解散する。
一  総会の決議
二  社員が欠けたこと。

(法人の解散の決議)
第六十九条  社団法人は、総社員の四分の三以上の賛成がなければ、解散の決議をすることができない。ただし、定款に別段の定めがあるときは、この限りでない。

(法人についての破産手続の開始)
第七十条  法人がその債務につきその財産をもって完済することができなくなった場合には、裁判所は、理事若しくは債権者の申立てにより又は職権で、破産手続開始の決定をする。
2  前項に規定する場合には、理事は、直ちに破産手続開始の申立てをしなければならない。

(法人の設立の許可の取消し)
第七十一条  法人がその目的以外の事業をし、又は設立の許可を得た条件若しくは主務官庁の監督上の命令に違反し、その他公益を害すべき行為をした場合において、他の方法により監督の目的を達することができないときは、主務官庁は、その許可を取り消すことができる。正当な事由なく引き続き三年以上事業をしないときも、同様とする。

(残余財産の帰属)
第七十二条  解散した法人の財産は、定款又は寄附行為で指定した者に帰属する。
2  定款又は寄附行為で権利の帰属すべき者を指定せず、又はその者を指定する方法を定めなかったときは、理事は、主務官庁の許可を得て、その法人の目的に類似する目的のために、その財産を処分することができる。ただし、社団法人にあっては、総会の決議を経なければならない。
3  前二項の規定により処分されない財産は、国庫に帰属する。

(清算法人)
第七十三条  解散した法人は、清算の目的の範囲内において、その清算の結了に至るまではなお存続するものとみなす。

(清算人)
第七十四条  法人が解散したときは、破産手続開始の決定による解散の場合を除き、理事がその清算人となる。ただし、定款若しくは寄附行為に別段の定めがあるとき、又は総会において理事以外の者を選任したときは、この限りでない。

(裁判所による清算人の選任)
第七十五条  前条の規定により清算人となる者がないとき、又は清算人が欠けたため損害を生ずるおそれがあるときは、裁判所は、利害関係人若しくは検察官の請求により又は職権で、清算人を選任することができる。

(清算人の解任)
第七十六条  重要な事由があるときは、裁判所は、利害関係人若しくは検察官の請求により又は職権で、清算人を解任することができる。

(清算人及び解散の登記及び届出)
第七十七条  清算人は、破産手続開始の決定及び設立の許可の取消しの場合を除き、解散後主たる事務所の所在地においては二週間以内に、その他の事務所の所在地においては三週間以内に、その氏名及び住所並びに解散の原因及び年月日の登記をし、かつ、これらの事項を主務官庁に届け出なければならない。
2  清算中に就職した清算人は、就職後主たる事務所の所在地においては二週間以内に、その他の事務所の所在地においては三週間以内に、その氏名及び住所の登記をし、かつ、これらの事項を主務官庁に届け出なければならない。
3  前項の規定は、設立の許可の取消しによる解散の際に就職した清算人について準用する。

(清算人の職務及び権限)
第七十八条  清算人の職務は、次のとおりとする。
一  現務の結了
二  債権の取立て及び債務の弁済
三  残余財産の引渡し
2  清算人は、前項各号に掲げる職務を行うために必要な一切の行為をすることができる。

(債権の申出の催告等)
第七十九条  清算人は、その就職の日から二箇月以内に、少なくとも三回の公告をもって、債権者に対し、一定の期間内にその債権の申出をすべき旨の催告をしなければならない。この場合において、その期間は、二箇月を下ることができない。
2  前項の公告には、債権者がその期間内に申出をしないときは、その債権は清算から除斥されるべき旨を付記しなければならない。ただし、清算人は、知れている債権者を除斥することができない。
3  清算人は、知れている債権者には、各別にその申出の催告をしなければならない。
4  第一項の規定による公告は、官報に掲載してする。

(期間経過後の債権の申出)
第八十条  前条第一項の期間の経過後に申出をした債権者は、法人の債務が完済された後まだ権利の帰属すべき者に引き渡されていない財産に対してのみ、請求をすることができる。

(清算法人についての破産手続の開始)
第八十一条  清算中に法人の財産がその債務を完済するのに足りないことが明らかになったときは、清算人は、直ちに破産手続開始の申立てをし、その旨を公告しなければならない。
2  清算人は、清算中の法人が破産手続開始の決定を受けた場合において、破産管財人にその事務を引き継いだときは、その任務を終了したものとする。
3  前項に規定する場合において、清算中の法人が既に債権者に支払い、又は権利の帰属すべき者に引き渡したものがあるときは、破産管財人は、これを取り戻すことができる。
4  第一項の規定による公告は、官報に掲載してする。

(裁判所による監督)
第八十二条  法人の解散及び清算は、裁判所の監督に属する。
2  裁判所は、職権で、いつでも前項の監督に必要な検査をすることができる。

(清算結了の届出)
第八十三条  清算が結了したときは、清算人は、その旨を主務官庁に届け出なければならない。

    第四節 補則

(主務官庁の権限の委任)
第八十四条  この章に規定する主務官庁の権限は、政令で定めるところにより、その全部又は一部を国に所属する行政庁に委任することができる。

(都道府県の執行機関による主務官庁の事務の処理)
第八十四条の二  この章に規定する主務官庁の権限に属する事務は、政令で定めるところにより、都道府県の知事その他の執行機関(以下「都道府県の執行機関」という。)においてその全部又は一部を処理することとすることができる。
2  前項の場合において、主務官庁は、政令で定めるところにより、法人に対する監督上の命令又は設立の許可の取消しについて、都道府県の執行機関に対し指示をすることができる。
3  第一項の場合において、主務官庁は、都道府県の執行機関がその事務を処理するに当たってよるべき基準を定めることができる。
4  主務官庁が前項の基準を定めたときは、これを告示しなければならない。

    第五節 罰則

第八十四条の三  法人の理事、監事又は清算人は、次の各号のいずれかに該当する場合には、五十万円以下の過料に処する。
一  この章に規定する登記を怠ったとき。
二  第五十一条の規定に違反し、又は財産目録若しくは社員名簿に不正の記載をしたとき。
三  第六十七条第三項又は第八十二条第二項の規定による主務官庁、その権限の委任を受けた国に所属する行政庁若しくはその権限に属する事務を処理する都道府県の執行機関又は裁判所の検査を妨げたとき。
四  第六十七条第二項の規定による主務官庁又はその権限の委任を受けた国に所属する行政庁若しくはその権限に属する事務を処理する都道府県の執行機関の監督上の命令に違反したとき。
五  官庁、主務官庁の権限に属する事務を処理する都道府県の執行機関又は総会に対し、不実の申立てをし、又は事実を隠ぺいしたとき。
六  第七十条第二項又は第八十一条第一項の規定による破産手続開始の申立てを怠ったとき。
七  第七十九条第一項又は第八十一条第一項の公告を怠り、又は不正の公告をしたとき。
2  第三十五条の規定に違反した者は、十万円以下の過料に処する。

   第四章 物

(定義)
第八十五条  この法律において「物」とは、有体物をいう。

(不動産及び動産)
第八十六条  土地及びその定着物は、不動産とする。
2  不動産以外の物は、すべて動産とする。
3  無記名債権は、動産とみなす。

(主物及び従物)
第八十七条  物の所有者が、その物の常用に供するため、自己の所有に属する他の物をこれに附属させたときは、その附属させた物を従物とする。
2  従物は、主物の処分に従う。

(天然果実及び法定果実)
第八十八条  物の用法に従い収取する産出物を天然果実とする。
2  物の使用の対価として受けるべき金銭その他の物を法定果実とする。

(果実の帰属)
第八十九条  天然果実は、その元物から分離する時に、これを収取する権利を有する者に帰属する。
2  法定果実は、これを収取する権利の存続期間に応じて、日割計算によりこれを取得する。

   第五章 法律行為

    第一節 総則

(公序良俗)
第九十条  公の秩序又は善良の風俗に反する事項を目的とする法律行為は、無効とする。

(任意規定と異なる意思表示)
第九十一条  法律行為の当事者が法令中の公の秩序に関しない規定と異なる意思を表示したときは、その意思に従う。

(任意規定と異なる慣習)
第九十二条  法令中の公の秩序に関しない規定と異なる慣習がある場合において、法律行為の当事者がその慣習による意思を有しているものと認められるときは、その慣習に従う。

    第二節 意思表示

(心裡留保)
第九十三条  意思表示は、表意者がその真意ではないことを知ってしたときであっても、そのためにその効力を妨げられない。ただし、相手方が表意者の真意を知り、又は知ることができたときは、その意思表示は、無効とする。

(虚偽表示)
第九十四条  相手方と通じてした虚偽の意思表示は、無効とする。
2  前項の規定による意思表示の無効は、善意の第三者に対抗することができない。

(錯誤)
第九十五条  意思表示は、法律行為の要素に錯誤があったときは、無効とする。ただし、表意者に重大な過失があったときは、表意者は、自らその無効を主張することができない。

(詐欺又は強迫)
第九十六条  詐欺又は強迫による意思表示は、取り消すことができる。
2  相手方に対する意思表示について第三者が詐欺を行った場合においては、相手方がその事実を知っていたときに限り、その意思表示を取り消すことができる。
3  前二項の規定による詐欺による意思表示の取消しは、善意の第三者に対抗することができない。

(隔地者に対する意思表示)
第九十七条  隔地者に対する意思表示は、その通知が相手方に到達した時からその効力を生ずる。
2  隔地者に対する意思表示は、表意者が通知を発した後に死亡し、又は行為能力を喪失したときであっても、そのためにその効力を妨げられない。

(公示による意思表示)
第九十八条  意思表示は、表意者が相手方を知ることができず、又はその所在を知ることができないときは、公示の方法によってすることができる。
2  前項の公示は、公示送達に関する民事訴訟法 (平成八年法律第百九号)の規定に従い、裁判所の掲示場に掲示し、かつ、その掲示があったことを官報に少なくとも一回掲載して行う。ただし、裁判所は、相当と認めるときは、官報への掲載に代えて、市役所、区役所、町村役場又はこれらに準ずる施設の掲示場に掲示すべきことを命ずることができる。
3  公示による意思表示は、最後に官報に掲載した日又はその掲載に代わる掲示を始めた日から二週間を経過した時に、相手方に到達したものとみなす。ただし、表意者が相手方を知らないこと又はその所在を知らないことについて過失があったときは、到達の効力を生じない。
4  公示に関する手続は、相手方を知ることができない場合には表意者の住所地の、相手方の所在を知ることができない場合には相手方の最後の住所地の簡易裁判所の管轄に属する。
5  裁判所は、表意者に、公示に関する費用を予納させなければならない。

(意思表示の受領能力)
第九十八条の二  意思表示の相手方がその意思表示を受けた時に未成年者又は成年被後見人であったときは、その意思表示をもってその相手方に対抗することができない。ただし、その法定代理人がその意思表示を知った後は、この限りでない。

    第三節 代理

(代理行為の要件及び効果)
第九十九条  代理人がその権限内において本人のためにすることを示してした意思表示は、本人に対して直接にその効力を生ずる。
2  前項の規定は、第三者が代理人に対してした意思表示について準用する。

(本人のためにすることを示さない意思表示)
第百条  代理人が本人のためにすることを示さないでした意思表示は、自己のためにしたものとみなす。ただし、相手方が、代理人が本人のためにすることを知り、又は知ることができたときは、前条第一項の規定を準用する。

(代理行為の瑕疵)
第百一条  意思表示の効力が意思の不存在、詐欺、強迫又はある事情を知っていたこと若しくは知らなかったことにつき過失があったことによって影響を受けるべき場合には、その事実の有無は、代理人について決するものとする。
2  特定の法律行為をすることを委託された場合において、代理人が本人の指図に従ってその行為をしたときは、本人は、自ら知っていた事情について代理人が知らなかったことを主張することができない。本人が過失によって知らなかった事情についても、同様とする。

(代理人の行為能力)
第百二条  代理人は、行為能力者であることを要しない。

(権限の定めのない代理人の権限)
第百三条  権限の定めのない代理人は、次に掲げる行為のみをする権限を有する。
一  保存行為
二  代理の目的である物又は権利の性質を変えない範囲内において、その利用又は改良を目的とする行為

(任意代理人による復代理人の選任)
第百四条  委任による代理人は、本人の許諾を得たとき、又はやむを得ない事由があるときでなければ、復代理人を選任することができない。

(復代理人を選任した代理人の責任)
第百五条  代理人は、前条の規定により復代理人を選任したときは、その選任及び監督について、本人に対してその責任を負う。
2  代理人は、本人の指名に従って復代理人を選任したときは、前項の責任を負わない。ただし、その代理人が、復代理人が不適任又は不誠実であることを知りながら、その旨を本人に通知し又は復代理人を解任することを怠ったときは、この限りでない。

(法定代理人による復代理人の選任)
第百六条  法定代理人は、自己の責任で復代理人を選任することができる。この場合において、やむを得ない事由があるときは、前条第一項の責任のみを負う。

(復代理人の権限等)
第百七条  復代理人は、その権限内の行為について、本人を代表する。
2  復代理人は、本人及び第三者に対して、代理人と同一の権利を有し、義務を負う。

(自己契約及び双方代理)
第百八条  同一の法律行為については、相手方の代理人となり、又は当事者双方の代理人となることはできない。ただし、債務の履行及び本人があらかじめ許諾した行為については、この限りでない。

(代理権授与の表示による表見代理)
第百九条  第三者に対して他人に代理権を与えた旨を表示した者は、その代理権の範囲内においてその他人が第三者との間でした行為について、その責任を負う。ただし、第三者が、その他人が代理権を与えられていないことを知り、又は過失によって知らなかったときは、この限りでない。

(権限外の行為の表見代理)
第百十条  前条本文の規定は、代理人がその権限外の行為をした場合において、第三者が代理人の権限があると信ずべき正当な理由があるときについて準用する。

(代理権の消滅事由)
第百十一条  代理権は、次に掲げる事由によって消滅する。
一  本人の死亡
二  代理人の死亡又は代理人が破産手続開始の決定若しくは後見開始の審判を受けたこと。
2  委任による代理権は、前項各号に掲げる事由のほか、委任の終了によって消滅する。

(代理権消滅後の表見代理)
第百十二条  代理権の消滅は、善意の第三者に対抗することができない。ただし、第三者が過失によってその事実を知らなかったときは、この限りでない。

(無権代理)
第百十三条  代理権を有しない者が他人の代理人としてした契約は、本人がその追認をしなければ、本人に対してその効力を生じない。
2  追認又はその拒絶は、相手方に対してしなければ、その相手方に対抗することができない。ただし、相手方がその事実を知ったときは、この限りでない。

(無権代理の相手方の催告権)
第百十四条  前条の場合において、相手方は、本人に対し、相当の期間を定めて、その期間内に追認をするかどうかを確答すべき旨の催告をすることができる。この場合において、本人がその期間内に確答をしないときは、追認を拒絶したものとみなす。

(無権代理の相手方の取消権)
第百十五条  代理権を有しない者がした契約は、本人が追認をしない間は、相手方が取り消すことができる。ただし、契約の時において代理権を有しないことを相手方が知っていたときは、この限りでない。

(無権代理行為の追認)
第百十六条  追認は、別段の意思表示がないときは、契約の時にさかのぼってその効力を生ずる。ただし、第三者の権利を害することはできない。

(無権代理人の責任)
第百十七条  他人の代理人として契約をした者は、自己の代理権を証明することができず、かつ、本人の追認を得ることができなかったときは、相手方の選択に従い、相手方に対して履行又は損害賠償の責任を負う。
2  前項の規定は、他人の代理人として契約をした者が代理権を有しないことを相手方が知っていたとき、若しくは過失によって知らなかったとき、又は他人の代理人として契約をした者が行為能力を有しなかったときは、適用しない。

(単独行為の無権代理)
第百十八条  単独行為については、その行為の時において、相手方が、代理人と称する者が代理権を有しないで行為をすることに同意し、又はその代理権を争わなかったときに限り、第百十三条から前条までの規定を準用する。代理権を有しない者に対しその同意を得て単独行為をしたときも、同様とする。

    第四節 無効及び取消し

(無効な行為の追認)
第百十九条  無効な行為は、追認によっても、その効力を生じない。ただし、当事者がその行為の無効であることを知って追認をしたときは、新たな行為をしたものとみなす。

(取消権者)
第百二十条  行為能力の制限によって取り消すことができる行為は、制限行為能力者又はその代理人、承継人若しくは同意をすることができる者に限り、取り消すことができる。
2  詐欺又は強迫によって取り消すことができる行為は、瑕疵ある意思表示をした者又はその代理人若しくは承継人に限り、取り消すことができる。

(取消しの効果)
第百二十一条  取り消された行為は、初めから無効であったものとみなす。ただし、制限行為能力者は、その行為によって現に利益を受けている限度において、返還の義務を負う。

(取り消すことができる行為の追認)
第百二十二条  取り消すことができる行為は、第百二十条に規定する者が追認したときは、以後、取り消すことができない。ただし、追認によって第三者の権利を害することはできない。

(取消し及び追認の方法)
第百二十三条  取り消すことができる行為の相手方が確定している場合には、その取消し又は追認は、相手方に対する意思表示によってする。

(追認の要件)
第百二十四条  追認は、取消しの原因となっていた状況が消滅した後にしなければ、その効力を生じない。
2  成年被後見人は、行為能力者となった後にその行為を了知したときは、その了知をした後でなければ、追認をすることができない。
3  前二項の規定は、法定代理人又は制限行為能力者の保佐人若しくは補助人が追認をする場合には、適用しない。

(法定追認)
第百二十五条  前条の規定により追認をすることができる時以後に、取り消すことができる行為について次に掲げる事実があったときは、追認をしたものとみなす。ただし、異議をとどめたときは、この限りでない。
一  全部又は一部の履行
二  履行の請求
三  更改
四  担保の供与
五  取り消すことができる行為によって取得した権利の全部又は一部の譲渡
六  強制執行

(取消権の期間の制限)
第百二十六条  取消権は、追認をすることができる時から五年間行使しないときは、時効によって消滅する。行為の時から二十年を経過したときも、同様とする。
     第五節 条件及び期限

(条件が成就した場合の効果)
第百二十七条  停止条件付法律行為は、停止条件が成就した時からその効力を生ずる。
2  解除条件付法律行為は、解除条件が成就した時からその効力を失う。
3  当事者が条件が成就した場合の効果をその成就した時以前にさかのぼらせる意思を表示したときは、その意思に従う。

(条件の成否未定の間における相手方の利益の侵害の禁止)
第百二十八条  条件付法律行為の各当事者は、条件の成否が未定である間は、条件が成就した場合にその法律行為から生ずべき相手方の利益を害することができない。

(条件の成否未定の間における権利の処分等)
第百二十九条  条件の成否が未定である間における当事者の権利義務は、一般の規定に従い、処分し、相続し、若しくは保存し、又はそのために担保を供することができる。

(条件の成就の妨害)
第百三十条  条件が成就することによって不利益を受ける当事者が故意にその条件の成就を妨げたときは、相手方は、その条件が成就したものとみなすことができる。

(既成条件)
第百三十一条  条件が法律行為の時に既に成就していた場合において、その条件が停止条件であるときはその法律行為は無条件とし、その条件が解除条件であるときはその法律行為は無効とする。
2  条件が成就しないことが法律行為の時に既に確定していた場合において、その条件が停止条件であるときはその法律行為は無効とし、その条件が解除条件であるときはその法律行為は無条件とする。
3  前二項に規定する場合において、当事者が条件が成就したこと又は成就しなかったことを知らない間は、第百二十八条及び第百二十九条の規定を準用する。

(不法条件)
第百三十二条  不法な条件を付した法律行為は、無効とする。不法な行為をしないことを条件とするものも、同様とする。

(不能条件)
第百三十三条  不能の停止条件を付した法律行為は、無効とする。
2  不能の解除条件を付した法律行為は、無条件とする。

(随意条件)
第百三十四条  停止条件付法律行為は、その条件が単に債務者の意思のみに係るときは、無効とする。

(期限の到来の効果)
第百三十五条  法律行為に始期を付したときは、その法律行為の履行は、期限が到来するまで、これを請求することができない。
2  法律行為に終期を付したときは、その法律行為の効力は、期限が到来した時に消滅する。

(期限の利益及びその放棄)
第百三十六条  期限は、債務者の利益のために定めたものと推定する。
2  期限の利益は、放棄することができる。ただし、これによって相手方の利益を害することはできない。

(期限の利益の喪失)
第百三十七条  次に掲げる場合には、債務者は、期限の利益を主張することができない。
一  債務者が破産手続開始の決定を受けたとき。
二  債務者が担保を滅失させ、損傷させ、又は減少させたとき。
三  債務者が担保を供する義務を負う場合において、これを供しないとき。

   第六章 期間の計算

(期間の計算の通則)
第百三十八条  期間の計算方法は、法令若しくは裁判上の命令に特別の定めがある場合又は法律行為に別段の定めがある場合を除き、この章の規定に従う。

(期間の起算)
第百三十九条  時間によって期間を定めたときは、その期間は、即時から起算する。

第百四十条  日、週、月又は年によって期間を定めたときは、期間の初日は、算入しない。ただし、その期間が午前零時から始まるときは、この限りでない。

(期間の満了)
第百四十一条  前条の場合には、期間は、その末日の終了をもって満了する。

第百四十二条  期間の末日が日曜日、国民の祝日に関する法律 (昭和二十三年法律第百七十八号)に規定する休日その他の休日に当たるときは、その日に取引をしない慣習がある場合に限り、期間は、その翌日に満了する。

(暦による期間の計算)
第百四十三条  週、月又は年によって期間を定めたときは、その期間は、暦に従って計算する。
2  週、月又は年の初めから期間を起算しないときは、その期間は、最後の週、月又は年においてその起算日に応当する日の前日に満了する。ただし、月又は年によって期間を定めた場合において、最後の月に応当する日がないときは、その月の末日に満了する。

   第七章 時効

    第一節 総則

(時効の効力)
第百四十四条  時効の効力は、その起算日にさかのぼる。

(時効の援用)
第百四十五条  時効は、当事者が援用しなければ、裁判所がこれによって裁判をすることができない。

(時効の利益の放棄)
第百四十六条  時効の利益は、あらかじめ放棄することができない。

(時効の中断事由)
第百四十七条  時効は、次に掲げる事由によって中断する。
一  請求
二  差押え、仮差押え又は仮処分
三  承認

(時効の中断の効力が及ぶ者の範囲)
第百四十八条  前条の規定による時効の中断は、その中断の事由が生じた当事者及びその承継人の間においてのみ、その効力を有する。

(裁判上の請求)
第百四十九条  裁判上の請求は、訴えの却下又は取下げの場合には、時効の中断の効力を生じない。

(支払督促)
第百五十条  支払督促は、債権者が民事訴訟法第三百九十二条 に規定する期間内に仮執行の宣言の申立てをしないことによりその効力を失うときは、時効の中断の効力を生じない。

(和解及び調停の申立て)
第百五十一条  和解の申立て又は民事調停法 (昭和二十六年法律第二百二十二号)若しくは家事審判法 (昭和二十二年法律第百五十二号)による調停の申立ては、相手方が出頭せず、又は和解若しくは調停が調わないときは、一箇月以内に訴えを提起しなければ、時効の中断の効力を生じない。

(破産手続参加等)
第百五十二条  破産手続参加、再生手続参加又は更生手続参加は、債権者がその届出を取り下げ、又はその届出が却下されたときは、時効の中断の効力を生じない。

(催告)
第百五十三条  催告は、六箇月以内に、裁判上の請求、支払督促の申立て、和解の申立て、民事調停法 若しくは家事審判法 による調停の申立て、破産手続参加、再生手続参加、更生手続参加、差押え、仮差押え又は仮処分をしなければ、時効の中断の効力を生じない。

(差押え、仮差押え及び仮処分)
第百五十四条  差押え、仮差押え及び仮処分は、権利者の請求により又は法律の規定に従わないことにより取り消されたときは、時効の中断の効力を生じない。

第百五十五条  差押え、仮差押え及び仮処分は、時効の利益を受ける者に対してしないときは、その者に通知をした後でなければ、時効の中断の効力を生じない。

(承認)
第百五十六条  時効の中断の効力を生ずべき承認をするには、相手方の権利についての処分につき行為能力又は権限があることを要しない。

(中断後の時効の進行)
第百五十七条  中断した時効は、その中断の事由が終了した時から、新たにその進行を始める。
2  裁判上の請求によって中断した時効は、裁判が確定した時から、新たにその進行を始める。

(未成年者又は成年被後見人と時効の停止)
第百五十八条  時効の期間の満了前六箇月以内の間に未成年者又は成年被後見人に法定代理人がないときは、その未成年者若しくは成年被後見人が行為能力者となった時又は法定代理人が就職した時から六箇月を経過するまでの間は、その未成年者又は成年被後見人に対して、時効は、完成しない。
2  未成年者又は成年被後見人がその財産を管理する父、母又は後見人に対して権利を有するときは、その未成年者若しくは成年被後見人が行為能力者となった時又は後任の法定代理人が就職した時から六箇月を経過するまでの間は、その権利について、時効は、完成しない。

(夫婦間の権利の時効の停止)
第百五十九条  夫婦の一方が他の一方に対して有する権利については、婚姻の解消の時から六箇月を経過するまでの間は、時効は、完成しない。

(相続財産に関する時効の停止)
第百六十条  相続財産に関しては、相続人が確定した時、管理人が選任された時又は破産手続開始の決定があった時から六箇月を経過するまでの間は、時効は、完成しない。

(天災等による時効の停止)
第百六十一条  時効の期間の満了の時に当たり、天災その他避けることのできない事変のため時効を中断することができないときは、その障害が消滅した時から二週間を経過するまでの間は、時効は、完成しない。

    第二節 取得時効

(所有権の取得時効)
第百六十二条  二十年間、所有の意思をもって、平穏に、かつ、公然と他人の物を占有した者は、その所有権を取得する。
2  十年間、所有の意思をもって、平穏に、かつ、公然と他人の物を占有した者は、その占有の開始の時に、善意であり、かつ、過失がなかったときは、その所有権を取得する。

(所有権以外の財産権の取得時効)
第百六十三条  所有権以外の財産権を、自己のためにする意思をもって、平穏に、かつ、公然と行使する者は、前条の区別に従い二十年又は十年を経過した後、その権利を取得する。

(占有の中止等による取得時効の中断)
第百六十四条  第百六十二条の規定による時効は、占有者が任意にその占有を中止し、又は他人によってその占有を奪われたときは、中断する。

第百六十五条  前条の規定は、第百六十三条の場合について準用する。

    第三節 消滅時効

(消滅時効の進行等)
第百六十六条  消滅時効は、権利を行使することができる時から進行する。
2  前項の規定は、始期付権利又は停止条件付権利の目的物を占有する第三者のために、その占有の開始の時から取得時効が進行することを妨げない。ただし、権利者は、その時効を中断するため、いつでも占有者の承認を求めることができる。

(債権等の消滅時効)
第百六十七条  債権は、十年間行使しないときは、消滅する。
2  債権又は所有権以外の財産権は、二十年間行使しないときは、消滅する。

(定期金債権の消滅時効)
第百六十八条  定期金の債権は、第一回の弁済期から二十年間行使しないときは、消滅する。最後の弁済期から十年間行使しないときも、同様とする。
2  定期金の債権者は、時効の中断の証拠を得るため、いつでも、その債務者に対して承認書の交付を求めることができる。

(定期給付債権の短期消滅時効)
第百六十九条  年又はこれより短い時期によって定めた金銭その他の物の給付を目的とする債権は、五年間行使しないときは、消滅する。

(三年の短期消滅時効)
第百七十条  次に掲げる債権は、三年間行使しないときは、消滅する。ただし、第二号に掲げる債権の時効は、同号の工事が終了した時から起算する。
一  医師、助産師又は薬剤師の診療、助産又は調剤に関する債権
二  工事の設計、施工又は監理を業とする者の工事に関する債権

第百七十一条  弁護士又は弁護士法人は事件が終了した時から、公証人はその職務を執行した時から三年を経過したときは、その職務に関して受け取った書類について、その責任を免れる。

(二年の短期消滅時効)
第百七十二条  弁護士、弁護士法人又は公証人の職務に関する債権は、その原因となった事件が終了した時から二年間行使しないときは、消滅する。
2  前項の規定にかかわらず、同項の事件中の各事項が終了した時から五年を経過したときは、同項の期間内であっても、その事項に関する債権は、消滅する。

第百七十三条  次に掲げる債権は、二年間行使しないときは、消滅する。
一  生産者、卸売商人又は小売商人が売却した産物又は商品の代価に係る債権
二  自己の技能を用い、注文を受けて、物を製作し又は自己の仕事場で他人のために仕事をすることを業とする者の仕事に関する債権
三  学芸又は技能の教育を行う者が生徒の教育、衣食又は寄宿の代価について有する債権

(一年の短期消滅時効)
第百七十四条  次に掲げる債権は、一年間行使しないときは、消滅する。
一  月又はこれより短い時期によって定めた使用人の給料に係る債権
二  自己の労力の提供又は演芸を業とする者の報酬又はその供給した物の代価に係る債権
三  運送賃に係る債権
四  旅館、料理店、飲食店、貸席又は娯楽場の宿泊料、飲食料、席料、入場料、消費物の代価又は立替金に係る債権
五  動産の損料に係る債権

(判決で確定した権利の消滅時効)
第百七十四条の二  確定判決によって確定した権利については、十年より短い時効期間の定めがあるものであっても、その時効期間は、十年とする。裁判上の和解、調停その他確定判決と同一の効力を有するものによって確定した権利についても、同様とする。
2  前項の規定は、確定の時に弁済期の到来していない債権については、適用しない。


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