平成27年度 行政書士試験問題

正解例

法令等[問題1〜問題40は択一式(5肢択一式)]

問題1 第二次世界大戦後に日本で生じた法変動に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

1 敗戦後の住宅難に対応するため借地法と借家法が制定された。
2 労働者の権利を拡張するものとして労働組合法が制定された。
3 公正で自由な経済的競争を促進する目的で独占禁止法*が制定された。
4 地方自治を強化するものとして地方自治法が制定された。
5 英米法的な観点を加えた新しい刑事訴訟法が制定された。
(注)* 私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律

問題2 裁判には、「判決」、「決定」および「命令」の形式上の区別がある。これらの裁判の形式上の区別に関する次の記述のうち、明らかに妥当でないものはどれか。

1 「判決」とは、訴訟事件の終局的判断その他の重要な事項について、裁判所がする裁判であり、原則として口頭弁論(刑事訴訟では公判と呼ばれる。以下同じ。)に基づいて行われる。
2 「決定」とは、訴訟指揮、迅速を要する事項および付随的事項等について、「判決」よりも簡易な方式で行われる裁判所がする裁判であり、口頭弁論を経ることを要しない。
3 「命令」は、「決定」と同じく、「判決」よりも簡易な方式で行われる裁判であるが、裁判所ではなく個々の裁判官が機関としてする裁判であり、口頭弁論を経ることを要しない。
4 「判決」には、家事事件および少年事件について、家庭裁判所がする審判も含まれ、審判は原則として口頭弁論に基づいて行われる。
5 「判決」の告知は、公開法廷における言渡し、または宣告の方法により行われるが、「決定」および「命令」の告知は、相当と認められる方法により行うことで足りる。

問題3 外国人の人権に関する次の文章のうち、最高裁判所の判例の趣旨に照らし、妥当でないものはどれか。

1 国家機関が国民に対して正当な理由なく指紋の押捺を強制することは、憲法13条の趣旨に反するが、この自由の保障はわが国に在留する外国人にまで及ぶものではない。
2 わが国に在留する外国人は、憲法上、外国に一時旅行する自由を保障されているものではない。
3 政治活動の自由は、わが国の政治的意思決定またはその実施に影響を及ぼす活動等、外国人の地位にかんがみこれを認めることが相当でないと解されるものを除き、その保障が及ぶ。
4 国の統治のあり方については国民が最終的な責任を負うべきものである以上、外国人が公権力の行使等を行う地方公務員に就任することはわが国の法体系の想定するところではない。
5 社会保障上の施策において在留外国人をどのように処遇するかについては、国は、特別の条約の存しない限り、その政治的判断によってこれを決定することができる。

問題4 次の文章は、基本的人権の分類についてかつて有力であったある考え方を整理・要約したものである。1〜5は、この分類ではいずれも「生存権的基本権」と関係があるが、その本来的な特徴を備えているとはいえないものが一つだけ含まれている。それはどれか。
我妻栄は、基本的人権を、大きく、「自由権的基本権」と「生存権的基本権」に二分し、憲法25条から28条までの権利を生存権的基本権に分類するとともに、自由権的基本権には、各種の自由権や法の下の平等のほか、請願権、国家賠償請求権、刑事補償請求権、公務員の選定・罷免権などが、「自由権的基本権を確保するための諸権利」として一緒に分類されている。「自由権的基本権」と「生存権的基本権」とを区別するにあたっては、基本的人権の歴史的推移に着目し、第一に、基本的人権の内容について、前者が「自由」という色調をもつのに対して、後者は「生存」という色調をもつという差異があること、第二に、基本的人権の保障の方法について、前者が「国家権力の消極的な規制・制限」であるのに対して、後者は「国家権力の積極的な配慮・関与」であることを指摘している。(中略)
我妻説が、19世紀的自由権的基本権と20世紀的生存権的基本権とを截然と二分し、両者が異質の権利であるという面を強調したのに対して、今日では、社会権と自由権との区分の有用性を認めたうえで、社会権と自由権の区別が相対的であり、社会権に自由権的な側面が存在することは、一般的に認められるに至っている。
(中村睦男『社会権の解釈』(1983年)4-9頁)

1 国による生活保護の給付
2 無償による義務教育の提供
3 勤労条件の法律による保障
4 争議行為の刑事免責
5 社会保障制度の充実

問題5 次の文章は、自衛隊基地建設のために必要な土地の売買契約を含む土地取得行為と憲法9条の関係を論じた、ある最高裁判所判決の一部である(原文を一部修正した。)。ア〜オの本来の論理的な順序に即した並び順として、正しいものはどれか。
ア 憲法9条の宣明する国際平和主義、戦争の放棄、戦力の不保持などの国家の統治活動に対する規範は、私法的な価値秩序とは本来関係のない優れて公法的な性格を有する規範である。
イ 私法的な価値秩序において、憲法9条の宣明する国際平和主義、戦争の放棄、戦力の不保持などの国家の統治活動に対する規範が、そのままの内容で民法90条にいう「公ノ秩序」の内容を形成し、それに反する私法上の行為の効力を一律に否定する法的作用を営むということはない。
ウ 憲法9条の宣明する国際平和主義、戦争の放棄、戦力の不保持などの国家の統治活動に対する規範は、私法的な価値秩序のもとで確立された私的自治の原則、契約における信義則、取引の安全等の私法上の規範によって相対化され、民法90条にいう「公ノ秩序」の内容の一部を形成する。
エ 憲法9条の宣明する国際平和主義、戦争の放棄、戦力の不保持などの国家の統治活動に対する規範にかかわる私法上の行為については、私法的な価値秩序のもとにおいて、社会的に許容されない反社会的な行為であるとの認識が、社会の一般的な観念として確立しているか否かが、私法上の行為の効力の有無を判断する基準になるものというべきである。
オ 憲法9条は、人権規定と同様、国の基本的な法秩序を宣示した規定であるから、憲法より下位の法形式によるすべての法規の解釈適用に当たって、その指導原理となりうるものであることはいうまでもない。

1 ア イ ウ エ オ
2 イ ウ エ オ ア
3 ウ エ オ ア イ
4 エ オ ア イ ウ
5 オ ア イ ウ エ

問題6 司法権の限界に関する次の記述のうち、最高裁判所の判例の趣旨に照らし、妥当でないものはどれか。

1 具体的な権利義務ないしは法律関係に関する紛争であっても、信仰対象の価値または教義に関する判断が前提問題となる場合には、法令の適用による解決には適さず、裁判所の審査は及ばない。
2 大学による単位授与行為(認定)は、純然たる大学内部の問題として大学の自律的判断にゆだねられるべきものであり、一般市民法秩序と直接の関係を有すると認めるにたる特段の事情がない限り、裁判所の審査は及ばない。
3 衆議院の解散は高度の政治性を伴う国家行為であって、その有効無効の判断は法的に不可能であるから、そもそも法律上の争訟の解決という司法権の埓外にあり、裁判所の審査は及ばない。
4 政党の結社としての自律性からすると、政党の党員に対する処分は原則として自律的運営にゆだねるべきであり、一般市民法秩序と直接の関係を有しない内部的問題にとどまる限りは、裁判所の審査は及ばない。
5 地方議会議員の出席停止処分は、除名とは異なり議員の権利行使の一時的制約にすぎず、議会の内部規律の問題として自治的措置にゆだねるべきであるから、裁判所の審査は及ばない。

問題7 財政に関する次の記述のうち、妥当なものはどれか。

1 国費の支出は国会の議決に基づくことを要するが、国による債務の負担は直ちに支出を伴うものではないので、必ずしも国会の議決に基づく必要はない。
2 予算の提出権は内閣にのみ認められているので、国会は予算を修正することができず、一括して承認するか不承認とするかについて議決を行う。
3 予見し難い予算の不足に充てるため、内閣は国会の議決に基づき予備費を設けることができるが、すべての予備費の支出について事後に国会の承認が必要である。
4 予算の公布は、憲法改正・法律・政令・条約の公布と同様に、憲法上、天皇の国事行為とされている。
5 国の歳出の決算は毎年会計検査院の検査を受けなければならないが、収入の見積もりにすぎない歳入の決算については、会計検査院の検査を受ける必要はない。

問題8 裁判による行政上の義務履行確保について、最高裁判所の判決に照らし、妥当な記述はどれか。

1 国又は地方公共団体が専ら行政権の主体として国民に対して行政上の義務履行を求める訴訟は、法令の適用により終局的に解決することができないから、法律上の争訟に該当しない。
2 国又は地方公共団体が専ら行政権の主体として国民に対して行政上の義務履行を求める訴訟は、このような訴訟を提起することを認める特別の規定が法律にあれば、適法となりうる。
3 国又は地方公共団体が財産権の主体として国民に対して義務履行を求める訴訟は、終局的には、公益を目的とするものであって、自己の権利利益の保護救済を目的とするものではないから、法律上の争訟には該当しない。
4 国又は地方公共団体が専ら行政権の主体として国民に対して行政上の義務履行を求める訴訟は、行政上の義務履行確保の一般法である行政代執行法による代執行が認められる場合に限り、不適法である。
5 国又は地方公共団体が財産権の主体として国民に対して義務履行を求める訴訟は、法律上の争訟として当然に裁判所の審判の対象となるわけではないが、現行法上、こうした訴訟を認める特別の規定があるため、提起することが許されている。

問題9 国と国家公務員との法律関係に関する次の記述のうち、最高裁判所の判決に照らし、正しいものはどれか。

1 国と国家公務員は特別な社会的接触の関係にあるので、公務災害の場合、国は、一般的に認められる信義則上の義務に基づいて賠償責任を負うことはない。
2 安全配慮義務は私法上の義務であるので、国と国家公務員との間の公務員法上の関係においては、安全配慮義務に基づく責任は認められない。
3 公務災害に関する賠償は、国の公法上の義務であるから、これに民法の規定を適用する余地はない。
4 公務災害に関する賠償については、国家賠償法に基づく不法行為責任が認められる場合に限られ、上司等の故意過失が要件とされる。
5 公務災害に関わる金銭債権の消滅時効期間については、早期決済の必要性など行政上の便宜を考慮する必要がないので、会計法の規定は適用されず、民法の規定が適用される。

問題10 行政立法に関する次の会話の空欄[ア]〜[エ]に当てはまる語句の組合せとして、正しいものはどれか。
教員A「今日は行政立法に関して少し考えてみましょう。B君、行政立法の具体例をいくつか挙げることができますか?」
学生B「そうですね。建築基準法施行規則や所得税基本通達があります。」
教員A「よく知ってぃますね。建築基準法施行規則はその名のとおり建築基準法の委任に基づき定められた[ア]ですね。国民の権利義務に関わる規定を含むものですから、講学上は[イ]に分類されます。Cさん、所得税基本通達は何に分類されるでしょうか?」
学生C「所得税基本通達は、国税庁内部で上級機関が下級機関に発する事務処理の取決めのことですから、[ウ]でしょうか?
教員A[そのとおりですね。では、[イ]の中には、性質の異なる二種類のものがあることを知っていますか?」
学生B・C「どういうことでしょうか?」
教員A「質問の仕方を変えると、[イ]の中には、新たに権利義務を設定するのではなく、法律を実施するための技術的細目を定めるものがありますよね。」
学生B「[エ]のことですね。申請書の様式を定める規定がこれにあたると言われています。」
教員A「正解です。ただ、このような分類枠組みについては今日では疑問視されていることにも注意してください。」

   ア     イ     ウ     エ
1 省令 法規命令 行政規則 執行命令
2 省令 行政規則 法規命令 委任命令
3 政令 法規命令 行政規則 委任命令
4 政令 行政規則 法規命令 執行命令
5 政令 法規命令 行政規則 独立命令

問題11 行政手続法による意見公募手続につき、妥当な記述はどれか。

1 意見公募手続に関する規定は、地方公共団体による命令等の制定については適用されないこととされているが、地方公共団体は、命令等の制定について、公正の確保と透明性の向上を確保するために必要な措置を講ずるように努めなければならない。
2 意見公募手続を実施して命令等を定めた場合には、当該命令等の公布と同時期に、結果を公示しなければならないが、意見の提出がなかったときは、その旨の公示は必要とされない。
3 意見公募手続においては、広く一般の意見が求められ、何人でも意見を提出することができるが、当該命令等について、特別の利害関係を有する者に対しては、意見の提出を個別に求めなければならない。
4 意見公募手続において提出された意見は、当該命令等を定めるに際して十分に考慮されなければならず、考慮されなかった意見については、その理由が意見の提出者に個別に通知される。
5 意見公募手続の対象である命令等には、法律に基づく命令又は規則のほか、審査基準や処分基準など、処分をするかどうかを判断する基準は含まれるが、行政指導に関する指針は含まれない。

問題12 次に掲げる行政手続法2条が定める定義の空欄[ア]〜[オ]に当てはまる語句の組合せとして、正しいものはどれか。
申請 ― 法令に基づき、行政庁の許可、認可、免許その他の[ア]に対し何らかの利益を付与する処分(以下「許認可等」という。)を求める行為であって、当該行為に対して行政庁が[イ]をすべきこととされているものをいう。
不利益処分 ― 行政庁が、法令に基づき、[ウ]を名あて人として、直接に、これに義務を課し、又はその権利を制限する処分をいう。
行政指導 ― 行政機関がその任務又は[エ]の範囲内において一定の行政目的を実現するために[オ]に一定の作為又は不作為を求める指導、勧告、助言その他の行為であって処分に該当しないものをいう。

1 [ア]特定の者 [イ]一定の処分 [ウ]特定の者 [エ]法律に基づく命令 [オ]特定の者
2 [ア]自己 [イ]諾否の応答 [ウ]不特定の者 [エ]法令 [オ]不特定の者
3 [ア]利害関係を有する者 [イ]諾否の応答 [ウ]特定の者 [エ]管轄 [オ]特定の者
4 [ア]特定の者 [イ]一定の処分 [ウ]不特定の者 [エ]職務命令 [オ]不特定の者
5 [ア]自己 [イ]諾否の応答 [ウ]特定の者 [エ]所掌事務 [オ]特定の者

問題13 X省では、ホームページに、「行政手続法、よくある質問と回答」の内容を掲載しようと検討している。以下はその原稿案である。これらのうち、誤りを含むものはどれか。

1 Q「ある営業の許可のための申請をしようと思っています。役所でどのような点を審査することになるのか、事前に知ることはできますか?」
→A「役所は、申請を認めるべきかどうか役所側か判断するときの基準をできる限り具体的に定め、誰でも見ることができるようにしておかなければなりません。この基準は、原則として公にされています。」
2 Q「私がしようとしている許可申請については、A県知事が許可・不許可処分をすることになっています。処分の根拠は法律に定められているようです。行政手続法が適用されるのでしょうか?」
→A「地方公共団体の役所がするそのような処分については、行政手続法の規定は適用されません。当該地方公共団体が行政手続条例を定めていれば、行政手続条例が適用されることになります。」
3 Q「許可の申請をした結果はいつ頃わかるのか、目安を知りたいのですが?」
→A「役所は、申請が届いてから結論を出すまでに通常の場合必要とする標準的な期間をあらかじめ定めるように努め、定めたときは公にしておかなければならないことになっています。ここで定められた期間が、申請の処理にかかる時間の目安となります。」
4 Q「許可申請をしたのに、いつまでたっても返答がないのですが?」
→A「申請書が役所に届いたら、役所は直ちに審査を開始することになっています。役所が申請を受け取らなかったり、審査をせずに放置しておくなどの取扱いは行政手続法上許されていません。申請先の役所に状況を問い合わせてみましょう。」
5 Q「申請が不許可になった場合、その理由は教えてもらえるのでしょうか?」
→A「役所は、申請を許可できない、不許可にする、という場合には、処分と同時に(書面でするときは書面で)その理由を示すことになっています。」

問題14 行政不服審査法に基づく審査請求に対する裁決に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

1 処分についての審査請求が法定の期間経過後にされたものであるとき、その他不適法であるとき、または審査請求に理由がないときは、審査庁は、裁決で当該審査請求を却下する。
2 不作為についての審査請求に理由があるときは、審査庁は、当該不作為庁に対しすみやかに申請を認める処分をすべき旨を命ずるとともに、裁決で、その旨を宣言する。
3 処分についての審査請求に理由があり、審査庁が裁決で当該処分の変更を命ずることができる場合において、公の利益に著しい障害が生じることを防ぐため必要があると認めるときは、審査庁は、審査請求人の不利益に処分の変更を命ずることもできる。
4 事実行為についての審査請求に理由があるときは、審査庁は、処分庁に対し当該事実行為の全部または一部を撤廃すべきことを命ずるとともに、裁決でその旨を宣言する。
5 処分についての審査請求の裁決には、行政事件訴訟法の定める事情判決と同様の事情裁決の制度があるが、事情裁決が行われるのは、処分が違法である場合に限られ、処分が不当である場合には行われない。

問題15 処分についての審査請求に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

1 審査請求の審理は、書面によるのが原則であるが、申立人の申立てがあった場合には、審査庁は、申立人に口頭で意見を述べる機会を与えなければならない。
2 審査請求は、行政の適正な運営を確保することを目的とするため、一般概括主義がとられており、国会および裁判所が行う処分以外には、適用除外とされている処分はない。
3 審査請求は、行政の適正な運営を確保することを目的とするため、対象となる処分に利害関係を有さない者であっても、不服申立てができる期間であれば、これを行うことができる。
4 審査請求は、簡易迅速に国民の権利利益の救済を図るための制度であるから、審査請求が行われた場合には、処分の効力は、裁決が行われるまで停止する。
5 審査請求は、簡易迅速に国民の権利利益の救済を図るための制度であるから、審査請求に対する審査庁の判断が一定期間内に示されない場合、審査請求が審査庁によって認容されたとみなされる。

問題16 事情判決に関する次の記述のうち、妥当なものはどれか。

1 事情判決は、処分取消しの請求を棄却する判決であるが、その判決理由において、処分が違法であることが宣言される。
2 事情判決においては、公共の利益に著しい影響を与えるため、処分の取消しは認められないものの、この判決によって、損害の賠償や防止の措置が命じられる。
3 事情判決に関する規定は、義務付け訴訟や差止訴訟にも明文で準用されており、これらの訴訟において、事情判決がなされた例がある。
4 事情判決に関する規定は、民衆訴訟に明文では準用されていないが、その一種である選挙の無効訴訟において、これと同様の判決がなされた例がある。
5 土地改良事業が完了し、社会通念上、原状回復が不可能となった場合、事業にかかる施行認可の取消訴訟は、訴えの利益を失って却下され、事情判決の余地はない。

問題17 行政事件訴訟法の定める執行停止に関する次の記述のうち、妥当な記述はどれか。

1 処分の執行停止の申立ては、当該処分に対して取消訴訟を提起した者だけではなく、それに対して差止訴訟を提起した者もなすことができる。
2 処分の執行停止の申立ては、本案訴訟の提起と同時になさなければならず、それ以前あるいはそれ以後になすことは認められない。
3 本案訴訟を審理する裁判所は、原告が申し立てた場合のほか、必要があると認めた場合には、職権で処分の執行停止をすることができる。
4 処分の執行の停止は、処分の効力の停止や手続の続行の停止によって目的を達することができる場合には、することができない。
5 処分の執行停止に関する決定をなすにあたり、裁判所は、あらかじめ、当事者の意見をきかなければならないが、口頭弁論を経る必要はない。

問題18 行政事件訴訟法に関する次の記述のうち、正しいものの組合せはどれか。
ア 処分の差止めの訴えの審理中に当該処分がなされた場合、差止めの訴えは、当該処分の取消しの訴えとみなされる。
イ 取消判決は、その事件について、処分庁その他の関係行政庁を拘束すると定められているが、同規定は、公法上の当事者訴訟に準用されている。
ウ 不作為の違法確認の訴えは、処分又は裁決についての申請をした者に限り、提起することができ、それ以外の第三者が提起することは許されない。
エ 裁判所は、必要であると認めるときは、職権で、処分をした行政庁以外の行政庁を訴訟に参加させることができるが、その行政庁から申し立てることはできない。
オ 行政庁は、取消訴訟を提起することができる処分をする場合には、相手方に対し、取消訴訟の被告とすべき者等を教示しなければならないが、審査請求に対する裁決をする場合には、それに対する取消訴訟に関する教示の必要はない。

1 ア・イ
2 ア・オ
3 イ・ウ
4 ウ・エ
5 エ・オ

問題19 国家賠償法1条1項に関する最高裁判所の判例に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

1 非番の警察官が、もっぱら自己の利をはかる目的で、職務を装って通行人から金品を奪おうとし、ついには、同人を撃って死亡させるに至った場合、当該警察官は主観的に権限行使の意思をもってしたわけではないから、国家賠償法1条1項の適用は否定される。
2 パトカーに追跡されたため赤信号を無視して交差点に進入した逃走車両に無関係の第三者が衝突され、その事故により当該第三者が身体に損害を被った場合であったとしても、警察官の追跡行為に必要性があり、追跡の方法も不相当といえない状況においては、当該追跡行為に国家賠償法1条1項の違法性は認められない。
3 飲食店の中でナイフで人を脅していた者が警察署まで連れてこられた後、帰宅途中に所持していたナイフで他人の身体・生命に危害を加えた場合、対応した警察官が当該ナイフを提出させて一時保管の措置をとるべき状況に至っていたとしても、当該措置には裁量の余地が認められるから、かかる措置をとらなかったことにつき国家賠償法1条1項の違法性は認められない。
4 旧陸軍の砲弾類が海浜に打ち上げられ、たき火の最中に爆発して人身事故が生じた場合、警察官は警察官職務執行法上の権限を適切に行使しその回収等の措置を講じて人身事故の発生を防止すべき状況に至っていたとしても、当該措置には裁量の余地が認められるから、かかる措置をとらなかったことにつき国家賠償法1条1項の違法性は認められない。
5 都道府県警察の警察官が交通犯罪の捜査を行うにつき故意または過失によって違法に他人に損害を与えた場合、犯罪の捜査が司法警察権限の行使であることにかんがみれば、国家賠償法1条1項によりその損害の賠償の責めに任ずるのは原則として司法権の帰属する国であり、都道府県はその責めを負うものではない。

問題20 A県に居住するXは、折からの豪雨により増水した河川Bの水流が堤防を越えて自宅敷地内に流れ込み、自宅家屋が床上浸水の被害を受けたことから、国家賠償法に基づく損害賠償を請求することとした。なお、この水害は、河川Bの堤防の高さが十分でなかったことと、河川Bの上流に位置する多目的ダムCにおいて、A県職員のDが誤った放流操作(ダムに溜まっている水を河川に流すこと)を行ったことの二つが合わさって起きたものである。また、河川BとダムCはA県が河川管理者として管理しているが、その費用の2分の1は国が負担している。この事例に関する次の記述のうち、正しいものの組合せはどれか。
ア 本件では、公の営造物たる河川の設置管理の瑕疵が問題となっており、Xが国家賠償法2条に基づく損害賠償を請求することができる以上、Dの放流操作に違法・過失があるとして国家賠償法1条に基づき損害賠償を請求することはできない。
イ 本件では、公の営造物たる河川の設置管理の瑕疵とDの違法な放流操作が問題となっていることから、Xは国家賠償法2条に基づく損害賠償を請求することもできるし、国家賠償法1条に基づき損害賠償を請求することもできる。
ウ 本件では、河川Bの管理費用を国も負担しているが、管理権者はA県であることから、Xが国家賠償法2条に基づき損害賠償を請求する際には、A県を被告としなければならず、国を被告とすることはできない。
エ 本件では、河川Bの管理費用を国も負担していることから、管理権者がA県であるとしても、Xが国家賠償法2条に基づき損害賠償を請求する際には、A県を被告とすることも国を被告とすることもできる。
オ 本件で、原告の請求が認容され、A県が国家賠償法2条に基づき賠償金の全額を支払った場合には、他にその損害を賠償する責任を有する者がいれば、その者に対して求償することができる。
カ 本件で、原告の請求が認容され、A県が国家賠償法2条に基づき賠償金の全額を支払った場合には、河川管理者がA県である以上、他にその損害を賠償する責任を有する者がいるとしても、その者に対して求償することはできない。

1 ア・ウ・オ
2 ア・ウ・カ
3 ア・エ・カ
4 イ・エ・オ
5 イ・エ・カ

問題21 住民訴訟に関する次の記述のうち、正しいものの組合せはどれか。
ア 住民訴訟は、当該普通地方公共団体の住民ではない者であっても、住民監査請求をした者であれば、提起することが許される。
イ 住民訴訟は、当該普通地方公共団体の事務所の所在地を管轄する地方裁判所の管轄に専属する。
ウ 住民訴訟が係属しているときは、当該普通地方公共団体の他の住民が、別訴をもって同一の請求をすることは許されない。
エ 住民訴訟は、行政事件訴訟法の定める機関訴訟であり、それに関する行政事件訴訟法の規定が適用される。

1 ア・イ
2 ア・ウ
3 イ・ウ
4 イ・エ
5 ウ・エ

問題22 特別区に関する次の文章の空欄[ア]〜[オ]]に当てはまる語句の組合せとして、正しいものはどれか。
[ア]地方公共団体の一種である特別区は、地方自治法の規定では「都」に設置されるものとされている。指定都市に置かれる区が法人格を[イ]のに対して、特別区は法人格を[ウ]のが特徴であり、また、特別区は公選の議会と区長を有している。
近年では、大都市地域における二重行政を解消するための手段として、この特別区制度を活用することが提案され、「大都市地域における特別区の設置に関する法律」が地方自治法の特例法として定められるに至った。
この「大都市地域における特別区の設置に関する法律」は、市町村を廃止し、特別区を設けるための手続を定めたものであり、「[エ]の区域内において」も特別区の設置が認められるようになった。手続に際しては、廃止が予定される市町村で「特別区の設置について選挙人の投票」が実施されるが、この投票で「有効投票の総数の[オ]の賛成があったとき]でなければ、特別区を設置することはできないと定められている。

   ア   イ   ウ   エ   オ
1 特別 有しない 有する  府   3分の2以上
2 特別 有しない 有する  道府県 過半数
3 特別 有する  有しない 府   過半数
4 普通 有する  有しない 府   過半数
5 普通 有しない 有する  道府県 3分の2以上

問題23 条例・規則に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

1 普通地方公共団体は、法令に特別の定めがあるものを除くほか、その条例中に、条例に違反した者に対し、刑罰を科す旨の規定を設けることができるが、法律の委任に基づかない条例を定める場合には、設けることができない。
2 普通地方公共団体は、法令に特別の定めがあるものを除くほか、その条例中に、条例に違反した者に対し、刑罰を科す旨の規定を設けることができるが、行政上の強制執行が許される場合には、設けることができない。
3 普通地方公共団体は、法令に特別の定めがあるものを除くほか、その条例中に、条例に違反した者に対し、刑罰を科す旨の規定を設けることができるが、刑罰の種類は、罰金及び科料に限られ、懲役や禁鋼は、設けることができない。
4 普通地方公共団体は、法令に特別の定めがあるものを除くほか、その条例中に、条例に違反した者に対し、刑罰を科す旨の規定を設けることができるが、過料を科す旨の規定は、設けることができない。
5 普通地方公共団体の長は、法令に特別の定めがあるものを除くほか、普通地方公共団体の規則中に、規則に違反した者に対し、過料を科す旨の規定を設けることはできるが、刑罰を科す旨の規定を設けることはできない。

問題24 国の行政組織に関する次の記述のうち、正しいものの組合せはどれか。
ア 国家行政組織法によれば、行政組織のために置かれる国の行政機関には、省、庁および独立行政法人があり、その設置・廃止は別に法律の定めるところによる。
イ 国家行政組織法によれば、同法の定める国の行政機関には、審議会等、合議により処理することが適当な事務をつかさどるための合議制機関を置くことができる。
ウ 内閣府設置法によれば、内閣総理大臣は、内閣府の長として、内閣府の事務を統括し、職員の服務について統督する。
エ 国家行政組織法によれば、各省大臣は、主任の行政事務について、それぞれの機関の命令として規則を発することができる。
オ 内閣府設置法によれば、政令のうち、特に内閣府に係る主任の事務に関わるものを内閣府令と称し、内閣総理大臣がこれを制定する。

1 ア・ウ
2 ア・オ
3 イ・ウ
4 イ・エ
5 エ・オ

問題25 次に挙げる行政に関連する法令の規定の空欄[ア]〜[エ]に当てはまる語句の組合せとして、正しいものはどれか。
行政不服審査法第17条第1項 審査請求は、処分庁を経由してすることもできる。(以下略)
第3項 第1項の場合における審査請求期間の計算にっいては、処分庁に審査請求書を提出し、又は処分庁に対し当該事項を陳述した時に、審査請求があったものと[ア]。
行政事件訴訟法第7条 行政事件訴訟に関し、この法律に定めがない事項については[イ]。
行政事件訴訟法第36条 無効等確認の訴えは、当該処分又は裁決に続く処分により損害を受けるおそれのある者[ウ]当該処分又は裁決の無効等の確認を求めるにつき法律上の利益を有する者で、当該処分[エ]裁決の存否又はその効力の有無を前提とする現在の法律関係に関する訴えにょって目的を達することができないものに限り、提起することができる。

    ア     イ       ウ    エ
1 推定する 民事訴訟の例による  その他 及び
2 推定する 民事訴訟法を準用する 及び  若しくは
3 推定する 民事訴訟法を準用する 及び  及び
4 みなす  民事訴訟の例による  その他 若しくは
5 みなす  民事訴訟の例による  並びに 並びに

問題26 国家公務員に対する制裁措置に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

1 一般職公務員に対する懲戒処分については、人事院がすべての職種について処分基準を定め、これに基づいて処分を行う。
2 一般職公務員に対する懲戒処分については、職務上の行為だけでなく、職務時間外の行為も処分理由となりうる。
3 一般職公務員について、勤務実績がよくない場合には、懲戒処分の対象となりうる。
4 一般職公務員に対する法律上の懲戒処分の種類は、免職・降任・休職・減給の4種類である。
5 一般職公務員に対して課されている政治的行為の制限に違反した場合、懲戒処分の対象となるが、罰則は定められていない。

問題27 制限行為能力者に関する次の記述のうち、民法の規定に照らし、正しいものの組合せはどれか。
ア 家庭裁判所が後見開始の審判をするときには、成年被後見人に成年後見人を付するとともに、成年後見人の事務を監督する成年後見監督人を選任しなければならない。
イ 被保佐人がその保佐人の同意を得なければならない行為は、法に定められている行為に限られ、家庭裁判所は、本人や保佐人等の請求があったときでも、被保佐人が法に定められている行為以外の行為をする場合にその保佐人の同意を得なければならない旨の審判をすることはできない。
ウ 家庭裁判所は、本人や保佐人等の請求によって、被保佐人のために特定の法律行為について保佐人に代理権を付与する旨の審判をすることができるが、本人以外の者の請求によってその審判をするには、本人の同意がなければならない。
エ 家庭裁判所は、本人や配偶者等の請求により、補助開始の審判をすることができるが、本人以外の者の請求によって補助開始の審判をするには、本人の同意がなければならない。
オ 後見開始の審判をする場合において、本人が被保佐人または被補助人であるときは、家庭裁判所は、その本人に係る保佐開始または補助開始の審判を取り消す必要はないが、保佐開始の審判をする場合において、本人が成年被後見人であるときは、家庭裁判所は、その本人に係る後見開始の審判を取り消さなければならない。

1 ア・イ
2 ア・オ
3 イ・ウ
4 ウ・エ
5 エ・オ

問題28 心裡留保および虚偽表示に関する次の記述のうち、民法の規定および判例に照らし、妥当なものはどれか。

1 養子縁組につき、当事者の一方において真に養親子関係の設定を欲する意思がない場合であっても、相手方がその真意につき善意、無過失であり、縁組の届出手続が行われたときは、その養子縁組は有効である。
2 財団法人(一般財団法人)の設立に際して、設立関係者全員の通謀に基づいて、出損者が出損の意思がないにもかかわらず一定の財産の出損を仮装して虚偽の意思表示を行った場合であっても、法人設立のための当該行為は相手方のない単独行為であるから虚偽表示にあたらず、財団法人の設立の意思表示は有効である。
3 土地の仮装譲渡において、仮装譲受人が同地上に建物を建設してその建物を他に賃貸した場合、建物賃借人において土地譲渡が虚偽表示によるものであることについて善意であるときは、土地の仮装譲渡人はその建物賃借人に対して、土地譲渡の無効を理由として建物からの退去および土地の明渡しを求めることができない。
4 仮装の売買契約に基づく売買代金債権が他に譲渡された場合、債権の譲受人は第三者にあたらないため、譲受人は、譲受債権の発生原因が虚偽表示によるものであることについて善意であっても、買主に対して売買代金の支払を求めることができない。
5 金銭消費貸借契約が仮装され、借主に金銭が交付されていない場合であっても、当該契約に基づく貸金債権を譲り受けた者は、譲受債権の発生原因が虚偽表示によるものであることについて善意であるときは、借主に対して貸金の返済を求めることができる。

問題29 甲土地を所有するAとその隣地の乙土地を所有するBとの間の相隣関係に関する記述のうち、民法の規定に照らし、正しいものはどれか。なお、次の各場合において、別段の慣習は存在しないものとする。

1 Aは、境界線から1メートル未満の距離*において乙土地を見通すことができる窓または縁側(ベランダも含む)を設けることができるが、その場合には、目隠しを付さなければならない。
2 甲土地に所在するAの竹木の枝が境界線を越えて乙土地に侵入した場合に、Bは、自らその枝を切除することができる。
3 甲土地に所在するAの竹木の根が境界線を越えて乙土地に侵入した場合に、Bは、その根を切除することはできず、Aにその根を切除させなければならない。
4 AおよびBが甲土地および乙土地を所有する前から甲土地と乙土地の境界に設けられていた障壁は、AとBの共有に属するものと推定されるが、その保存の費用は、A・B間に別段の約定がない限り、AとBが、甲土地と乙土地の面積の割合に応じて負担する。
5 甲土地内のAの建物の屋根から雨水が直接に乙土地に注がれる場合に、Bは、その雨水が注がれることを受忍しなければならない。
(注)* その距離は、窓または縁側の最も隣地に近い点から垂直線によって境界線に至るまでを測定して算出する。

問題30 留置権に関する次の記述のうち、民法の規定および判例に照らし、妥当でないものはどれか。

1 Aは自己所有の建物をBに売却し登記をBに移転した上で、建物の引渡しは代金と引換えにすることを約していたが、Bが代金を支払わないうちにCに当該建物を転売し移転登記を済ませてしまった場合、Aは、Cからの建物引渡請求に対して、Bに対する代金債権を保全するために留置権を行使することができる。
2 Aが自己所有の建物をBに売却し引き渡したが、登記をBに移転する前にCに二重に売却しCが先に登記を備えた場合、Bは、Cからの建物引渡請求に対して、Aに対する損害賠償債権を保全するために留置権を行使することができる。
3 AがC所有の建物をBに売却し引き渡したが、Cから所有権を取得して移転することができなかった場合、Bは、Cからの建物引渡請求に対して、Aに対する損害賠償債権を保全するために留置権を行使することはできない。
4 Aが自己所有の建物をBに賃貸したが、Bの賃料不払いがあったため賃貸借契約を解除したところ、その後も建物の占有をBが続け、有益費を支出したときは、Bは、Aからの建物明渡請求に対して、Aに対する有益費償還請求権を保全するために留置権を行使することはできない。
5 Aが自己所有の建物をBに賃貸しBからAへ敷金が交付された場合において、賃貸借契約が終了したときは、Bは、Aからの建物明渡請求に対して、Aに対する敷金返還請求権を保全するために、同時履行の抗弁権を主張することも留置権を行使することもできない。

問題31 代物弁済(担保目的の代物弁済契約によるものは除く。)に関する次の記述のうち、民法の規定および判例に照らし、妥当でないものはどれか。

1 債務者が債権者と合意して、債権者に対し本来の債務の弁済に代えて自己が所有する土地を譲渡した場合、土地所有権の移転の効果は、原則として代物弁済契約の意思表示によって生じる。
2 債務者が債権者と合意して、債権者に対し本来の債務の弁済に代えて自己が所有する土地を譲渡した場合、債務消滅の効果は、原則として移転登記の完了時に生じる。
3 債務者が債権者と合意して、債権者に対し本来の債務の弁済に代えて自己が占有する時計を引き渡した場合、当該時計が他人から借りた時計であったとしても、債権者が、善意、無過失で、平穏に、かつ、公然と占有を開始したときには、時計の所有権を取得できる。
4 債務者が債権者と合意して、債権者に対し本来の債務の弁済に代えて自己が所有する時計を引き渡した場合、その時計に隠れた瑕疵があるときでも、債権者は、債務者に対し瑕疵担保責任を追及することはできない。
5 債務者が債権者と合意して、債権者に対し本来の債務の弁済に代えて手形または小切手を交付した場合、これによって債務消滅の効果が生じるので、それらの不渡りがあっても、債権者は、債務者に対し損害賠償を請求することはできない。

問題32 AがBに対して電器製品を売却する旨の売買契約(両債務に関する履行期日は同一であり、AがBのもとに電器製品を持参する旨が約されたものとする。以下、「本件売買契約」という。)に関する次の記述のうち、民法の規定および判例に照らし、誤っているものはどれか。

1 Bが履行期日を過ぎたにもかかわらず売買代金を支払わない場合であっても、Aが電器製品をBのもとに持参していないときは、Aは、Bに対して履行遅滞に基づく損害賠償責任を問うことはできない。
2 Aが履行期日に電器製品をBのもとに持参したが、Bが売買代金を準備していなかったため、Aは電器製品を持ち帰った。翌日AがBに対して、電器製品を持参せずに売買代金の支払を求めた場合、Bはこれを拒むことができる。
3 Bが予め受領を拒んだため、Aは履行期日に電器製品をBのもとに持参せず、その引渡しの準備をしたことをBに通知して受領を催告するにとどめた場合、Bは、Aに対して、電器製品の引渡しがないことを理由として履行遅滞に基づく損害賠償責任を問うことはできない。
4 履行期日にAが電器製品を持参したにもかかわらず、Bが売買代金の支払を拒んだ場合、Aは、相当期間を定めて催告した上でなければ、原則として本件売買契約を解除することができない。
5 履行期日になってBが正当な理由なく売買代金の支払をする意思がない旨を明確に示した場合であっても、Aは、電器製品の引渡しの準備をしたことをBに通知して受領を催告しなければ、Bに対して履行遅滞に基づく損害賠償責任を問うことができない。

問題33 Aは、自己所有の甲建物をBに贈与する旨を約した(以下、「本件贈与」という)。この場合に関する次の記述のうち、民法の規定および判例に照らし、妥当なものはどれか。
1 本件贈与が口頭によるものであった場合、贈与契約は諾成契約であるから契約は成立するが、書面によらない贈与につき贈与者はいつでも撤回することができるため、甲がBに引き渡されて所有権移転登記手続が終了した後であっても、Aは本件贈与を撤回することができる。
2 本件贈与が書面によるものであるというためには、Aの贈与意思の確保を図るため、AB間において贈与契約書が作成され、作成日付、目的物、移転登記手続の期日および当事者の署名押印がされていなければならない。
3 本件贈与につき書面が作成され、その書面でAが死亡した時に本件贈与の効力が生じる旨の合意がされた場合、遺言が撤回自由であることに準じて、Aはいつでも本件贈与を撤回することができる。
4 本件贈与につき書面が作成され、その書面でBがAの老後の扶養を行うことが約された場合、BがAの扶養をしないときであっても、甲の引渡しおよび所有権移転登記手続が終了していれば、Aは本件贈与を解除することができない。
5 本件贈与につき書面が作成され、その書面で、BがAの老後の扶養を行えばAが死亡した時に本件贈与の効力が生じる旨の合意がされた場合、Bが上記の負担を全部またはこれに類する程度まで履行したときであっても、特段の事情がない限り、Aは本件贈与を撤回することができる。

問題34 A(3歳)は母親Bが目を離した隙に、急に道路へ飛び出し、Cの運転するスピード違反の自動車に轢かれて死亡した。CがAに対して負うべき損害賠償額(以下、「本件損害賠償額」という。)に関する次の記述のうち、民法の規定および判例に照らし、妥当なものはどれか。

1 本件損害賠償額を定めるにあたって、A自身の過失を考慮して過失相殺するには、Aに責任能力があることが必要であるので、本件ではAの過失を斟酌することはできない。
2 本件損害賠償額を定めるにあたって、A自身の過失を考慮して過失相殺するには、Aに事理弁識能力があることは必要でなく、それゆえ、本件ではAの過失を斟酌することができる。
3 本件損害賠償額を定めるにあたって、BとAとは親子関係にあるが、BとAとは別人格なので、Bが目を離した点についてのBの過失を斟酌することはできない。
4 本件損害賠償額を定めるにあたって、Aが罹患していた疾患も一因となって死亡した場合、疾患は過失とはいえないので、当該疾患の態様、程度のいかんにかかわらずAの疾患を斟酌することはできない。
5 本件損害賠償額を定めるにあたって、Aの死亡によって親が支出を免れた養育費をAの逸失利益から控除することはできない。

問題35 婚約、婚姻および離婚に関する以下の相談に対する回答のうち、民法の規定および判例に照らし、妥当なものの組合せはどれか。
ア <相談> 私はAとの婚約にあたりAに対して結納金100万円を贈与したのですが、結局は婚姻に至りませんでした。私はAに対して結納金100万円の返還を請求できるでしょうか。
ア <回答> 結納は婚姻の成立を確証し、併せて当事者間の情宜を厚くする目的で授受される一種の贈与とされています。婚姻が解消された場合には原則として返還すべきものですので、あなたには結納金の返還を請求できる権利があります。
イ <相談> 私は事実婚状態にあったBと合意のうえ入籍することにして婚姻届を作成しましたが、提出前にBは交通事故に遭い、現在昏睡状態にあります。こうした状態でも先に作成した婚姻届を提出すれば、私はBと正式に婚姻できるのでしょうか。
イ <回答> 判例によれば、婚姻が有効に成立するためには、届出時点における当事者の婚姻意思が必要です。婚姻届作成後に翻意したというような特段の事情がないとしても、現在Bは意思能力を欠いた状態ですので、婚姻届を提出したとしても婚姻の効力は生じません。
ウ <相談> 私は配偶者Cとの間に子がいますが、Cは5年前に家を出て他で生活しており、子の養育費はすべて私か負担しています。Cに対して離婚訴訟を提起するにあたり、併せてこの間の養育費の支払いを求めることができるでしょうか。
ウ <回答> 子の監護に要する費用は、婚姻から生じる費用です。婚姻費用の請求は婚姻の継続を前提とする請求であるのに対して、離婚訴訟は婚姻の解消を目指す訴訟ですから、このように性質が異なる訴訟を一緒に行うことはできません。離婚を申し立てる前に、監護費用の支払いを求める訴えを別途提起する必要があります。
エ <相談> 私と配偶者であるDとの婚姻関係は既に破綻しており、離婚にむけて協議を進めています。D名義のマンションを私に贈与することをDと私とは書面により合意したのですが、離婚届を提出する前日になって、Dは、この贈与契約を取り消すと言ってきました。Dの取り消しは認められるのでしょうか。
エ <回答> 民法の規定によれば夫婦間の契約は婚姻中いつでも取り消すことができますが、その趣旨は、夫婦間の約束事に法は介入すべきではなく、当事者の道義に委ねるべきだというものです。婚姻が実質的に破綻しているような場合にはこの趣旨は妥当しませんので、Dはマンションの贈与契約を取り消すことができません。

1 ア・イ
2 ア・エ
3 イ・ウ
4 イ・エ
5 ウ・エ

問題36 運送営業および場屋営業に関する次の記述のうち、商法の規定に照らし、誤っているものはどれか。

1 運送人は、自己もしくは運送取扱人またはその使用人その他運送のために使用する者が、運送品の受取り、引渡し、保管および運送に関して注意を怠らなかったことを証明するのでなければ、その運送品に生じた損害を賠償する責任を負う。
2 運送品が高価品であるときに、荷送人が運送を委託するにあたり、運送品の種類および価額を明告していなければ、運送人はその運送品に生じた損害を賠償する責任を負わない。
3 場屋の営業主は、客から寄託を受けた物品について、物品の保管に関して注意を怠らなかったことを証明すれば、その物品に生じた損害を賠償する責任を負わない。
4 客が特に寄託しない物品であっても、客が場屋内に携帯した物品が場屋の営業主またはその使用する者の不注意によって損害を受けたときは、場屋の営業主はその物品に生じた損害を賠償する責任を負う。
5 場屋の営業主が寄託を受けた物品が高価品であるときは、客がその種類および価額を明告してこれを場屋の営業主に寄託したのでなければ、場屋の営業主はその物品に生じた損害を賠償する責任を負わない。

問題37 株式会社の設立に関する次のア〜オの記述のうち、会社法の規定に照らし、妥当なものの組合せはどれか。
ア 発起人は、設立時発行株式を引き受ける者の募集をする旨を定めようとするときは、その全員の同意を得なければならない。
イ 複数の発起人がいる場合において、発起設立の各発起人は、設立時発行株式を1株以上引き受けなければならないが、募集設立の発起人は、そのうち少なくとも1名が設立時発行株式を1株以上引き受ければよい。
ウ 発起設立または募集設立のいずれの方法による場合であっても、発行可能株式総数を定款で定めていないときには、株式会社の成立の時までに、定款を変更して発行可能株式総数の定めを設けなければならない。
エ 設立時取締役その他の設立時役員等が選任されたときは、当該設立時役員等が会社設立の業務を執行し、またはその監査を行う。
オ 発起設立または募集設立のいずれの方法による場合であっても、発起人でない者が、会社設立の広告等において、自己の名または名称および会社設立を賛助する旨の記載を承諾したときには、当該発起人でない者は発起人とみなされ、発起人と同一の責任を負う。
1 ア・ウ
2 ア・エ
3 イ・エ
4 イ・オ
5 ウ・オ

問題38 取締役会設置会社(委員会設置会社を除く。)であり、種類株式発行会社でない株式会社の単元株式に関する次の記述のうち、会社法の規定に照らし、誤っているものはどれか。

1 株式会社は、その発行する株式について、一定の数の株式をもって株主が株主総会において一個の議決権を行使することができる一単元の株式とする旨を定款で定めることができる。
2 株式会社は、単元未満株主が当該単元未満株式について残余財産の分配を受ける権利を行使することができない旨を定款で定めることができない。
3 単元未満株主は、定款にその旨の定めがあるときに限り、株式会社に対し、自己の有する単元未満株式を買い取ることを請求することができる。
4 単元未満株主は、定款にその旨の定めがあるときに限り、株式会社に対し、自己の有する単元未満株式と併せて単元株式となる数の株式を売り渡すことを請求することができる。
5 株式会社が単元株式数を減少し、または単元株式数についての定款の定めを廃止するときは、取締役会の決議によりこれを行うことができる。

問題39 種類株式発行会社ではない取締役会設置会社で、複数の監査役が選任されている監査役設置会社の監査役の選任および解任に関する次の記述のうち、会社法の規定に照らし、誤っているものはどれか。なお、定款には別段の定めがないものとする。

1 監査役を選任するには、議決権を行使することができる株主の議決権の過半数を有する株主が株主総会に出席し、出席した当該株主の議決権の過半数の決議をもって行わなければならない。
2 代表取締役が監査役の選任に関する議案を株主総会に提出するには、監査役全員の同意を得なければならない。
3 監査役は、取締役に対して、監査役の選任を株主総会の目的とすること、または監査役の選任に関する議案を株主総会に提出することを請求することができる。
4 監査役を解任するには、議決権を行使することができる株主の議決権の過半数を有する株主が株主総会に出席し、出席した当該株主の議決権の3分の2以上に当たる多数の決議をもって行わなければならない。
5 監査役は、株主総会に当該監査役の解任議案が提出された場合のほか、他の監査役の解任議案が提出された場合も、株主総会において、当該解任について意見を述べることができる。

問題40 次の事項のうち、会社法の規定に照らし、登記を必要とする事項はどれか。

1 支配人以外の重要な使用人を選任するときは、その者の氏名
2 補欠取締役を選任するときは、その者の氏名
3 代表取締役について、その権限を制限するときは、その者の氏名と制限の内容
4 株式交換をするときは、完全子会社となる会社については株式交換により完全子会社となる旨
5 会計参与について、その責任の限度に関する契約の締結につき定款で定めるときは、その旨

[問題41〜問題43は択一式(多肢選択式)]

問題41 次の文章は、最高裁判所判決の一節である。空欄[ア]〜[エ]に当てはまる語句を、枠内の選択肢(1〜20)から選びなさい。

 公立図書館は、住民に対して思想、意見その他の種々の情報を含む図書館資料を提供してその教養を高めること等を目的とする[ア]ということができる。
そして、公立図書館の図書館職員は、公立図書館が上記のような役割を果たせるように、独断的な評価や個人的な好みにとらわれることなく、公正に図書館資料を取り扱うべき[イ]を負うものというべきであり、閲覧に供されている図書について、独断的な評価や個人的な好みによってこれを廃棄することは、図書館職員としての基本的な[イ]に反するものといわなければならない。
他方、公立図書館が、上記のとおり、住民に図書館資料を提供するための[ア]であるということは、そこで閲覧に供された図書の[ウ]にとって、その思想、意見等を[エ]する[ア]でもあるということができる。
したがって、公立図書館の図書館職員が閲覧に供されている図書を[ウ]の思想や信条を理由とするなど不公正な取扱いにょって廃棄することは、当該[ウ]が著作物によってその思想、意見等を[エ]する利益を不当に損なうものといわなければならない。
そして、[ウ]の思想の自由、表現の自由が憲法により保障された基本的人権であることにもかんがみると、公立図書館において、その著作物が閲覧に供されている[ウ]が有する上記利益は、法的保護に値する人格的利益であると解するのが相当であり、公立図書館の図書館職員である公務員が、図書の廃棄について、基本的な[イ]に反し、[ウ]又は著作物に対する独断的な評価や個人的な好みにょって不公正な取扱いをしたときは、当該図書の[ウ]の上記人格的利益を侵害するものとして国家賠償法上違法となるというべきである。(最判平成17年7月14日民集59巻6号1569頁)

1 読者  2 客観的良心  3 制度的保障  4 公衆に伝達  5 道義上の責務  6 啓発施設  7 政治倫理  8 出版者  9 利用者  10 学習施設  11 研究者  12 世論に訴求  13 職務上の義務  14 図書館の自由  15 著作者  16 有効に批判  17 教育の場  18 無料で収集  19 公的な場  20 広汎に流通

問題42 次の文章の空欄[ア]〜[エ]に当てはまる語句を、枠内の選択肢(1〜20)から選びなさい。

 [ア]は、[イ]ではないから、抗告訴訟はもちろん、行政不服審査法による審査請求の対象ともならないとされてきた。しかし、[ア]についても、これに従わない場合について、[ウ]が定められている例があるなど、相手方の権利利益に大きな影響を及ぼすものが少なくない。そこで、行政手続法が改正され、[エ]に根拠を有する[ア]のうち、違法行為の是正を求めるものについては、それが[エ]に定める要件に適合しないと思料する相手方は、行政機関にその中止等を求めることができるとされた。この申出があったときは、行政機関は、必要な調査を行い、それが要件に適合しないと認められるときは、その[ア]の中止その他必要な措置をとるべきこととされた。もし、[ウ]がなされていれば、必要な措置として、それも中止しなければならないこととなる。また、これと並んで、違法行為の是正のための[イ]や[ア]がなされていないと思料する者は、これらをすることを求めることができる旨の規定も置かれている。

1 即時強制  2 命令  3 刑事処罰  4 過料の徴収  5 代執行  6 行政調査  7 法律  8 法規命令  9 行政指導  10 強制執行  11 契約  12 強制  13 処分  14 不作為  15 処分基準  16 条例  17 公表  18 要綱  19 規則  20 実力行使

問題43 次の文章は、ある最高裁判所判決の一節である。空欄[ア]〜[エ]に当てはまる語句を、枠内の選択肢(1〜20)から選びなさい。

 建築確認申請に係る建築物の建築計画をめぐり建築主と付近住民との間に紛争が生じ、関係地方公共団体により建築主に対し、付近住民と話合いを行って円満に紛争を解決するようにとの内容の行政指導が行われ、建築主において[ア]に右行政指導に応じて付近住民と協議をしている場合においても、そのことから常に当然に建築主が建築主事に対し確認処分を[イ]することについてまで[ア]に同意をしているものとみるのは相当でない。しかしながら、…関係地方公共団体において、当該建築確認申請に係る建築物が建築計画どおりに建築されると付近住民に対し少なからぬ日照阻害、風害等の被害を及ぼし、良好な居住環境あるいは市街環境を損なうことになるものと考えて、当該地域の生活環境の維持、向上を図るために、建築主に対し、当該建築物の建築計画につき一定の譲歩・協力を求める行政指導を行い、建築主が[ア]にこれに応じているものと認められる場合においては、[ウ]上合理的と認められる期間建築主事が申請に係る建築計画に対する確認処分を[イ]し、行政指導の結果に期待することかあったとしても、これをもって直ちに違法な措置であるとまではいえないというべきである。
もっとも、右のような確認処分の[イ]は、建築主の[ア]の協力・服従のもとに行政指導が行われていることに基づく事実上の措置にとどまるものであるから、建築主において自己の申請に対する確認処分を[イ]されたままでの行政指導には応じられないとの意思を明確に表明している場合には、かかる建築主の明示の意思に反してその受忍を強いることは許されない筋合のものであるといわなければならず、建築主が右のような行政指導に不協力・不服従の意思を表明している場合には、当該建築主が受ける不利益と右行政指導の目的とする公益上の必要性とを比較衡量して、右行政指導に対する建築主の不協力が[ウ]上正義の観念に反するものといえるような[エ]が存在しない限り、行政指導が行われているとの理由だけで確認処分を[イ]することは、違法であると解するのが相当である。
(最一小判昭和60年7月16日民集39巻5号989頁)

1 強制  2 慣習法  3 社会通念  4 特段の事情  5 通知  6 悪意  7 事実の認定  8 法令の解釈  9 併合  10 衡平  11 善意  12 政策実施  13 任意  14 適用除外  15 却下  16 先例  17 拒否  18 審査請求  19 留保  20 信頼保護

[問題44〜問題46は記述式] 解答は、必ず答案用紙裏面の解答欄(マス目)に記述すること。なお、字数には、句読点も含む。)

問題44 Xは、Y県内で開発行為を行うことを計画し、Y県知事に都市計画法に基づく開発許可を申請した。しかし、知事は、この開発行為によりがけ崩れの危険があるなど、同法所定の許可要件を充たさないとして、申請を拒否する処分をした。これを不服としたXは、Y県開発審査会に審査請求をしたが、同審査会も拒否処分を妥当として審査請求を棄却する裁決をした。このため、Xは、申請拒否処分と棄却裁決の両方につき取消訴訟を提起した。このうち、裁決取消訴訟の被告はどこか。また、こうした裁決取消訴訟においては、一般に、どのような主張が許され、こうした原則を何と呼ぶか。40字程度で記述しなさい。

問題45 権原の性質上、占有者に所有の意思のない他主占有が、自主占有に変わる場合として2つの場合がある。民法の規定によると、ひとつは、他主占有者が自己に占有させた者に対して所有の意思があることを表示した場合である。もうひとつはどのような場合か、40字程度で記述しなさい。

問題46 AとBは婚姻し、3年後にBが懐胎したが、その頃から両者は不仲となり別居状態となり、その後にCが出生した。Bは、AにCの出生を知らせるとともに、Aとの婚姻関係を解消したいこと、Cの親権者にはBがなること、およびAはCの養育費としてBに対し毎月20万円を支払うことを求め、Aもこれを了承して協議離婚が成立した。ところが離婚後、Aは、Bが別居を始める前から他の男性と交際していたことを知り、Cが自分の子であることに疑いを待った。このような事情において、Cが自分の子でないことを確認するため、Aは誰を相手として、いつまでに、どのような手続をとるべきか。民法の規定および判例に照らし、とるべき法的手段の内容を40字程度で記述しなさい。

一般知識等[問題47〜問題60は択一式(5肢択一式)]

問題47 国際連合と国際連盟に関する次の記述のうち、妥当なものはどれか。
1 国際連合では太平洋憲章が、国際連盟ではローズヴェルトの平和原則14か条が、それぞれ成立に至るまでの過程において出された。
2 国際連合ではアメリカのニューヨークに、国際連盟ではフランスのパリに、それぞれ本部が設置された。
3 国際連合では日本は原加盟国ではなく現在まで安全保障理事会の常任理事国でもないが、国際連盟では原加盟国であり理事会の常任理事国でもあった。
4 国際連合では米・英・仏・中・ソの5大国がすべて原加盟国となったが、国際連盟ではアメリカは途中から加盟しソ連は加盟しなかった。
5 国際連合では制裁手段は経済制裁に限られているが、国際連盟では制裁手段として経済制裁と並んで軍事制裁も位置づけられていた。

問題48 日本の選挙に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

1 衆議院議員総選挙は、衆議院議員の4年の任期満了時と、衆議院の解散がなされた場合に行われる。
2 参議院議員通常選挙は、参議院議員の6年の任期満了時に行われるが、3年ごとに半数を入れ替えるため、3年に1回実施される。
3 比例代表により選出された衆議院議員は、所属する政党を離党し、当該選挙における他の衆議院名簿届出政党に所属した時でも、失職しない。
4 最高裁判所裁判官は、その任命後初めて行われる衆議院議員総選挙の期日に、国民審査に付される。
5 国政選挙の有権者で、在外選挙人名簿に登録され在外選挙人証を有している者は、外国にいながら国政選挙で投票することができる。

問題49 日本の貧困ならびに生活困窮に関する次の記述のうち、妥当なものはどれか。

1 生活保護世帯のうち、単身高齢者世帯の割合は高く、現在、保護世帯全体のおおよそ4割を占めている。
2 政府が、貧困問題解消に向けて最低賃金の基準引上げを行った結果、近年、年間200万円未満の給与所得者数は減少傾向にある。
3 一国における相対的貧困率とは、上位1割の高額所得者の所得に対する、下位1割の低所得者の所得の比率をいい、日本ではおおよそ10%とされる。
4 絶対的貧困とは、ある人の所得が、その国の国民平均所得の1割に満たない状態をいい、日本では国民の6人に1人が、この状態にある。
5 社会との繋がりを持てず、生活を成り立たせることが難しい人々への支援に向けて、生活困窮者自立支援法案が国会に提出されたが、財政難を理由に成立は見送られた。

問題50 今日の日本経済に関する次の記述のうち、妥当なものはどれか。

1 国内総生産(GDP)とは、一定期間に一国で産み出された付加価値の合計額をいうが、日本の名目GDPの水準は、おおよそ年間500兆円である。
2 生産要素とは、財・サービスの生産に用いられる資源をいい、具体的には土地・資本・情報の三つを指すが、日本の経済成長に最も寄与しているのは情報である。
3 日本の国内総生産を産業別にみると、自動車産業をはじめとした製造業の占める割合が最も高く、現在も4割を超えている。
4 日本の産業別就業者割合をみると、機械化・IT化により、製造業就業者割合は減少しており、他方で、サービス業への就業者割合は8割を超えている。
5 日本では、総支出のうち、国内での消費、投資、政府支出の割合は6割程度であり、4割が海外への輸出となっている。

問題51 いわゆる空き家に関する次の記述のうち、妥当なものはどれか。

1 空家特措法*では、[空家]とは居住その他の使用が10年以上なされていない家屋のことであると規定されている。
2 小規模宅地は、更地と比べて、固定資産税が最大で4分の1にまで優遇されるが、これは、住宅が空き家となっている宅地についても適用される。
3 都道府県は、「空家」に関するデータベースを整備し、「空家」の状況を把握、管理することが、空家特措法で義務づけられている。
4 自治体のなかには、空家特措法が制定される以前から、空き家に関する条例を制定し、その管理や活用を図る取組みを行っている例がある。
5 人口減少とともに空き家は年々増加しており、その割合は全国の住宅の3割を超えている。
(注)* 空家等対策の推進に関する特別措置法

問題52 日本の島に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

1 日本の最東端の島は、沖ノ鳥島である。
2 日本の最西端の島は、与那国島である。
3 日本の最南端の島は、南鳥島である。
4 日本の最北端の島は、利尻島である。
5 日本の最南端の有人島は、父島である。

問題53 日本における高齢者(65歳以上)に関する次のア〜エの記述のうち、誤っているものの組合せはどれか。
ア 平成25(2013)年10月1日現在の高齢者人口は、人口全体の4分の1を超えている。
イ 平成22(2010)年の国別高齢化率で、日本はドイツ、イタリアに次いで世界第3位、アジア圏では第1位である。
ウ 平成25(2013)年の都道府県別の高齢者人口統計によれば、高齢者人口が最も多いのは東京都である。
エ 平成25(2013)年の一般刑法犯検挙人員中、年齢別分布で見ると20歳代のグループに次いで65歳以上のグループが第2位を占めている。

1 ア・ウ
2 ア・エ
3 イ・ウ
4 イ・エ
5 ウ・エ

問題54 情報公開法*1および公文書管理法*2に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

1 情報公開法も公文書管理法も国民主権の理念にのっとっているが、公文書管理法は情報公開法とは異なり、歴史公文書等の保存、利用等の規律も設けていることから、現在のみならず将来の国民への説明責任を果たすことをその趣旨に含んでいる。
2 公文書管理法は、情報公開法と同様、行政機関による行政文書の管理、歴史公文書等の保存、利用等を定めているが、独立行政法人等の文書管理は定めていない。
3 公文書管理法は、歴史公文書等のうち、国立公文書館等に移管、寄贈もしくは寄託され、または、国立公文書館の設置する公文書館に移管されたものを「特定歴史公文書等」と定義し、永久保存の原則を定めている。
4 情報公開法は行政文書の開示請求権および開示義務を定め、公文書管理法は特定歴史公文書等の利用請求があったときの対応義務を定めている。
5 情報公開法は、従前は行政文書の公開およびその管理についての規定も設けていたが、公文書管理法の制定に伴い管理の規定は削除された。
(注)*1 行政機関の保有する情報の公開に関する法律
*2 公文書等の管理に関する法律

問題55 情報セキュリティの用語に関する次の説明のうち、妥当でないものはどれか。

1 ウィキリークス
政治、行政、ビジネス、宗教などに関する機密情報を匿名で公開するウェブサイトの一つであり、アメリカ政府の外交機密文書が公開されるなど話題となった。
2 IPアドレス
通信する相手(コンピュータ)を一意に特定するため、インターネットに直接接続されるコンピュータに割り振られる固有の数値をいう。
3 フィッシング
電子メールやWWWを利用した詐欺の一種で、悪意の第三者が企業等を装い、偽のサイトに誘導し、クレジットカード等の情報を入力させて盗み取る手法をいう。
4 公関鍵暗号
暗号化と復号のプロセスにそれぞれ別個の鍵(手順)を使って、片方の鍵を公開できるようにした暗号方式である。
5 ファイアウォール
火事の際の延焼を防ぐ「防火壁」から取られた用語で、企業などが管理するサーバ・マシンを物理的に取り囲んで保護する装置をいう。

問題56 行政機関個人情報保護法*に関する次の記述のうち、正しいものの組合せはどれか。
ア この法律は、行政機関ではない会計検査院には適用されない。
イ この法律は、行政機関の長に対し、公的個人認証の方法による安全管理措置を講じるよう義務づけている。
ウ 個人は成人にならなくとも、行政機関の長に対し、当該行政機関の保有する自己を本人とする保有個人情報の開示を請求することはできる。
エ 開示請求をする者は、開示にかかる手数料を実費の範囲内で納めなければならない。
1 ア・イ
2 ア・ウ
3 イ・ウ
4 イ・エ
5 ウ・エ
(注)* 行政機関の保有する個人情報の保護に関する法律

問題57 位置情報に関する次の記述のうち、明らかに妥当でないものはどれか。

1 位置情報とは、空間上の特定の地点または区域の位置を示す情報をいい、当該情報に係る時点に関する情報を含む。
2 電気通信事業者は、利用者の位置情報を第三者に提供するには原則として利用者の同意が必要だが、生命身体切迫時には人命救助の見地から同意なく提供できる。
3 電気通信事業者は、通信サービスの契約者が端末を所持する者の同意を得ることなく、他者位置検索サービスを用いて端末のGPS*位置情報を第三者に取得させることが自由にできる。
4 移動体の位置情報には、大きく基地局にかかる位置情報とGPS位置情報の二種があるが、GPS位置情報は通信の秘密には該当しないと解されている。
5 個人にかかる位置情報は、精度が詳細で、連続して集積されればされるほどプライバシー性が高まるという特徴を持っている。
(注)* GPS=Global Positioning Systemの略。全地球測位システムともいう。

問題58 本文中の空欄[一]〜[四]には、それぞれあとのア〜エのいずれかの文が入る。その組合せとして適当なものはどれか。

 本文省略

問題59 本文中の空欄[  ]に入る文章を、あとのア〜エを並べ替えて作る場合、その順序として適当なものはどれか。

 本文省略

問題60 本文中の空欄[一]〜[四]に入る言葉の組合せとして適当なものはどれか。

 本文省略