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[30822] 抵当権の問題(その2) 投稿者:なっち 投稿日:2007/07/30(Mon) 18:27
問題
判例の趣旨にしたがって以下の肢の正誤を判断してください。
1.抵当権によって担保される債権は金銭債権に限られる。
2.抵当建物が競売された場合、買受人は賃貸人の同意なくして敷地上の賃借権をも取得する。
3.将来発生する可能性のある債権を担保するために、あらかじめ抵当権を設定しておくことが出来る。
4.抵当権を設定した建物が倒壊して木材となった場合、抵当権の効力は物上代理してこの木材に及ぶ。
5.抵当権の被担保債権の利息の請求権が2年分を超えた場合でも、他の債権者がいた場合には、
   債務者は元本に加えて2年分の利息までを弁済することによって、抵当権を消滅させることができる。
6.抵当権の効力は被担保債権である貸金返還請求権が無効となった場合でも、
   それによって生じた不当利得返還請求権に及ぶ。

[30822へのレス] 無題 投稿者:受験生 投稿日:7/31-00:21
  最近、ヤケに専門的な難スレが立つな。
1・誤 ・・・ 不動産の賃借権がある。
2・正 ・・・ 自然じゃないの?。
3・正 ・・・ 根抵当ってのがある。
4・正 ・・・ 微妙〜、即金銭計算できるなら、ありかな?? 分からん。
5・誤 ・・・ 不可分性ってのがある。
6・誤 ・・・ 無効なら及ばない、付従性?
解説してね・・抵当権は勉強になるよ。

[30822へのレス] 無題 投稿者:mimio 投稿日:8/1-15:52
なっちさん。
その@も勉強になりました。
1・浅学で分かりません。
2・○だと思います。
3・これは○ですよね。
4・及びそうな気がしますが・・
5・さっぱり分かりません。
6・これは私は○だと思いますが・・。
不当利益返還請求は抵当権の効力とは別個のものだと考えます。
難しいです・・やさしく解説お願い致します。

[30822へのレス] 無題 投稿者:みんみん蝉 投稿日:8/2-07:47
判例か。ではすべて感で答えます。
1、× 金銭債権に限る合理的理由が想像できない。
2、○ マンションの法定敷地に似ている。民法上に規定が無いのがおかしいくらい。
3、× これは根抵当権の問題?それなら判例を待つ迄も無く○になるが、わざわさ
判例と断っているのだから×でしょう。
4、○ 保険金に物上代位が認められるのなら、木材にも認めてもいいな。もともと担保権は尻のアナの毛迄持っていくのが基本(笑)
5、× 単に債権者ではダメでしょう。後順位担保権者がいたら民法趣旨により、○だろうが。
6、× 無効ってのははじめからそんな債権は無いってことだから、あることを前提に生じた不当利得も当然無いだろう。
さあ、どうだ。

[30822へのレス] 無題 投稿者:みんみん蝉追加 投稿日:8/2-08:01
4はいつの判例だろう。
昔だったら、のこった木材であらたに家をたてるという救済的意味で、認めない気もする。
あと、滅失では無く倒壊というのも気になるな。倒壊したというのは、構造に問題があったので、担保権設定者の責任では無いからなぁ。×かも。

[30822へのレス] 無題 投稿者:なっち 投稿日:8/3-01:34
問題掲載から3日経ちましたので解答を掲載します。
問題を解いてくださった皆さま、お疲れ様でした。
解答と解説です。
1.誤 このことは民法の条文からは判りませんが、不動産登記法の条文から判ります。(不登83条1項1号)
     例えば大豆100tの引渡し債権といった、特定物引渡債権などの金銭債権以外の債権でも抵当権を
     設定することが出来ます。
     抵当権は諾成・無方式の契約なので当事者間の合意のみでも有効に成立しますが、対抗力を備える
     ために登記をする場合には、これらの債権を金額に算定する必要があります。
     これは、後順位抵当権者や不動産の譲受人を保護するために必要だからです。
2.正 判例は(民87条2項)の類推により、建物の所有に必要な借地権は建物の従物であるとして建物の
     処分に従うとしました。(最判昭40.5.4)
     ただし、借地権が賃借権であった場合には、賃貸人の承諾がなければ賃貸人には対抗できません。
     賃貸人の承諾無しで対抗する為には、裁判所に賃貸人の承諾に代わる許可を得る必要があります。
     (借地借家20条)
     このため実務では抵当権設定の際、あらかじめ地主の承諾書を取らせておくことが一般的です。
     (民87条2項)は短い条文ですが、重要な条文ですので大きな声で3回くらい復唱しておきましょう。
3.正 これは根抵当権の話ではありません。根抵当権は普通抵当権に見られる附従性や随伴性はなく、
     不特定多数の債権のみを担保する特殊な抵当権で、特定の債権の担保には用いることはできません。
     この肢の具体例として、保証人が将来取得する求償権の担保の為の抵当権が認められています。
     (最判昭33.5.9)以下説明です。
     @AがBに自己所有の甲土地を担保に1000万円の借り入れを申しこみました。
     ABは甲土地が時価で1000万円分の値打ちしかなく、これでは金利の支払いや将来の土地の値下がり
      のリスクに対応できないと考え、これでは600万円しか融資できないよと答えました。
     BそこでAは物的担保から人的担保に切り替え、お金持ちのCに保証人になってほしいと頼みました。
     CAはいざとなったら甲土地を売却して弁済するので迷惑はかけないといいましたが、CとしてはAは
      お金に困っているので、知らないうちに甲土地を担保に第三者からまた借り入れをするのではない
      かと心配でした。
     Dそこで判例は、CはAに代わってBに返済した場合にBに代位してAに返済分を求償することが
      出来るようになるので、その時に優先して弁済を受けることが出来るように、あらかじめA所有の
      甲土地に抵当権を取得しておくことを認めました。
     Eこれは抵当権の附従性の原則の例外であり、抵当権は被担保債権が発生する以前から契約と同時に
      発生することになります。
      この様な幾分緩和された例外規定も存在するので、抵当権の問題(その1)の補足の意味でも紹介
      させて頂きました。
4.誤 建物の倒壊によって目的物は不動産ではなくなり、建物の所有権は消滅します。
     またこれに伴い建物の登記も実体のないものとなり、抵当権も消滅することになります。
     あとは物上代位できるかが問題になりますが、判例はこのような物理的変形物には物上代位は及ばない
     としています。(大判大5.6.28)
5.誤 この肢は引っ掛けです。
     他の債権者がいた場合、抵当権によって優先弁済を受けられる債権の範囲は元本については全額認め
     られますが、その他、利息や遅延損害金などについては満期となった最後の2年分に限定されています。
     (民375条)
     なぜかというと、これを無制限に認めてしまうと優先弁済権を受けうる者が、その金利の累積額が膨大に
     なるまで抵当権を実行せず、担保物権のすべての価値を根こそぎ持っていってしまうことが可能になって
     しまうからです。
     (これでは他の債権者が可哀想ですし、抵当物件の残余価値の利用も制限されてしまいます。)
     ただし、この制限は抵当権者が優先弁済権の主張をしていた場合に限られ、任意弁済によって
     抵当権を消滅させる場合には全額の弁済が必要です。(ですのでこの肢は誤となります)
     また他の債権者の中には後順位抵当権者だけではなく、一般債権者も含まれます。
     (債務名義を取得すれば強制執行してこの物件から弁済を受けることができるので)
6.誤 判例は、抵当権の効力は被担保債権である貸金返還請求権が無効となった場合は附従性により消滅し、
     それによって生じた不当利得返還請求権には及ばないとしました。
     ただし、債務者は信義則上その取り消しを主張できないとしています。(最判昭44.7.4)
     つまり、抵当権は消滅しているのに、抵当権の実行を妨げることが出来ないという、私たち一般人には
     理解しがたい結論になっています。
     一方多数説では、実質的には同じ債権なので、存続させるべきだとしています。
     判例の立場で考えると、当該物件が抵当権実行前に第三者に譲渡された場合、譲受人が背信的悪意者でも
     ない限り抵当権の主張はできなくなるのに対して、多数説の立場で考えると抵当権実行前に第三者に譲渡
     された場合でも対抗できることになります。ここが一番の違いになりそうです。
     あと、誤解している人がいるようなので不当利得返還請求権の説明を若干させていただきます。
     貸金返還請求権が無効となったということは、言い方を変えれば貸金返還請求権を根拠に相手に貸金の返還
     を求めることが出来なくなったということです。
     しかし、相手にお金を貸してある事実は変わらないわけですから、貸金を返還させる債権は有していること
     になります。この債権のことを不当利得返還請求権と呼びます。
     意味としては、貸金返還請求権が無効となった以上、貸金を所持している法的な根拠はないわけですから、
     (不当利得)受け取ったお金を返してください(返還請求)という意味です。
mimioさんへ
私はmimioさんは浅学ではないと思います。いつもご意見を参考にさせていただいています。
もう少し自信をもってください。その方がきっとより実力をつけることにつながると思います。
一応この後 抵当権(その3)> 法定地上権 ・・・と続ける予定でしたが、人気がないので一旦ここで終了したいと思います。
お付き合いしてくださった皆さん有難うございました〜。

[30822へのレス] 無題 投稿者:受験生 投稿日:8/3-08:36
いやはや、複雑な解説を、ありがとう〜!!  貴方は司法書士講座などの
先生でしょうか??  強烈〜〜!!
マン管レベルにはもったいないです^^。
とにかく、3人の中で、受験生が一番だったねぇ・・当然の勝利?? ワハハハ!
甘いな・・・。 
根抵当・物上代位・不当利得ねぇ・・。  民法は難しいよ。

[30822へのレス] 無題 投稿者:mimio 投稿日:8/3-10:39
なっちさん。
素晴らしい解説有り難うございました。
大変学習になりました。本当に民法は難しいです。
もし、なっちさんが書かれたテキストがあったならば、絶対使用していました。
受験生さん。
流石ですね。根抵当権なんて本試で出題されたら私は完全にアウトです。

[30822へのレス] 無題 投稿者:なっち 投稿日:8/3-21:24
受験生さんへ
法律系が得意と言っておられましたが、またトップでしたね。
全部で11個の肢の正誤判定をしていただいて、10問正解させられてしまったわけですから、出題者としては完全な敗北です。
受験生さんには脱帽です。

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